奇子(手塚治虫)のネタバレ解説・考察まとめ

『奇子(あやこ)』とは、手塚治虫原作の青年漫画。『ビッグコミック』誌上にて1972年から1973年まで連載された。2019年に舞台化されている。とある旧家一族の人間ドラマを軸にして、第二次世界大戦以後の激動の日本を描いた作品であり、後の代表作『アドルフに告ぐ』の先駆けと評された。GHQのスパイであることを隠して復員した天外仁朗(てんげじろう)と彼の妹で実は不義の子の天外奇子(てんげあやこ)の2人を主人公として、人間の裏表と戦後日本の暗部を浮き彫りにした長編漫画である。

目次 - Contents

『奇子』の概要

『奇子(あやこ)』とは、手塚治虫による青年漫画。小学館刊行の青年雑誌『ビッグコミック』誌上にて、1972年1月25日号から1973年6月25日まで連載された。コミックスは、大都社ハードコミックス版全2巻、講談社手塚治虫全集版全3巻、角川文庫版全2巻、講談社手塚治虫文庫全集版全2巻、復刊ドットコムオリジナル版全2巻など多くのバージョンが発売されている。講談社手塚治虫全集版が電子書籍化されており、復刊ドットコム版では雑誌掲載時のオリジナル状態を読むことができる。

『奇子』のメディアミックスは、手塚治虫生誕90周年記念事業の一環である舞台版が、2019年に水戸市、東京、大阪の3都市で上演された。また、九部玖凛が描いたリメイク漫画『亜夜子』があり、『テヅコミ』vol.1からvol.18まで連載されている。『亜夜子』は、TCコミックス版全3巻が刊行された。

『奇子』の作風の大きな特徴は、旧家を舞台にして繰り広げられる人間ドラマである。家長制度・近親相姦・事実隠蔽のための工作や殺人など暗い内容が重い描線で描かれており、多くの読者に衝撃を与えた。また、実在した「下山事件」をモチーフにした「霜川事件」を扱ったり、架空の暴力団「桜辰会」を中心とした抗争劇を描いたことで、激動の時代である戦後日本社会の暗部をマクロ的に表現することに成功しており、後の代表作『アドルフに告ぐ』の先駆けになったとも評されている。『奇子』について原作者の手塚自身は、『カラマーゾフの兄弟』を意識して描いたとの発言を残している。また、連載が打ち切りだったことも明かしており、続編を描く意欲があったとのことである。

『奇子』は、第二次世界大戦後に復員した青年の天外仁朗(てんげじろう)と実は不義の子、天外奇子(てんげあやこ)を狂言回しにて、旧家に渦巻く人間ドラマと戦後日本の暗部を描いた社会派作品である。仁朗の正体はGHQのスパイで、彼は命令によって犯罪に手を染め後に逃亡、仁朗の犯罪の手がかりを目撃した奇子は天外家の体裁の犠牲となって長く土蔵に幽閉されてしまうのだった。

『奇子』のあらすじ・ストーリー

因習に囚われる天外家

1949年(昭和24年)、天外仁朗(てんげじろう)は復員して青森県淀山へ帰郷した。出迎えに来たのは、彼の母親天外ゐば(てんげいば)と妹の天外志子(てんげなおこ)である。仁朗は、志子から末の妹天外奇子(てんげあやこ)が生まれたことと彼女の実母がゐばではないことを聞かされた。仁朗が家に戻ると、父親の天外作右衛門(てんげさくえもん)は、彼をひどく邪険に扱った。仁朗が捕虜になったことが、家名を汚したと考えているのだ。仁朗は奇子に初めて会った後、兄の天外市朗(てんげいちろう)と天外すえ(てんげすえ)夫妻に挨拶をした。仁朗はそこで意外なことに気づく。奇子とすえがよく似ており、また2人には首元に同じようなほくろがあったのだ。仁朗は、奇子の実母がすえであることを確信する。志子もそのことを認め、天外家は長年近親で交わってきたことと、作右衛門が他にも女中のお涼(おりょう)を小作人の妻に生ませたという忌まわしい事実を淡々と話した。また、市朗が遺産を得るために、交換条件ですえを作右衛門に差し出したことも明かす。自分の一家が因習に囚われていることを呪う仁朗であったが、彼にも家族に話すことのできない秘密を抱えていた。実は仁朗はGHQのスパイであり、故郷淀山である任務を命ぜられていたのだ。

天外仁朗の逃亡と土蔵の中の天外奇子

仁朗の任務とは、淀山で社会主義活動を展開している民進党の淀山支部長である青年江野正(えのただし)殺害の片棒を担ぐことだった。江野が志子の恋人で互いに社会主義活動をしている事実を知って苦悩する仁朗であったが、GHQの命令に逆らうなどできるはずもなく、江野の死体を列車に轢かせて任務を完遂する。しかし、その際にシャツに返り血が付着し、洗うところを奇子とお涼に見られてしまう。また、弟の天外伺朗(てんげしろう)には、シャツを焼いた場面を見られた。こうした事態を刑事の田沼(たぬま)に知られたことで、仁朗は追い詰められた。天外家から犯罪者を出したくない市朗は、仁朗を密かに淀山から逃がす手筈を整える。

また、市朗は、その出生のためにかねてから憎んでいた奇子が仁朗のことを警察に話す可能性を危惧し、親族で町医者の山崎(やまざき)と共謀して奇子を土蔵に閉じ込めて出られなくした上に、彼女を死亡扱いにして戸籍から抹消した。幽閉された奇子は、何度も脱出しようとしたが叶わず、すえや伺朗の献身的な世話を受けることで何とか生き延びる。そして、妖しい美女に育った彼女は、伺朗を求めるようになり、伺朗は禁断の関係を受け入れざるを得なくなった。

仁朗が失踪し、奇子が幽閉された後の天外家は、激動状態が続いた。志子は、江野が亡くなった「淀山事件」によって思想が明るみにされ、左翼活動を嫌う作右衛門から勘当されて家を出ている。作右衛門は、奇子を助けようとするも脳梗塞で倒れ、何年も臥せたまま息を引き取った。父親に代わって天外家の実権を握った市朗だったが、作右衛門の遺した遺言書に遺産は全て奇子の実母へ渡すという内容が書かれていることを知り激しく動揺した。遺産がすえのものとなるからである。すえは奇子を伴って天外家を出ようとするが、父親に裏切られたと激怒した市朗によって殺害されたのであった。

外界へ出た天外奇子

淀山を出た仁朗は、マチコというCICのスパイ女性のヒモになった後、金城呉成(きんじょうごせい)という謎の男性に救われて裏社会入りした。祐天寺富夫(ゆうてんじとみお)と名を変えた仁朗は、暴力団「桜辰会」の会長となり名を馳せている。自分のせいで奇子がひどい目に遭っていることを知った彼は、祐天寺の名で毎月奇子当てに多額の金を仕送りしていた。

警視庁の下田警部(げたけいぶ)は、霜川則之(しもかわのりゆき)国鉄総裁が変死した「霜川事件」を捜査していたが、旧知の田沼が調べていた「淀山事件」との共通性を知って仁朗を追っていた。そして、仁朗が祐天寺ではないかと推理して彼に接触する。しかし、祐天寺は決して口を割らなかった。

同じ頃、天外家の土蔵が取り壊されて、ようやく奇子は外の世界へ出ることができた。ところが、暗い土蔵の中での生活に慣れてしまった彼女は、狭い木箱の中に閉じ籠ってしまう。そして、彼女は仕送りに記載されていた住所と名前を頼りに、木箱に入ったまま祐天寺家へ送られた。仁朗は、奇妙な木箱の正体が奇子だと察知し、これまでの罪滅ぼしのために彼女を自由に生活させる。下田警部の息子で検察庁に勤める下田波奈夫(げたはなお)は、祐天寺家を訪れた時に奇子と出会った。当初は奇子に同情していた波奈夫だったが、次第に彼女を愛するようになり、奇子もそれに応える。2人の関係に嫉妬する仁朗は、それでも波奈夫が奇子に必要ならばと2人の交際を認めるのだった。そこへ、成長して上京した伺朗も加わり、奇子・波奈夫・伺朗の奇妙な三角関係が出来上がってしまう。

ある日、仁朗は、謎の組織に暗殺されそうになり重傷を負った。最初は抵抗組織の犯行だと考えた仁朗だったが、実はGHQの差し金であったことに気づく。そして、裏で糸を引いていたのが金城でだったことを知った仁朗は、彼を追い込んで死なせた。程なくして仁朗は、金城殺害犯人として指名手配される。ニュースを見た志子は、祐天寺が仁朗であると知る。市朗もまた、そのことを知って仁朗を殺害する意志を固め、淀山奥ノ沢にある炭貯蔵穴に彼をおびき出すという山崎の提案を受け入れるのだった。

天外家の末路

帰郷した仁朗は、江野の墓を訪れた。そして、居合わせた志子に、自分が「淀山事件」の関係者であることを告白する。志子は、刃物で仁朗の首を切りつけた。彼女は江野を殺した犯人に復讐を誓っていたのだ。しかし、慕っていた兄を殺すことは叶わず、山崎を呼んだ。市朗と山崎は、仁朗と志子を貯蔵穴へと誘う、そこへ伺朗、さらには奇子と波奈夫もやって来た。貯蔵穴の中は、図らずも天外家清算の場と化す。伺朗は、市朗がすえを、そして仁朗がお涼を殺害したという自分の推理を突きつけた。市朗は否定し、仁朗はそれを認める。すると、伺朗は持っていたダイナマイトを爆発させて貯蔵穴の出口を塞ぎ、全てを奇子に託して死亡した。奇子を殺そうとした山崎を仁朗が殺害し、暗い穴の中で市朗と志子は錯乱する。駆けつけた下田警部と地元警察が貯蔵穴の出口を開けると、仁朗・市朗・伺朗・志子・山崎の遺体を発見した。波奈夫は辛うじて生きていたが、父親の顔を見るとそのまま息を引き取った。生き残ったのは、奇子だけであった。

下田警部は、天外家清算の顛末をただ1人その場にいなかったゐばへ報告した。そして、奇子が姿を消したことも伝えた。ゐばは、下田警部に向かって奇子が天外家に居つく人間ではないと言い、自分1人さえ残っていれば天外家が再興できると応えた。こうして、『奇子』の物語は完結したのだった。

『奇子』の登場人物・キャラクター

主人公

天外仁朗(てんげじろう/演:五関晃一)

本作品の主人公の1人。天外作右衛門(てんげさくえもん)と天外ゐば(てんげいば)の次男で、物語開始時点では復員兵だった。隻眼で右眼に眼帯をしているが、生まれつきなのかそれとも戦争での負傷なのかについては不明である。捕虜になったことで作右衛門からは疎んじられており、地元の青森県淀山でも白い目で見られている。天外仁朗(てんげじろう)の正体はGHQのスパイであり、帰郷後も社会主義者である江野正(えのただし)が殺害された「淀山事件」に関与するなど犯罪に手を染めている。天外家のことは決して良く思っておらず、作右衛門と兄の天外市朗との仲は最悪である。その一方で家族思いの一面もあり、妹の天外志子(てんげなおこ)や弟の天外伺朗(てんがいしろう)、そして末妹の天外奇子(てんげあやこ)のことを可愛がっていた。しかし、「淀山事件」の証拠を隠滅するところを奇子と女中のお涼(おりょう)に見られてしまい、警察の捜査が及ぶ前にお涼を殺害して故郷から姿を消した。

祐天寺富夫(ゆうてんじとみお)

故郷から逃亡した天外仁朗は、CICのスパイである女性マチコと行動をともにする。その後、金城呉成(きんじょうごせい)の助けを経て、祐天寺富夫(ゆうてんじとみお)と名乗った。祐天寺は暴力団「桜辰会」の会長となり、過酷な生存競争を勝ち抜いて裏社会に君臨する。莫大な富を得た祐天寺は、奇子に仕送りを続け、やがて彼の名前と住所を頼りにやって来た彼女の保護者的立場になる。奇子の社会復帰に努め、敵対する下田警部(げたけいぶ)の息子である下田波奈夫(げたなみお)と彼女の交際をも認めた。しかし、本心では奇子のことを愛している。その後、金城が自分を殺害しようとしていた人物であることを知り、彼を殺害して故郷の淀山へ戻ると、天外家を清算するためにゐばを除いた全ての家族・関係者と波奈夫とともに奥ノ沢の炭貯蔵穴へと籠り、そこで息絶えた。

天外奇子(てんげあやこ/演:駒井蓮)

幼女時代の天外奇子

本作品の主人公の1人で、初登場時は幼女だった。作右衛門とゐばの末娘として育てられたが、実は作右衛門と市朗の妻天外すえとの間にできた不義の子である。そのため、市朗からは幼い頃から苛烈なDVを受けていた。それでも仁朗や志子、伺朗からは可愛がられており、お涼を遊び相手にして育っていた。また、実の母すえも常に奇子の面倒を見ていた。しかし、4歳の時に仁朗が「淀山事件」の証拠を隠滅している場面をお涼とともに発見してしまい、一族から犯罪者が出ることを恐れた市朗によって生きたまま土蔵に幽閉され、そのままで20年以上暮らすこととなる。

成長した天外奇子

奇子は20年以上天外家の土蔵に幽閉されていたが、土蔵取り壊しの際にようやく外へ出ることができた。しかし、長らく外界から遠ざかっていた彼女には道徳や倫理観が備わっておらず、幽閉時代に伺朗と肉体関係を結んでしまう。また、外へ出ることを極端に嫌がり、暗い木箱の中にいるようになった。その後、名前と住所を頼りに祐天寺(仁朗)のもとへと赴くが、その際も木箱入りの状態だった。仁朗の献身ぶりと波奈夫との恋愛を経て普通の女性になろうとしたもの束の間、天外家の清算で淀山奥ノ沢の貯蔵穴に閉じ込められる。過酷な状況下で唯一生還を果たし、その後は人知れず何処へと立ち去った。

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【ブラック・ジャック】記念すべき第1話「 医者はどこだ!」のネタバレと感想

【ブラック・ジャック】記念すべき第1話「 医者はどこだ!」のネタバレと感想

「鉄腕アトム」や「火の鳥」「ジャングル大帝」などの名作を世に生み出した手塚治虫先生。そんな彼の作品の中で「医療漫画の傑作」と言われ、現在でも高い支持を集めているのが「ブラック・ジャック」です。今回は2004年に発売された新装版の特徴を踏まえながら、第1巻収録話についてまとめていきます。(※参考画像なし)

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いつの時代も面白い!テレビアニメ『ブラック・ジャックシリーズ』

いつの時代も面白い!テレビアニメ『ブラック・ジャックシリーズ』

どうも。最近話題になっている「ヤング ブラック・ジャック」効果で再びB・Jブームが到来した筆者です。子供の頃に何気なく見ていたストーリーは、今改めて見ると中々に感慨深いものがあったりします。という事で今回は、テレビで連続放送されていたB・J各シリーズを1話無料動画と合わせてご紹介。

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心揺さぶられる!漫画に登場する名言・名セリフまとめ

心揺さぶられる!漫画に登場する名言・名セリフまとめ

日常的に何気なく読んでいるマンガのセリフに、ふと心を揺さぶられて思わず涙を流したことがあるという人は多いのではないだろうか。スポーツ・医療・ファンタジーなどマンガには様々なジャンルがあるが、その中には著者の想いが込められた「アツい」名言・名セリフがちりばめられている。本記事では漫画に登場する「名言・名セリフ」を、五十音順にまとめて紹介する。

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