夜行観覧車(小説・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『夜行観覧車』とは、2010年6月に単行本が発行された原作者・湊かなえによる小説で、2013年にテレビドラマ化されている。主演は平凡な主婦・遠藤真弓を演じた鈴木京香。憧れの高級住宅街であるひばりヶ丘に一軒家を建てて引っ越してきた遠藤一家と、向かいに住む高橋一家。家族ぐるみで親しくなっていく内に起こった事件をきっかけに崩壊していく家族の様子を描いた主婦の愛憎劇。読み終わったあとにイヤな気分になるミステリー「イヤミス」の女王と称される湊かなえの代表作の一つである。

『夜行観覧車』の概要

『夜行観覧車』とは、湊かなえによる日本の小説が原作で、2013年1月18日から3月22日までTBS系で放送された、高級住宅地に住む主婦たちの愛憎劇を題材にしたテレビドラマ。キャッチコピーは「もう、戻れない。」。主演は平凡な主婦・遠藤真弓を演じた鈴木京香。原作は2010年6月に双葉社から単行本が刊行され、2013年1月に文庫化されている。

かねてからの念願叶って憧れの高級住宅街であるひばりヶ丘に一戸建ての家を購入して引っ越してきた遠藤一家。夢のような生活が始まると期待していたが、実はこの街は昔から住んでいる住人たちで構成された婦人会が存在し、街のルールや近所づきあいなど全てを仕切っていた。後からこの街に引っ越してきた遠藤真弓(えんどう まゆみ)や娘の彩花(あやか)は、事あるごとに彼女たちから嫌がらせを受けてしまう。そんな遠藤家の唯一の救いは向かいの高橋家。高橋淳子(たかはし じゅんこ)は真弓に優しく接し、ひばりヶ丘の住人の先輩として真弓たちを支える。その内、家族ぐるみで遠藤家と高橋家は親しくなっていき、真弓と淳子は親友のようになる。そんな中、高橋家の夫・弘幸(ひろゆき)が自宅で何者かに襲われて死亡。そして次男の慎司(しんじ)、妻の淳子も姿を消す。遠藤家でも彩花の家庭内暴力がエスカレートしていくという、高級住宅街ひばりヶ丘の家庭を中心に、ドロドロとした主婦たちの愛憎劇が進んでいくストーリー。

主演の鈴木京香は、初の演技となる平凡な主婦が評価され、第76回ザテレビジョンドラマアカデミー賞主演女優賞を受賞している。

『夜行観覧車』のあらすじ・ストーリー

遠藤家

憧れのひばりヶ丘に引っ越してきて幸せな遠藤一家。

遠藤真弓(えんどうまゆみ)は小さい頃から一戸建てに住んで家庭を築くことを夢見ていて、夫の啓介(けいすけ)と結婚して高級住宅街ひばりヶ丘に念願の一戸建てを建て、娘の彩花(あやか)と幸せな家庭を築くはずだった。しかし、彩花は強引に受けさせられた有名私立女子中学の受験に失敗し、それが原因で遠藤家では絶えず罵声が飛び交うような環境になってしまう。彩花は劣等感に苛まれ、ついにあらゆるものが歪んで傾斜しているように見える「坂道病」を発症してしまう。
その後、真弓が引っ越してきてから半年後、ひばりヶ丘のシンボルである日本最大級の観覧車ハーバー・アイが完成した。
ある日、医師の高橋弘幸(たかはしひろゆき)が後頭部を殴られて死亡しているのが発見された。妻の高橋淳子(たかはしじゅんこ)は自分が夫を殴ったと供述し、事件当時、長女の比奈子(ひなこ)と次男の慎司(しんじ)は留守だったことから、夫婦間で何らかのトラブルがあったと見て捜査が進められた。弘幸は医師で、比奈子も慎司も優秀で礼儀正しいと、まさに絵に描いたような幸せな家庭に見えていただけに、周辺住民には衝撃が走った。また事件当日、向かいに住む遠藤真弓は淳子と慎司が言い争う声を聞き、また事件が発生したと思われる時間帯にコンビニで慎司と会い、一万円を貸していた。その後、慎司は失踪してしまい、真弓は自分が事件に関与してしまったのではないかと心配していた。

事件の夜、真弓は淳子と慎司が言い争うのを聞いていたが、見て見ぬふりをした。事件後、高橋家にはひばりヶ丘の婦人会からの誹謗中傷の張り紙がされ、窓ガラスも石で割られているのが発見される。遠藤家では彩花の真弓への不満が爆発し、手当たり次第に物を床に投げつけていた。これまで我慢してきた真弓だが、大事な家を傷つけられたことで正気を失う。彩花の上に馬乗りになり、土を彩花の口に詰め込み、殺人になるところだったが、隣に住む小島さと子が止めに入ってその場をなんとか収めた。この時、夫の啓介は家の外にいたが、騒ぎを聞きつけて二人の仲裁に入るどころか逃げ出してしまう。向かった先は、仕事で訪れていた鈴木歩美(すずきあゆみ)という比奈子の友人だった。そこで啓介は、高橋家に貼られた誹謗中傷のビラを剝がすのを手伝ってほしいと頼み、歩美と弟の弘樹を連れて戻ると、遠藤家から真弓、彩花、さと子が出てきて、事件の答え合わせが始まった。

高橋家

高橋比奈子(たかはしひなこ)は、弟の慎司から大事な模試があるから家を空けてほしいと頼まれ、同級生で友人の鈴木歩美の家に泊まりに来ていた。その時、比奈子の携帯に警察を名乗る人物から連絡が入り、父親の弘幸が病院に運び込まれたことを知る。だが歩美が駆けつけた時、弘幸はすでに亡くなっていた。比奈子は父親を殺害したのは母親の淳子であるらしいということを聞くが、詳細は何も知らない。自宅に戻ることもできず、淳子の妹の晶子が一時的に引き取る。晶子は姉が殺人を犯したことが信じられず、比奈子に弘幸を暴力をふるわれていなかったかなど理由になりそうなことを聞き出そうとするが、弘幸を大事に思う比奈子はこれに反発する。
誰も信じられない状況で、比奈子が信じれられるのは弘幸と前妻の間に生まれた長男・良幸だけで、離れて一人暮らしする彼に戻ってきてほしいと連絡する。
翌日、学校の帰り道、遠藤彩花に会って事件について聞かされるが、彩花の悪意に晒され、悔しさを募らせた比奈子は良幸に自分から会いに行くことを決意する。一方、良幸は、事件を知ってもなお関係ないふりをしようとも考えたが、結局妹と弟を助けるために家族の元へ向かう。比奈子は行方不明になっていた慎司を見つけ、事情を聞こうとする。良幸が二人のもとに到着し、兄妹三人で事件のことを考えた。状況を整理していく中、慎司は父親から勉強ができないことで叱責され、さらにその怒りの矛先が母親にも向いていたと話していた。そしてだんだんと真実が浮き彫りになってくる。慎司を追い詰めていたのは本当は母親であり、中間テストの成績が振るわなかったことを理由にバスケットボールの道具を勝手に捨てたりしていた。追い詰められた慎司は事件当日に母親を怒鳴りつけた。そこに父親が仲裁に入ってその場は収まるが、事件が起きたのはその後であった。
三人は家に戻ると、ビラを剥がす歩美たちとさと子に出くわし、事件の答え合わせが始まった。

小島さと子

小島さと子はひばりヶ丘を高級住宅街と呼ばれるまで育てた自負があり、それを新参者が汚していくのが許せない。高橋家で殺人事件が発生し、ひばりヶ丘の名前が汚されてしまったさと子たち婦人会が取った行動は、高橋家への嫌がらせだった。家や壁に誹謗中傷のビラを貼り、石を投げつけて窓ガラスを割る。この時、真弓と彩花が揉み合うところを目撃し、さと子は彩花が殺される寸前に割って入り、なんとかその場をおさめた。そして遠藤家を後にすると、家を出たところで啓介たちが自分たちが貼ったビラを剥がしているのを目撃して大声をあげた。それに気が付いた真弓と彩花も外に出てきて、事件の答え合わせが始まった。

答え合わせ

遠藤家、高橋家、さと子の七人は、真実を知るために知っていることを話し出す。事件当時、自宅の車の中から高橋夫妻の会話を聞いていた啓介は、夫妻が慎司の学業のことで話し合い、父親は慎司には期待していないという会話をしていたことを話した。しかしそれだけで殺人まで犯すのか結論は出ず、みんなそれぞれの家に帰っていき、遠藤家は何気ない日常を取り戻す。
そしてその後、高橋家の子供たち三人は、真実にたどり着く。
高橋家の長男・良幸は前妻と弘幸の子供で、淳子は心の中で常に前妻の子・良幸と自分の子・慎司を比べていた。成績優秀で医学部に入った良幸に対して、自分が産んだ子である慎司の方ができが悪いということは許せなかった。しかし慎司はバスケットボールに夢中で、淳子の期待に応えようとしない。
事件当日、慎司は淳子に叱責されてコンビニに出かけてしまう。その後夫にうるさく言い過ぎだとたしなめられ、淳子は慎司を否定されているような気がして、我を忘れてトロフィーを手に取り気がついたら旦那を殺していた。
真実を知った三人は、それでも家族でいなければならないということで、事実は三人の胸の内に秘め、慎司は父親に追い詰められていて、母親が助けるためにやったのだと嘘をつき、刑が少しでも軽くなるよう世間に訴えるのだった。

『夜行観覧車』の登場人物・キャラクター

遠藤家

遠藤真弓(えんどうまゆみ/演:鈴木京香)

苦しい経済状況ながらも、以前から夢に描いていた高級住宅街ひばりヶ丘に一戸建て住宅を建て、夢のような暮らしを思い描いていた平凡な主婦。ひばりヶ丘の日本最大級の観覧車ハーバー・アイが完成する前に引っ越してきた。近所の付き合いやローンの支払いなどで家計がひっ迫し、スーパーで働き始める。ひばりヶ丘の自治会から嫌がらせを受けるが、向かいに住む淳子が救いの手を伸ばし、家族ぐるみの付き合いとなる。受験に失敗した娘の家庭内暴力に思い悩んでいる。

遠藤啓介(えんどうけいすけ/演:宮迫博之)

左が遠藤啓介。

ヤマベ工務店の営業として勤務しているものの、社内で早期退職を募っていることに不安を感じている。高橋弘幸と話している内に会社から独立する話題になり、資本金1000万円を融資しても良いと提案を受ける。妻や娘のいざこざに辟易しており、家庭にはあまり寄り付かないスタンスをとっている。事件当日は家に入らず車の中にいた。

遠藤彩花(えんどうあやか/演:杉咲花)

遠藤真弓と啓介の娘で、高橋家の慎司と同じ有名私立校を受験してたが失敗した。その後、友人の志保と同じ公立の中学に入学するものの、仲良しグループから仲間外れにされいじめを受けてしまう。全てひばりヶ丘に引っ越してきたことが原因であると思い込み、坂道病を患って、そのプレッシャーから家庭内暴力をふるって暴れるようになってしまう。

高橋家

7napecend
7napecend
@7napecend

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楽園(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

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『楽園』とは、瀬々敬久による2019年のサスペンス映画。 未解決の少女失踪事件が発生してから12年後、同じ場所で再び少女が失踪する。これを契機に容疑者として疑われた青年、心に傷を負う少女、限界集落に住む養蜂家の男性の人生が交錯していく。原作は吉田修一の短編集『犯罪小説集』である。主要キャストに綾野剛、杉咲花、佐藤浩市らが出演。少女失踪事件に関わりのある者たちの数年間が描かれており、人間が追い詰められていく様子に目が離せない作品である。

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八日目の蝉(小説・ドラマ・映画)のネタバレ解説・考察まとめ

八日目の蝉(小説・ドラマ・映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『八日目の蝉』とは、角田光代による連載小説および、それを原作としたドラマと実写映画作品である。 「優しかったお母さんは、私を誘拐した犯人でした」のキャッチフレーズで公開された。 主人公・希和子は不倫相手の子を誘拐し4年間の逃亡生活をする。誘拐された女児・恵理菜は本当の親の元に戻っても普通の生活はできず、心を閉ざしたまま大人になる。 母性をテーマに描かれた作品で、恵理菜と希和子二人の視点で交互に描かれている所も見どころの一つとなっている。

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366日(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

366日(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『366日』とは、HYの同名楽曲を元に制作されたオリジナルストーリーのテレビドラマ。広瀬アリスが音楽教室の受付に勤める雪平明日香を、眞栄田郷敦が明日香の高校時代の同級生・水野遥斗を演じる。4年に1度のうるう年。遥斗と再会した明日香が、12年越しの恋を実らせる。しかし遥斗は事故に遭い、記憶を失ってしまう。過酷な試練を乗り越えていく明日香と遥斗の1年間を描いている。主題歌の『366日』は、HY・仲宗根泉と、毎話ごとに異なる男性アーティストのコラボバージョンが流れ、SNSを中心に大きな話題を呼んだ。

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アメトーーク!(アメトーク!)の名言・発言まとめ

アメトーーク!(アメトーク!)の名言・発言まとめ

『アメトーーク!』はテレビ朝日系列で2003年から放送されているトークバラエティ番組である。正式タイトルは「雨上がり決死隊のトーク番組アメトーーク!」で、「○○芸人」などの共通のくくりを持った芸人たちを集めて毎回トークを繰り広げる。そんな共通のくくりで集まった芸人たちが多彩な名言・発言を残している。

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四月は君の嘘(君嘘)の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

四月は君の嘘(君嘘)の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『四月は君の嘘』とは、新川直司のピアノを題材にした漫画作品。2011年から2015年まで『月間少年マガジン』にて連載された後、アニメ化、実写映画化、舞台化、ミュージカル化もされている人気作品だ。母の死をきっかけに、ピアノの音が聴こえなくなった元天才ピアニストの有馬公生。暗い日々を過ごす中、圧倒的な個性を持つヴァイオリニストの宮園かをりと出会い、再び音楽を通じて成長する物語である。音楽に情熱を注ぐ演奏家たちや彼らを支える周りの人の言葉は、心を動かされるものが多い。

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関ジャニ∞(エイト)の徹底解説まとめ

関ジャニ∞(エイト)の徹底解説まとめ

関ジャニ∞とは、2002年12月18日に結成。2004年8月25日にシングル『浪花いろは節』で関西地区限定でCDデビューをしたグループ。同年9月22日、同曲で全国デビューを果たした。関ジャニ∞のエイトが無限大標記なのは、無限大の可能性という意味がこもっている。 ジャニーズ事務所に所属するアイドルでありながら、ロックフェスに出演したりバラエティーで活躍を見せたり個々でも舞台やドラマなど幅広く活躍の場を広げているグループである。

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