いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう(いつ恋)のネタバレ解説・考察まとめ
『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(いつ恋)とは、東京という街で必死に生きる若者たちの恋愛を描いた日本のテレビドラマである。フジテレビ系列で2016年1月から3月まで放送された。坂元裕二によるオリジナル脚本作品。主演を有村架純と高良健吾がつとめた。東日本大震災が発生する2011年前後と、5年後の2016年からの2部構成で描かれている。第3回コンフィデンスアワード・ドラマ賞作品賞・脚本賞などを受賞した。
空白の5年間、練に何があったのか
朝陽は、パーティーに行けなかったことを謝るため音の家を訪ねた。
朝陽は音を後ろから抱きしめて「音。結婚しよう。俺と一緒にしあわせになろう」とプロポーズする。朝陽が差し出した指輪を、音は受け取ることができなかった。音の様子をみて、朝陽は「返事はいますぐじゃなくていいから、考えてみて。いまみたいにきつい仕事をする必要もないし、もっと良いところにも住まわせてあげられる。君をしあわせにする自信があるんだ」と伝えた。
音は、帰ろうとしていた朝陽に練と会ったことを打ち明ける。練に助けてもらったことがあるから力になってあげたい、という音の思いを、朝陽は渋々受け入れた。
音は喫茶店で佐引と会っていた。震災の年の秋ごろ、地元の福島に帰省していた佐引は、会津まで練の顔を見に行ったという。震災のあと、練に何があったのか音に語り始めた。「練と会ったのは、練のじいさんが倒れて入院したあとだった。じいさんは…人が変わってた。苦労して農業一筋で生きてきた80の老人が、怒りと憎しみだけの人になってた。周りを罵って、傷つけて、恨んでた。それを誰よりも向けられたのは練だった。もうじいさんには練が誰なのかわかってない。そんな状態で毎日毎日口汚く責めるんだよ。この卑怯者が。この盗人が。俺の畑を返せ。俺の山を返せ。おめえのせえだ。死んじまえ。病気だから仕方がないのに練はバカだからさ受け止めちゃうんだよ。じいちゃん、申し訳ねえって。罵倒されて蹴られて、謝り続けてた。それが大好きなじいちゃんの最後だったんだよ。夢も思い出も帰る場所も、あいつを支えてた全部が消えてなくなったんだ」と話す佐引の言葉を、音は苦しそうな表情で聞いていた。
練のオフィスへと向かった音は、静恵が会いたがっていることを伝えた。練は、通りがかりに引っ越し業者の姿を見かけ、佐引たちと働いていたときのことを思い出していた。自分がまちがった生き方をしていると感じた練は、練は晴太に「この仕事を辞める」と告げると、晴太も一緒に仕事を辞めた。
練は静江に会いに行き、震災のとき、祖父が亡くなってからの話をした。練の表情はだんだんと、音や木穂子、静江たちと過ごしていた頃のやさしい表情に戻っていった。
練は、小夏を連れて静恵の家に身を寄せ再び柿谷運送で働き始めた。仕事帰りのバスで練と一緒になった音は、静恵の家に立ち寄る。東京を離れていた5年間でいろんなものが変わったと楽しそうに話す練に、音は朝陽にプロポーズされたことを告げた。
一番、好きな人
音からプロポーズの返事をもらえない朝陽は焦っていた。音は「介護の仕事をやめたくない」と伝えると朝陽は「あんな仕事…」と言ってしまう。そして音は「この部屋出たくない。私が東京にでてきて、自分で手に入れた部屋なの。どれも大したことないけど、どれも自分で自由にできるものなの。それって私にとってすっごく大事なことなの」と続けた。朝陽は音に「なんでこのタイミングで昔好きだった男に会い行っていいか俺に聞くわけ?黙って行ってほしかった」と言う。本社勤務になってからの朝陽は、施設で一緒に働いていたときの朝陽とは別人のようになっていた。
「父親との食事会が急遽明日になった」という朝陽に、音は「明日は夜勤だ」という。朝陽は「俺が指示してシフト変えてもらうよ」と笑顔で言った。音は朝陽に「結婚のことは時間をかけて考えたい」と訴えるが、朝陽は「結婚の話を進めて、生活の基盤も徐々に作って行けばいいんだよ」と言い聞かせるように言う。音は「説得しないで」とすこし強い口調でつぶやいた。
食事会の日。朝陽は音に「僕がフォローするから黙ってうなずいていれば大丈夫」だと言う。
音の生い立ちの話になると、朝陽は「音の父は市役所勤務で、音は北海道から東京の大学に出てきて介護の仕事に目覚めて春寿の杜で働きはじめた」と説明した。自分の生い立ちとあまりにちがう話をする朝陽に、音は驚いた表情をする。
しばらくして征二郎は、「車に置いてきたかばんを取ってきてほしい」と、朝陽に取りに行かせる。音とふたりになると征二郎は「ほんとはどうなんですか?どこまでが本当でどこからが嘘なんだ?」と音に尋ねた。音は一瞬戸惑った表情をみせたが、本当の自分の生い立ちを淡々と話し始めた。
音の生い立ちを聞いた征二郎は「貧しい人はここ(心)が強い。君の様な人は大歓迎です。しあわせになりなさい」と音に手を差出す。しかし音は手をとらなかった。
答えを出した音
食事会が終わり、父を見送った朝陽が振り返ると音の姿がどこにもなかった。携帯もつながらず、心配になった朝陽は静江の家を訪ねる。練が「音は来ていない」と伝えた。
心配になった練は音のアパートを訪ねた。音は練に「すこし話をしよう」と家に入れた。その日が練の誕生日であることを知った音は、練の似顔絵をプレゼントすることを提案する。
練の似顔絵を描く音に、練は「最近、ずっと杉原さんのこと考えてました。何をしてても、杉原さんのこと考えてました。杉原さん。好きです」と告白した。音が返事をしようとすると、音の部屋の扉が開きそこに朝陽の姿があった。
別の日、仕事を終えた練が家に戻ると、小夏が会津の母親と電話で話をしていた。練は小夏の母にから「練の祖父が残した種を使って育てた大根が収穫の時期を迎えたから収穫の手伝いに来ないか」と誘われた。練が音に想いを告げてからも想いは募っていた。練は音を「今度会津に帰るから一緒にいかないか」と誘った。
朝陽は、春寿の杜に出勤してきた音を散歩に誘う。朝陽は音に、いま、自分は本社で会社のために働いてきた人にクビを言い渡して、父の財産を増やす仕事をしていることを打ち明けた。音が練をまだ好きなことを感じていた朝陽は、音に「大切にしている仕事や部屋も僕が守る。音ちゃんが誰を好きでも構わない。僕は一番じゃなくていい。二番目、三番目でも構わない。ここで生きよう。一緒に生きよう。」と訴えかけた。
朝陽からのプロポーズに答えをだせないまま、まだ練のことが好きな気持ちがあると確信した音は、部屋で母からもらった手紙を改めて読んでいた。音は自分の心を決め、練に会って話をすることを決意する。練が会津に発つ前日、2人は会う約束をした。
それぞれの未来
約束の日、練との待ち合わせの場所に音はなかなか現れなかった。
その頃、木穂子は総合病院から電話を受ける。音が階段から落ちて病院に運ばれたという電話だった。
音は、練に会いに行く途中の駅で、奈良から東京に出てきたばかりで鞄をとられてしまったという少女、明日香(あすか)に出会う。
交番に行く途中荷物を盗んだ少年を見つけ、明日香と少年、内藤三希也(ないとうみきや)は和解したのだが、近くで見ていた人が少年を警察に連れて行こうとする。もみ合いに巻き込まれてしまい、音は階段から落ちてしまった。
練と木穂子が病院に駆けつけると、朝陽、施設長の神部、同僚の玲美が集中治療室に運ばれた音の病状説明を受けていた。その後、音の意識が戻り、音は朝陽と共に帰宅する。
朝陽は、音に「実はお見合いの話がきているんだ。結婚となると立場的にひとりじゃ決められなくて。別れようか。」と告げる。「ごめんなさい、そんな嘘つかせて。」と謝る音に、朝陽は「嘘じゃない。僕はもう君のこと好きじゃない。君が寝てるあいだに、君のお母さんからの手紙を読んだ。僕は一番じゃなくていい。二番目、三番目でも構わないって言ったけど、まちがってた。大切だと思う人に順番なんてつけられないんだから。」と言い、笑顔をみせながらも、涙をこらえる。「ごめんね、悩ませて。君に甘えて逃げ道を塞いでた。僕を選んだらだめだ。僕はもう、君のこと好きじゃない。いつかまたご飯食べに行こう。四人で。」朝陽は泣き続ける音に別れを告げて、部屋を出て行った。
朝陽が帰ったあと、音の携帯に電話がかかってきた。北海道で暮らす養父が亡くなったことを告げる電話だった。音は、養母と一緒に生活するために退職し、北海道に帰ることになった。
音の事故から一か月後、練は春寿の杜を訪ねた。同僚の玲美から「音は退職して、養母と一緒に住むために北海道に帰ることになった」と聞く。練はトラックに乗り、音に会うために北海道へ向かった。
『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』の登場人物・キャラクター
主人公
杉原音(すぎはらおと/演:有村架純、幼少期:平澤宏々路)
女手一つで育ててくれた母を幼いころに亡くし、北海道の養父母の元で育つ。失くしていた、亡き母からの手紙を東京から届けに来た曽田練と出会い恋に落ちる。練には日向木穂子という恋人がいるとわかってからも、想い続ける。上京後、ひとり暮らしをしながら介護福祉士として介護施設「春寿の杜」で働く。春寿の杜で、春寿の杜を運営する企業グループの御曹司・伊吹朝陽と出会う。朝陽と2年間交際したころ、プロポーズを受けるが、返事を出せずにいた。
曽田練(そだれん/演:高良健吾、幼少期:池田優斗)
両親を早くに亡くし、福島県会津地方で祖父のもとで育つ。祖父が失った土地を取り返すため上京した。心優しい性格で、断りきれない性格。日向木穂子と交際している。友人の中條晴太が北海道旅行帰りに盗んできたバッグの中に「音へ」と書いてある手紙を見つけ、手紙を持ち主に返すために北海道へ向かった。音に手紙を返しに行ったことをきっかけに、練は音に恋をする。音への想いを隠しながら、日向木穂子と交際し続けることになる。2011年、会津に一人で暮らす祖父に会うため帰省、5年後の2016年に東京へ戻り、音と再会する。
「仙道家」に集まる若者たち
日向木穂子(ひなたきほこ/演:高畑充希)
東京の広告代理店勤務。ブランド品に包まれいつも華やかなファッションをしている。会社の上司と不倫関係にあったが、練からの告白をきっかけに練と交際をはじめる。福岡県出身。
広告代理店勤務で、華やかなファッションをしているが、それは偽っていた姿だった。本当は事務職で、普段は地味な格好をしている。練に会うためにトイレで着替え、メイクをしている。
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僕のヤバイ妻(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ
『僕のヤバイ妻』とは、2016年にフジテレビで放送されていた、脚本・黒岩勉、主演・伊藤英明のサスペンスドラマだ。その他、木村佳乃や相武紗季などが出演している。カフェを経営する望月幸平は、妻の望月真理亜との結婚生活に嫌気がさしていたが、別れられない事情があった。そんなある日、幸平は愛人の北里杏南に妻の殺害を持ち掛けられる。そこで幸平は真理亜の飲むワインに毒を仕込んで殺そうとするが、突然彼女が誘拐されてしまった。しかしその誘拐事件には、真理亜の思惑が潜んでいた。
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WATER BOYS 2(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ
『WATER BOYS 2』とは、2004年7月にフジテレビ系で放送されていた青春ドラマで、2003年に放送されたドラマ『WATER BOYS』の続編である。脚本は橋本裕志と中谷まゆみが手掛ける。主演は市原隼人。その他、中尾明慶や斎藤慶太などが出演している。3年前に共学になったばかりの元女子高に転校してきた元水泳部員の水嶋泳吉が、山本洋介と共にシンクロ部を設立する。彼らは様々な問題に直面するも、夢に向かって奮闘していく。本作の平均視聴率は16.8%を超え、大きな反響を呼んだ。
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目次 - Contents
- 『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』の概要
- 『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』のあらすじ・ストーリー
- 音と練の出会い
- 一年後、東京で再会
- すこしずつ、かわりはじめる関係
- 都会の冷たさ
- あなたを好きになりました
- 突然訪れた別れ
- 5年後、衝撃の再会
- 空白の5年間、練に何があったのか
- 一番、好きな人
- 答えを出した音
- それぞれの未来
- 『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』の登場人物・キャラクター
- 主人公
- 杉原音(すぎはらおと/演:有村架純、幼少期:平澤宏々路)
- 曽田練(そだれん/演:高良健吾、幼少期:池田優斗)
- 「仙道家」に集まる若者たち
- 日向木穂子(ひなたきほこ/演:高畑充希)
- 市村小夏(いちむらこなつ/演:森川葵、幼少期:飯尾夢奏)
- 中條晴太(なかじょうはるた/演:坂口健太郎)
- 仙道静恵(せんどうしずえ/演:八千草薫)
- 北海道にいる音の家族、関わった人々
- 林田雅彦(はやしだまさひこ/演:柄本明)
- 林田知恵(はやしだちえ/演:大谷直子)
- 白井篤史(しらいあつし/演:安田顕)
- 音が働く介護施設「春寿の杜」の人々
- 井吹朝陽(いぶきあさひ/演:西島隆弘(AAA))
- 船川玲美(ふなかわれみ/演:永野芽郁)
- 神部正平(かんべしょうへい/演:浦井健治)
- 井吹和馬(いぶきかずま/演:福士誠治)
- 井吹征二郎(いぶきせいじろう/演:小日向文世)
- 丸山朋子(まるやまともこ/演:桜井ユキ)
- 源大輔(みなもとだいすけ/演:我善導)
- 西野美織(にしのみおり/演:林田岬優)
- 松川(まつかわ/演:松本穂香)
- 錦織康司(演:カゴシマジロー)
- 練が働く運送会社「柿谷運送」の人々
- 佐引穣次(さびきじょうじ/演:高橋一生)
- 加持登(かじのぼる/演:森岡龍)
- 柿谷嘉美(かきたによしみ/演:松田美由紀)
- その他登場人物
- 曽田健二(そだけんじ/演:田中泯)
- 音の母(演:満島ひかり)
- 明日香(演:芳根京子)
- 内藤三希也(演:葉山奨之)
- 『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』の用語
- 春寿の杜
- 柿谷運送
- 福島県会津地方
- 東日本大震災
- スマートリクルーティング
- 『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 音の亡き母「いつかたった一人の人に出会えるといいね」
- いつも音を気にかけていた朝陽
- 日向木穂子「練、あなたと付き合いたい。あなたを恋人だと思いたい」
- 『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 介護施設で働くスタッフの様子が過剰な表現ではないかという意見
- 主題歌、手嶌葵「明日への手紙」起用の経緯
- 『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:手嶌葵「明日への手紙」