ブラック・ジャック(BLACK JACK)のネタバレ解説・考察まとめ

『ブラック・ジャック(BLACK JACK)』とは、手塚治虫の代表的な漫画作品の1つで、天才無免許医師が法外な治療費と引き換えに多くの怪我や難病を治療していく人間ドラマ作品。1973年~1983年に『週刊少年チャンピオン』で連載され、連載終了後も読み切り作品が掲載された。さらに、他の漫画家の執筆による作品も数多くあり、医療漫画のパイオニアにして、金字塔と言われる。映画、OVA、実写のTVドラマ、アニメなど、さまざまな形で映像化されてきた。

ブラック・ジャック「人間が人間を裁くのだと言ったね。 人間は動物を裁く権利があるのかい」

ブラック・ジャックにとって、人間も動物も同じ生命を有するもの同士であって、決して優劣はない。人間のエゴによって凶暴化した雄鹿のナダレに対して銃を向けた人間に対して、命の重さを問うた言葉。

ブラック・ジャック「百五十億円いただきましょう」

命を狙われている某国の大統領に請求した金額。作中で請求した金額の中で、最も高額な医療費である。木端微塵の重傷を除いて大統領を治療するというのが条件であったが、その大統領が木端微塵になって死んだので、大統領を助ける事なくブラック・ジャック は150億円を手に入れた。金に物を言わせてくる相手には、途方もない金額をふっかけて対応するブラック・ジャックのポリシーが現れているセリフ。

ブラック・ジャック「だだをこねるない。いい加減にしろ。 俺がお前ぐらいのときにゃあ、 体中がバラバラだったんだ!」

患者は病や怪我の苦しみから逃れたくて、弱音を吐くことがある。しかし生きようとする意思を放棄したり、治療に対して努力しようとしない患者に対してはブラック・ジャックは非常に厳しい。自分の病気や治療の苦痛に対して駄々をコネ続け、向き合おうとしない子供の患者に向かって放った厳しい言葉。

ブラック・ジャック「それを聞きたかった」

長年無理をし続けたために、脳に出血を起こしてしまった母親を助けるために、その息子はブラック・ジャックに治療をお願いするが、その治療費が3,000万円になると告げられた。息子は高額な治療費に驚くが、すぐに一生かかってでも必ず払うことを約束する。ブラック・ジャックは、どんなことをしてでも母親を助ける覚悟が見たかったのだ。ブラック・ジャックの母親は、不発弾の事故で彼を守りながら死んだ。その想いがあったため、金額に躊躇したり、値切ろうとすれば治療はしなかったはずである。最も聞きたかった言葉をすぐに聞けたので、この言葉が出たのである。

ブラック・ジャック「死刑にするため助けたんじゃない!!」

父親を殺して、逃亡を図った少年が自殺し、瀕死の少年の手術をブラック・ジャックに依頼されたが断られる。その代わりに世界的権威の教授が、名声を高めようと手術を引き受ける。だが、思っていた以上に難手術で失敗してしまった。その失敗を隠すためにブラック・ジャックに後始末を依頼し、出術は無事に成功。しかし、生還した少年に待っていたのは裁判であり、その判決は死刑。瀕死の状態から助けたのにもかかわらず死ぬことになるなんて、このような理不尽なことがあるのか、と叫んだブラック・ジャックのセリフ。命を軽んじる司法に対して物申す、ブラック・ジャックの名セリフ。

ブラック・ジャック「それでも私は人をなおすんだっ 自分が生きるために!!」

事故で首の骨を折り、寝たきりになってしまった母親。2人の子どもに世話になっていて、お荷物になるのが心苦しく悩ましい。そこでドクター・キリコに安楽死を依頼。時を同じくして、2人の子どもたちは母親を治すために、ブラック・ジャックのところへ依頼に行く。2人の医者は、母親の治療を巡って対立するが、ブラック・ジャックは手術をして無事成功させる。徐々に回復をしていた母親だったが、2人の子どもと一緒にトラック事故に巻き込まれ亡くなってしまった。その一報を聞き、ドクター・キリコは高笑い。ブラック・ジャックはこのような悲劇に対し、諦めずにただ人を助け続けると、新たな決意を持って声を張りあげる。

ブラック・ジャック「医者は何のためにあるんだ」

身体が縮んだ末に死に至るという原因不明の奇病に罹患した医師の戸隠に、ブラック・ジャックが呼び出さた。戸隠とともに治療法を模索した末、その病気は飢饉の地域に多発することがわかったが、戸隠はこれを「限られた地球上の食糧を、生きものすべてで分かち合うためには身体を小さくしなければならない」という神の啓示だと言う。治療法は見つかったが、戸隠は亡くなってしまう。医者は病気を治療して人を助け、助かった人は寿命が延びて人口が増える。その結果、食糧危機が訪れ、人が飢えて死んでいく。こうしたいくつもの命題の狭間で、ブラック・ジャックは葛藤しながらも、人を治療し続ける。現在もなお、解かれていない医者のジレンマが本作には描かれている。

本間丈太郎「人間が生きものの生き死にを自由にしようなんておこがましいとは思わんかね」

ブラック・ジャックの恩師でもある本間丈太郎先生の言葉。医術に自信があり、どんな病気も治せると大口を叩いていた若い時期に、ブラック・ジャックは最も尊敬している本間の命を手術で救うことができなかった。そのとき、挫折しているブラック・ジャックに本間が語りかけた言葉。命に対して真摯に向き合わせることにより、人間は神ではないことを悟らせる。この出来事はブラック・ジャックを大きく成長させた。

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