『月の満ち欠け』とは、佐藤正午による2017年刊行のミステリー・ロマンス小説、およびそれを原作とした実写映画作品。主人公の小山内堅はある日、妻の梢と7歳の娘の瑠璃を交通事故で亡くす。心に穴が開いたまま、堅は実家の農家で新生活をスタート。悲しみを抱えた堅を、三角哲彦という男が訪ねてくる。哲彦はかつて、成人した「瑠璃」が自分に会いに来ようとしていたことを明かす。哲彦が愛した「瑠璃」とは誰なのか。究極の愛が時空を超え、再び2人を繋ぐラブストーリー。
ゆいと小山内瑠璃の固い絆が成した大切な約束
小山内瑠璃は高校生の時、美術部の活動中に哲彦の絵を描く。瑠璃は彼のことをゆいに「前世の恋人なの」と紹介する。ゆいは冗談を言っているのかを思い、その時は笑う。しかし瑠璃は続けて、月は満ちてもまた同じ形に戻り、命も同じだと話し始める。命もまた形を変えて、生まれ変わって再び世界に帰ってくると。そして、人生で何かやり残したことがあり、満たされない思いがある人だけがまた生まれ変わる。そして、瑠璃は自身がもし生まれ変わって、ゆいに生まれ変わりの話をしたらサインを送るから受け取って欲しいと伝える。瑠璃は、ゆいならこの生まれ変わりの話を信じてくれると思い、ゆいの子供になることを選んで緑坂るりとして生まれてきた。ゆいと瑠璃が、心から信頼し合える親友で、お互いの気持ちを理解していたからこそできた、人生に関わる大事な約束。2人の固い絆が証明された場面。
堅と生まれ変わった娘との再会
ゆいは堅に、生まれ変わりの話をするも、堅は信じなかった。自分の娘が、実は誰からの生まれ変わりだということを受け入れられなかった。そしてゆいの娘の緑坂るりも、小山内瑠璃の生まれ変わりだとゆいに言われる。堅はそれも到底信じず、東京へ帰ろうとする。その時、彼を引き留めようと、瑠璃が「パパ!」と呼んだ。「瑠璃はパパとママの子供で本当に幸せだった」と伝える。それは、小学生だった小山内瑠璃が一人で高田馬場に行った時に、瑠璃が堅につたえたこと。堅はそこから、緑坂るりは小山内瑠璃の生まれ変わりだと気付く。やっと会えた喜びから、堅は緑坂るりを抱きしめて再会を喜ぶ。
『月の満ち欠け』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
「ホラー映画」「愛の奇跡の物語」など様々な見解に溢れる作品
本作品の主人公、正木瑠璃は交通事故で亡くなった。しかし愛した三角哲彦に再び会いたいという思いで、2度も生まれ変わる。それに対して「生まれ変わっても、あなたに逢いたいという強い気持ち」があるという見解や「女性の執念があり怖い」という見解もある。評価の高い作品ではあるが、見方によってはホラー映画と捉える人もいるようだ。
ソシオパス化した田中圭
瑠璃が子供を産めない右卵管閉塞という病気と聞いて、自分を愛してくれないのかと彼女を責め立てる竜之介。
玉木竜之介を演じる田中圭は、子供を産めなくなった妻の玉木瑠璃(演:有村架純)に暴力を振るうようになる。初めて会った時は紳士的で、優しい男性だった竜之介。しかし、自分の子供ができないと知ると瑠璃に嫌味を並べて彼女を責め立て、さらに暴力まで振るうようになる。そんな「竜之介が怖い」と話題になった。また、竜之介は小山内瑠璃が、妻の瑠璃が歌っていた英語の歌を歌っていたというだけで妻の面影を感じる。高校生に生まれ変わった瑠璃に自分のダメだったところを直接問いに行く、という行動からも執着心が読み取られて「怖い」という評価が出ている。
生と死の繰り返しを例えた月
作中には人々が月を見上げるシーンが何度も出てくる。小山内家が、瑠璃がまだ小学生だった時に3人で月を見に行ったシーン。
この世に生も死も存在するが、それを絶え間なく繰り返すからこそこの世から生が消えることはない。形を変えてまた元の形にもどってくることを象徴し、作品に出てくるのが月。本作で、堅が東京から八戸に戻ってくる時、清美が運転する車の中で清美が「月が綺麗よ」という。ラストシーンで、綺麗な月を登場させてそれを仰ぎ見る堅。その姿は古来から人々が月は「不死」を象徴するものとして考えられてきたことをイメージづける。単なるロマンス映画ではなく、古来からの考えを取り入れて構成された繊細な作品に仕上がっている。
『月の満ち欠け』の主題歌・挿入歌
ED(エンディング):Ruri「生きていくだけで」
男女混合組バンド「ゲスの極み乙女。」でキーボードを担当する「ちゃんMARI」によって作詞・作曲された。歌っているのは「Ruri」という女性で、ネットでは有村架純かと思われているが明確な情報はない。
挿入歌:John Lenon 「Remember Love」
ジョン・レノンによってプロデュースされ、彼の妻のオノ・ヨーコによって作詞された「愛のかたち」を歌った楽曲。『月の満ち欠け』の中で玉木瑠璃が好きだった曲で、彼の魂が映った小山内瑠璃もこの曲をよく歌っていた。
挿入歌:John Lenon 「Woman」
1981年にジョン・レノンによってリリースされた世の女性に向けて歌った楽曲。子供っぽい男性の心を温かく受け止めてくれてありがとう、という感謝の意味を込めた名曲。日本でも番組のテーマソング、CMの挿入曲に頻繁に使われている。1981年の全英シングルチャートでは最高位第1位、ビルボード・チャート「Billboard Hot 100」で第2位を記録したヒット曲。
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目次 - Contents
- 『月の満ち欠け』の概要
- 『月の満ち欠け』のあらすじ・ストーリー
- 娘の瑠璃を知る三角哲彦との出会い
- 哲彦と瑠璃の出会い
- 小山内瑠璃の交通事故の真相
- 正木瑠璃の愛の信念
- 梢の生まれ変わりと再会する堅
- 『月の満ち欠け』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- 小山内堅(おさない つよし/演:大泉洋)
- 正木瑠璃(まさき るり/演:有村架純)
- 三角哲彦(みすみ あきひこ/演:目黒蓮)
- 小山内梢(おさない こずえ/演:柴咲コウ)
- 正木瑠璃の生まれ変わり
- 小山内瑠璃(おさない るり/演:菊池日菜子(幼少期:阿部久令亜))
- 緑坂るり(みどりさか るり/演:小山紗愛)
- 緑坂ゆい(みどりさか ゆい/演:伊藤沙莉)
- 小山内梢の生まれ変わり
- 荒谷みずき(あらや みずき/演:尾形麻友)
- 小山内堅の周辺人物
- 玉木竜之介(たまき りゅうのすけ/演:田中圭)
- 荒谷清美(あらや きよみ/演:安藤玉恵)
- 小山内和美(おさない かずみ/演:丘みつこ)
- その他
- レコードショップ店員・中西(なかにし/演:寛一郎)
- レコードショップ店長(演:波岡一喜)
- 小沼希美(おぬま のぞみ)
- 『月の満ち欠け』の用語
- 高田馬場
- アキラ君
- 早稲田松竹
- 『月の満ち欠け』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 三角哲彦「僕は待ってます。たとえあなたが来なくても」
- ゆいと小山内瑠璃の固い絆が成した大切な約束
- 堅と生まれ変わった娘との再会
- 『月の満ち欠け』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 「ホラー映画」「愛の奇跡の物語」など様々な見解に溢れる作品
- ソシオパス化した田中圭
- 生と死の繰り返しを例えた月
- 『月の満ち欠け』の主題歌・挿入歌
- ED(エンディング):Ruri「生きていくだけで」
- 挿入歌:John Lenon 「Remember Love」
- 挿入歌:John Lenon 「Woman」
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