
『Dr.コトー診療所』とは、山田貴敏による漫画、およびそれを原作とした医療ドラマである。脚本は吉田紀子。主演は吉岡秀隆で、柴咲コウや時任三郎などが出演する。東京の病院で外科医をしていた五島健助は沖縄県・志木那島の診療所に勤務することになる。これまで島に来た医師に逃げられてきたことから島民は五島を信頼していなかったが、彼の医師としての技術や人柄を見て見直していく。だがそんな五島には秘められた過去があった。本作は最高視聴率22.3%を記録し、第2期や劇場版などが放送された。

コトーが志木那島診療所に勤める前に勤めていた東京の大学病院である。大学病院時代、多忙な中でコトーが研修医の三上に女子高生を任せて死なせてしまい、大きな騒動に発展した。
お食事処まり

茉莉子が経営する店である。料理や酒を提供しており、島民たちの憩いの場になっている。
『Dr.コトー診療所』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
原剛洋「僕はいつか先生みたいなお医者さんになりたいんだ」

シーズン1第6話、助けを呼びに行こうとする剛洋
1人で山に入った竜一を探しに行ったコトーと剛洋は、倒れている竜一を発見したが、斜面から足を滑らせて転落する。これによりコトーは肩と足を負傷し、竜一もろっ骨が折れていて動ける状態ではなかった。そのため剛洋は助けを呼んでくると言い、「僕はいつか先生みたいな医者になりたいんだ。口だけじゃなく本当にそうなりたいんだ」と宣言して走り出した。友人たちから弱虫とバカにされきた剛洋がコトーのような医者になるという目標が芽生えてたくましく成長し、2人を助けたいという強い気持ちに心が揺さぶられる名言だった。
剛利と剛洋がコトーを島に呼び戻そうとする場面

シーズン1第11話、コトーを島に呼び戻そうと説得する剛利
過去に医療ミスを起こし、そのスキャンダルを島民に知られたコトーは重雄から島を出て行ってくれと言われてしまう。そして島を出て行ったコトーを剛洋ら子供たちが東京に行って連れ戻そうとするが、お金が足りず、剛利に助けを求めた。剛利は剛洋と共にコトーの元へ向かい、これからどうするのかと尋ねるが、コトーは分からないという。そんな彼に剛利は子供たちがコトーに帰ってきてほしくて東京に来ようとしていたことや、正一が血を吐いても本土の病院に行こうとしないこと、重雄が島を出て行けと言ったことをとても後悔していることなどを伝える。そして剛利は涙ぐみながら「みんなが…俺がどれだけあんたに帰ってきてほしいか。コトー先生」と告げた。過去に島の医者の誤診で妻が亡くなった経験から、初めはコトーのことを全く信用していなかった剛利がコトーの姿を見て彼に信頼を寄せるようになり、コトーを島に呼び戻す姿が心に響く名場面だった。
五島健助「彩佳さん、僕にオペをさせてください」

シーズン2第10話、彩佳に手術をさせてほしいと頼むコトー
乳がんとなった彩佳は両親やコトーに内緒で東京で治療を受けようとしていたが、コトーだけは主治医の鳴海を通して彼女の病気について知ることとなる。コトーは自ら治療させてほしいと頼んだが、彼に胸を見られることを嫌がった彩佳は東京で1人治療することを選んだ。そして手術直前になり、彩佳はついに両親に病気のことを打ち明ける。両親はコトーに手術してもらうことを望み、和田にも背中を押されたコトーは彩佳の手術をすることを決意し、上京して彼女の元へ向かう。しかし彩佳は再発する可能性や、後遺症で看護師を続けられなくなるかもしれないと不安を吐露する。そんな彼女にコトーは「もしも再発したとしても僕が何度でも治す」「僕が彩佳さんのそばにずっといる」と声をかける。そしてコトーは「彩佳さん、僕にオペをさせてください」と頼んだ。彩佳は泣きながら頷いた。不安でいっぱいだった彩佳を安心させるコトーの優しく力強い言葉が胸を打つ名言だった。
『Dr.コトー診療所』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
引退していた富岡が映画のために役者復帰
本作で剛洋役を演じた富岡涼は、ドラマのシーズン2以降、芸能界を引退していた。しかし16年ぶりの続編となる映画が公開されることになり、本作のために役者復帰したという。富岡は会社員として働いており、引退して時間が経過していたこともあって出演にはかなり悩んだようだが、中江監督からオファーされたことが嬉しかったため出演を許可したようだ。中江監督は2か月間撮影のために富岡を拘束することになるため、彼の会社の社長に直々に挨拶に行ったそうだ。
撮影時間が長い中江監督
本作の監督である中江監督はなかなかOKを出さず、撮影時間が長い。そのため出演者の時任三郎や泉谷しげるは当分撮影は終わらないだろうと察し、待ち時間の合間に海に泳ぎに行ったりしたそうだ。時には与那国島まで行ったものの、待ち時間だけで終わって、撮影せずに東京にとんぼ返りということもあったという。長い撮影の後は泉谷のおごりで居酒屋へ行き、出演者はとても仲が良かったようだ。1話のコトーが船の上で剛洋の手術をするシーンは当日波が高くて船が大揺れし、俳優陣の乗る船から高波で撮影隊の船が見えなくなることがあり、不安になる瞬間もあって撮影は押しまくったという。そのため結局後日、スタジオで撮影が行われた。
観光地となった志木那島診療所
本作で登場する志木那島は架空の島で、沖縄県与那国島がロケ地となっている。志木那島診療所はドラマのために建てられたセットで、撮影終了後もそのまま残されているため、実際に使用されたセットの中を有料で見学することができる。白衣を着て写真撮影することも可能となっており、観光地となっている。また島民の憩いの場となっていた茉莉子が営む飲食店は個人宅を撮影に使用している。
島の診療所に40年間勤めたコトーのモデルとなった医師
志木那島のモデルとなったのは鹿児島県の甑島で、この島にコトーのモデルになった瀬戸上医師がいる。瀬戸上医師は30代前半で外科部長となったスーパードクターで、原作の1巻に描かれている話はほぼ彼の実体験らしい。船の上で盲腸の手術をしたというのはフィクションだが、島民にバッシングされたことや、おばあさんが腹部大動脈瘤を起こして人工血管に置き換えるという手術を瀬戸上医師と看護師の2人でやったことは事実だったそうだ。腹部大動脈瘤の手術は本来5、6人でやるような大手術だという。志木那島診療所同様、甑島の診療所も設備が不十分だったことから、少しずつ設備を整えて手術ができる環境にしたそうだ。瀬戸上医師は75歳で一区切りにしたいと考えており、退任する予定だったものの来島予定だった医師が家庭の事情により来島出来なくなってしまった。他の後任医師が見つからなかったことから、島民の強い要望により瀬戸上医師が続投することになった。しかし瀬戸上医師自身は楽しんで島の医師を続けていたらしく、39年間もの間、専門外の内科や産婦人科の治療もこなして島民の健康を守ってきた彼は2023年に市から感謝状が贈られた。その後、瀬戸上医師に憧れた新たな医師が甑島の診療所に迎えられることとなったそうだ。
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目次 - Contents
- 『Dr.コトー診療所』の概要
- 『Dr.コトー診療所』のあらすじ・ストーリー
- コトーの初手術
- 島に馴染むコトー
- 明らかになるコトーの過去
- 島を出ていくコトー
- 3年後の島民たち
- 『Dr.コトー診療所』の登場人物・キャラクター
- 志木那島診療所
- 五島健助(ごとうけんすけ/演:吉岡秀隆)
- 星野彩佳(ほしのあやか/演:柴咲コウ)
- 和田一範(わだかずのり/演:筧利夫)
- 仲依ミナ(なかいミナ/演:蒼井優)
- 主要な島民たち
- 原剛洋(はらたけひろ/演:富岡涼)
- 原剛利(はらたけとし/演:時任三郎)
- 西山茉莉子(にしやままりこ/演:大塚寧々)
- 内つる子(うちつるこ/演:千石規子)
- 安藤重雄(あんどうしげお/演:泉谷しげる)
- 星野正一(ほしのしょういち/演:小林薫)
- 星野昌代(ほしのまさよ/演:朝加真由美)
- 坂野ゆかり(さかのゆかり/演:桜井幸子)
- 坂野孝(さかのたかし/演:大森南朋)
- 山下明夫(やましたあきお/演:今福將雄)
- 昭栄大学附属病院関係者
- 原沢咲(はらさわさき/演:石田ゆり子)
- 三上新一(みかみしんいち/演:山崎樹範)
- 青華大学医学部附属病院関係者
- 鳴海慧(なるみけい/演:堺雅人)
- その他の島民たち
- 山下一夫(やましたかずお/演:納谷真大)
- 山下道子(やましたみちこ/演:森上千絵)
- 山下邦夫(やましたくにお/演:春山幹介)
- 坂野千賀(さかのちか/演:畠山彩奈)
- 坂野和枝(さかのかずえ/演:田畑ゆり)
- 元木渡(もときわたる/演:山西惇)
- 橋口俊(はしぐちしゅん/演:塩谷瞬)
- 熊木圭介(くまきけいすけ/演:熊耳宏之)
- 脇田実(わきたみのる/演:栗脇高志)
- 南佑介(みなみゆうすけ/演:東誠一郎)
- 洋平(ようへい/演:宮嶋剛史)
- 山下努(やましたつとむ/演:船木誠勝)
- 山下春江(やましたはるえ/演:高橋忠子)
- 山下信一(やましたしんいち/演:斎藤大貴・石川眞吾(第2期))
- 山下桃子(やましたももこ/演:松本梨菜)
- 宮野純平(みやのじゅんぺい/演:池田晃信)
- 宮野真由美(みやのまゆみ/演:谷本真美)
- 宮野真人(みやのまさと/演:細田よしひこ)
- 小沢信二(おざわしんじ/演:光石研)
- 小沢小百合(おざわさゆり/演:神野三鈴)
- 小沢ひな(おざわひな/演:尾崎千瑛)
- その他
- 中村三郎(なかむらさぶろう/演:坂本長利)
- 中村悠子(なかむらゆうこ/演:大後寿々花)
- 川畑夏美(かわばたなつみ/演:大畑稚菜)
- 山下茂(やましたしげる/演:松田史朗)
- 山下巌(やましたいわお/演:谷津勲)
- 原秀雄(はらひでお/演:妹尾正文)
- 原和子(はらかずこ/演:増子倭文江)
- ゲスト
- 笠井光江(かさいみつえ/演:箕浦康子)
- 内誠(うちまこと/演:國村隼)
- 坂野達郎(さかのたつろう/演:高橋征郎)
- 高村(たかむら/演:中根徹)
- 芦田ゆき(あしだゆき/演:木村佳乃)
- 芦田雄一郎(あしだゆういちろう/演:竜雷太)
- 安部純一(あべじゅんいち/演:井澤健)
- 安部広子(あべひろこ/演:白川和子)
- 杉本竜一(すぎもとりゅういち/演:神木隆之介)
- 柏木秀一(かしわぎしゅういち/演:宇崎慧)
- 安藤リカ(あんどうリカ/演:伊藤歩)
- 古川徹(ふるかわとおる/演:柏原収史)
- 巽謙司(たつみけんじ/演:津田寛治)
- 巽久美子(たつみくみこ/演:浅見れいな)
- 奥村史朗(おくむらしろう/演:大和田伸也)
- 熊谷英夫(くまがいひでお/演:勝部演之)
- 北見康代(きたみやすよ/演:キムラ緑子)
- 萩野ツネ(はぎのツネ/演:大方斐紗子)
- 茂田徳郎(しげたとくろう/演:北見敏之)
- 山下左千夫(やましたさちお/演:石橋蓮司)
- 剛利の上司(演:大森博史)
- 島民(演:山田貴敏)
- 開瑛中学の教師(演:大内厚雄)
- 宮野博(みやのひろし/演:山崎銀之丞)
- 仲依知明(なかいともあき/演:忍成修吾)
- 五島沙知子(ごとうさちこ/演:宮本信子)
- 『Dr.コトー診療所』の用語
- 志木那島(しきなじま)
- 志木那島診療所(しきなじましんりょうじょ)
- 昭栄大学附属病院(しょうえいだいがくふぞくびょういん)
- お食事処まり
- 『Dr.コトー診療所』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 原剛洋「僕はいつか先生みたいなお医者さんになりたいんだ」
- 剛利と剛洋がコトーを島に呼び戻そうとする場面
- 五島健助「彩佳さん、僕にオペをさせてください」
- 『Dr.コトー診療所』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 引退していた富岡が映画のために役者復帰
- 撮影時間が長い中江監督
- 観光地となった志木那島診療所
- 島の診療所に40年間勤めたコトーのモデルとなった医師
- 『Dr.コトー診療所』の主題歌・挿入歌
- ED(エンディング):中島みゆき「銀の龍の背に乗って」
- 挿入歌:柴咲コウ「思い出だけではつらすぎる」
- 挿入歌:中島みゆき「恋文」
- 挿入歌:中島みゆき「シュガー」
- 挿入歌:中島みゆき「悪女」