GOOD LUCK!!（ドラマ）のネタバレ解説・考察まとめ

『GOOD LUCK!!』の概要

『GOOD LUCK!!』とは、2003年1月19日から3月23日までTBSの日曜劇場枠で放送された木村拓哉主演のドラマ。ヒロインに柴咲コウ、凄腕のパイロットに堤真一、ベテランキャビンアテンダントに黒木瞳らを起用し、脚本は数々のヒット作を手がけた井上由美子が担当している。さらに、TBSのアナウンサーである安住紳一郎が木村と同期のパイロット役で出演するなど、他のドラマにはないユニークなキャスティングも魅力である。さらに、キャビンアテンダントが登場するシーンでは実際のANAのオフィスを使用し、エキストラにもANAの社員を起用するなど臨場感のある演出も行われている。平均視聴率は30.6%、最高視聴率は最終回の37.6%、瞬間最高視聴率は41.6%を記録した。その後2013年には、再放送とブルーレイボックスの発売も行われている。尚、航空業界を扱った作品ではトップの人気となっており、ドラマの影響により航空業界への就職希望者が急増しANAの株価が上昇するなど社会現象を巻き起こした。

『GOOD LUCK!!』のあらすじ・ストーリー

問題の多い副操縦士

副操縦士の新海元（しんかいはじめ）は、機長の水島（みずしま）の急病のため急遽着陸の操縦を任されるが、とっさの事だった為機体が揺れてしまった。様子を見ていた整備士の緒川歩実（おがわあゆみ）からは、「もっと機体を大事にして下さい」と注意される。その後元は、業務の指導や評価を行う監査官でもある香田一樹（こうだかずき）に、事情を聞かれ説明するも「君は素人以下だ」と叱責されてしまう。その後、新海はキャビンアテンダントの富樫のり子（とがしのりこ）に意見を求めると、「新人でもミスは許されない、緊急事態だからこそ冷静に対処すべきだ」と言われる。そこで冨樫と香田は知り合いであり、外資系の航空会社からヘッドハンティングされた事や、同期や先輩であっても容赦しない人物だと聞かされた。その後元と水島はロサンゼルスへ向かっていると、「空港が火災の為閉鎖になった」と知らせが入る。水島は引き返しを決定するが、元は「今日中にロスに行かなければ会社が倒産する」と言い、機内で暴れ出した乗客がいると報告を受ける。フライトチェックの為同乗していた香田は、キャビンで対応する問題だと判断する。しかし納得のいかない元はキャビンへ向かい乗客を説得するが、無断でコクピットを出たことを理由に香田から1週間の謹慎処分を受けてしまう。

謹慎期間を終えた元は乗務に復帰するが、同期である安住（あずみ）から香田の判断でシフトが変更されている事を知らされる。元は香田に抗議するが、パイロットとして不完全だとして地上勤務を命じられた為辞職を宣言する。その後元の送別会が開かれ、席上で歩実から「見損なった」と言われてしまう。実家を訪れた元は、仕事を辞め実家の船宿を継ぐと弟の新海誠（しんかいまこと）と父親の新海良治（しんかいりょうじ）に話すが、良治から「すぐに逃げ出すような奴は船長の資格はない」と言われてしまった。その後、元は歩実に「パイロットを続けたいから香田に謝罪する」と伝える。その際歩実から、「友人を飛行機事故で無くした事がきっかけで整備士になった」と打ち明けられる。そして香田に「パイロットを続けたい」と言い謝罪した元は、コクピットを出たことについても乗客を守る為だと主張する。元は正式に乗務復帰を果たしたが、香田からは「私は君の意見を認めたわけではない」と注意される。

仲間との衝突

香港便に乗務した元は、代議士の小倉光喜（おぐらみつよし）がパニック発作を起こし飛行機から降ろすよう要求していると連絡を受ける。香田はコクピットに冨樫と太田健三郎（おおた けんざぶろう）を呼び、冨樫からパニック発作の既往歴があると聞くと成田に引き返すと判断する。小倉は一命を取り留めたが、元は香田から「乗客のコンディションを考えろ」と叱責される。その後、元と太田が整備の担当者へ急な振替便のお詫びに向かうと、歩実が先輩である阿部貴之（あべたかゆき）から緊急のホノルル出張を命じられていた。元は歩実のホノルル行きを羨ましがったが、歩実は元に、「飛行機に乗ったことがない」と打ち明ける。その話を聞いた元は、自身も訓練のトラブルで操縦が出来なくなりやめようと思った事があると打ち明けた。そして歩実を心配した元は自ら乗務を願い出るが、歩実は直前になって飛行機を降りてしまう。ホノルルに到着した元に、日本にいる歩実から電話があり、そこで元はいつか飛行機に乗せる事を約束した。

元は、上海で起きた火災の緊急チャーター便の副操縦士に指名される。冨樫もチャーター便のチーフを任され、さらに訓練センターの教官の話を持ちかけられていたが内心戸惑っていた。そしてチャーター便について緊急会議が開かれるが、冨樫は整備からの質問を聞いておらず香田から叱責されてしまう。元は会議後に、冨樫がセンターの教官を打診されている事を耳にする。その後上海に到着し負傷者を搬送しようとするが、離陸直前になり負傷者の1人が目を覚まし婚約者がいない為パニックを起こしてしまう。冨樫は「離陸を待って欲しい」と香田に願い出るが、香田は「5分以上は待てない」と答え、冨樫の説得により無事日本に負傷者を搬送する。その後冨樫は、負傷者に付き添い病院へ向かう。冨樫の事情を知っていた元は香田に、冨樫を待とうと言ったが香田からは「余計な事はするな」と諭される。それでも納得の出来ない元は、病院へ向かい冨樫を説得するが「自分で決める事だから」と言われてしまう。だが翌日冨樫は、教官への打診を断りキャビンアテンダントを続ける事を決意する。

歩実との恋

キャビンアテンダントの深浦うらら（ふかうらうらら）は、乗客に有名人がいた為名刺を渡そうとした所を香田に注意され「人間として失格だ」と言われ泣き出してしまった。その後深浦は「香田を訴える」と宣言し、他のキャビンアテンダント達も賛同した為香田は急遽シフトを外されてしまう。香田のシフト変更を聞いた歩実は、深浦に対し「香田さんは理由もなく怒る人じゃない。逆恨みだ」と注意する。香田を心配した元も様子を伺うが、「人の心配よりも自分の心配をしろ」と言われてしまう。その後元は深浦を食事に誘い、事情を聞いていると香田と歩実が店に現れた為、元は直接話をさせようとするが深浦は帰ってしまう。元が帰宅すると弟の誠がおり、「高校を辞める」と言い出した為元は強引に誠を実家に連れて行き父親と話をさせる。誠は、父親の仕事を継ぐためだと主張するが良治は「お前らに継がせるつもりはない。出ていけ」と言い、話を聞こうとしない。元が説得しようとすると、良治は突然2人を船に乗せ沖に出る。そこで良治は「もっと大きな船に乗って欲しい」と打ち明け、誠は納得した。翌日香田の元を訪れた深浦は、訴えるのではなく仕事で認めてもらうと宣言する。その後元は、深浦の事を歩実に伝えるがなぜか機嫌が悪く話を聞いてすぐに立ち去ろうとしてしまう。そこで、元は香田と歩実が親しげにしている所を見て嫉妬したと打ち明けると、歩実も深浦と元が2人でいる所を見て同じ気持ちだったと打ち明け、後日2人で食事の約束をするのだった。

元は北京からのフライト前に手術の為日本に帰国予定の医師である牛島ミサ（うしじまみさ）と遭遇し、成田行きのチケットの手配をする。その後元と香田は北京から成田へ向け飛行していたが、濃霧のため着陸ができず北上し新千歳に向かう。アナウンスを聞いた牛島は、「成田に戻って欲しい」と訴えており、元は香田に成田への引き返しを提案するが却下されてしまう。だが香田は成田への着陸を諦めておらず、「新千歳で燃料を補給し、再び成田に向かう」と元に指示を出す。その頃歩実は元がいない為1人で食事をしていたが、偶然冨樫と遭遇し、冨樫も予定が急遽キャンセルになってしまっていたと聞かされる。燃料の補給を終え元と香田は再び成田に向かうが、着陸できるのは雲が切れ間を見せる一瞬であり、難易度の高い着陸だった。無事成田への着陸を果たし、牛島は元に「必ず救ってみせる」と約束した。元が成田に戻ったのは日付が変わってからだったが、歩実に「会いたい」と連絡をしファミレスで会う事になる。だが歩実が店に向かうと、元は眠っており目が覚めると朝になっていた。そして車に歩実からの置き手紙があり、「仕事だから先に帰る、バーカ」と書かれていた。

元は香田が担当する監査フライトで、ベテランパイロットの山上達生（やまがみたつお）と一緒になる。そこで元は山上から、かつて香田の教官をしたことがあると聞かされる。飛行中に元は積乱雲に気づくが、判断を誤り機体が激しく揺れてしまい山上に指示を求める。だが山上は指示を与えず、自身で操縦を行い目的地に到着する。その様子を見ていた香田は山上に「機長としての適性を失っている」と伝え、山上の抗議に対しても意見を変えなかった。だが元は山上が出て行った後、コクピットで辛そうな表情をしている香田を目にする。翌日、山上はフライト前に乗務員達にパイロットの引退を宣言する。元は責任を感じ山上に謝るが、山上は自身の過失を認め香田の判断が正しかったと元に伝える。さらに香田が12年前の墜落事故の関係者であり、冨樫との交際を辞めそれ以来変わってしまった香田を救う事が出来なかった事が心残りだと元に打ち明ける。空港では山上の引退を聞いた乗務員達が出迎えるが、そこに香田はいなかった。だが、車に乗り込もうとした山上の前に香田が現れ何も言わず頭を下げた。その様子を見た山上は、納得した表情で車に乗り込んで行った。その後歩実は、元から香田が12年前の事故の関係者だったと聞かされると泣きながら帰ってしまう。

ケガからの復帰

先日の一件依頼元と歩実は気まずい状態になってしまい、歩実は元を避ける様になってしまう。そして元は、冨樫からかつて香田と付き合っていたが、事故がきっかけで別れてしまった事を聞く。その後元は、歩実が仕事中に怪我をした事を聞き医務室に駆けつける。軽傷だったが、バイクの運転が出来ないので元が車で送っていく事になり帰りの車中で、歩実が香田の事故の遺族だったと知らされる。歩実は尊敬していた香田が事故の関係者だったと知りショックを受けていたが、元は「遺族じゃなく整備士として接して欲しい」と香田に伝えるようアドバイスする。そして元は「シップに乗せてやる」と言い、歩実を実家に連れて行き、父親の良治に船を出してもらうよう頼んだ。だが、先客がおり船には乗れなかったが、良治から元が中学生の時に母親を亡くし、葬儀や弟の世話をしていた話を聞くことができた。一方香田も歩実が事故の遺族だったと知り、冨樫に相談すると「今を生きて欲しい」と言われ思い悩んでいた。翌日、歩実は香田に「私を1人の整備士として見て欲しい」と伝え、元の操縦するホノルル便に同乗する約束をした。その後緊急脱出訓練が行われ、最後に脱出した歩実が転びそうになり助けようとした香田をかばい元は機体から転落してしまう。

病院に搬送された元は、命に別条はなかったが足に怪我を負ってしまい、医師からはパイロットとして再起不能と診断されてしまう。元は復帰を諦めていなかったが、父の良治からも諦めるよう説得され口論になり、その様子を見ていた香田は、元に会わずに帰ってしまった。無事退院した元は自宅に帰ると歩実が現れ、そこで元はパイロットへの復帰は出来ないと伝えるが「約束守ってよ」と言われ口論となる。その後、歩実の運転で海へ行き上空を通り過ぎた飛行機を見た元は、初めて空を飛んだ時の事を思い出し「絶対に空を空飛んで見せる」と歩実に約束した。その後リハビリ休暇の申請の為空港を訪れた元は、香田が事故の責任をとり引退すると聞かされる。空港を飛び出した元は香田の所へ行き、必死に説得するが香田は「他に責任を取る方法がない」と言われてしまう。それでも元は、「責任を取るなら俺がキャプテンになるまで指導して下さい」と引き下がり、香田は辞表を破り捨てた。その後リハビリ中の元は、医師の成見（なるみ）から手術を勧められる。だが成功率は10%以下であり、成見は躊躇していたが元は手術を受ける決意をした。

無事手術を終えた元は香田が機長を務めるホノルル便での監査フライトが決まり、歩実と先輩である内藤ジェーン（ないとうじぇーん）も同乗する事になった。元はホノルルへ向け順調に飛行していたが、突然客室内が停電したと報告を受ける。だが操縦室は停電しておらず、操縦は順調だった。キャビンアテンダント達は乗客の対応に追われ原因を探る事が出来ない為、香田は同乗していた歩実に原因究明を依頼する。そんな状況を見て元は、「監査に落ちても構わない」と言い自らも客席に出ていく。そして、元と歩実は漏電により配線が焼き切れた事をつき止めるが、道具がない為修理はできなかった。操縦に問題がない事を確かめた元は、乗客に原因を説明し操縦席に戻ると香田から、監査の最終チェックとして着陸を任される。無事目的地に到着し香田から監査は合格と告げられ元は、「空を飛ぶ事が自分にとって大事な事だと分かった」と香田に打ち明ける。すると香田は、「今日の君の姿を見て、飛ぶ事が楽しくて仕方なかった事を思い出した」と言われ2人は握手をした。そして、元は歩実に無事合格した事を告げた。

『GOOD LUCK!!』の登場人物・キャラクター

主要人物

新海元（しんかいはじめ／演：木村拓哉）

副操縦士をしている新人のパイロットであり、子供の頃にコクピットに乗せてもらった事をきっかけにパイロットになった。「訓練時間は同期の中で1番長かった」と本人が発言しており、技術面では未熟な部分が多く周囲から度々指摘されている。だが、トラブルが起きた際には客席に出て行き、説得に当たるなど仕事への姿勢は非常に真面目である。また、整備士やキャビンアテンダントに対しても仲間と呼び分け隔てなく接している。監査室の香田（こうだ）とは度々衝突していたが、香田の技術や判断力を目の当たりにし次第に敬意を抱くようになり最終的に師弟関係が芽生える。気持ちが高ぶると、「ぶっちゃけ」と言うのが口癖である。訓練中に怪我をしてしまい、再起不能と診断されるも「成功率は10%以下」と言われた手術を行いパイロットに復帰している。

緒川歩実（おがわあゆみ／演：柴咲コウ）

新人の整備士であり、飛行機事故で両親を亡くした過去を持つ。パイロットに対しても堂々と意見を言うため、当初は元と衝突する事が度々あった。だが、元の仕事に対する姿勢を見るうちに信頼関係が芽生え最終的には付き合う。香田の事は優秀なパイロットだと尊敬しており、香田がキャビンアテンダントの深浦に訴えられそうになった時も「香田さんは理由もなく怒る人じゃない」と庇っている。両親の事故以来飛行機が怖くなり乗れなかったが、最終回では元の復帰フライトであるホノルル便に同乗している。また香田が両親を亡くした事故の関係者だったと知りショックを受けるが、元に説得され「事故の遺族ではなく、整備士として見てほしい」と香田に伝えている。

香田一樹（こうだかずき／演：堤真一）

業務の指導や評価を行う監査官の仕事も兼任しているパイロットであり、元は外資系の航空会社で勤務していた。「シップは完全でなければならない」と公言し、乗務員の些細なミスも見逃さず厳しく叱責する為、社内では煙たがられている。また、以前乗務していた航空会社で体調を崩した際にシフトを変更した飛行機が事故を起こした過去を持っている。それ以来、「フライト時に風邪をひくような事があればパイロットを引退する」と決めている。また、整備士の緒川歩実が事故の遺族だと知り謝罪するが「1人の整備士として見てほしい」と言われ戸惑うなど、事故の影響を引きずっている。当初は元の未熟さに対して「素人以下だ」と評価していたが、フライトを共にする度に師弟関係が芽生え最終回では握手を交わしている。

富樫のり子（とがしのりこ／演：黒木瞳）