楽園(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『楽園』とは、瀬々敬久による2019年のサスペンス映画。
未解決の少女失踪事件が発生してから12年後、同じ場所で再び少女が失踪する。これを契機に容疑者として疑われた青年、心に傷を負う少女、限界集落に住む養蜂家の男性の人生が交錯していく。原作は吉田修一の短編集『犯罪小説集』である。主要キャストに綾野剛、杉咲花、佐藤浩市らが出演。少女失踪事件に関わりのある者たちの数年間が描かれており、人間が追い詰められていく様子に目が離せない作品である。
『楽園』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
火だるまになる中村豪士
村人たちから少女失踪事件の容疑者として疑われた中村豪士は、追い詰められて飲食店に入る。そして叫びながら店内にいた客と店主を追い出し、手当たり次第に物を投げつけた。その後、村人たちに店を包囲されたことを知った豪士は灯油を店中にまき散らして自身も灯油を被る。そして「愛華ちゃん」と声を震わせながら手にしたライターの火を付けて焼身自殺を図るのだった。確証もないまま犯人扱いをして豪士を追い詰める村人たちの怖さと豪士の行動が衝撃的である。
中村豪士「俺を捨てるの?」
藤木愛華が行方不明になった日、中村洋子は恋人と会う。それを見た中村豪士は自分のTシャツを掴みながら「俺を捨てるの?」と涙ぐんで洋子に訴えた。洋子はそんな豪士の目をじっと見つめ返す。母親を失うことを恐れた豪士の子供のような表情と言葉が印象的である。
野上広呂「紡は、俺たちのために楽園つくれ」
上京した湯川紡を追いかけ、同じ青果市場で働き始めた野上広呂は紡と居酒屋で酒を飲み交わす。その後、酔ったまま雑踏を歩き始めた広呂は「紡は、俺たちのために楽園つくれ」と紡に言う。閉鎖的な田舎町で起きた愛華の失踪事件によって心に傷を負った紡。そんな紡に広呂は希望を託したのだ。
『楽園』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
役作りをせずに挑んだ綾野剛
少女失踪事件の容疑者として疑われた青年・中村豪士(なかむらたけし)役を演じた綾野剛は、役作りをしないで撮影に挑んだという。「役作りはしていないです。豪士にとって必要なものをひたすら“土地”から吸いあげる。事前に豪士の住んでいる家やY字路にも行くことができましたので、そこから必要なものを吸いあげました。」とインタビューで語った。
Y字路を探すのに3ヶ月かけた瀬々敬久
ロケーションにこだわった監督の瀬々敬久は事件現場となるY字路を探すために3ヶ月もの期間を要したという。GoogleマップでY字路を見て実際に現場まで足を運び、目的のY字路を探したということをインタビューで明かした。
本作の仮のタイトルは「犯罪小説集」
本作は台本の仮のタイトルが「犯罪小説集」だったが、タイトル会議の段階で「楽園」に変わったという。タイトルを決めた監督・脚本の瀬々敬久は、「犯罪を犯す人たちも、それぞれが差別の中で生きてきて、ボタンのかけ違いのように犯罪の世界に追い込まれていく。みんなが実は楽園みたいなものを目指そうとしてたのではないかと思い、『楽園』というタイトルをつけました」と、インタビューで由来を語っている。
『楽園』の主題歌・挿入歌
主題歌:上白石萌音「一縷」
主題歌である一縷を歌ったのは女優、歌手として活動している上白石萌音。作詞・作曲・プロデュースは野田洋次郎が担当した。透明感のある歌声で映画に対する祈りが表現されている。
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目次 - Contents
- 『楽園』の概要
- 『楽園』のあらすじ・ストーリー
- 失踪事件
- 12年後
- 限界集落
- 凶悪な事件
- 希望
- 『楽園』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- 中村豪士(なかむらたけし/演:綾野剛)
- 幼少期の中村豪士(演:湯川颯)
- 湯川紡(ゆかわつむぎ/演:杉咲花)
- 幼少期の湯川紡(演:筧礼)
- 田中善次郎(たなかぜんじろう/演:佐藤浩市)
- 限界集落に住む人たち
- 黒塚久子(くろづかひさこ/演:片岡礼子)
- 黒塚久子の母親(演:吉村実子)
- 黒塚久子の父親(演:品川徹)
- 田中紀子(たなかのりこ/演:石橋静河)
- 少女失踪事件の関係者
- 藤木愛華(ふじきあいか/演:堰沢結愛)
- 藤木朝子(ふじきあさこ/演:根岸季衣)
- 藤木五郎(ふじきごろう/演:柄本明)
- 藤木将馬(ふじきしょうま/演:中野魁星)
- その他
- 野上広呂(のがみひろ/演:村上虹郎)
- 中村洋子(なかむらようこ/演:黒沢あすか)
- 中村洋子の恋人(演:モロ師岡)
- リサイクル業者(演:嶋田久作)
- 湯川紡が見かけた藤木愛華(演:祷キララ)
- 『楽園』の用語
- Y字路
- 少女失踪事件
- 秋季例大祭
- 『楽園』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 火だるまになる中村豪士
- 中村豪士「俺を捨てるの?」
- 野上広呂「紡は、俺たちのために楽園つくれ」
- 『楽園』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 役作りをせずに挑んだ綾野剛
- Y字路を探すのに3ヶ月かけた瀬々敬久
- 本作の仮のタイトルは「犯罪小説集」
- 『楽園』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:上白石萌音「一縷」