怒り(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
2010年に国内の映画賞を総ナメにした大ヒット作「悪人」の原作者吉田修一と監督李相日が6年振りにタッグを組み、音楽に坂本龍一を加え、実力派のオールスターキャストで挑んだ感動のヒューマンミステリー。八王子の平静な住宅街で残忍な夫婦殺人事件が起こる。一年後のある日、千葉と東京と沖縄に素性の知れない3人の男が現れ、それぞれに重厚な人間ドラマが展開する。愛した人は、殺人犯なのか?2016年9月全国公開。
『怒り』のあらすじ・ストーリー
ある夏、八王子の平静な住宅街で残忍な夫婦殺人事件が起こる。
室内には、被害者の血で書いたと思われる『怒』の文字が残されていた。犯人逮捕に有力な情報が無いまま時は過ぎ、やがて一年が経ってしまう。
そんな一年後のある日、千葉と東京と沖縄に、素性の知れない3人の男が現れた。
千葉の男「田代」
家出をして東京の風俗店で働いていた娘の愛子を千葉の漁港で働く父・洋平が連れて帰ってくる。
その後、愛子は2か月前から父の漁港で働き始めた田代に出会う。愛子は段々と田代と親密になっていき、やがて洋平に彼と一緒に住むと言い出す。
洋平はその直前、田代に愛子のために正社員になることを勧めて断られていたので複雑な心境だった。そして二人のアパート下見の際に田代が借金に追われている身であり偽名であることも発覚。そんな折、八王子殺人事件の整形した犯人の似顔絵が公開。そのモンタージュが田代と似ているためさらに疑念を強める洋平。田代を信じる愛子はその疑いを晴らすため警察に電話するが、その頃には田代も行方を眩ましてしまう。
東京の男「直人」
東京の大手通信会社に勤める優馬は、夜な夜な通うクラブで男との体の関係を続けていたが、ある夜知り合った直人と親密な関係になる。
やがて優馬は身元を明かさない直人を誘い同居を始める。ある時、優馬は癌を患う母・貴子の病室に直人も連れて行く。その後も一人で見舞いに行き母の相手をする直人に心の優しさを感じ、母が亡くなった時も彼は傍にいてくれた。だが優馬は日中の彼の行動や出来事に対し不信感を抱き始める。その頃、八王子の事件が報じられたニュースで犯人の特徴を知り、ふと直人の姿が重なる。そしてその疑いを口にしてしまったため、直人は優馬の前から姿を消す。
沖縄の男「田中」
母と沖縄に引っ越してきた高校生の娘、泉は、同い年の地元の民宿の息子、辰哉の案内で無人島を散策中、一人でサバイバル生活をしている田中と出会う。謎めいてはいるが気兼ねなく話せる田中に泉は心を開いていく。ある日、泉と辰哉は那覇で偶然田中と会う。食事をして別れるが、泉は泥酔しはぐれてしまった辰哉を探す途中に米兵に襲われるというショッキングな事件に遭遇してしまう。心に傷を受け日々立ち直ることのできない泉の姿に、自責の念にかられる辰哉。やがて田中が辰哉の民宿で働き始め、互いの友情が深まったころ、島に八王子殺人事件を追っている刑事がやってきた。
そして結末
千葉ではその後、警察により愛子の自宅が調べられた。
その結果愛子の自宅から見つかった指紋があの犯人と一致しないことを告げられる。田代は犯人ではなかった。
その後行方をくらませていた田代から電話が入り、愛子は田代を迎えに東京駅へ行った。
東京では、湯馬が以前直人を見かけたカフェに立ち寄ると、あの日直人が楽しく話していた女性の姿があった。
優馬は彼女に直人の行方を尋ねると、先日、心臓が昔から弱かった直人が公園で倒れ亡くなっていたことを知る。
直人は不遇な人生を悲観していた心の優しい青年だった。
そして沖縄では、民宿で働いていた田中がある日、フライパンを振り回し厨房や食堂を荒らし行方をくらませた。
辰哉は一人無人島へ向かい廃墟の中に田中を見つけると、そこにはハサミで壁をひっかいて書いた大きな「怒」の文字。
田中は辰哉に掴みかかり、泉の強姦事件を笑いながら陰で見ていたことを告白する。
裏切られたと逆上した辰哉は、田中が落としたハサミで彼の腹を突き刺した。
後日、犯人と働いていたと言う一人の男が夫婦殺害事件とは別件で取り調べを受けていた。
その男の話により、八王子殺人事件の殺人犯が田中である可能性が高まった。
だが、その容疑者・田中を殺害したとして辰哉は逮捕され、田中の死亡で事件の真相は闇に葬られてしまう。
千葉に住む主な登場人物・キャラクター
槙 洋平(演:渡辺 謙)
千葉の漁港で働く愛子の父。妻に先立たれ男手ひとつで愛子を育ててきた。
家出をして東京の風俗店で働いていた愛子を連れ戻すが、同じ漁港で働く田代に愛子がどんどん惹かれていくのを目の当たりにしながら苦悩する。
そんな折、田代が素性を偽っていることが分り不信感を抱き始める。
田代哲也(演:松山ケンイチ)
洋平と同じ漁協に現れ働き出す寡黙な男。
両親の借金を背負わされ、借金取りから逃れるために名前を変え各地を転々としている。
日々することが無い愛子に毎日のように手弁当をもらい、徐々に恋愛関係になり同棲を始めるが、洋平と愛子に過去を知られ、やがて姿を消す。
槙 愛子(演:宮﨑あおい)
家出して東京の風俗店で働いていたが、父に連れ戻され地元に帰ってきた。
何もすることが無く漁協をぶらぶらしていたある日、漁港で働き出した田代に興味を持つ。
やがて部屋を借りて同棲を始めるが、身元を偽っていた田代の素性を知る。
田代を疑う気持ちと愛する気持ちの狭間に揺れ苦悩する。
東京に住む主な登場人物・キャラクター
藤田優馬(演:妻夫木 聡)
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目次 - Contents
- 『怒り』のあらすじ・ストーリー
- 千葉の男「田代」
- 東京の男「直人」
- 沖縄の男「田中」
- そして結末
- 千葉に住む主な登場人物・キャラクター
- 槙 洋平(演:渡辺 謙)
- 田代哲也(演:松山ケンイチ)
- 槙 愛子(演:宮﨑あおい)
- 東京に住む主な登場人物・キャラクター
- 藤田優馬(演:妻夫木 聡)
- 大西直人(演:綾野 剛)
- 藤田貴子(演:原 日出子)
- 薫(演:高畑充希)
- 沖縄に住む主な登場人物・キャラクター
- 小宮山 泉(演:広瀬すず)
- 田中慎吾(演:森山未来)
- 知念辰哉(演:佐久本 宝)
- 見どころ
- 妻夫木聡と綾野剛の濃厚ベッドシーンにファンもびっくり
- 広瀬すずのレイプシーンは迫真の演技
- 劇中音楽は坂本龍一が担当
- ワールドプレミア出品
- 主な受賞歴
- 関連リンク