蜜蜂と遠雷（小説・漫画・映画）のネタバレ解説・考察まとめ
『蜜蜂と遠雷』とは、恩田陸による青春群像劇をテーマとした長編小説であり、またそれを原作とした皇なつきを作画とするコミカライズ作品、そして石川慶監督による実写映画作品である。劇場公開は2019年。
映画作品では、松岡茉優、松坂桃李、森崎ウィン、鈴鹿央士が才能のあるピアニストをそれぞれ演じ、ピアノの天才達が集う芳ヶ江国際ピアノコンクールに挑む。一次予選、二次予選を突破し、本選に出場しようと努力するコンテスタントたちの戦いが描かれている。彼らの音楽に対する想いや苦悩、葛藤が演奏を通して見えてくる。
遠雷を見る風間塵。
栄伝、マサル、高島、仁科、風間がやってきた海辺の、はるか遠くで鳴っていた雷。高島が二次予選に落選した後、風間が海に行こうと彼らを誘った。
砂浜を歩き、海風を受け、風間は「世界が鳴っている」と呟いた。
『蜜蜂と遠雷』の名言・名セリフ／名シーン・名場面
高島の二次予選で過去を思い起こす栄伝
二次予選の課題曲である「春と修羅」。そこで高島は生活者の音楽を取り入れたカデンツァを演奏した。生活者の音楽は彼の信念であり、誰にでも分かる音楽を弾きたいと願っている。そんな彼の演奏を客席で聞いていた栄伝は目を瞑って笑みを溢す。かつて母親と一緒に連弾した子どもの頃を思い出したのだ。
高島の大切にしている生活者の音楽が客席にきちんと伝わっているシーンになっている。
風間と栄伝が連弾する月の光
月の光を弾く風間と栄伝。
栄伝が「春と修羅」のカデンツァを練習しているところに風間がやってくる。世界中に誰もいなくなっても弾き続けたいくらいピアノが好きだ、という風間はただ純粋にピアノを愛していて、演奏することを楽しんでいる。そこで月を見つけた風間は月の光を演奏し始める。栄伝も隣で音を奏で、2人は次第に笑顔になる。
風間は栄伝にとって、弾くことを楽しむという彼女が忘れかけていた原初的な感情を思い起こさせてくれた存在なのである。月明かりに照らされピアノを弾く2人が印象的なシーンである。
栄伝の母「あなたが世界を鳴らすのよ」
本選の出番直前で自分には無理だと感じて帰宅しようとした栄伝。そこで偶然耳にした雨音で過去の思い出が蘇る。それは母と連弾し、自然の音に耳を澄ませた思い出だった。
雨の音や時計の音、自然に溢れる音を聞きながら「あなたが世界を鳴らすのよ」と言われる過去の栄伝。その言葉を雨を通して思い出し、彼女は本選に出場する覚悟が決まった。
そして見事な演奏をやってのけ、観客から溢れんばかりの拍手を受ける。母の死から立ち直れなかった過去の自分から抜け出し、打ち勝つことができた。
『蜜蜂と遠雷』の裏話・トリビア・小ネタ／エピソード・逸話
『蜜蜂と遠雷』が映画デビュー作の鈴鹿央士
鈴鹿央士は本作で映画デビューを果たし、第44回報知映画賞の新人賞を獲得している。
これが俳優として初めての仕事だったが、温かい現場で居心地良く撮影ができたとインタビュー内で答えている。
演奏はプロのピアニストが担当
コンクールでの4人の演奏は、それぞれプロのピアニストが担当している。
栄伝亜夜は、河村尚子。高島明石は、福間洸太郎。マサル・カルロス・レヴィ・アナトールは、金子三勇士。風間塵は藤田真央。
俳優の演技と、日本を代表するピアニストたちの演奏が合わさる。
難易度の高い役だった栄伝亜夜
劇中での栄伝亜夜は過去に受けた心の傷を抱えながらも再度コンクールに挑む人物で、自分の気持ちを明かすことも少ない。そのため、表情や細かな仕草などで栄伝亜夜という人物を表現しなくてはならず、演じた松岡茉優は役作りに苦労したとインタビュー内で語っている。
『蜜蜂と遠雷』の主題歌・挿入歌
劇中音楽：藤倉大『春と修羅』
二次予選の課題曲「春と修羅」を作曲したのが作曲家の藤倉大。栄伝、マサル、風間、高島それぞれのカデンツァ部分も書き下ろした。第43回日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞した。
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目次 - Contents
- 『蜜蜂と遠雷』の概要
- 『蜜蜂と遠雷』のあらすじ・ストーリー
- 一次予選
- マサルと栄伝
- 高島の「春と修羅」
- 栄伝と風間の連弾
- 二次予選の続き
- 本選のリハーサル
- 本選当日
- 結果
- 『蜜蜂と遠雷』の登場人物・キャラクター
- 主要キャラクター
- 栄伝亜夜（えいでんあや／演：松岡茉優）
- マサル・カルロス・レヴィ・アナトール（演：森崎ウィン）
- 高島明石（たかしまあかし／演：松坂桃李）
- 風間塵（かざまじん／演：鈴鹿央士）
- コンテスタント
- ジェニファ・チャン（演：福島リラ）
- アレクセイ・ザカーエフ
- キム・スジョン
- チョ・ハンサン
- フレデリック・ドゥミ
- 審査員
- 嵯峨三枝子（さがみえこ／演：斉藤由貴）
- ナサニエル・シルヴァーバーグ（演：アンジェイ・ヒラ）
- セルゲイ・スミノフ
- アラン・シモン
- 音楽関係者
- 小野寺昌幸（おのでらまさゆき／演：鹿賀丈史）
- 田久保寛（たくぼひろし／演：平田満）
- 菱沼忠明（ひしぬまただあき／演：光石研）
- ユウジ・フォン＝ホフマン
- ピアノ調律師（ぴあのちょうりつし／演：眞島秀和）
- その他
- 仁科雅美（にしなまさみ／演：ブルゾンちえみ）
- 高島満智子（たかしまみちこ／演：臼田 あさ美）
- 栄伝亜夜の母親（演：キタキマユ）
- クロークの女性（演：片桐はいり）
- 綿貫（わたぬき）
- 浜崎奏（はまさきかなで）
- 浜崎（はまざき）
- 『蜜蜂と遠雷』の用語
- 芳ヶ江国際ピアノコンクール
- コンテスタント
- 遠雷
- 『蜜蜂と遠雷』の名言・名セリフ／名シーン・名場面
- 高島の二次予選で過去を思い起こす栄伝
- 風間と栄伝が連弾する月の光
- 栄伝の母「あなたが世界を鳴らすのよ」
- 『蜜蜂と遠雷』の裏話・トリビア・小ネタ／エピソード・逸話
- 『蜜蜂と遠雷』が映画デビュー作の鈴鹿央士
- 演奏はプロのピアニストが担当
- 難易度の高い役だった栄伝亜夜
- 『蜜蜂と遠雷』の主題歌・挿入歌
- 劇中音楽：藤倉大『春と修羅』