キャラクター（2021年の映画）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

重要参考人

重要参考人とは、ある犯罪に対し、その事件の犯人の可能性が高いと考えられている人物のことを指す。犯人として取り調べが開始されるまでは「重要参考人」と呼ばれ、その取り調べが始まると「被疑者」と名称が変わる。作中では、「船越一家殺害事件」の第一発見者である山城や、捜査線上にあがってきた辺見が「重要参考人」と呼ばれている。

遺棄

遺棄とは、棄てたまま放置しておくこと。中でも「死体遺棄」は人が死んだあとに火葬などのしかるべき処理を行わないまま捨て置くことで、刑法で禁止されている行為である。これに違反した場合は死体遺棄罪が適用され、懲役刑に課せられる。作中では「船越一家殺害事件」をはじめ何組かの4人家族の死体が、両角により遺棄されている。

九條村

両角が子供の頃に暮らしていた宗教コミュニティ。「4人家族を幸せの一単位」と考える複数の家族が暮らしていたが、九條村にいた多くの子供たちは無国籍で親と血がつながっていなかった。行政によりコミュニティが解体されたことで両角は他人の戸籍を買い取ってひっそりと暮らしていたが、自己愛性パーソナリティ障害となり一連の事件を起こす。

無理心中

無理心中とは、その気のない人物を無理やり道連れにして死ぬこと。多くの場合は無理やり引き込んだ相手を殺してから自ら命を断つ。作中では、両角が幼い頃暮らしていた九條村で無理心中が行われたことが描かれている。

無国籍児

無国籍児とは、戸籍のない子供のこと。外国籍の女性が未婚のまま日本で出産した子や、前の夫と離婚後既定の期間を経ずに産まれた子など、無国籍児になるパターンはいくつか存在する。戸籍がないままだと健康保険証や身分証明書を取得することができないため、将来的に結婚・出産することが難儀になる。また、無国籍児が戸籍を獲得するには家庭裁判所を介すなどの煩雑な手続きが必要である。作中では、両角をはじめ九條村で暮らしていた子供たちの多くが無国籍児だったことが判明した。

その他の用語

粉骨砕身

粉骨砕身とは、仕事や勉強に精一杯努力している、もしくはする様子を表現した言葉。類義語に「一生懸命」などがある。作中では、上司である奥村に元暴走族であることを理由に疎まれていることに対し、清田が「粉骨砕身頑張ります」と返している。

自己愛性パーソナリティ障害

自己愛性パーソナリティ障害とは、人間の精神障害の一つである。自分の能力を過大評価して他者より優れていると考え、それを賞賛され良く思われることにとらわれる傾向にある。また、否定されると過剰に落ち込んで引きこもったりカッとなって感情が抑えられなったりする。作中では両角がこの障害を持っており、自分を否定する山城に対して「僕に感謝の一言もないんだ！」と激高するシーンがある。

『キャラクター（2021年の映画）』の名言・名セリフ／名シーン・名場面

山城健吾と両角の初めての邂逅

船越一家の殺害現場で、山城と両角が初めて出会うシーン。物語はこの二人が出会ったことで始まる。
偶然船越一家の殺害現場に足を踏み入れ犯行現場を目撃したにもかかわらず、「4人家族」にしか興味のない両角に見逃された山城は、この事件からインスピレーションを受けて漫画『34』を大ヒットさせた。創作意欲の赴くままに『34』を描き続ける山城に応えるかのように、両角もそのストーリーをなぞって犯行を重ねていく。小さなころから本当の意味で自分を理解してくれる人がいなかった両角は、『34』によって自分の行いを肯定してくれるかのような山城のことを「先生」と崇拝するようになる。しかし次第に山城が夏美や周囲の人間を危険にさらすことを恐れ『34』を打ち切ろうとしたため、共作のつもりで犯行を続けていた両角の反感を買ってしまう。そうして、捜査に加わっていた清田や山城自身も両角の凶刃にさらされることとなるのだった。

清田俊介「俺は好きだよ、『34』」

両角が自分と夏美に接触してきたことで『34』の連載をやめる、と山城は決める。それに対しこれからも漫画を描き続けて欲しい、と清田が言ったセリフ。
両角の起こした事件を扱った漫画『34』を、清田は警察官という立場とは別に一読者として心から楽しんでいた。そのため、連載をやめると告げた山城に「俺は好きだよ、『34』」と励ましの言葉を贈る。さらに清田は「新作のことでも考えてな」とも続けた。ストーリーの作り方も画力も全ては山城の努力の賜物であり、ぜひ漫画家を続けて欲しいと考えたからだ。結果的に両角に近づきすぎてしまった清田は殺され、山城にとってこの時の言葉が清田の遺言となってしまった。しかし清田の同僚である真壁も「清田はあんたの漫画がほんとに大好きだった。あんたもやるべきことをやんなよ」と言い、山城は清田の想いを受けて家族を守るため行動することを決める。そうして清田や真壁からの励ましを受け、山城は両角と決着をつけるべく再び漫画を描き始めるのだった。