Dr.コトー診療所(漫画・ドラマ・映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『Dr.コトー診療所』とは、山田貴敏による漫画、およびそれを原作とした医療ドラマである。脚本は吉田紀子。主演は吉岡秀隆で、柴咲コウや時任三郎などが出演する。東京の病院で外科医をしていた五島健助は沖縄県・志木那島の診療所に勤務することになる。これまで島に来た医師に逃げられてきたことから島民は五島を信頼していなかったが、彼の医師としての技術や人柄を見て見直していく。だがそんな五島には秘められた過去があった。本作は最高視聴率22.3%を記録し、第2期や劇場版などが放送された。

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『Dr.コトー診療所』の概要

『Dr.コトー診療所』とは、山田貴敏による漫画、およびそれを原作として2003年7月3日から9月11日まで毎週木曜日22時からフジテレビ系で放送された医療ドラマである。脚本は『お見合い結婚』や『涙そうそう』などを手掛ける吉田紀子が担当する。主演は吉岡秀隆で、柴咲コウや時任三郎などが出演する。漫画は2000年から『週刊ヤングサンデー』で連載を開始し、2004年に第49回小学館漫画賞一般向け部門を受賞している。

東京の大学病院の外科医である五島健助(ごとうけんすけ)は、民生課長の星野正一(ほしのしょういち)の要請により、沖縄の本土から6時間かかる志木那島で診療所の医師を務めることとなった。星野の娘で看護師である星野彩佳(ほしのあやか)や診療所事務長の和田一範(わだかずのり)をスタッフとして張り切る五島だったが、これまでの医師はみんなすぐ辞めてしまったことから、島民は誰も彼を信用せず診療所へ寄り付かなかった。それでも五島は医師としての技術や誠実な人柄を知られ、徐々に島民の信頼を集めていく。しかしそんな五島には秘められた過去があった。

初めは島民に信用されていなかったコトーが医者として真摯な姿勢で島民たちを救っていき、徐々に信頼されるようになる姿が魅力となっている。本作は平均視聴率19%、最高視聴率が22.3%の高視聴率を記録。第12回橋田賞や第38回ザテレビジョンドラマアカデミー賞の最優秀作品賞と主演男優賞と主題歌賞、監督賞と脚本賞、劇中音楽賞とキャスティング賞も受賞した。その後、特別編が2004年に放送され、2006年10月12日から12月21日まで第2期も放送されて平均視聴率22.4%を記録した。なお第2期では脚本家の吉田紀子が第15回橋田賞を獲得し、シリーズ全体を通して第44回ギャラクシー賞特別賞を受賞した。さらに2022年には16年ぶりの続編が劇場映画として公開された。

『Dr.コトー診療所』のあらすじ・ストーリー

コトーの初手術

東京の大学病院の外科医である五島健助(ごとうけんすけ)は、民生課長の星野正一(ほしのしょういち)の要請により、沖縄の本土から6時間かかる志木那島で診療所の医師を務めることとなった。正一の娘で看護師である星野彩佳(ほしのあやか)や診療所事務長の和田一範(わだかずのり)をスタッフとして張り切る五島だったが、これまで島に来た医師はみんなすぐ辞めてしまったことから、島民は誰も彼を信用せず診療所へ寄り付かなかった。

ある日、小学生の原剛洋(はらたけひろ)が突然虫垂炎で倒れてしまう。五島は緊急手術をしようとするが、彼の父親で漁師の原剛利(はらたけとし)が妻を島の医者の誤診で亡くした過去があることから、それを許可せず本土の病院へ連れて行くと言い出した。剛利は剛洋を連れて強引に船を出すが、五島は彩佳や和田と共にその船に乗り込む。そして五島は剛利を説得し、船の上で剛洋の手術を行って無事成功させた。それ以降、五島は剛洋や子供たちからコトー先生と呼ばれるようになる。

島に馴染むコトー

コトーが剛洋の手術をした噂は島中に広がり、不信感から島民たちはますます彼を敬遠するようになる。そんな中、産婆の内鶴子(うちつるこ)が腹部大動脈瘤であることが判明する。しかし鶴子は島を出たくないと言い張り、本土へ行くことを拒んだ。コトーは島民たちに手術をするため、献血に協力してほしいと頼む。だが漁労長の安藤重雄(あんどうしげお)はコトーを信用せず、漁師たちに献血に行くなと止めた。それでも鶴子に世話になった女性たちや剛利に促された子供たちが診療所へ集まり、献血をしてくれて無事手術は成功したのだった。これ以降、コトーは島民に信頼され診療所に人が集まるようになる。

そんなある日、飲食店を営む西山茉莉子(にしやままりこ)の別れた夫との息子である杉本竜一(すぎもとりゅういち)が1人で彼女に会いに島を訪れる。しかし5歳から竜一と会っていなかった茉莉子は、彼にどう接していいか分からなかった。そのため剛利に促された剛洋が竜一と一緒に遊ぶことになるが、竜一は彼に心を開かず、1人で走って行ってしまう。そのことを剛利に怒られた剛洋はコトーに助けを求め、2人で竜一が向かった山に探しに行った。すると竜一は斜面の下で倒れており、彼の元へ行こうとした剛洋をコトーが止めようとして2人で斜面から落ちてしまう。コトーは足を負傷したが、自らナイフで処置を施した。剛洋は負傷して動けないコトーと竜一のため、1人で暗い山道を走って助けを呼びに行き、探しに来た剛利らと合流してコトーたちを診療所に連れて行く。コトーは彩佳によって怪我の処置をされ、ろっ骨が折れている竜一を手術して救った。そして茉莉子と竜一も和解したが、竜一は父親の元へと戻っていった。

明らかになるコトーの過去

ある日、週刊誌記者の巽謙司(たつみけんじ)が島に現れ、島民たちに過去にコトーが勤めていた病院で17歳の女子高生を見殺しにしたという記事をばら撒く。島民たちはコトーに疑心暗鬼になり、再び彼は避けられるようになるが、彩佳や和田は彼を信じていた。その後、コトーは島民を集めて集会を開き、記事の内容が事実であると告げる。

一方、巽は車で集会へ行く途中だったが、剛洋や山下邦夫(やましたくにお)ら子供たちがコトーを庇うため行く手を阻んだ。巽は雨が降っていたことから車に子供たちを乗せる。しかしその直後、土砂崩れが発生し、車が土砂に流されてしまった。剛洋と邦夫は無事脱出したが、巽が頭を打って負傷し、山下信一(やましたしんいち)と宮野純平(みやのじゅんぺい)も車に閉じ込められてしまう。集会は中止になり、救助が行われて全員助かったが、信一の腹部を傘が貫通していることが判明する。信一と巽は診療所へ運ばれ、すぐさま信一の手術の準備が行われたが、コトーは巽が脳に損傷を負っているため先に手術をすると決断する。だが信一の両親や漁師らはコトーに反発。コトーは声を荒げて彼らを部屋から追い出し、巽の手術の後、信一の手術も行って2人を助けた。だがますますコトーは島民から避けられるようになり、重雄は彼に島を出て行けと言い出す。

その後、コトーは巽に女子高生が死んだときの状況を語る。ある日、夜中に急患が2人運ばれてきたが、コトーと研修医の三上新一(みかみしんいち)しかおらずコトーは重症の患者にかかりきりで三上に女子高生のことを任せてしまった。しかし疲れでイライラしていたコトーは三上を追い詰める言葉を言って三上は逃げ出してしまい、女子高生はそのまま亡くなってしまったのだ。その時の自分は心に余裕がなく医師ではなかったと、コトーは改めて巽に謝罪した。

島を出ていくコトー

コトーはついに島を出て行ってしまう。彩佳は泣き崩れ、重雄たちを責める。そんな矢先、彩佳の父の正一が腹痛を訴え、吐血して倒れてしまう。だが正一はコトーを待つため、本土の病院に行くことを拒んだ。

その頃、コトーは以前勤めていた大学病院で手術の依頼を受け、手術に臨んでいた。医療ミスの際に研修医だった三上も消化器外科の医師としてコトーの手術に立ち会う。しかし三上はコトーを失脚させようと、悪性の腫瘍を良性の腫瘍だと報告していた。それでもコトーは見事な手さばきで手術を成功させ、三上は彼の技術に脱帽し、謝罪した。コトーは改めて過去のことを三上に謝罪し、彼に医師として大切なことを伝える。

その後、剛洋と剛利はコトーを連れ戻しに彼の元へ行き、島民たちが待っていることを伝える。コトーは戻ることを決意し、彩佳や重雄ら島民たちはコトーを温かく迎えた。幸い正一は胃潰瘍だったため、手術をせずに済んだ。

3年後の島民たち

3年後、コトーに憧れ医者を目指し始めた剛洋は難関の開瑛中学に合格する。一方、彩佳は理学療法士の資格を取るため上京しようとしていたが、誰にも内緒で乳がんの治療もしようとしていた。彩佳の主治医である鳴海慧(なるみけい)からそのことを聞いたコトーは、彩佳に自分が治療をさせてほしいと頼む。しかしコトーに自分の胸を見られることを嫌がった彩佳は東京で1人治療に臨む。そのため島には新たに仲依ミナ(なかいミナ)という看護師が赴任してくる。頼りないミナは彩佳に怒られながらも、徐々に成長していく。

一方剛利は剛洋のために東京に出稼ぎに出ていたが、工事現場で事故を起こし、同僚にケガをさせてクビになってしまう。慰謝料と学費の支払いでお金に困った剛利は、知り合いからの投資話に乗って詐欺に遭い、全財産を失ってしまった。事情を知った村長は剛利を助けようと、県に掛け合って剛洋の奨学金の許可をもらう。頑固な剛利は島民たちの助けを断っていたが、重雄が東京の彼の元へ行き気持ちを伝える。心を動かされた剛利は重雄らに頭を下げて島の漁師に戻り、彼らに自分の船を買い戻してもらった。

乳がんの手術をすることになった彩佳は、ついに両親に病気のことを打ち明ける。正一はコトーが病気を黙っていたことに困惑していたが、妻と共に彩佳のことを彼に託した。コトーは彩佳の手術をするため上京し、執刀医の鳴海と共に手術に挑む。しかし手術中、コトーは出血したことで取り乱してしまい、鳴海に叱責される。正気を取り戻したコトーは何とか手術を成功させた。こうして彩佳は助かり、コトーは島に戻ったのだった。

『Dr.コトー診療所』の登場人物・キャラクター

志木那島診療所

五島健助(ごとうけんすけ/演:吉岡秀隆)

本作の主人公である。東京の昭栄大学附属病院の外科医として働いていたが、医療ミスを起こし医師としての自分を見つめ直すために大学病院を辞めて、民生課課長の星野正一(ほしのしょういち)の依頼で志木那島診療所に赴任する。初めに手術をした小学生の原剛洋(はらたけひろ)に名前を聞き間違えられ、コトーと呼ばれるようになる。これまで島に来た医師はみんなすぐに辞めてしまったことから初めは島民に信頼されておらず、避けられていたものの、徐々に穏やかで誠実な人柄や医師としての技量を知られ島民から信頼されるようになる。だがその後、記者に医療ミスのことを島民に暴露され、再び島民との間に溝ができてしまう。これをきっかけに退職届を提出して島を離れ、東京に戻ったが、漁師の原剛利(はらたけとし)と剛洋の説得を受けて島に戻ることとなった。それから19年が経過した劇場版では看護師の星野彩佳(ほしのあやか)と結婚し、子供を授かっていた。

星野彩佳(ほしのあやか/演:柴咲コウ)

志木那島診療所の看護師である。気が強く喜怒哀楽がはっきりしており、島に医師が定着しない現状に悩んでいた。しかしコトーが剛洋を船上で手術したことにより、彼を信頼するようになり、設備があまり整っていない診療所で手術を行う際も献身的に彼をサポートするようになる。島民が過去の医療ミスでコトーに疑心暗鬼になった時は、事情を詳しく聞くこともなく彼を信じ切っていた。コトーに好意を持っており、女性の噂が立つと露骨に嫉妬する。その後、脳出血で体が不自由になった母の介護のために理学療法士の資格を取ることを決意して上京したものの、それと同時に乳がんが発覚する。両親や島民には心配をかけまいと病気のことを告げず、コトーには胸を見られることが嫌だったため、東京の病院で治療する予定だった。しかし彼女の主治医である鳴海慧(なるみけい)を通じてコトーにも病気が伝わり、結果的には鳴海とコトーに手術をしてもらって後遺症もなく回復した。19年後にはコトーと結婚し、妊娠することとなる。

和田一範(わだかずのり/演:筧利夫)

村役場の職員で志木那島診療所の事務員である。写真を撮ることが好きで、常に首からカメラをぶら下げており、コトーを始めとした島民たちの写真を撮っている。医療の知識はなく、初めは手術で血を見るだけで気分が悪くなっていた。しかし徐々に慣れていき、コトーや彩佳の手術をしっかりサポートするようになる。彩佳の代わりに赴任して来た仲依ミナ(なかいミナ)に対して初めは看護師に向いていないと思っていたが、徐々に成長していく彼女を見て好感を持つようになっていき、彼女と結婚した。

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