リピーテッド』は、2014年に公開された、イギリス、アメリカ、フランス、スウェーデン合作のミステリー映画。イギリスの小説化であるS・J・ワトソンの小説『わたしが眠りにつく前に』を原作としている。主人公を演じたニコール・キッドマンをはじめ、映画界きっての演技派俳優たちが集合したキャスティングも話題となった。過去の事故が原因で、20代前半以降の記憶は24時間しか保てないという障害を患った女性が、少しずつ自分の過去に迫る様子を描く。
『リピーテッド』の概要
『リピーテッド』は、2014年に公開された、イギリス、アメリカ、フランス、スウェーデン合作のミステリー映画。イギリスの小説化であるS・J・ワトソンの小説『わたしが眠りにつく前に』を原作とした作品で、ローワン・ジョフィが脚本と監督を務めた。
主人公のクリスティーン役をニコール・キッドマンが演じ、マーク・ストロング、コリン・ファース、アンヌ=マリー・ダフといった、映画界きっての演技派俳優たちが脇を固める。
本作の主人公は「記憶が24時間しか保てない」という記憶障害を患った女性で、記憶障害の主人公という点では、2000年の映画『メメント』と共通した設定を持っているが、本作は巧妙に時間軸をずらした演出で「どんでん返し」を盛り込んでおり、内容としては全く違うものとなっている。
映画としての評価は二分しているものの、主演のニコール・キッドマンの美しさと演技には絶賛の声が集まった。
過去の事故が原因で、20代前半以降の記憶は24時間しか保てないという障害を患ったクリスティーンは、医師からの電話で自身が前日に撮影したビデオ日記を確認するのが日課となっていた。治療を進めるにつれ、彼女は自分が抱える過去の記憶を垣間見れるようになっていく。誰を信じるべきか迷い、迷った記憶を翌日には失いながらも、彼女は自身を取り巻くおぞましい悪意と向き合っていくことになる。
『リピーテッド』のあらすじ・ストーリー
記憶障害を持つクリスティーン
ある朝、起床したクリスティーンは、鏡で自分の顔を見てショックを受けていた。彼女は脳の損傷により記憶障害があり、20代前半までの記憶しか残っていなかった。それ以降の記憶は1日しかもたなくなっていたのだ。クリスティーンの夫を名乗ったベンという男は、彼女の記憶障害は事故が原因だと説明した。ベンは優しく「今夜は出かけよう」と言い残し、仕事に出かけていく。ベンの出社後、家には電話がかかってきた。クリスティーンの担当医師だと名乗った相手は彼女に「引き出しからカメラを取り出すように」と指示をする。カメラの中には、クリスティーンが自分で撮影した動画が残されていた。
その日から2週間前。クリスティーンはベンに黙って、記憶を取り戻すための治療セラピーを始めていた。電話をくれた担当医のナッシュは、クリスティーンにカメラの動画機能で日記をつけるよう指示していた。それを見ることで、前日に起こったことを把握できるからというものだ。
翌日、クリスティーンは自分の抱える記憶障害の原因が事故ではなく、暴行事件の被害に遭ったことが原因であると知る。彼女は暴行され、虫の息の状態で裸で放置されているところを救助されていたのだ。ナッシュはクリスティーンを発見現場に連れていった。
それをきっかけとして、クリスティーンの脳裏には断片的に過去の出来事と思しき出来事が浮かび上がるようになっていく。
隠された写真
事件現場を訪れた翌日。ナッシュのセラピーを受けていたクリスティーンは、大学時代からの親友である、クレアの存在を断片的に思い出した。彼女はベンにクレアについて尋ねてみたが、彼は「クレアはクリスティーンの記憶障害に耐えられず、関係を断ち音信不通になった」と答える。クレアの話をしてから、ベンはクリスティーンを気遣いながらも苛立つ様子を見せるようになった。クリスティーンはその日カメラに「ベンを信じるな」と記録する。
さらに翌日。前日の動画を見たクリスティーンは、ベンがクレアの写真を隠した形跡を発見する。過去の写真を探すうち、クリスティーンの脳裏には、自分が妊娠していた記憶がフラッシュバックした。息子と交わした「いつもの」会話の内容が断片的に浮かび、そのイメージは、「かつてアダムという息子と暮らしていた」という記憶に結びついていく。
クリスティーンがベンを問い詰めると、ベンからは「アダムは病死した」という答えが返ってきた。クリスティーンがショックを受けないように写真を隠していたという事実と、息子の死を知ったクリスティーンは、その悲しみもカメラに記録する。
クリスティーンは夢で「マイク」という名前、暴行を受けた時の記憶、そして顔に傷のある男など、断片的な映像を見る。クリスティーンはその日のセラピーで、自分を襲った犯人の名は「マイク」なのではないか、とナッシュに相談する。記憶を取り戻したことを喜び、2人は抱き合ったが、クリスティーンはナッシュの名札を目にし、彼の名前がマイクだと気付く。クリスティーンは怯えて逃げ出したが、あっという間に追いつかれてしまった。
離婚の真相
数時間後。クリスティーンは家のソファで目を覚ました。暴行犯がナッシュだった、という悪夢を見ていただけで、ナッシュはクリスティーンを襲った犯人とは無関係だったのだ。ナッシュはベンに関する情報を伝えるため、クリスティーンを病院に呼び出した。
ナッシュの話では、数年前、ベンはクリスティーンを突如、病院からケアセンターに転院させたのだという。ナッシュがそのセンターに連絡すると、クレアからケアセンターに連絡があったこと、ベンとクリスティーンは数年前に離婚が成立していたことを知ったのだという。
事実を知ったクリスティーンはベンを問いただしたが「離婚を後悔している、離れたくない」と真摯に答えるベンにほだされてしまうのであった。
ナッシュから連絡を受けたクレアが、クリスティーンに電話をかけてきた。クレアは行方がわからなくなったクリスティーンを探していたのだ。ベンは嘘をついていたのである。
クリスティーンはクレアと再会し、彼女の事をハッキリと思い出した。クレアは事件が発生した当時、クリスティーンが不倫していたことを教えてくれた。そして事件が起こった後で、ベンもクリスティーンの愛人の存在を知ったのだという。その時、ベンと肉体関係を持ってしまったクレアは、クリスティーンのもとを去ったというのが真相だった。
離婚当時にベンからもらった自分宛の手紙を読んだクリスティーンは、自身とベンの離婚の理由は、母親に覚えてもらえないアダムの気持ちを慮ったものだったと知る。
クリスティーンはカメラにベンへの愛情を記録し、密かに医師の治療を受けていたことをベンに打ち明ける。しかしベンはクリスティーンの浮気を疑い、彼女を殴り倒すと家を出て行ってしまった。
そこに、クレアから電話がかかってきた。クレアは以前ベンに連絡をとったものの、ベンは「クリスティーンとは4年会っていない」と言っていたというのだ。クレアの話と断片的な記憶の中にいるベンは、顔に傷があるはずだった。
しかし、今クリスティーンと暮らしているベンの顔には傷がない。クリスティーンは、自分と暮らしていた彼はベンの偽物だったということを悟る。
ベンの正体
誰かが階段を上がる音を耳にしたクリスティーンの脳裏に、偽物のベンに暴行された記憶がフラッシュバックした。彼女の状態を心配したクレアは「そちらに向かうので、住所がわかるものを探すように」と言って、通話を終える。クリスティーンは真っ暗な家の中で武器を探すが、そこで記憶が途切れてしまう。
次の日の朝。前日の記憶がないクリスティーンは、鏡を見て自分の顔に残った痣にショックを受けていた。実はこれが、物語冒頭のシーンだったのだ。仕事に行く夫を送り出し、ナッシュ医師から電話を受けるクリスティーン。カメラには前々日、ベンへの愛を語る自身の様子が記録されているのに、顔に殴られた跡がある理由がわからない。その時、クレアから電話がかかってきたが、彼女はベンとの電話中で出られなかった。
ナッシュを脅したベンは、クリスティーンをあるホテルに連れていく。そこはクリスティーンが暴行を受けた現場だった。ベンの正体は、クリスティーンの不倫相手のマイクだったのだ。マイクは不倫を夫に話せずにいたクリスティーンを殺そうと目論み、そして今、改めて殺害を実行しようとしていた。この時のマイクの言葉で、クリスティーンは息子のアダムが生きていることを知る。クリスティーンは死にものぐるいでマイクに反撃し、非常ベルを押して逃げ出した。
救助され、救急車に乗ったクリスティーンはカメラを起動し「もう2度と、息子が死んでいるなんて話を信じたりしない」と記録する。マイクは通報を受けて駆け付けた警察官に逮捕された。そのまま入院したクリスティーンの元には、ナッシュと本物のベンが見舞いに訪れていた。しかし、クリスティーンは昨夜の事件を忘れてしまっている。
しかし、ベンはその場にアダムを連れてきていた。クリスティーンは、アダムとの「いつもの会話」の通りの言葉をかける。
彼女はアダムの事を思い出していて、愛する息子をきつく抱きしめるのだった。
『リピーテッド』の登場人物・キャラクター
クリスティーン(演:ニコール・キッドマン)
日本語吹き替え:田中敦子
本作の主人公。20代前半以降の記憶が24時間しか保てないという記憶障害を患っている。担当医師のナッシュからの勧めで、毎日動画にその日の出来事を吹き込んでいる。事故の後遺症で記憶障害を患ったものと思われていたが、当時の不倫相手のマイクからの暴行を受け、命に関わるほどの重傷を負った結果で発症したことが発覚する。
ベン(演:コリン・ファース)
画像右側がベン
日本語吹き替え:堀内賢雄
クリスティーンの夫を名乗る男。記憶を保てない彼女を献身的に支えるが、嘘が多く、意に沿わない行動を取られると時折暴力的な本性を垣間見せる。
正体は離婚した夫を騙り、彼女の殺害を目論んでいる不倫相手のマイク。クリスティーンが記憶障害に陥った原因の暴行事件の犯人でもある。
ナッシュ(演:マーク・ストロング)
日本語吹き替え:谷昌樹
クリスティーンの担当医。記憶を取り戻すためのセラピー治療の一環として、彼女に毎日動画でその日の出来事を記録するよう勧めた人物。
クレア(演:アンヌ=マリー・ダフ)
日本語吹き替え:小林さとみ
クリスティーンの大学時代からの親友。クリスティーンが暴行被害で死の淵を彷徨っていた際、彼女の不倫を知って落ち込むベンと肉体関係を持ってしまったことが気まずくなって距離を置いていた。その後行方がわからなくなったクリスティーンの身を案じ、彼女を探し続けていたものの、ベンを騙るマイクの妨害で居場所を掴むことができずにいた。
アダム(演:ディーン=チャールズ・チャップマン)
目次 - Contents
- 『リピーテッド』の概要
- 『リピーテッド』のあらすじ・ストーリー
- 記憶障害を持つクリスティーン
- 隠された写真
- 離婚の真相
- ベンの正体
- 『リピーテッド』の登場人物・キャラクター
- クリスティーン(演:ニコール・キッドマン)
- ベン(演:コリン・ファース)
- ナッシュ(演:マーク・ストロング)
- クレア(演:アンヌ=マリー・ダフ)
- アダム(演:ディーン=チャールズ・チャップマン)
- 『リピーテッド』の用語
- 記憶障害
- ビデオ
- 『リピーテッド』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 時間軸の操作で仕組まれた巧妙なトリック
- 『リピーテッド』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 美しさと演技で高い評価を獲得したニコール・キッドマン
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