0.5の男（ドラマ）のネタバレ解説・考察まとめ

『0.5の男』の概要

『0.5の男』とは、衛星放送であるWOWOWの「連続ドラマW」枠で2023年5月28日から6月25日まで放送されたテレビドラマである。主演を俳優の松田龍平が務め、主人公の妹役は女優の臼田あさ美が演じ、その両親役には木場勝己と風吹ジュンらベテラン俳優を起用している。監督は『南極料理人』や『火花』などのドラマを手がけた沖田修一であり、当ドラマは沖田修一によるオリジナル作品となっている。主人公の立花雅治は、仕事のトラブルがきっかけで引きこもりになり、深夜にオンラインゲームをする生活を送っている。ゲームの世界で彼はQ太郎と名乗っており、カリスマ的な存在だった。実生活では同居する両親とのみ交流があり、外出も深夜にコンビニに行く程度だった。ある日、妹夫婦との同居により、両親以外の人達と交流する事になる。雅治は環境の変化に対応できず戸惑い、同居している姪からは不審者のような扱いを受けてしまう。だが姪とはゲームを通じて打ち解け、一緒にアイスを食べながら散歩をする程仲良くなる。また、甥の幼稚園への送迎で幼稚園の先生との交流が生まれ、やがて雅治は保育士になる事を決意し自立を果たすのだった。本作はWOWOWだけでなく、アマゾンプライムやネットフリックスなどの大手配信サイトでも放送される人気作となった。

『0.5の男』のあらすじ・ストーリー

家族以外との交流

40歳にして引きこもりの立花雅治（たちばなまさはる）は、実家で父の立花修（たちばなおさむ）と母の立花恵子（たちばなけいこ）と同居し、オンラインゲームをして過ごしていた。両親との関係は良好だが、それ以外の人との交流はなかった。ある日母から「家を2世帯にする」と告げられ、ハウスメーカーの営業マンである川村（かわむら）と妹夫婦が家に来たため自室に籠ってしまう。リフォーム後の見取り図を見た雅治の妹である塩谷沙織（しおやさおり）は、玄関が1つしか無い事に不満を漏らすが川村からは「予算の問題なので」と言われてしまう。また、沙織は雅治の部屋がシャワー付きの防音室になっている事に苦情を言うが、恵子は「雅治との同居は絶対条件だ」と譲らず険悪な雰囲気になってしまう。さらに雅治は再会した姪の塩谷恵麻（しおやえま）から、「キモい」と言われてしまう。雅治は、リフォームが完成するまで漫画喫茶に寝泊まりしていた。そこでいつものようにゲームをしていると、仲間から実況を勧められるが上手くできずに苦戦していた。そしてリフォームが完成した家に戻り、SNSを見た雅治は姪にフォローされている事を発見する。その後無事リフォームが完成し、川村を招待しお祝いをする。だがそこで恵子と沙織が口論になり、友達と離れ離れになってしまった恵麻は終始不機嫌だった。川村の提案で記念写真を撮ろうとするが、恵麻と沙織が口論となり恵麻は部屋に籠ってしまう。その夜台所で恵麻と遭遇した雅治は、声をかけようするが恵麻が悲鳴をあげてしまう。恵子に事情を聞かれた雅治は、何も言わずコンビニに向かった。その後雅治はコンビニで店員のホセ（ほせ）から、最近店に来なかったので「病気だったのか？」と聞かれお礼を言い店を出る。沙織と夫の塩谷健太（しおやけんた）が出社する時間になっても、息子の塩谷蓮（しおやれん）は保育園に行こうとしないため恵子と家で過ごす事になる。そして沙織は職場に復帰し、社内で歓迎されていたが娘の恵麻は学校に馴染めずスマホばかり見ているため「感じ悪いよ」と言われてしまう。さらに恵子が階段で転んで怪我をしてしまい、恵麻は前の学校の友達との約束をキャンセルする事になる。恵子が病院に行っている間蓮は雅治と過ごす事になり、恵子は心配していたが蓮は雅治に懐いており一緒に昼寝をしてた。翌日蓮を幼稚園に連れて行ったが、恵子が怪我をしているため雅治が蓮を迎えに行く事になり、外に出たがお隣さんに声を掛けられ驚いて家に戻ってしまう。結局蓮のお迎えは恵麻が行く事になり、雅治がお礼を言うが逆に恵麻に警戒されてしまう。翌日恵麻は体育の授業でグループになりダンスをしていたが、周りについていけず早退してしまう。さらに蓮が幼稚園からいなくなったと連絡が入り、雅治が探しに向い河原で蓮を見つける。そこに学校を無断で早退していた恵麻が現れる。蓮がまだ遊びたいため3人で河原にいると、幼稚園の先生である田崎瞳（たさきひとみ）が現れる。翌日も蓮は保育園に行きたがらず家にいる事になったが、雅治と一緒にお気に入りのテレビ番組である「昆虫戦隊バグレンジャー」のダンスをしているのを見た家族は驚いていた。そして恵子はその姿を見て涙ぐんでいた。

外の世界に踏み出す

ある日蓮を迎えに行った雅治は、瞳から恵麻に借りていたハンカチを返してもらうよう頼まれる。恵麻はこの日も早退してしまい、雅治は帰ってきた恵麻に返そうとするも「2階に上がってこないで」と言われてしまう。その後部屋でゲームを始めた恵麻は、ゲーム内でQ太郎に招待された事に驚いていた。恵麻はQ太郎が雅治だと知らず、一緒にゲームをし、その後メッセージで「Q太郎さんと対戦できて嬉しい」と伝え師匠と呼ぶのだった。そして恵麻は学校に馴染めず早退してしまった事や、雅治を警戒している事などを打ち明けるのだった。翌日蓮を幼稚園に連れて行った雅治は、パソコンの操作を頼まれゲームクリエイターと誤解されてしまう。そして雅治は、瞳にどうしたら姪っ子と話せるのか相談したところ瞳は「無闇に踏み込まない方がいい」とアドバイスした。その頃沙織の職場に恵麻の担任から連絡があり、早退を繰り返している事を知らされる。沙織は家に帰り恵麻に事情を聞くが、答えないためスマホを没収しようとして喧嘩になり恵麻は雅治の部屋に閉じこもってしまう。そこで恵麻は、メッセージの書かれた大量の付箋を見つけ、そこには雅治が引きこもりになってしまった経緯が書かれていた。そして深夜に恵麻が台所に行くと、冷蔵庫に雅治からのおにぎりと瞳からのお礼の品が入っていた。翌日、雅治が部屋に戻ると恵麻の書いた付箋があり「おにぎりとハンカチありがとうございました」と書かれていた。その後、恵麻は恵子に雅治が引きこもりになった理由を聞いた。そこで恵子は「雅治が苦しんでる時、私たちが気づいてあげられなかったから」と語った。そして恵麻に「あの子が苦しんでる時は助けてあげて」と話した。雅治はゲーム仲間のオフ会に参加し、徐々に外の世界に繋がりができ始めていた。さらに、お隣がゲーム仲間の玉虫（たまむし）の自宅だった事も判明する。その後、蓮の通う保育園でもんじゃ焼き祭りがあり、そこで健太に瞳と付き合っているのかと聞かれる。雅治は否定するが周囲は付き合っていると思っていたと知らされる。恵麻はスマホの修理のために近所の電気屋に向かうと、偶然クラスメイトの菅原爽香（すがわらそうか）の自宅であり父親が戻るまで一緒にゲームをする事になり意気投合するのだった。さらに雅治はいつもは自室で食事をしていたが、両親と食事をするようになり恵子は涙ぐみ修は一緒にビールを飲もうと誘った。ある日蓮を迎えに行った雅治は、かつての上司である岸田（きしだ）と遭遇する。岸田に近況を聞かれた雅治は、突然言葉が出なくなり逃げるように蓮を置いたまま家に帰ってしまう。その様子を偶然見かけた恵麻が蓮を迎えに言ったところ、岸田がおりかつての雅治について話を聞く。会社員時代の雅治は、プロジェクトのリーダーであり優秀な社員だった。だが、岸田は恵麻に「仕事熱心な雅治に甘えてしまったのがいけなかった」と打ち明ける。その後雅治は仕事を休むようになり、連絡が取れないため自宅に行くと別人のようになっていたとの事だった。その日の夜、恵麻は雅治とのゲーム後にメッセージのやり取りをしたが雅治は「頑張りたいけど、不安で仕方ない」と打ち明けた。恵麻は「師匠がまた、元気になるよう祈ってます」と返事をしたのだった。翌日瞳に呼び出された雅治は、近所の公園に向かうと岸田がおり逃げようとするが瞳に説得され2人で話す事になる。岸田は雅治が仕事を辞めた事に責任を感じており謝罪するが、雅治は「岸田さんのせいじゃない」と言い2人でブランコをしていた。その後恵麻と雅治が帰宅すると、お隣の鴨志田道代（かもしだみちよ）が庭に倒れていた。さらに道代の夫である鴨志田幸助（かもしだこうすけ）の悲鳴が聞こえてきた。修が暴れる玉虫を取り押さえたが、腰を痛め救急車で病院に運ばれてしまった。

自立

朝食を食べていた雅治を修がランニングに誘うと、雅治が「走る」と言い出したため恵子と修は驚いていた。その夜雅治が偶然コンビニで玉虫に会い、「今は消防士を目指しておりゲームはしばらくやらない」と言われてしまう。雅治は驚きながらも、「がんばって」と言い玉虫と別れた。その夜恵麻から「カスタムマッチしませんか？」とメッセージが来たが、雅治は深夜なので断ると恵麻は「Q太郎が実は雅治だと気づいていた」と打ち明ける。以前雅治の部屋に入った時に偶然気づいており、雅治は慌てたが恵麻は怒っておらず翌朝一緒にゲームをする約束をした。蓮を迎えに言った雅治は、瞳に「どうやったら保育士になれるのか」と相談したところ、「試験を受ければ大丈夫」と言われ驚きながらも応援してくれた。さらに話の流れで「雅治さんが好きです」と言われる。だが瞳は「冗談です」と話をごまかしてしまった。翌朝修と雅治は、鴨志田から車を借り酒蔵に出かけた。帰りの車内で雅治は「家を出て働く」と打ち明け、修は「ゆっくりでいい」と言い応援した。そして酒蔵で汲んだ酒は、雅治が道で転んで落としてしまい飲めなかったが、上機嫌の修はただ笑っているだけだった。その夜川村が家を訪れ、改めて雅治を含めて家族写真を撮影した。そして雅治は、近所のコンビニでバイトを始めるのだった。

『0.5の男』の登場人物・キャラクター

主要人物

立花雅治（たちばなまさはる／演：松田龍）

仕事のトラブルが原因で引きこもりになり、オンラインゲームをしている。ゲーム上ではQ太郎と名乗っており、カリスマ的な存在だが両親以外とは交流がなく深夜にコンビニに外出するだけの生活を送っている。妹夫婦との同居をきっかけに、甥を幼稚園に送り迎えするようになり徐々に人との繋がりを持つようになる。姪の塩谷恵麻（しおやえま）から当初は警戒されていたが、ゲームがきっかけで打ち解けるようになる。また、ゲーム仲間のオフ会に参加したり甥と仲良くなった事で保育士を目指すようになる。

立花修（たちばなおさむ／演：木場勝己）

雅治の父であり、仕事を定年退職しジョギングと囲碁教室に通うのが日課。リフォームの際は、餅まきにこだわり妻の反対を押し切って実行した。腰痛持ちであり、お隣の喧嘩を止めに入った時に腰を痛めて救急車で運ばれた事もある。

立花恵子（たちばなけいこ／演：風吹ジュン）

雅治の母であり、ハワイの名産を玄関に飾ったりフラダンスを教えたりしている。雅治が引きこもりになった事に責任を感じており、何かと雅治を擁護する。また、雅治が徐々に外の世界に出ていくようになりる姿を見た時は涙ぐんでいた。

塩谷恵麻（しおやえま／演：白鳥玉季）

雅治の姪であり、生まれた時に1度会っただけなので本人は覚えていない。当初は転校先の学校に馴染めず、早退するようになってしまう。同居したばかりの頃は雅治の事を警戒していたが、後にゲームを通じて交流が生まれる。当初は雅治だと気づかずに悩みを相談していたが、その事がきっかけで仲良くなる。また偶然スマホの修理のため訪れた電気屋がクラスメイトの家であり、ゲームを通じて仲良くなる。