奇子(手塚治虫)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『奇子』とは手塚治虫が小学館『ビッグコミック』に1972年1月25日号から1973年6月25日に連載していた漫画作品。戦後史最大の闇とされた下川事件をモデルにした事件を核に、旧家一族の愛憎劇を絡めた物語となっている。第二次世界大戦直後、天外仁朗(じろう)が外地から復員すると、実家には末の妹・奇子(あやこ)が増えていた。実は奇子は仁朗の義姉と彼の父親の不義の子であり、彼女の存在が家族間に緊張を生む。一方仁朗はGHQのスパイに成り下がり、司令部からの命令で様々な汚れ仕事や諜報活動に手を染めていく。

『奇子』の概要

『奇子』とは巨匠手塚治虫が小学館『ビッグコミック』に1972年1月25日号から1973年6月25日に連載していた漫画作品。
兄妹間の近親相姦や舅と嫁の不義密通、口封じの為の殺人など陰惨なテーマを扱に踏み込む一方、1949年に国鉄総裁・下山貞則が失踪後に線路上で死体となって発見された下山事件がモデルの霜川事件を取り上げ、戦後史の闇や占領下から高度経済成長期における日本人の価値観の変遷を描き、社会派の作品としても完成度が高い。
単行本はハードコミックス『奇子』(大都社)全2巻、手塚治虫漫画全集『奇子』(講談社)全3巻、角川文庫『奇子』(角川書店)全2巻、手塚治虫文庫全集『奇子』(講談社)全2巻が出版されている。
手塚治虫晩年の傑作の中では『MW』と並んでエログロ色が強く、全体的に重くシリアスな雰囲気が漂っている。
田舎の旧家に渦巻く愛憎と陰謀およびそれらが招く惨劇、保守的な因習に縛られた旧世代の人々と新世代の革新的な価値観の若者の対立など、横溝正史や江戸川乱歩にも通じる猟奇的で耽美な世界観に没入する読者も多い。
手塚治虫生誕90周年記念事業として、2019年7月19日~28日まで、紀伊國屋ホールにて中屋敷法が脚本・演出を担当する本作の演劇が上演された。

第二次世界大戦直後、主人公・天外仁朗(じろう)が外地から復員すると、実家には末の妹・奇子(あやこ)が増えていた。実は奇子は仁朗の父親・作右衛門(さくえもん)と長男・市郎(いちろう)の嫁・すえの間にできた不義の子であり、舅が嫁を犯して産ませた彼女の存在が家族間に緊張を生んでいた。
一方仁朗は戦地で米軍収容所の捕虜となり、生き延びたい一心でGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)のスパイに成り下がっていた。GHQの命令で諜報活動や様々な汚れ仕事に手を染めた仁朗は、実妹・志子(なおこ)の恋人で、共産主義にかぶれた江野正の死体の始末を命じられるが、その時服に付いた血糊を奇子に目撃された事で、彼女の口封じを余儀なくされる。

『奇子』のあらすじ・ストーリー

第1章『帰郷』

物語は昭和24年1月13日、横浜港から幕を開ける。
第二次世界大戦が終わり、横浜港には外地に出征していた兵隊を乗せた船が戻ってくる。迎えに来た家族との再会を喜び合う兵隊たちにまじり、再び祖国の地を踏んだ天下仁朗(てんげ じろう)を、実妹・志子(なおこ)が涙ながらに抱擁する。
母親も一緒に来たが人ごみではぐれたと志子に聞いた仁朗は、志子と母親の2人はともかく、長男・市朗(いちろう)と父親・作右衛門(さくえもん)にとって自分は厄介者だから、戦場から生還しても迎えには来ないだろうと達観する。仁朗は地方の旧家・天外家の次男坊であり、長男が市朗、長女が18歳の志子、三男が12歳の伺朗だった。
母親・ゐばと合流を果たした仁朗は、息子を戦地へ送り出した心労から母親が老けた事に同情を覚える。志子は家で留守番している伺朗も仁朗に会いたがっていると言い、末の妹・奇子(あやこ)の存在を口にするが、仁朗は初耳だった。どうやら奇子は仁朗の出征中にできた子供らしい。それを知った仁朗は、老齢の母がよく頑張ったと感心するが、志子は言いにくそうに奇子は母が産んだ子ではないと明かす。当然仁朗は驚いて説明を求めるが、志子はあとで話すと呟くのみだ。
実家へ帰省する前、仁朗は2人と別行動を申し出る。横浜の街を単独で歩いて仁朗が向かった先は、GHQ(占領軍総司令部)だった。表玄関で身体検査を受けた人狼が通されたのは、日系アメリカ人の米軍将校の執務室だった。キノシタと握手をした仁朗は片目の眼帯を外し、眼窩の空洞からひと巻きのメモを取り出す。将校はそれを受け取って奥の間へ引っ込む。
1人執務室へ残された仁朗は、廊下のうるさい物音に気付きドアを開ける。すると嘗て戦場で一緒だった男が廊下で暴れていた。その男は占領軍の支配に反対し、司令部に殴りこんできたらしい。仁朗を一目見るなり男は「天外じゃないか!」と叫ぶものの、仁朗はすぐドアを閉じてしまった。
仁朗が椅子に戻ると奥の間から将校が戻り、「合格だ」と仁朗に言い渡す。実は仁朗は戦場で米軍の捕虜となり、収容所にいたのだった。彼はそこで生き延びる為に米軍に魂を売り、GHQのスパイに成り下がり、司令部の将校へ日本軍の情報を渡しに来たのだった。仁朗が首尾よくスパイの初任務を果たした事を認めた将校は、「詳しい仕事はあとで指示する」と言い、仁朗の連絡先を聞いて送り出す。執務室を後にする時、将校は「一般人は表玄関から入るな、ことに君たちのような人間は裏に回れ」と仁朗に釘をさす。暗躍を義務付けられたスパイは、どんな場合であろうと決して目立ってはいけないのだった。
一方廊下で暴れていた男はGHQに拘束され、仁朗との関係を問われる。男は天外は戦友であり、自分の方が早く復員したと素直に話すが、それを聞いたGHQの職員は男を即座に射殺する。GHQのスパイの素性を知る者を生かしておけないと判断した故だ。
司令部を出た仁朗は戦火から復興した横浜の街を見物したあと、駅で志子・ゐばと合流し、機関車に乗って故郷をめざす。
仁朗の実家である天外は地方の豪農であり、立派な屋敷を構えていた。馴染みの使用人に笑顔で迎えられた仁朗は、昔から天下家に出入りしている、知恵遅れのお涼にも挨拶をする。お涼は以前は下働きとして、現在は奇子の子守り兼遊び相手として、この家への出入りを許されていた。

父親の作右衛門に挨拶に来た仁朗は、末の妹である奇子と対面を果たす。

広い和室へ通された仁朗は、具合を悪くして布団で寝付いていた作右衛門に、無事に帰ったことを正座で報告する。ところが作右衛門は布団から飛び起きるや、「何故帰ってきた、なんで死ななんだお国の為に!」と仁朗を理不尽に罵倒する。作右衛門は「生き恥をさらしたお前にくれてやる田畑はねえ」と怒り狂い、ゐばはそんな夫を必死に制す。そこへ襖を開け、おかっぱ頭の幼女がやってきた。この幼女こそ仁朗の腹違いの妹、奇子だった。作右衛門は奇子を膝に抱き上げるなり相好を崩し、ゐばは仁朗に対し、作右衛門が奇子を溺愛していると説明する。

仁朗はすえの容貌が奇子と酷似している事、同じ位置にほくろがある事から、奇子が作右衛門とすえの子供だと理解する。

仁朗は「誰の子なんだ母さん」と痺れを切らして質問するが、作右衛門に「うるせえ!」と一喝されて俯く。作右衛門は絵に描いたような亭主関白で、家父長制の権化のような尊大な男だった。絶対的な財と権力を持った作右衛門には、妻はおろか子供たちの誰も逆らえなかった。
続いて仁朗は長男夫婦のもとへ挨拶に行く。長男・市朗の隣に控える彼の嫁・すえを見た仁朗は、奇子がすえに生き写しな事、2人とも首筋にほくろがあるのに衝撃を受ける。奇子が作右衛門とすえの姦通で生まれた子だと直感した仁朗は、舅と嫁であり、父親と義姉でもある2人の不倫にうちのめされる。
その頃、奇子は土間に座りこんだお涼に呼ばれハエの交尾を見せられる。メスのハエにオスのハエが乗っかる光景を指したお涼は、「これと同じの見たど」と、作右衛門とすえの情交を覗いた事を仄めかすのだった。

第2章『祝殿』

昭和24年1月30日、天下家の夕餉の席に家族一同が会す。善は整っているが皆は箸をとらず、家長が来るのをじっと待っている。当主の作右衛門が3枚重ねて高くした座布団に座るのを合図に、皆は一斉に箸をとる。
仁朗は向かいの席の奇子の食事を眺めながら、彼女を姪と呼ぶべきか、妹と呼ぶべきかと悩む。仁朗の視線の先で食事を終えた奇子が鉢のみかんに手を出すが、「行儀が悪い」と市朗に手をはたかれる。それを見た作右衛門は逆に市朗を叱り、猫なで声で奇子を呼び寄せてあやす。作右衛門の膝に抱かれて甘える奇子を見て見ぬふりする天下家の面々。中でも作右衛門の本妻のゐばと、すえを寝取られた市朗の苦しげな表情をしていた。
食事が終わり膳が片付けられると、市朗が仁朗に2人だけで話があると告げる。2人が連れ立って玄関へ向かうとお涼がおり、「だんな様あい(私)見たど、ごしん様(奥様)が……」と何か言いかける。すえと作右衛門の情事が使用人にバレているのに薄々勘付いていた市朗は、有無を言わせずお涼をひっぱたき下がらせる。屋敷を出た仁朗は「知恵遅れの女に可哀想じゃないか」と市朗を諫めるが、市朗は何か考えごとがあるらしく、話を誰にも邪魔されないように祝殿へ弟を導く。祝殿とは農地の中にある小さな祠であり、稲荷や山神を祭っているとされた。
丘の上の祝殿に詣でた仁朗は、無事に帰還した事を神へ報告する。一朗は眼下の広大な田畑を指さし、嘗ては全部天下家の物だったが、終戦と同時に小作人の手に渡ってしまったと悔しがる。昔はここいら一帯を牛耳っていた天下家も衰退し、作右衛門とゐばも体調を崩し、生前に墓を作ったらしい。戦地にいた仁朗は知らなかったが財政も逼迫しているらしく、市朗は「お前に譲る親父の遺産はないのだ」と仁朗に言い渡す。作右衛門は捕虜になった仁朗を恥じ、彼に分配の権利を認めなかったのだ。それを聞いた仁朗は市朗も自分が帰ったのが迷惑だったのだろうと皮肉る。疑われた市朗は取って付けたように仁朗にいい職を紹介すると提案するが、仁朗は兄の申し出を断り、自分で職を探すと話す。面倒事が減った市朗は目に見えて安堵するも、仁朗はすかさず「まだわけがわからんことがある、たとえば奇子のこととかね」と切り出す。すると市朗は激怒し、「奇子は47でお袋が産んだ子だ!」と頑として言いきる。父親と自分の妻の不義の子である奇子を市朗はひどく憎悪し、話題に出すのも嫌がった。
怒った市朗は先に帰ってしまった。あとから1人帰途に就いた仁朗は、畑仕事中の百姓に挨拶するが、まるでその場にいないかの如く無視される。天下家へ帰ってから2週間、仁朗は周囲の百姓たちに腫れ物扱いされていたが、それは彼が米軍の捕虜となったせいだった。名誉の戦死で散らず、捕虜の生き恥をさらしてのこのこ帰ってきた仁朗に世間の目は冷たかった。
天下家の庭へ入った仁朗は、土蔵の扉が少し開いているのに気付く。誰かいるのかと中へ踏み込んだ仁朗が、喘ぎ声を聞いて地下室に通じる上げ戸を開けると、暗闇の中で作右衛門がすえの肉体を貪っていた。戸が開いたのに気付いた作右衛門は、逆光で翳った仁朗を市朗と間違え、見てみぬふりする約束だと責め立てる。「出て失せろ!」と作右衛門に怒鳴られた仁朗は、犯している女の夫を脅すなど正気ではない、作右衛門は気が狂ったのだと動転する。
全裸で梯子をよじのぼった作右衛門は、入口近くまで来てようやく市朗と仁朗を見間違えたことに気付く。慌ててその場から逃げ出した仁朗だが、急いでいたせいでそばに積まれた荷物を崩し、梯子に手をかけていた作右衛門を行李が直撃する。梯子から転落した作右衛門は怪我をして寝込み、そんな夫を傍らで看病しながら、「今にはじまったことじゃねえ、この人は若えうちからそうだった」とゐばが嘆く。ゐばの衝撃的な発言に、仁朗は自分もまた作右衛門がよそで作り、天下家に引き取った子供ではないかと妄想を逞しくする。志子はショックを受ける仁朗に対し、市朗が作右衛門の遺産を全部貰い受ける代わりにすえを差し出したのだと教える。しかもこの取引は、作右衛門の方から持ちかけたのだそうだ。

家族の秘密を暴露されてショックを受ける仁朗。

志子から市朗と作右衛門の忌まわしい取り決めを知らされた仁朗は、「みんな狂ってるんだ、うちは変わった家だ!」と苦悩する。

奇子を折檻する市朗を止める仁朗。

一方市朗は、土間で泣き喚く奇子を激しく鞭打っていた。恐怖と激痛に号泣する奇子と、その姿に陰険な笑みを浮かべる市朗を見た仁朗は、慌てて止めに入り2人を引き剥がす。仁朗は何の罪もない奇子を必死に庇うが、市朗は「お前には関係ない」と呻く。仁朗がなおも暴挙を諫めれば、市朗は遂に観念して「ときどきわけもなく憎くなってな……すまん」と詫びた。すごすご去っていく市朗を見送った仁朗は、作右衛門と市朗の顔を見ていると反吐がでそうだと独りごち、奇子を膝に抱いて宥める。その時、仁朗の心の声が「自分だけは例外だと思っているのか?」と囁く。仁朗は咄嗟に「そうだ」と返すが、彼の心の声は仁朗がスパイになり下がった事、マニラの収容所キャンプで生き延びる為に仲間の日本人を売った事を批判する。さらに心の声は仁朗を偽善者の卑怯者となじり、仁朗に自身の一族を非難する権利はないと断じる。自分もまた作右衛門や市朗と同じ、天下の血を引くゲスの1人と思い知らされた仁朗は、「にいちゃんなにを考えてるの?」と心配する奇子に「うるさい!」と当たり散らすのだった。

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