借りぐらしのアリエッティ(ジブリ映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『借りぐらしのアリエッティ』とはメアリー・ノートン著書の『床下の小人たち』を原作として、米林宏昌が監督のスタジオジブリ制作アニメーション映画である。最終興行収入は92億5000万円で2011年に日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞。とても美しい映像は劇中の音楽とよく合い、見ている人を夢中にさせた。人間に見られてはいけない小人が、人間の家で物を借りながらどのように隠れて暮らすのか、そして短い間に築かれていく小人であるアリエッティと少年の翔との友情と絆を描く。

『借りぐらしのアリエッティ』の概要

『借りぐらしのアリエッティ』とは小林宏昌が監督を務めるスタジオジブリ制作のアニメーション映画で、2010年7月17日に公開された。全国の447スクリーンで公開され、最終興行収入は92億5000万円で、2010年度では第1位となった。また北米では、1522館で一斉に公開され、最終興行収入は約1900万ドル(日本円で約19億7900万円)となり、ジブリ作品としては最高記録となった。そして2011年には日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞した。とてもぬくもりがあり、人間の世界を忠実に再現した映像はとても美しく、オープニングをはじめとする劇中の音楽と映像がよく合い、見ている人を夢中にさせた。
小人の少女アリエッティは、「人間に見られてはいけない」という掟の下、人間の物を借りながら父親のポッドと母親のホミリーの家族3人でこっそりと暮らしていた。人間に見つかると、追い出されたり捕まえられてひどい目に遭わされる為である。そんなある日の夜、アリエッティは初めての借りに出掛けた。そこで療養の為に引っ越してきたばかりの少年翔に姿を見られ、今まで小人たちが大切に守ってきた掟を破ってしまうことになる。しかし、思っていた人間像とはほど遠い翔の優しさに触れていくうちに、アリエッティは少しずつ翔に心を通わせていく。一方で翔は、手術を直前に控え悲観的になっていた。しかし、人間の人口とは違って数少ない小人の一人であるアリエッティが必死で生き抜こうとしている姿を見て、生きる勇気をもらうことになる。生きている環境が違いすぎる二人が、お互いに影響し合い助け合うことによって築かれた友情と絆を描くアニメーション映画である。

『借りぐらしのアリエッティ』のあらすじ・ストーリー

初めての借り

「借り」の準備をするアリエッティ(右)、父親のポッド(中心)、母親のホミリー(左)

14歳の小人の少女アリエッティは、父親のポッドと母親のホミリーと家族3人で人間の住む家で借り暮らしをしていた。「人間に見られてはいけない」という掟を胸に、ある日の夜、ポッドと一緒にアリエッティは初めての借りに出かけた。初めての借りの目的は、角砂糖とティッシュだったが、角砂糖を手に入れた後にティッシュを手に入れようとした時、1週間後に心臓の手術を控えた少年、翔に姿を見られてしまう。その際にアリエッティは角砂糖を床に落としてしまい、拾う暇もなくアリエッティは無収穫で帰らざるを得なくなる。

小人の存在

次の日アリエッティの家の近くに、昨晩アリエッティが落とした角砂糖が「おとしもの」と書かれている紙と一緒に置いてあった。それを見たポッドは、「絶対に近づいてはいけないよ」とアリエッティに忠告したが、アリエッティは家族を守りたい一心で翔に会いに行ってしまう。そんな時、網戸越しに翔と会話しているアリエッティを見たカラスが、アリエッティ目掛けて突っ込んでくる。運よく避けれたアリエッティだが、カラスが網戸に挟まって大騒動になる。その騒動を聞き、助けに来た家政婦のハルは、翔の行動を疑うようになっていく。

引っ越し先の検討

人間との関係が近くなっていくことを感じたポッドは、引越し先を見つけに出かけていた。そこで、一人で野生的に暮らす小人のスピラーと出会う。スピラーから、他にも小人たちが数人いるということを聞き、ポッドとホミリーは引っ越しすることを決心する。そんなある日、突然大きな揺れが起こり、居間に残されたホミリーを助けにアリエッティとポッドがキッチンへ行ってみると、煌びやかな食器や鍋やコンロなど全てが新しくなっていた。それは、翔の曽祖父がこの家に住んでいる小人のために本物の家具職人たちに作らせたドールハウスの一部だった。翔は、小人たちのことを考え善意でドールハウスを置いたのだが、それが裏目に出てしまい、3人は早く引っ越しを進めなければという思いが一層増していくのだった。

アリエッティから翔へ引っ越しの報告

引っ越しが決まり、アリエッティは庭にいる翔に別れを告げに行く。自分とは正反対で家族とも交流でき活発に動けるアリエッティに嫉妬と羨ましさを感じていた翔は、人間の人口と小人を比較し「君たちは滅びゆく種族なんだよ」と残酷なことをアリエッティに伝える。アリエッティは「そんなことない」と頑なに否定した。それを受け翔は「死ぬのは僕の方だ」と病気のことをアリエッティに伝えた。

ホミリーの誘拐

翔の様子を見ていたハルは、翔が居ないうちに小人の住居を発見し、居間にいたホミリーを捕らえ瓶の中に閉じ込める。ホミリーの叫び声を聞いたアリエッティは、急いで家に帰ったがホミリーの姿は無かった。アリエッティは翔の元へ向かい、状況を伝え助けを求めた。翔は、ホミリーを一緒に探すことを提案し、台所からホミリーを無事助けることに成功する。

引っ越しとお別れ

その夜にアリエッティたち3人は、スピラーとの待ち合わせ場所である川へと向かった。空が明るくなりかけた時、翔は猫のニーヤからアリエッティが引っ越したことを知り、急いで川へ向かった翔はアリエッティの姿を探す。その頃アリエッティは、川を下るヤカンの中に荷物を全て入れ終わり、翔の姿を探していた。翔の姿を見つけたアリエッティは、最後の別れを伝えに翔の元へ行く。そして、翔は餞別として角砂糖をアリエッティはいつも身に付けていた洗濯バサミでできた髪留めを渡し、アリエッティは涙を流しながら翔の元を去り、川を下っていった。

『借りぐらしのアリエッティ』の登場人物・キャラクター

小人

アリエッティ

声:志田未来
本作の主人公であり、人間が住んでいる家の床下に両親と3人で隠れて暮らしている身長10cmの14歳の少女。危険を顧みない逞しさがあり、何事にも明るく深く考えすぎない性格である。初めての借りで人間に見られてはいけないという掟を破ってしまい、人間の少年翔に姿を見られてしまう。最初は翔に対して警戒をしていたが、翔の優しい性格に気づき段々と心を通わせていく。翔との別れの時はいつも身に付けていた洗濯バサミの髪留めを翔に手渡し、手術が無事に終わるようにと願う。

ポッド

声:三浦友和
主人公であるアリエッティの父親。昔からずっと借りを続けており、借りの達人である。大きい仕事道具を背負い床上の人間たちの暮らす世界に行き、借りをして家族の生活を支えている。基本無表情で言葉は少ないが、数少ない言葉からアリエッティ支えたい、守りたいという優しさが伝わってくる。

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