プラチナデータ(小説・映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『プラチナデータ』とは、東野圭吾によるミステリー小説をもとに、2013年に日本で公開された映画作品である。最新のDNA捜査によって検挙率100%、冤罪率0%を目指す近未来の日本を舞台とした作品だ。当初犯人を追う立場だった警察庁特殊捜査機関の天才科学者が突如犯人として追われる立場となり、それをベテラン刑事が追うストーリーとなっている。派手な逃走アクションでは日本映画にはあまり見ない迫力あるシーンも満載だ。ミステリアスな人物達の本当の姿が暴かれていくところも魅力のひとつである。

『プラチナデータ』の概要

『プラチナデータ』とは、東野圭吾によるミステリー小説をもとに、2013年に日本で公開された映画作品である。日本では、遺伝子によって犯人を特定し事件を解決するシステムが推進され、プラチナデータと呼ばれる国民全員のDNAデータを国が管理することで冤罪ゼロの世の中を目指していた。そのシステムの開発者が神楽龍平(かぐら りゅうへい)だった。しかし、ベテラン刑事である浅間玲司(あさま れいじ)はそのシステムについて釈然としない思いを抱えていた。
そんな頃ある殺人事件が起こり、その容疑者として神楽の名前が上がった。さらにシステムによるDNA解析でも神楽が犯人だと特定されたのだ。そしてここから神楽の逃亡劇が始まる。
この映画は東野圭吾原作の小説『プラチナデータ』を元とした近未来ミステリー映画だ。主演は二宮和也が務め、豊川悦司との共演作となった。監督は大友啓史、脚本は浜田秀哉が務め、2013年3月16日に映画が公開された。初日2日間で興収4億49万6,000円、動員30万5,743人を記録し、映画観客動員ランキングで初登場第2位となった。
さらに2013年5月2日から香港で、2013年5月3日からは台湾で、その後シンガポールでも上映され話題となった作品でもある。

『プラチナデータ』のあらすじ・ストーリー

遺伝子解析で神楽が犯人だと解析される

舞台は近未来の日本。遺伝子によって犯人を特定し事件を解決するDNA捜査システムが完成していた。このシステムを開発したのが神楽龍平(かぐら りゅうへい)だった。神楽は警察庁の特殊解析研究所でDNA捜査システムを使った犯人逮捕に力を注いでいた。しかし、ベテラン刑事である浅間玲司(あさま れいじ)はこのシステムについて釈然としない思いを抱えていた。

実際にこのシステムを使い真犯人を検挙することができた。しかし解析するために用いた国民の遺伝子情報は違法に入手したものだと浅間は神楽に指摘する。この指摘に対し神楽は、もうすぐ全ての国民の遺伝子情報を国が管理することになると言う。さらに近々国民のDNAを国が管理するための法案が通ると言うのだ。この神楽の言葉に浅間は驚き何も言えなかった。

そのころ、新世紀大学病院でプログラマーの蓼科早樹(たてしな さき)とその兄の蓼科耕作(たてしな こうさく)が何者かに殺害されるという事件が起きた。蓼科兄妹は精神的な病気を持ちながらも天才的なプログラミング能力を持っており、DNA捜査システムもこの兄妹がプログラミングしたものだった。神楽は蓼科兄妹と協力をしてDNA捜査システムを開発した。そしてその打ち合わせのために週に何度か兄妹に会っていたのだ。

警察が監視カメラを確認したことで、蓼科兄妹が殺害される前にも神楽はこの兄妹に会っていたことがわかった。そのことで神楽は浅間に問い詰められ、神楽は蓼科耕作に呼び出されて会いに行ったと話す。しかし監視カメラによる捜査の結果、蓼科兄妹に最後に会った人物は神楽だと判明した。そして蓼科兄妹殺害の重要参考人として神楽の名前が上がったのだ。

浅間は神楽に事情を聞くが、神楽は兄妹の爪に残っていた皮膚片から遺伝子解析で犯人がわかるだろうと自信満々に浅間に言った。

そして神楽が遺伝子解析をしてみると、犯人として自分自身が特定されてしまう。驚いた神楽はその場から逃走した。

モーグルを見つけ出す

警察の政治的責任者である志賀孝志(しが たかし)は監視システムを駆使し神楽の追跡をはじめた。そして神楽は警察に追い詰められる。その一方で神楽の同僚である白鳥里沙(しらとり りさ)が神楽の逃亡を手助けし、間一髪で神楽は警察から逃れることができた。

白鳥は神楽の同僚であったが、実はアメリカがDNA捜査システムの技術を手に入れるために派遣されたのだった。白鳥は神楽に対し、蓼科兄妹が秘密裏に開発していた真のプラチナデータを持つ「モーグル」というプログラムを見つけ出してほしいと言う。神楽は真実を突き止めるため逃亡しながらモーグルを探すことを決めた。

神楽は防犯カメラを気にしながら逃亡を続けるが、浅間と多くの警察官が監視システムを使って神楽の居場所を突き止める。そして浅間に追い詰められるが、このときも「今は捕まるわけにはいかない」と間一髪のところで逃れることができた。

浅間は他の警察官とは別に単独で捜査を開始した。神楽がもし犯人であれば犯人のDNAを解析するはずがないと考え、神楽が犯人ではないと思っていたのだ。

浅間は神楽の主治医である新世紀大学病院の水上利江子(みずかみ りえこ)教授の元を訪れた。そして水上から神楽にはもう一つの人格があることを知らされる。

神楽の父親は陶芸家で、神楽が少年時代に自殺したという。当時、神楽も父親のことを尊敬していたが、父親が作ったものではない陶芸作品に対し神楽が「今までので一番いい」と言ってしまう。そして陶芸家として行き詰まった父親は、自宅の工房で首吊り自殺をしたのだ。このときの第一発見者が神楽だった。この自殺が原因で、神楽にはリュウというもう一つの人格が現れたというのだ。

浅間はさらに独自捜査を行い、リュウが蓼科早樹に恋をしていたことを知る。

その頃、白鳥は遺伝子情報が不明と解析された犯人の検体を研究所から持ち出していた。しかしその帰りに何者かに殺害されてしまう。白鳥の殺害現場から、浅間はこの検体の遺伝子情報を持つ人物が犯人だと確信する。

浅間は真相を明らかにするため神楽と協力することを決めた。そして浅間は神楽に会い、神楽に協力を求める。神楽は浅間に協力することを決め、ふたりは協力してモーグルを探し始めた。

モーグルは蓼科早樹が隠したと考えられたが、そこで浅間はリュウのアトリエが隠し場所だと考える。そしてリュウのアトリエにあった蓼科早樹の肖像画をみて、隠し場所は肖像画だと疑った。神楽の話しでは蓼科早樹の肖像画にはアザがあったと言うが、そのアザが消されていた。浅間は肖像画のアザの部分を念入りに探すと、絵の裏にモーグルが隠されていたのだ。

そして、ふたりの協力によりモーグルを見つけ出すことに成功したのだった。

モーグルは犯人を識別し除外するシステム

浅間が見つけ出したモーグルは、神楽によればDND捜査システムで解析しなければ中身がわからないという。DNA操作システムがある研究室に逃亡中の神楽は立ち入ることができないため、浅間が研究室に向かった。浅間は研究室のDNA操作システムにたどり着くと、そこにいた研究員に拳銃を向け、モーグルをDNA捜査システムにかけるよう指示した。そしてモーグルをDNA捜査システムで解析することに成功する。

この解析により、真のプラチナデータとは官僚、政治家、警察上層部たち本人とその家族の遺伝子情報であることが判明する。もしこの特権階級の者が何らかの事件の犯人だった場合「NOT FOUND」として解析されるように設定されているのだ。モーグルとは特権階級の者が犯罪者となっても特定されないシステムだったのだ。

この事実を知り、神楽は大きなショックを受ける。これまで自分は国民のためだと考えシステム開発にすべてを注いできたが、実は国民のためのシステムではなかったことが判明したからだ。

さらに神楽と浅間はモーグルを使い、蓼科兄妹殺害の真犯人のDNA解析を行った。そしてその解析結果、犯人は水上教授だと出たのだ。

浅間が止める中、神楽は水上教授の元へと向かった。浅間も水上教授の元へと急ぐが、浅間が到着したときには神楽は水上教授を殺害したあとだった。水上教授は大学の自室で血を流して死んでいた。そして神楽は呆然とした表情で部屋から出ていき、その場で警察に逮捕される。

結末

浅間が神楽を事情聴取する。その結果、水上教授を殺したのはリュウであることが分かった。
そして水島教授の診察記録から、実はリュウが元の人格であり、父親自殺のショックで出現した人格が神楽であることもわかった。

浅間はリュウに、水上教授とどんなやりとりがあったのかを聞いた。

リュウは蓼科兄妹を殺した水上教授を問い詰めたという。水上教授は究極の遺伝子情報主義者で、不完全な遺伝子情報を持つ人間を抹殺するという思想に至り殺人を犯したというのだ。リュウは、水上教授の危険な思想を止めようとした。しかし水上教授は自分の考えを変えることがなく、水上教授を止めるために銃で撃ち殺したのだった。

リュウは蓼科早樹と過ごしたときを思い出していた。蓼科早樹にとってリュウは唯一心を許すことができる相手だったのだ。

リュウが神楽の人格に戻ると、浅間はすべてを神楽に話した。神楽は、実はリュウが元の人格で、自分があとに現れた人格なのだと知った。遺伝子がその人の全てだと考えていた神楽だったが、人の気持ちは遺伝子情報では分からないということが分かったと浅間に言い残す。

神楽はリュウに手紙を書き浅間に渡した。そしてその手紙を浅間がリュウに渡し、リュウが手紙を読んでこの映画の結末となる。

『プラチナデータ』の登場人物・キャラクター

主人公

神楽龍平/リュウ(かぐらりゅうへい/りゅう/演:二宮和也)

映画の主人公である。
警視庁特殊解析研究所の主任解析員で、蓼科兄妹とともにDNA捜査システムを開発した人物だ。
DNA捜査システムを活用し事件の犯人逮捕に力を注ぐが、蓼科兄妹殺害事件の重要参考人として名前が上がり警察から逃亡することとなる。

少年時代に陶芸家だった父親が自殺し、その父親の死をきっかけに二重人格「リュウ」が出現するようになった。催眠療法により「リュウ」と人格反転することができる。
蓼科兄妹殺害事件の真犯人が自分の主治医でもある新世紀大学病院の水上教授だとわかり、水上教授の恐ろしい思想を止めるため水上教授を殺害する。その後、水上教授殺害の犯人として逮捕される。

映画の終盤では実は元の人格がリュウであり、神楽は二重人格で現れた人格だということがわかる。

警視庁捜査一課

浅間玲司(あさま れいじ/演:豊川悦司)

警視庁捜査一課の警部補である。
正義感あふれるベテラン刑事であり、はじめからDNA検索システムに対し疑問を持っていた。
神楽が蓼科兄妹殺害の犯人として警察に追われ、最初は犯人といて神楽を追っていたが、独自の捜査により神楽が犯人ではないと確信する。
そこから単独で捜査を行い、神楽と協力しモーグルを探し出す。モーグルを探し出すことに成功し、真のプラチナデータの真相を明らかにしたが、最後は神楽が水上教授を殺害するのを止めることができなかった。

戸倉(とくら/演:遠藤要)

浅間の後輩刑事である。浅間のことを信頼し、浅間とともに捜査に当たることが多い。
浅間が神楽と協力したことで警察に連行されたときには浅間を助ける場面もみられた。

那須(なす/演:中村育二)

警察庁捜査一課の課長である。
浅間の上司だが、浅間が神楽と協力し単独捜査を行ったときには浅間を連行するよう部下に命令した。

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ブラックペアン(小説・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

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『ブラックペアン』とは、2018年TBS系『日曜劇場』にて、嵐の二宮和也主演で放送されたテレビドラマ。原作は海堂尊の長編小説『ブラックペアン1988』。渡海征司郎は手術成功率100%を誇る天才外科医である。一方、傲慢な言動が災いし、周囲との歪を生んでいる。そんな渡海が最新医療器具が持ち込まれた事をきっかけに、大学病院という巨大組織に立ち向かっていく医療エンターテイメントドラマだ。

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14才の母(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

14才の母(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『14歳の母』とは、2006年10月に日本テレビで放送されたドラマで、脚本は井上由美子が手掛ける。主演は志田未来。その他、三浦春馬や田中美佐子などが出演する。中学2年生の一ノ瀬未希は、14歳にして子供を身ごもってしまう。両親や兄妹、友達など周りの人々から猛反対を受けるが、未希は産む決心をする。しかし、そんな彼女を様々な困難が待ち受けていた。どんなに苦しくても産むことを諦めない少女が、苦難を乗り越えて成長していく姿を描く。本作の視聴率は20%を超え、数々の賞を受賞した。

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キングダム2 遥かなる大地へ(実写映画)のネタバレ解説・考察まとめ

キングダム2 遥かなる大地へ(実写映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『キングダム2 遥かなる大地へ』とは、古代中国で“天下の大将軍”となることを目指す少年の活躍を描いた、原泰久の同盟漫画作品の実写映画シリーズ第2弾である。公開翌年となる2023年には、同シリーズ第3弾となる『キングダム3』の公開が決定している。 500年もの間戦乱の中にある古代中国。魏国の軍勢の侵攻を受けた秦国は、これを迎撃するための軍を編成する。ひょんなことから秦国王宮内の人々と知り合った奴隷の少年信は、天下の大将軍になるという夢を叶えるためここに参戦。本物の戦場の中で剣を振るう。

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地面師たち(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

地面師たち(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『地面師たち』とは、2024年7月よりNetflixで配信が開始されたドラマ。2017年に発生した、積水ハウス地面師詐欺事件を基にしたクライム・サスペンス。土地の所有者になりすまして売却をもちかけ、多額の代金をだまし取る不動産をめぐる詐欺を行う「地面師」の犯罪を描いている。配信開始直後から、惹き込まれるストーリー展開や過激な内容とその中毒性や、出演陣の演技・セリフが話題となっている。

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VIVANT(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

VIVANT(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『VIVANT』とは、は2023年7月から同年9月までにTBS系「日曜劇場」枠で放送されたアドベンチャードラマ作品。サラリーマンの乃木憂助は、自身にかけられた誤送金の疑いを晴らすためバルカ共和国に向かう。バルカの地で乃木を巻き込んだ自爆テロ事件は、やがて暗躍する国際テロ組織、そして乃木の正体へと繋がっていく。国内外から集結した豪華俳優陣やモンゴルで撮影された大スケールの映像、そして、予想を超える展開が連続するストーリーが見どころとなっている。

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古畑任三郎(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

古畑任三郎(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『古畑任三郎』とは、1994年から2008年までフジテレビで放送されたドラマ。主演は田村正和、脚本は三谷幸喜。スペシャル版、スピンオフを含め42回のエピソードがある。ストーリー展開は、物語の出だしで犯人や犯行の様子を明かす倒叙ものと言われる形式である。見所としては、犯人とのスリリングなやり取りや、巧みな話術で自白に追い込む場面である。また、犯人や部下とのコミカルなやり取りも魅力となっている。どんな相手にも敬語で、落ち着いた言動を崩さない。黒のスーツに、ノーネクタイがトレードマーク。

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劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer(Zi-O)のネタバレ解説・考察まとめ

劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer(Zi-O)のネタバレ解説・考察まとめ

『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer(Zi-O)』とは、2019年に公開された特撮ヒーロー映画である。特撮テレビドラマ『仮面ライダージオウ』の単独映画作品。興行収入11.7億円、観客動員数78.0万人を記録した。ソウゴは仮面ライダージオウとして平成ライダーの力であるライドウォッチを集めていた。全てのライドウォッチを集めた時、平成をやり直そうとする集団クォーツァーが現れた。平成に築いた人々の暮らしを守るため、ソウゴと仲間達がクォーツァーに立ち向かう。

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