楽園(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『楽園』とは、瀬々敬久による2019年のサスペンス映画。
未解決の少女失踪事件が発生してから12年後、同じ場所で再び少女が失踪する。これを契機に容疑者として疑われた青年、心に傷を負う少女、限界集落に住む養蜂家の男性の人生が交錯していく。原作は吉田修一の短編集『犯罪小説集』である。主要キャストに綾野剛、杉咲花、佐藤浩市らが出演。少女失踪事件に関わりのある者たちの数年間が描かれており、人間が追い詰められていく様子に目が離せない作品である。
『楽園』の概要
『楽園』とは、2019年10月18日に公開された瀬々敬久によるサスペンス映画。原作は吉田修一の短編小説集『犯罪小説集』に収録されている「青田Y字路」と「万屋善次郎」である。吉田修一は『悪人』(2007年)、『怒り』(2014年)、『横道世之介』(2010年)などで知られるベストセラー作家。
配給はKADOKAWAである。事件の容疑者として疑われた青年を綾野剛、事件の影響で心に深い傷を負っている少女を杉咲花、限界集落で暮らし村八分に遭う男性を佐藤浩市が演じた。田舎で巻き起こる陰鬱な事件と集団心理の恐ろしさが全面に映し出されている。
本作で監督・脚本を務めた瀬々敬久は、1960年5月24日生まれの日本の映画監督、脚本家、演出家、俳優。主な監督作品に『64-ロクヨン-前編 / 後編』(2016年)、『護られなかった者たちへ』(2021年)、『ラーゲリより愛を込めて』(2022年)などがある。『護られなかった者たちへ』は、第46回報知映画賞で作品賞を受賞している。主要キャストの綾野剛と佐藤浩市は、瀬々敬久の『64-ロクヨン-前編/後編』(2016年)にも出演。
本作は第76回ヴェネツィア国際映画祭の公式イベントである「Focus on Japan」に正式出品された作品。
あるY字路で少女が行方不明になる事件が発生する。犯人は捕まらないまま12年の時が経ち、同じ場所でもう一度少女が失踪してしまう。事件の容疑者として疑われたのは町営住宅に住む中村豪士(なかむらたけし)だった。そして、中村と事件で被害者となった少女の親友・湯川紡(ゆかわつむぎ)、限界集落に住む養蜂家の田中善次郎(たなかぜんじろう)の人生が交錯していく。事件に関わりのある者たちの数年間が描かれており、閉鎖的な空間の田舎で人間が追い詰められていく様子に目が離せない作品である。
『楽園』のあらすじ・ストーリー
失踪事件
田園風景が広がる田舎町のとある神社で母親の中村洋子(なかむらようこ)とともにリサイクル品販売をしていた中村豪士(なかむらたけし)。しかし、洋子はチンピラの男に「誰に許可取ってやってんだ」と迫られて暴行を受けてしまう。それを見た息子の豪士は村の世話役である藤木五郎(ふじきごろう)に助けを求め、五郎が仲裁したことによってなんとかその場は収まった。その後、五郎の妻である藤木朝子(ふじきあさこ)が洋子の怪我の手当を行う。
同じ頃、湯川紡(ゆかわつむぎ)と一緒に下校していた藤木愛華(ふじきあいか)がY字路で紡と別れたきり消息を絶つ。やがて日は落ち、愛華の母親や愛華の祖父である五郎、豪士、地元の人たちが総出で愛華を捜索した。必死の捜索により川辺で愛華のものと思われる赤いランドセルが見つかったが、愛華は一向に見つからずただ時だけが過ぎていくのだった。
12年後
愛華が行方不明になってから12年の時が過ぎ、愛華の親友だった紡は高校卒業後に地元のホームセンターでアルバイトを始める。アルバイト後に紡は村の祭りである「秋季例大祭」に向けて準備をしていた。すると幼なじみの野上広呂(のがみひろ)が紡に声をかけ、飲み物を手渡す。その後も広呂は帰ろうとする紡を呼び止め、「車で来てるからさ、送ろうか?」と気にかけていた。しかし紡は「いい」と冷たく断り、心を閉ざす。
その帰り道、パンクした自転車であぜ道を走っていた紡はその道で転んでしまう。すると車で通りかかった豪士が紡に声をかけ、紡は豪士に送ってもらうことになった。
後日、紡は祭りに豪士を誘う。しかしその日に再び、Y字路で少女が行方不明になる事件が発生した。捜索隊が組まれ、五郎も加わる。さらに養蜂家として市役所を訪れていた田中善次郎(たなかぜんじろう)も捜索に参加。すると紡の父親が「車でリサイクル品を売っている息子が怪しい」と叫びだした。さらに愛華が行方不明になった原因も豪士のせいではないかという憶測がたち、不確かな情報で豪士が犯人だと疑われてしまう。他の者たちは一斉に豪士の住む家まで走り出し、豪士の家の扉を蹴破って部屋に入る。このタイミングで仕事から帰ってきた豪士はその異様な光景に後ずさり、逃げ出した。豪士は子供の頃にいじめを受け、自宅の窓ガラスを石で割られたことを思い出すのだった。
そして追い詰められて焦った豪士は飲食店に入り、周囲に灯油をまき散らす。そして自身も灯油を被り「愛華ちゃん」と苦しそうな声を絞り出して豪士は手に持ったライターで火を付けた。瞬く間に店は燃え上がり、洋子は「豪士!」と息子の安否を確かめるかのように叫び続けた。
限界集落
翌年、上京した紡は青果市場で働き始める。広呂も紡のことを追って東京にやってくるのだった。居酒屋で酒を飲み交わし、話し続ける内に紡と広呂は心を通わせるようになる。だが、それからしばらくして紡は広呂が病気で入院していることを知る。紡がお見舞いに行くと広呂は「俺のこと好きになったのかよ」と冗談を言った。すると紡は広呂を抱きしめて「どこにも行かないで」と呟く。
その頃、善次郎は村人のために水路の掃除や草刈りなどを積極的に行っていた。そして村の寄り合いの席で善次郎は長老の娘である黒塚久子(くろづかひさこ)と出会う。妻の田中紀子(たなかのりこ)に先立たれてから独り身だった善次郎は、次第に久子との関わりを増やしていく。互いの話を聞き合ううちに仲を深め、温泉で久子の優しさに触れた善次郎は久子にキスをする。狭い村のため、善次郎と久子の関係は村中に広まっていった。
そんなある日、善次郎は蜂蜜で村おこしをしようと試みる。村人たちにも賛成されたが、市から予算が出るや否や「調子に乗るな」と村人の1人から言われ、そこから善次郎は村八分に遭うようになってしまった。それから善次郎は家に籠もる様になり、妻の思い出の写真や葉書を引っ張り出して眺めるような生活を続けた。その後も妻の墓にペンキをかけられたり、行政代執行で妻の遺骨を埋めた土地が踏み荒らされたりといった嫌がらせが相次ぐ内に善次郎の心はついに折れる。
凶悪な事件
紡は前を向いて生きるため、豪士の母親・洋子の元を訪れる。「何があったのか教えて欲しい」と迫る紡を受けて、洋子は愛華が行方不明になったあの事件の日のことを思い出していた。事件の日、恋人と会った洋子は豪士から「僕を捨てるの?」と涙ぐまれる。その出来事を思い出しながら洋子は「警察に嘘言った」と紡に言う。洋子は警察から事件の日のアリバイを聞かれて、「豪士とずっと一緒にいました」と答えたという。疑いが晴れて釈放された豪士は、微笑とも取れる複雑な表情をした。その話を聞いた紡は、最後に洋子から紙の切れ端を手渡される。それには「つむぎさんが悪いのじゃない」と書かれており、豪士が紡に手渡そうとしたメッセージだった。紡は「ありがとうございました」と小さく礼をしてその場を去る。
精神を病んでしまった善次郎は、ある日村人6人を相次いで殺傷する事件を起こす。大勢のマスコミが村を押し寄せ、久子の両親も殺傷事件の被害者であることが判明した。その後、警察は森の中で自殺を試みた善次郎を発見する。善次郎は犯行に使った鎌で腹部を刺し、空を見上げながら妻のことを思い出していた。
テレビで善次郎の事件のことを知り、再び村に戻ってきた紡は不審者注意の看板を草むらに投げつける。そこに五郎が通りかかると、紡は「誰も信じられなくなって、こんなんでいいの?」と五郎に叫んだ。すると五郎は「ケリつけねーとみんなだめになる。誰かが罪人になれば丸く収まる」と当時の感情を口にした。紡は「みんなが殺したんだ。豪士さんを」と泣き叫ぶ。
希望
愛華が消えた日の記憶をたどった紡は、Y字路の近くの河原で善次郎が犬を拾っているのを思い出す。そして、道で泣いている豪士に帰宅途中の愛華が「どうして泣いてるの?」と声をかけていた現場も思い出した。愛華がシロツメクサで作った王冠を豪士に差し出して再び歩き出すと、愛華の後ろをたどたどしい歩き方で豪士がついていく。その光景が蘇った紡は、現場のY字路を眺めながらすすり泣いた。
すると広呂から電話がかかってくる。紡が出ると、広呂は「明日退院できることになった。5年後の生存率50%だって言われた」と嬉しそうに話す。紡は「よかった」と呟いた。そして紡は、広呂と飲みに行った帰りのことを思い出す。雑踏の中で紡は、「愛華」と呼ばれている女性を目撃していた。その女性が紡の親友の「愛華」であるかどうかは定かではないが、紡は女性の後ろ姿をじっと見つめる。そして紡は「紡は、俺たちのために楽園つくれ」と言う広呂の言葉を思い返して前を向くのだった。
『楽園』の登場人物・キャラクター
主要人物
中村豪士(なかむらたけし/演:綾野剛)
リサイクル品販売をして生計を立てている青年。一見して何を考えているのか分からず、気弱で無口な性格をしている。仕事から帰宅中、自転車で転んだ湯川紡に声をかけて知り合いになった。その後、紡の神楽で使用する笛を一緒に買いに行く。12年前の藤木愛華が行方不明になった現場と同じ場所で少女が失踪し、その容疑者として疑われた。最後には周囲から追い詰められて灯油を被り、焼身自殺で亡くなる。
幼少期の中村豪士(演:湯川颯)
幼少時代の中村豪士。同級生からいじめを受け、家の窓ガラスを割られてしまう。
湯川紡(ゆかわつむぎ/演:杉咲花)
12年前に行方不明になった藤木愛華の親友。人に対して心を開かず、自分の殻に閉じこもっている。事件直前まで愛華と一緒にいたため、自分が愛華を助けられたのではないかと自責する。心に傷を負ったまま日々を過ごしていたが、中村豪士と出会い彼を祭りに誘った。豪士が自殺したことを知ると再び心を閉ざし、田舎を抜け出して東京の青果市場で働き始める。幼なじみの野上広呂と関わっていく内に、少しずつ人生に希望を見出した。
Related Articles関連記事
嫌われ松子の一生(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『嫌われ松子の一生』とは、2006年5月27日に公開された日本のコメディ映画である。山田宗樹の小説『嫌われ松子の一生』を原作としている。川尻笙は、夢をあきらめ、堕落した生活を送っていた。突如故郷の父が来訪し、笙の叔母である松子が死んだことを伝える。松子の住んでいたアパートの片付けを父に頼まれた笙は、会ったことのない叔母の松子の死の真相に迫るとともに、その波乱万丈な人生をたどっていく。ストーリーはシリアスな内容だが、華やかなミュージカルシーンやコミカルな演出が見どころの作品である。
Read Article
鎌倉殿の13人(大河ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ
『鎌倉殿の13人』とは2022年にNHKで放送された、平安時代〜鎌倉時代初期を舞台とした大河ドラマである。主演は小栗旬が務めた。 伊豆の地方豪族の次男坊であった北条義時(ほうじょうよしとき)は源頼朝(みなもとのよりとも)に仕え、源平の戦乱の中に巻き込まれていく。そして鎌倉幕府成立後は有力御家人たちとの権力闘争を勝ち抜き、次第に非情な権力者になっていく姿が描かれている。 脚本は今作が大河ドラマ3作目となる三谷幸喜が手掛けた。 同作品は2023年のエランドール賞特別賞を受賞している。
Read Article
新宿スワン(漫画・ドラマ・映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『新宿スワン』はアンダーグラウンド系の日本の漫画である。作者は和久井健。講談社『週刊ヤングマガジン』で、2005年20号から2013年45号まで連載された。スカウトマンをテーマにした物語で、和久井にとって連載のデビュー作品となった。主人公は19歳の白鳥龍彦、通称タツヒコ。ライバルの死や暴力団がからむ違法薬物の取引、そして信頼していた仲間の裏切り、そして、タツヒコの知らないところで大きな復讐の計画が動き出していた。数々のトラブルに見舞われながらも逃げずに立ち向かうタツヒコの成長する姿を描く。
Read Article
Mother(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ
『Mother』とは、2010年4月から水曜22時に日本テレビ系で放送されていたドラマで、坂元裕二が脚本を手掛ける。主演は松雪泰子。その他、山本耕史や芦田愛菜などが出演している。母性をテーマに、様々な視点から母親について描かれている作品である。小学校教諭の鈴原奈緒は、ある日教え子の道木怜南が極寒の中でゴミ袋に入れられ、捨てられているのを発見する。それをきっかけに、奈緒は怜南の母親になることを決意し、彼女を誘拐した。そして奈緒は怜南の母親になることで、女性として人間として成長していくのだった。
Read Article
あなたの番です(あな番)のネタバレ解説・考察まとめ
『あなたの番です』とは、日本テレビ系にて2019年4月から9月まで放送された全20話のミステリードラマである。キウンクエ蔵前というマンションに引っ越してきた新婚夫婦が「交換殺人ゲーム」に巻き込まれる姿を描いたミステリードラマで、企画・原案は秋元康。第1章、第2章で構成された2クール半年間に渡って放送され、テレビ放送と連動して、『扉の向こう』というスピンオフがHuluにて独占配信されている。
Read Article
らせん(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『らせん』とは1998年に公開された日本のホラー映画。原作は鈴木光司の同名小説。前作にあたる『リング』の続編として同時上映された作品である。監督と脚本は1995年の単発ドラマ版『リング』の脚本を担当した飯田譲治。「呪いのビデオ」に科学的視点からその謎に迫る。前作のオカルトホラーから雰囲気を変え、原作を忠実に再現したSFサスペンス要素の強い作品になっている。解剖室に送られてきたかつての友人高山竜司の遺体。残された暗号。安藤は第一発見者高野舞とともにその謎に挑む。
Read Article
怒り(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
2010年に国内の映画賞を総ナメにした大ヒット作「悪人」の原作者吉田修一と監督李相日が6年振りにタッグを組み、音楽に坂本龍一を加え、実力派のオールスターキャストで挑んだ感動のヒューマンミステリー。八王子の平静な住宅街で残忍な夫婦殺人事件が起こる。一年後のある日、千葉と東京と沖縄に素性の知れない3人の男が現れ、それぞれに重厚な人間ドラマが展開する。愛した人は、殺人犯なのか?2016年9月全国公開。
Read Article
流星の絆(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ
『流星の絆』とは、東野圭吾の同名小説『流星の絆』が原作となったミステリードラマである。子どものころに両親を殺された三兄妹が復讐を誓い、真犯人にたどり着くまでを描く。2008年10月から12月に、TBS系22時からの金曜ドラマ枠で放送された。脚本は宮藤官九郎が手掛け、基本のストーリーは守りつつも青春ドラマ的な要素やコメディー的な要素が加わったことで、原作とは大きく異なる世界観となっている。主役の三兄妹を二宮和也、錦戸亮、戸田恵梨香が演じる。
Read Article
あのこは貴族(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『あのこは貴族』とは、山内マリコの小説『あのこは貴族』を原作としたヒューマンドラマ映画である。2021年2月に公開され、「富裕層」と「庶民」の鮮やかな対比が観客からの高い支持を得る。お嬢さん育ちの華子は婚活の末に理想の男性と結婚するが、嫁ぎ先からの重圧に悩む。大学進学を機に上京したが学費が続かず中退後、就職した美紀。「他力」を享受する特権階級と「自力」が前提の一般人を隔てる見えない壁。交わらないはずの「階層」を飛び超えた2人に見えてきた新しい自分。監督は、「グッド・ストライプス」の岨手由貴子。
Read Article
愛がなんだ(小説・映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『愛がなんだ』とは、角田光代による恋愛小説、およびそれを原作とした今泉力哉監督による実写映画作品。 映画作品では、岸井ゆきのが主役のアラサーOL・テルコを、成田凌がテルコの片思い相手であるマモルを演じ、独立系の低予算作品としてはあまり例を見ないロングランヒットを記録した。テルコはマモルに一目惚れをしてからマモル一筋の毎日を送るが、マモルはテルコのことを都合のいい女と思っている。テルコとマモルのどうしても埋まらない距離感がリアルに描かれている。
Read Article
今夜、ロマンス劇場で(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『今夜、ロマンス劇場で』とは2018年に公開された、主演綾瀬はるかと坂口健太郎によるラブストーリー映画である。映画監督を目指す健司が通い詰めていた「ロマンス劇場」で、モノクロ映画に出演している映画のヒロインである美雪に出会う。ある日、美雪が現実世界に現れ、健司は美雪に色のある現実世界を案内していくうちに、健司と美雪は惹かれ合っていく。しかし、美雪にはある秘密があった。切なくもあり、昭和中期を舞台とした切なくもあり温かい気持ちになるラブストーリー映画となっている。
Read Article
大豆田とわ子と三人の元夫(まめ夫)のネタバレ解説・考察まとめ
『大豆田とわ子と三人の元夫』とは、2021年にフジテレビ系火曜21時枠で放送された松たか子主演のドラマである。第76回文化庁芸術祭で優秀賞を受賞。大豆田とわ子は三度の離婚歴がある女性。周囲からは「バツ三なんだって」「人間的に問題があるのかね」という好奇の目で見られている。離婚した三人の元夫達にも振り回される日々。それでも「幸せになることを諦めていない」大豆田とわ子と元夫たちの奮闘を描く。本当の幸せを掴めるのか。これからの元夫達との関係は。新感覚のロマンティックコメディーである。
Read Article
ゴールデンスランバー(小説・映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『ゴールデンスランバー』とは、堺雅人主演のミステリー・ハードボイルド映画である。2010年1月に公開された映画で、日本の小説家の伊坂幸太郎の小説『ゴールデンスランバー』を映画化した作品。仙台運送で働く青柳雅春(あおやぎまさはる)が総理大臣を殺害した事件の犯人に仕立て上げられていくストーリー。映画のロケは全て仙台で行われた。映画のキャストは堺雅人の他に、竹内結子、浜田岳、香川照之、吉岡秀隆などが出演している。2018年2月にはカン・ドンウォン主演の韓国映画版『ゴールデンスランバー』が公開された。
Read Article
湯を沸かすほどの熱い愛(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『湯を沸かすほどの熱い愛』とは、2016年に公開された日本映画。「幸の湯」という銭湯を営む幸野家。しかし1年前に父が家を出て行ってしまい銭湯は休業状態。母の双葉はパートをしながら懸命に娘を育てていたが、ある日余命宣告を受ける。双葉はその日から、「絶対にやっておくべきこと」を決め実行して行くが、それは家族の秘密を取り払うことでもあった。関わるすべての人の心を突き動かす強さと優しさを持つ主人公・双葉を宮沢りえが演じ、失踪した夫・一浩をオダギリジョーが演じる。第40回日本アカデミー賞受賞作品である。
Read Article
ザ・マジックアワー(三谷幸喜)のネタバレ解説・考察まとめ
『ザ・マジックアワー』とは三谷幸喜が脚本・監督したエンターテインメント映画である。佐藤浩市の主演映画で妻夫木聡や深津絵里など豪華キャストが多数出演している。三谷幸喜が監督する4作品目の映画で、第32回日本アカデミー賞で4部門にノミネートされた。マフィアの天塩商会が牛耳る港町の守加護。彼らの怒りを買ってしまった備後は、助かるために三流俳優の村田を騙し、映画撮影と称して殺し屋のデラ富樫を演じさせる。天塩の者たちに村田が偽のデラ富樫だとバレないよう備後が四苦八苦する、大ヒットコメディ映画。
Read Article
メアリと魔女の花(アニメ映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『メアリと魔女の花』とは、2017年に公開されたスタジオポノック制作のアニメーション映画だ。監督はスタジオジブリで「借りぐらしのアリエッティ」と「思い出のマーニー」を手がけた米林宏昌。キャッチコピーは「魔女、ふたたび。」。主人公のメアリは縮れた赤毛の女の子。不器用で何をやっても上手くできず、人から期待されることがなかった。失敗が続いたある日、メアリは森で魔法の花「夜間飛行」を見つける。そして魔法の世界に迷い込み、彼女の大冒険が始まる。
Read Article
MIU404(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ
『MIU404』とは、性格が全く違う二人の刑事が日本の社会問題に立ち向かいながら事件解決を目指す、警視庁機動捜査隊を舞台としたテレビドラマである。臨時部隊として新設された第4機捜に召集された刑事が志摩一未と伊吹藍だ。二人は相反する性格ながら、様々な事件に相棒として立ち向かうことになる。斬新なストーリーと共に、二人の刑事がバディとして絆を深めていく姿も目が離せない作品だ。
Read Article
いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう(いつ恋)のネタバレ解説・考察まとめ
『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(いつ恋)とは、東京という街で必死に生きる若者たちの恋愛を描いた日本のテレビドラマである。フジテレビ系列で2016年1月から3月まで放送された。坂元裕二によるオリジナル脚本作品。主演を有村架純と高良健吾がつとめた。東日本大震災が発生する2011年前後と、5年後の2016年からの2部構成で描かれている。第3回コンフィデンスアワード・ドラマ賞作品賞・脚本賞などを受賞した。
Read Article
HERO(2015年の映画)のネタバレ解説・考察まとめ
「HERO」とは2015年7月18日に公開された日本の映画作品。2001年に第1期、2014年に第2期としてフジテレビ系で連続ドラマとして放送された同作の劇場版2作目。監督は鈴木雅之。脚本は福田靖。2015年の日本映画興行収入第3位 (実写映画では第1位) を記録 (46.7億円)。木村拓哉演じる主人公・久利生検事が不審な交通事故を通して大使館の疑惑に関わることになる。
Read Article
夜行観覧車(小説・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ
『夜行観覧車』とは、2010年6月に単行本が発行された原作者・湊かなえによる小説で、2013年にテレビドラマ化されている。主演は平凡な主婦・遠藤真弓を演じた鈴木京香。憧れの高級住宅街であるひばりヶ丘に一軒家を建てて引っ越してきた遠藤一家と、向かいに住む高橋一家。家族ぐるみで親しくなっていく内に起こった事件をきっかけに崩壊していく家族の様子を描いた主婦の愛憎劇。読み終わったあとにイヤな気分になるミステリー「イヤミス」の女王と称される湊かなえの代表作の一つである。
Read Article
この恋あたためますか(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ
『この恋あたためますか』は、コンビニスイーツ開発を通し恋愛に発展していく甘い恋模様を描いた恋愛ドラマだ。コンビニチェーンの新社長である浅羽拓実と、夢に破れたコンビニアルバイト井上樹木が、スイーツ開発をしていくというストーリーになっている。井上樹木はコンビニスイーツが大好きで、あらゆるコンビニスイーツを食べSNSに評価を投稿していた。その的確な評価を浅羽社長が認め、スイーツ開発メンバーとして選んだのだ。はじめは意見が合わず対立するが、徐々に相手を必要とし恋へと発展していく。
Read Article
新選組!(大河ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ
『新選組!』とは2004年1月から12月まで放送されたNHKの大河ドラマである。幕末を舞台に若者たちが命を懸けて己を貫く姿を中心に、青春群像劇として高い評価を得た。多摩の百姓であった近藤勇が真の侍になるため京に上り、仲間たちと新選組を結成し誠の忠義を貫くために戦い、生きていく姿が描かれている。香取慎吾をはじめ若手俳優たちが生き生きと演じたこと、また人気脚本家三谷幸喜の脚本も見どころの一つとされている。
Read Article
映画刀剣乱舞(黎明)のネタバレ解説・考察まとめ
『映画刀剣乱舞 -黎明-』(えいがとうけんらんぶ れいめい)とは、EXNOA(旧DMMゲームズ)とニトロプラスが共同開発したPCブラウザ、及びスマートフォン向けゲーム『刀剣乱舞』を原作とした実写映画の第二弾。歴史に名を残す名刀を擬人化させた刀剣男士(とうけんだんし)と、歴史の改変を目論む時間装甲軍(じかんそこうぐん)の戦いを描いた物語である。物語の舞台は2012年。この時代に未来の繋がる重大な分岐点が隠されていた。刀剣男士・三日月宗近は仮の主である鈴木琴音と共に、事態解決のために奮闘していく。
Read Article
ラーゲリより愛を込めて(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『ラーゲリより愛を込めて』とは2022年12月9日に公開された日本の映画。主演は二宮和也。原作は辺見じゅんのノンフィクション小説『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』。 第二次世界大戦後のシベリアの強制収容所(ラーゲリ)で、日本人捕虜の1人である山本幡男(やまもと はたお)が過酷な環境の中でも生きる希望を捨てず、家族の元へ帰れると信じ、仲間らを励まし続ける姿を描く。 希望を捨てない幡男の姿、捕虜仲間が幡男の遺書を家族に届けるため必死になる姿は見所だ。
Read Article
クローズZERO II(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『クローズZERO II』とは、漫画家の高橋ヒロシの作品『クローズ』を原作とした映画。前作『クローズZERO』で鈴蘭高校の覇権争いを制した滝谷源治たちと、ライバル校・鳳仙学園との間で抗争が発生。鈴蘭をまとめるために苦心する源治、彼に敗れて以降沈黙を貫く芹沢、2年前の仇を討つため虎視眈々と鈴蘭を狙う鳳仙の頭・鳴海の3人を軸にストーリーが展開される。葛藤を抱えながら喧嘩に臨む高校生達を描く。小栗旬や山田孝之、桐谷健太など人気俳優が多数出演したことでも話題となった。監督は三池嵩史。
Read Article
糸(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『糸』とは、2020年に公開された日本の恋愛映画で、中島みゆきの楽曲『糸』にプロデューサーの平野隆が着想を得て制作された。監督は瀬々敬久。平成元年生まれの高橋漣(たかはしれん)と園田葵(そのだあおい)は、美瑛で出会い恋に落ちる。しかし大人たちの都合で引き裂かれ別々の人生を歩む。出会ってから18年経って平成という時代も終わりを迎えるとき、互いを忘れられなかった漣と葵は再び手を取り合うために動き出していた。この物語は、漣と葵、その周辺の人々の軌跡を「平成」という時代にのせて描く作品となっている。
Read Article
キングダム 運命の炎(キングダム3)のネタバレ解説・考察まとめ
『キングダム 運命の炎』とは、原泰久の漫画『キングダム』を原作とする2023年公開の実写映画作品。同シリーズでは3作目にあたるため『キングダム3』とも呼ばれる。キャッチコピーは「大いなる夢を、新しい時代を、その手で掴め―」。監督は佐藤信介が務め、主役の山﨑賢人や吉沢亮など主要人物の役者は全員が前々作から続投している。 趙の大軍に攻められた秦は、六大将軍の王騎を総大将にしてこれを迎撃する。将軍を志す剣士にして秦の若き王嬴政の友でもある信も従軍し、師である王騎から重要な作戦を託される。
Read Article
のぼうの城(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『のぼうの城』とは、和田竜の日本の歴史小説を元にして2012年に公開された映画である。犬童一心と樋口真嗣の共同監督で制作された。主人公の長親(ながちか)は忍城(おしじょう)城代の息子である。関白秀吉の家臣である三成によって、忍城は開城を迫られていた。しかし長親は世の理不尽に真っ向から対抗するため、三成に相対する。長親は周りの力を借り、ついには三成軍を退けることになった。この作品は時にはしんみりしつつも、長親という「でくのぼう」の奇策によって観た人を気分爽快にさせる歴史映画となっている。
Read Article
アバランチ(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ
『アバランチ』とは2021年に放送されたテレビドラマ。主演は綾野剛。世間の裏で様々な悪事を行う政治家や権力者の正体を暴き、インターネット上に公開することで社会的に制裁も加え、解決していく謎の集団の戦いを描いた作品である。アバランチとは「雪崩」を意味であり、第1話のタイトルでもある。最終回の世帯視聴率は、関東地区で8.2%、個人視聴率は4.5%であった。
Read Article
カムカムエヴリバディ(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ
『カムカムエヴリバディ』とは、NHK連続テレビ小説の第105作目となるテレビドラマ。2021年11月1日から2022年4月8日まで放送された。 連続テレビ小説史上初となる3人のヒロイン、安子(やすこ)、娘のるい、孫のひなたの親子3世代にわたる家族の物語である。安子の生まれた1925年(大正14年)から物語はスタートし、ひなたがアメリカでキャスティングディレクターとして活躍する2025年までの100年を描いている。
Read Article
新しい靴を買わなくちゃ(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『新しい靴を買わなくちゃ』とは、北川悦吏子が原作・脚本・監督すべてを担当した日本の恋愛映画である。世界的な音楽家である坂本龍一が音楽監督、映像作家の岩井俊二がプロデュースを手がけたことで話題となった。妹のパリ旅行に付き添ってきたカメラマンのセンと、パリ在住の日本人アオイが一足の靴をきっかけに出会う3日間のラブストーリーを描いた作品。ロマンチックな物語展開はもちろん、舞台となったパリの美しい風景と繊細な音楽、瀟洒な台詞もこの作品の魅力である。
Read Article
愛のむきだし(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『愛のむきだし』とは園子温監督の23作目の作品として製作されたヒューマンドラマ映画である。実話を元にした作品であり、盗撮、レズビアン、女装、自慰行為、新興宗教団体による洗脳等、アブノーマルな題材を軸に、物語が進行していく。237分の大長編映画で、国内外からの評価は高く、2009年のベルリン映画祭での「カリガリ賞」「国際批評家連盟賞」を始めとして、数々の権威ある賞を受賞している。過激なシーンが多いため、Rー15指定。
Read Article
キングダム2 遥かなる大地へ(実写映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『キングダム2 遥かなる大地へ』とは、古代中国で“天下の大将軍”となることを目指す少年の活躍を描いた、原泰久の同盟漫画作品の実写映画シリーズ第2弾である。公開翌年となる2023年には、同シリーズ第3弾となる『キングダム3』の公開が決定している。 500年もの間戦乱の中にある古代中国。魏国の軍勢の侵攻を受けた秦国は、これを迎撃するための軍を編成する。ひょんなことから秦国王宮内の人々と知り合った奴隷の少年信は、天下の大将軍になるという夢を叶えるためここに参戦。本物の戦場の中で剣を振るう。
Read Article
ナミヤ雑貨店の奇蹟(小説・映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『ナミヤ雑貨店の奇蹟』とは東野圭吾の長編小説および、それを基に2017年に制作された日本映画。監督は廣木隆一、脚本を斉藤ひろしが手がけ、主演は山田涼介と名優・西田敏行が務めた。なんとなく悩み相談窓口を始めたナミヤ雑貨店の主・浪矢雄治は手紙のやり取りを通じ、様々な悩みを持つ人たちの人生を変えていく。雑貨店は過去と現在が繋がる不思議な場所となり、現実から逃げ続けてきた青年・矢口敦也を感化させていく。雄治と敦也の奇蹟の一夜の交流を描いた、心温まるファンタジー・ドラマである。
Read Article
地面師たち(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ
『地面師たち』とは、2024年7月よりNetflixで配信が開始されたドラマ。2017年に発生した、積水ハウス地面師詐欺事件を基にしたクライム・サスペンス。土地の所有者になりすまして売却をもちかけ、多額の代金をだまし取る不動産をめぐる詐欺を行う「地面師」の犯罪を描いている。配信開始直後から、惹き込まれるストーリー展開や過激な内容とその中毒性や、出演陣の演技・セリフが話題となっている。
Read Article
オールドルーキー(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ
『オールドルーキー』とは、2022年6月から9月まで放送されたスポーツマネジメントをテーマにしたテレビドラマ。主演はサッカー選手の新町亮太郎を演じた綾野剛。サッカーしか取り柄のない元サッカー日本代表選手の新町亮太郎が引退後にスポーツマネジメントの世界に飛び込み、様々なアスリートの代理人としてマネジメントに奮闘していくストーリー。スポーツ選手のセカンドキャリアへの挑戦がテーマとなっている。Jリーグと公益財団法人日本サッカー協会が製作協力として関わっており、随所に実在のスポーツ選手が出演している。
Read Article
タグ - Tags
目次 - Contents
- 『楽園』の概要
- 『楽園』のあらすじ・ストーリー
- 失踪事件
- 12年後
- 限界集落
- 凶悪な事件
- 希望
- 『楽園』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- 中村豪士(なかむらたけし/演:綾野剛)
- 幼少期の中村豪士(演:湯川颯)
- 湯川紡(ゆかわつむぎ/演:杉咲花)
- 幼少期の湯川紡(演:筧礼)
- 田中善次郎(たなかぜんじろう/演:佐藤浩市)
- 限界集落に住む人たち
- 黒塚久子(くろづかひさこ/演:片岡礼子)
- 黒塚久子の母親(演:吉村実子)
- 黒塚久子の父親(演:品川徹)
- 田中紀子(たなかのりこ/演:石橋静河)
- 少女失踪事件の関係者
- 藤木愛華(ふじきあいか/演:堰沢結愛)
- 藤木朝子(ふじきあさこ/演:根岸季衣)
- 藤木五郎(ふじきごろう/演:柄本明)
- 藤木将馬(ふじきしょうま/演:中野魁星)
- その他
- 野上広呂(のがみひろ/演:村上虹郎)
- 中村洋子(なかむらようこ/演:黒沢あすか)
- 中村洋子の恋人(演:モロ師岡)
- リサイクル業者(演:嶋田久作)
- 湯川紡が見かけた藤木愛華(演:祷キララ)
- 『楽園』の用語
- Y字路
- 少女失踪事件
- 秋季例大祭
- 『楽園』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 火だるまになる中村豪士
- 中村豪士「俺を捨てるの?」
- 野上広呂「紡は、俺たちのために楽園つくれ」
- 『楽園』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 役作りをせずに挑んだ綾野剛
- Y字路を探すのに3ヶ月かけた瀬々敬久
- 本作の仮のタイトルは「犯罪小説集」
- 『楽園』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:上白石萌音「一縷」