ラーゲリより愛を込めて(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『ラーゲリより愛を込めて』とは2022年12月9日に公開された日本の映画。主演は二宮和也。原作は辺見じゅんのノンフィクション小説『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』。
第二次世界大戦後のシベリアの強制収容所(ラーゲリ)で、日本人捕虜の1人である山本幡男(やまもと はたお)が過酷な環境の中でも生きる希望を捨てず、家族の元へ帰れると信じ、仲間らを励まし続ける姿を描く。
希望を捨てない幡男の姿、捕虜仲間が幡男の遺書を家族に届けるため必死になる姿は見所だ。
クロ
ラーゲリでの労働作業中に現れた黒い毛の犬。幡男がラーゲリに連れ帰り、新谷らが食べ物を分け与えて世話をするようになる。
捕虜たちが草野球をした時には球拾いをするなど、捕虜たちの癒しの存在になっていく。
ラストシーンで解放された日本人らが帰国する船に氷の上を走って追いつき、共に帰国をする。
『ラーゲリより愛を込めて』の用語
ラーゲリ
強制収容所のこと。戦後シベリアなどのラーゲリに抑留された日本人捕虜は50〜60万人ともいわれている。
食料も乏しく、衛生環境も劣悪。娯楽も許されなかった。脱走を企てようとすれば監視のソ連兵に射殺されるような場所であった。
ダモイ
ロシア語で「家へ」「祖国へ」の意。帰国を意味しており、シベリア抑留者が日本に持ち帰った言葉である。
営倉(えいそう)
兵士の懲罰房。人1人がようやく入れる程度の棺桶のような狭小独房。ほぼ動くこともできず、沢山の南京虫に噛まれ、痒みにも耐えなければならなかった。
幡男はソ連兵に度々反論したため、その度営倉送りにされていた。
黒パン
ラーゲリで捕虜たちが主食としていたパン。ライ麦で作られており、固めの食感で酸味の効いた味わいがある。
パンを切り分ける際、端の部分は食べ応えがあるので常に取り合いだった。また少しでも厚さが違うと喧嘩になることも珍しくなかった。
『ラーゲリより愛を込めて』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
幡男「生きる希望を捨ててはいけません。帰国(ダモイ)の日は必ずやってきます」
ラーゲリの過酷な環境下で捕虜たちは希望や生きる意味を失っていた。しかし幡男だけは希望を捨てず、ダモイできる日を信じて仲間を励まし続けていた。その時に幡男はいつも「生きる希望を捨ててはいけません。帰国(ダモイ)の日は必ずやってきます」と声をかけていた。
言い回しは違うながらも劇中で何度も登場し、仲間たちを少しずつ変えていく重要な言葉である。
松田「ただ生きるだけじゃだめなんだ。ただ生きてるだけじゃ。僕は山本さんのように生きるんだ」
倒れた幡男の治療の要求がなかなか通らない中、松田が覚悟を決め、座り込みをしてソ連兵に要求を通そうとするシーン。その時に「ただ生きているだけじゃだめなんだ。ただ生きてるだけじゃ。僕は山本さんのように生きるんだ」と呟く。
松田は戦時中に仲間が敵陣へ突撃する中、恐怖で逃げ出した自分を「卑怯者」と思い込んでいた。心を閉ざす松田は幡男が仲間を励まし続ける姿を見て、意味を持って生きようと再び前を向くことができたのだ。
絶望しか感じられないような環境下でも、希望や目的を持って生きようとする松田の姿に心を打たれるシーンである。
幡男「書いたものは記憶に残っているだろう。記憶に残っていればそれでいいんだ。頭の中で考えたことは誰にも奪えないからね」
幡男は楽しみのない収容所での娯楽として度々句会を開き、捕虜たちと俳句を詠んでいたが書いたものはすぐにソ連兵に没収されてしまっていた。ソ連兵に怒りを滲ませる仲間に幡男が「書いたものは記憶に残っているだろう。記憶に残っていればそれでいいんだ。頭の中で考えたことは誰にも奪えないからね」と宥める。
この言葉が「遺書を記憶して持ち帰る」という計画の元となっており、物語のキーワードとなっている。
『ラーゲリより愛を込めて』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
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目次 - Contents
- 『ラーゲリより愛を込めて』の概要
- 『ラーゲリより愛を込めて』のあらすじ・ストーリー
- 結婚式にて
- 極寒の強制収容所
- 閉ざされる帰国の道
- 幡男を襲った病魔
- 届けられた遺書
- 『ラーゲリより愛を込めて』の登場人物・キャラクター
- 主人公
- 山本幡男(やまもと はたお/演:二宮和也)
- 山本家
- 山本モジミ(やまもと もじみ/演:北川景子)
- 山本顕一(やまもと けんいち/演:城戸俊嶺/奥智哉/寺尾聰)
- 山本厚生(やまもと こうせい /演:塚尾桜雅)
- 山本誠之(やまもと せいし/演:阿久津将真/佐藤優太郎)
- 山本はるか(やまもと はるか/演:井上楓/尾崎丹子)
- 山本マサト(やまもと まさと/演:市毛良枝)
- 由美(ゆみ/演:田辺桃子)
- 幡男と共に収容された捕虜たち
- 松田研三(まつだ けんぞう/演:松坂桃李)
- 相沢光男(あいざわ みつお/演:桐谷健太)
- 新谷健雄(しんたに たけお/演:中島健人)
- 原幸彦(はら ゆきひこ/演:安田顕)
- 西野浩(にしの ひろし/演:佐久本宝)
- 後藤実(ごとう みのる/演:山時聡真)
- 佐々木(ささき/演:三浦誠己)
- 鈴木信二(すずき しんじ/演:奥野瑛太)
- 高橋良太(たかはし りょうた/演:金井勇太)
- 竹下勝(たけした まさる/演:中島歩)
- その他の人々
- 坂口(さかぐち/演:渡辺真起子)
- 静子(しずこ/演:朝加真由美)
- 片山(かたやま/演:山中崇)
- 玉田船長(たまだせんちょう/演:酒向芳)
- クロ
- 『ラーゲリより愛を込めて』の用語
- ラーゲリ
- ダモイ
- 営倉(えいそう)
- 黒パン
- 『ラーゲリより愛を込めて』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 幡男「生きる希望を捨ててはいけません。帰国(ダモイ)の日は必ずやってきます」
- 松田「ただ生きるだけじゃだめなんだ。ただ生きてるだけじゃ。僕は山本さんのように生きるんだ」
- 幡男「書いたものは記憶に残っているだろう。記憶に残っていればそれでいいんだ。頭の中で考えたことは誰にも奪えないからね」
- 『ラーゲリより愛を込めて』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 犬のクロのエピソードは実話
- 瀬々監督の減量指令
- 中島健人の気合い
- 『ラーゲリより愛を込めて』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:Mrs. GREEN APPLE「Soranji」
- 挿入歌:アメリカ民謡「いとしのクレメンタイン」