
『マーズ・アタック!』は、1996年に公開されたアメリカの映画。『チャーリーとチョコレート工場』などで知られるティム・バートン監督作品で、要所にB級映画へのオマージュがちりばめられたSFコメディ作品となっている。火星人の襲来で大パニックに陥った地球人たちをコミカルに描く。大統領と詐欺師の二役を演じたジャック・ニコルソンをはじめ、出演者たちが豪華な顔ぶれであることも話題となった。
『マーズ・アタック!』(Mars Attacks!)の概要
『マーズ・アタック!』(Mars Attacks!)は、1996年に公開されたアメリカのSFコメディ映画。1962年にアメリカのトップス社から発売されたトレーディングカード「マーズ・アタック」(en)を原案とし、『チャーリーとチョコレート工場』などで広く知られるティム・バートンが映画化。バートンらしい、ブラックユーモアと独特のビジュアルセンスが満載の、皮肉と風刺に富んだ作風がカルト的な人気を博した。
要所に1956年の映画『世紀の謎 空飛ぶ円盤地球を襲撃す』などのB級映画へのオマージュがちりばめられており、バートンが熱烈なゴジラファンであることから、本作の劇中では1989年の映画『ゴジラvsビオランテ』のシーンも流用されている。
火星人の襲来に大わらわとなる地球人たちをコミカルに描いており、なぜか脳が剥き出しの火星人のキャラクターデザインや、大統領と詐欺師の二役を演じたジャック・ニコルソンなどの豪華俳優陣の出演でも話題を呼んだ。
『マーズ・アタック!』(Mars Attacks!)のあらすじ・ストーリー

歓迎会。このあと地球は阿鼻叫喚の地獄絵図と化してしまう。
火星人の襲来
ある日、地球には謎のUFO群が飛来していた。テレビをジャックして地球にコンタクトを取ってきた「ミドリ人」と名乗る火星人は、むき出しの巨大な脳に大きな目、骸骨のような口元の奇怪な緑色の生物。見栄っ張りで有名なアメリカ大統領デイルは、火星人との「友好的なファーストコンタクト」を試みようと、砂漠地帯で歓迎のセレモニーを企画する。こうして決まった人類史上初の異星人とのコンタクトに世界中が胸を躍らせた。
着陸した火星人大使と地球側の代表者の初対面は無事に行われたかに見えた。しかし、そのセレモニーの最中、観衆の一人が平和のシンボルのつもりで放した鳩が飛んできたことから状況は激変する。着陸した火星人たちは、通訳機を通した「平和だ」というメッセージを繰り返しながら、レーザー銃で地球人を次々と皆殺しにしてしまう。
大統領は混乱しながらも、これは誤解だとして再度の接触を試みる。
やりたい放題の火星人
火星人たちは国連会議にも招かれるが、ここでも彼らは地球人をからかうかのように「平和だ」と連呼して虐殺を繰り広げた。地球のいたるところで火星人による無差別攻撃が始まり、世界は瞬く間にパニックと混乱に陥ってしまう。
ワシントンD.C.のホワイトハウス、ラスベガスのカジノ、ロンドン、パリ、インドと、世界中のあらゆる場所で、火星人の恐ろしい、そしてどこかユーモラスな攻撃が展開される。彼らは自由の女神を倒し、エッフェル塔を破壊し、核兵器で応戦しようとする軍隊も全く歯が立たない。地球は成すすべもなく、彼らに蹂躙されていく。
見つけた突破口
人類は必死に逃げ惑い、時には懸命な抵抗を試みるが、火星人の圧倒的な戦力と、彼らの残酷かつコミカルな攻撃の前には無力だった。大統領はなんとか火星人と対話をしようと努力を続けるが、その試みも虚しく、彼らはただ破壊と殺戮を楽しむかのように地球を征服していく。
刻一刻と地球滅亡の危機が迫る中、意外な方法で火星人を倒せるかもしれない「あるもの」が発見される。それは、カントリーミュージックやウェスタンミュージックと呼ばれる音楽だった。火星人はこの音楽の音波を聞くと、頭が破裂してしまうという思わぬ弱点を抱えていたのだ。突破口を見つけた人類は、カントリー音楽を大音量で流すことで、次々と火星人を撃退していく。
こうして地球は火星人の脅威から解放されるが、その過程では多くの犠牲を払い、文明は大きな打撃を受けたままであった。
『マーズ・アタック!』(Mars Attacks!)の登場人物・キャラクター
大統領一家
ジェームズ・デイル大統領(演:ジャック・ニコルソン)

日本語吹き替え:壤晴彦(ソフト版)/瑳川哲朗(テレビ東京版)
アメリカの大統領。リンカーンを尊敬しているが、国民にアピールすることしか考えていない見栄っ張り。火星人のことを国民に発表する際、報道官に「リンカーンの威厳とファミリードラマを足した感動のスピーチ文を書いて」と依頼する。実際報道された番組では優雅に足を組み、暖炉を背景に滑稽とも思える威厳を醸し出していた。最後の交渉の場で、火星人のリーダーに「何故殺し合う」ともっともらしく説教するものの、殺害される。
マーシャ・デイル大統領夫人(演:グレン・クローズ)
日本語吹き替え:吉田理保子(ソフト版)/藤田淑子(テレビ東京版)
ジェームズの妻。現実的な視点を持った女性だが、時折ヒステリックな面をのぞかせる。お世辞にもきれいな言葉を使うとは言い難く、ホワイトハウス内部の改装に力を入れている場面では「かつての大統領夫人の趣味が悪い」とまでのたまっていた。火星人には当初から不信感を抱いており、彼らが電波ジャックをした映像を見て「うちに入れたくない」「料理を出す時いいお皿は使わない」と言い放っている。火星人が最初の攻撃をした際には「ぶっ殺せ」と過激な発言もしていた。最終的には火星人の襲撃を受け、レーガン夫人のシャンデリアの下敷きになって死亡した。
タフィ・デイル(演:ナタリー・ポートマン)

出典: prismmm.com
日本語吹き替え:小島幸子(ソフト版)/根谷美智子(テレビ東京版)
ジェームズ、マーシャ夫妻の一人娘。両親よりはマシとはいえ、少々不良っぽい面をのぞかせ、いつもゴロゴロして過ごしている。特別番組で火星人を「知性ある生命体」と言った父に、画面越しながら「地球には知性のある生き物なんていないものね」などと毒づいていた。
政府関係者の中では唯一最後まで生存し、リッチーとおばあちゃんを表彰した。
マスコミ関係者
ナタリー・レイク(演:サラ・ジェシカ・パーカー)

ポピーと頭を交換されてしまったナタリー
日本語吹き替え:雨蘭咲木子(ソフト版)/井上喜久子(テレビ東京版)
ファッション番組の司会を務めていた女性。諸事情で科学者であるドナルド・ケスラー教授と火星人についてのトークをすることになる。恋人と同棲しているが、ケスラー教授に好意を抱いている様子。飼い犬のポピーを溺愛している。火星人が降り立った時にその場にいたものの、何故か宇宙船に連れ込まれてポピーと頭を挿げ替えられた。最終的には円盤と共に爆死し、ある意味火星人と心中した形となっている。
目次 - Contents
- 『マーズ・アタック!』(Mars Attacks!)の概要
- 『マーズ・アタック!』(Mars Attacks!)のあらすじ・ストーリー
- 火星人の襲来
- やりたい放題の火星人
- 見つけた突破口
- 『マーズ・アタック!』(Mars Attacks!)の登場人物・キャラクター
- 大統領一家
- ジェームズ・デイル大統領(演:ジャック・ニコルソン)
- マーシャ・デイル大統領夫人(演:グレン・クローズ)
- タフィ・デイル(演:ナタリー・ポートマン)
- マスコミ関係者
- ナタリー・レイク(演:サラ・ジェシカ・パーカー)
- ジェイソン・ストーン(演:マイケル・J・フォックス)
- ドナルド・ケスラー教授(演:ピアース・ブロスナン)
- トム・ジョーンズ(演:トム・ジョーンズ)
- 局プロデューサー(演:ウィリー・ガーソン)
- アメリカ政府関係者
- ジェリー・ロス広報官(演:マーティン・ショート)
- デッカー将軍(演:ロッド・スタイガー)
- ケイシー将軍(演:ポール・ウィンフィールド)
- 大統領護衛官ミッチ(演:ブライアン・ヘイリー)
- ノリス一家
- リッチー・ノリス(演:ルーカス・ハース)
- フローレンス・ノリス(演:シルヴィア・シドニー)
- ビリー・グレン・ノリス(演:ジャック・ブラック)
- リッチーの父(演:ジョー・ドン・ベイカー)
- リッチーの母(演:オーラン・ジョーンズ)
- シャローナ(演:クリスティナ・アップルゲイト)
- ラスベガスの人々
- アート・ランド(演:ジャック・ニコルソン)
- バーバラ・ランド(演:アネット・ベニング)
- バイロン・ウィリアムス(演:ジム・ブラウン)
- ギャンブラー(演:ダニー・デビート)
- ルイーズ・ウィリアムス(演:パム・グリア)
- その他の人物
- 火星ガール(演:リサ・マリー)
- フランス大統領(演:バーベット・シュローダー )
- ツィーグラー教授(演:イエジー・スコリモフスキー)
- セドリック(演:レイ・ジェイ)
- 投資家(演:ランス・ハワード)
- デコレイター(演:ジョゼフ・メイハー)
- 『マーズ・アタック!』(Mars Attacks!)の用語
- 火星人
- カントリーミュージック
- 『マーズ・アタック!』(Mars Attacks!)の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 生首同士で会話するナタリーとケスラー教授
- 裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 爆発したホテルはセットじゃなく本物
- DVDの言語選択画面にある謎の言語「火星語」
- 『マーズ・アタック!』(Mars Attacks!)の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):「Mars Attacks! - Main Titles」
- ED(エンディング):トム・ジョーンズ「よくあることさ」