
『きりひと讃歌』とは、手塚治虫原作の医療・社会派漫画。『ビッグコミック』誌上にて、1970年から1971年まで連載された。手塚初の本格的長編医療ドラマとして知られており、後の代表作『ブラック・ジャック』や『陽だまりの樹』のプロトタイプ的作品でもある。また、手塚治虫を医療漫画のパイオニアへと押し上げた作品として高評価された。同作品は、モンモウ病という奇病に罹患して外見が犬のように変化した主人公の医師が、様々な差別や社会的圧力に見舞われながらも病気の真相を究明していく医療長編漫画である。
『きりひと讃歌』の概要
『きりひと讃歌』とは、手塚治虫原作の医療・社会派漫画である。小学館の青年漫画雑誌『ビッグコミック』誌上にて、1970年4月10日号から1971年12月25日号まで連載された。コミックスは、虫プロ商事COMコミックス版全2巻、大都社ハードコミックス版全3巻、講談社手塚治虫漫画全集版全4巻、大都社ハードコミックス版(1986年刊)全2巻、小学館叢書版全2巻、小学館文庫版全3巻、講談社手塚治虫文庫全集版全2巻、立東舎オリジナル版全1巻など多くのバージョンが刊行された。講談社手塚治虫全集版が電子書籍化されている。また、立東舎オリジナル版は、雑誌掲載時の本編が完全収録された。
『きりひと讃歌』の大きな特徴は、手塚治虫にとって初の本格的な医療漫画という点である。手塚は医学博士として知られているが、彼の大きなバックボーンである医学の世界を描いたことが大きな話題を呼んだ。同作品の成功を受けて、手塚はその後代表作の1つ『ブラック・ジャック』や『陽だまりの樹』を描き、医療漫画というジャンルの確立に貢献した。また、村上もとかの『JIN-仁-』、山田貴敏の『Dr.コトー診療所』といった傑作医療漫画の先鞭をつけた作品としても、『きりひと讃歌』は高く評価されている。さらに、山崎豊子原作の小説『白い巨塔』のように、封建的で権威主義体制が根強い医療現場を描きリアリティ溢れる物語世界を構築してみせた。その一方で、モンモウ病の発症や「人間天ぷら」の描写などには、ホラーやグロテスクの要素も見受けられ、読者にトラウマを植え付けたと評されている。
『きりひと讃歌』は、モンモウ病に罹患して犬のような顔に変貌してしまった主人公の医師、小山内桐人(おさないきりひと)が周囲からの激しい差別や過酷な環境の中で生き延びて病気の真相を究明する姿を描いている。また、彼が自分を陥れた師の竜ヶ浦(たつがうら)博士への復讐を誓って行動する様も描かれた本格的な医療・社会派作品である。
『きりひと讃歌』のあらすじ・ストーリー
プロローグ
『きりひと讃歌』の舞台、日本の四国の山間にある犬神沢という村では、モンモウ病という奇病が流行っていた。モンモウ病を患った者は、例外なく耐え難い頭痛と生肉を食べるという謎の行動の果てに、犬のような顔に変形してしまい亡くなるという恐ろしい結末を迎えるのだ。M大学医学部附属病院第一内科医師の小山内桐人(おさないきりひと)は、モンモウ病を風土病の一種であると研究していた。一方で、彼の師で同病院第一内科医長の竜ヶ浦(たつがうら)博士は、モンモウ病を伝染病と考えており、桐人と真っ向から対立している。桐人には吉永いずみ(よしながいずみ)という婚約者がいるが、ある日彼女は桐人の幼馴染で同僚の占部(うらべ)に犯されてしまう。占部はモンモウ病については桐人の説を支持しているが、竜ヶ浦の手前自分の考えを引っ込めざるを得なかった。そんな折、桐人は竜ヶ浦からモンモウ病研究のために犬神沢行きを命ぜられる。桐人を見送ったいずみは、心の中で彼がもう戻ってこないのではないかという嫌な予感を抱くのだった。
桐人の苦悩
桐人は、犬神沢の村人たちにとって招かれざる客のようだった。誰もがよそよそしい態度を取り、モンモウ病についても触れてほしくない雰囲気を出しているのだ。そんな中、村人はモンモウ病の父親と暮らす若い女性たづを桐人に娶らせた。桐人は、モンモウ病の患者が生肉を食べる秘密の部屋を発見して村人に殺害されそうになるも、たづの身体を張った計らいで事なきを得る。ところが、すぐに悲劇が彼を襲う。桐人は、モンモウ病に罹患してしまった。頭痛で七転八倒の苦しみに悶え、生肉を食らった果ての彼の顔は、犬のように変貌した。それでも、たづは甲斐甲斐しく桐人の世話をし、桐人は犬神沢の水の中に希土類があることを知り、それがモンモウ病の原因であることを突きとめる。桐人の病気の進行は治まったものの、たづが村の暴漢に犯された上に殺害された。そして、桐人もまた暴漢の策略で台湾の大富豪、万(まん)大人に売り飛ばされしまうのだった。
放浪する桐人
万大人に売り飛ばされて台湾へとやって来た桐人は、彼の自宅で開催される悪趣味な酒池肉林で発情した雌犬と強引に交尾させられそうになった。人間としての尊厳を失った彼は失意のどん底へ落ちるが、万に雇われている女芸人の麗花(れいか)によって万のもとを離れることができた。実は麗花は歪んだ性癖の持ち主で、桐人を手籠めにしようとしたが、逆に桐人に諭されて彼の催眠治療を受けることになった。
一方、占部はモンモウ病風土説を一蹴したい竜ヶ浦によって、アフリカへと飛ばされた。南ローデシアにて、彼はモンモウ病と酷似した症状を持つクオネ・クオラレ病の存在を知り、その患者である白人修道女ヘレン・フリーズと出会った。占部とヘレンは、ヘレンの発病を快く思わない差別主義者の修道院長の銃撃を受けて重傷を負う。しかし、彼が一命を取り留め回復すると、同じく回復したヘレンを竜ヶ浦の医学総会に参加させるべく日本へ戻ることとなった。
桐人は麗花を本格的に治療するために日本へ帰国することを思い立ち、オランダのアムステルダムを目指した。しかしながら、途中の中東でパレスチナゲリラに襲われてしまい、砂漠の放浪を余儀なくされた。絶望の果てに、偶然砂漠で見つけた赤ん坊をも殺そうとする桐人を制止したのは麗花である。桐人は赤ん坊を助けられなかったが、彼の心の中に再び生きる気力と医者としての使命感が湧き上がるのだった。麗花は、中東の砂漠地帯で金を稼ぐために自身の持ち芸で自らの身体に天ぷらの衣を纏って高温の油鍋に入って脱出する「人間天ぷら」を披露するが、失敗に終わって悲惨な最期を遂げた。桐人は、文字通り天ぷらになってしまった麗花の遺体を抱いて号泣するのだった。
医学総会にて、ヘレンを使って展開された竜ヶ浦の学説発表は、一大センセーショナルを巻き起こした。竜ヶ浦の名声は飛躍的に高まり、日本医師会会長選挙に打って出ることになる。しかし、周りは味方ばかりではなく、クオネ・クオラレ病を研究しているマンハイム博士は、竜ヶ浦のモンモウ病伝染病説に異を唱えた。そして、竜ヶ浦自身も、頭痛を治めるために犬神沢原産の薬「知恵水」を飲むのだが、これが彼の転落の第一歩になるとは誰も知る由もなかった。
桐人と竜ヶ浦の争い
占部は帰国して以降、ヘレンを愛するようになり、強引に肉体関係を結んだ。ヘレンは占部の行為を戯れだと思い悲しんだが、彼の想いが本気であることを知り2人は恋仲となった。しかし、占部は竜ヶ浦が桐人を陥れたことを知り、中度の精神病を患ってしまう。そして、葛藤の末にトラックに飛び込んで自死したのだった。
麗花を失った桐人は、中東の難民地区で診療所を営んでいた。彼は、助手から「犬の先生(ドックドク)」と蔑称で呼ばれながらも、自分を必要としてくれているこの地区の暮らしや人々を気に入っていた。そんなある日、桐人はある雑誌記事を目にして、竜ヶ浦が自分を嵌めるために犬神沢へと送り込んだ事実を知る。桐人は怒りに任せて日本へ帰ろうとするが、難民地区の人々はそんな彼にカンパし合った金を渡して、復讐が終ったら帰ってきてほしいと懇願する。彼らの熱い思いを受け止めた桐人は、必ず戻って来ることを約束して帰国した。日本へ戻って来た桐人は、竜ヶ浦を陥れるために暗躍し、日本医師会会長選挙の場に姿を現して竜ヶ浦の悪事を暴露した。それでも竜ヶ浦は選挙に勝ち、念願の医師会長の座に就いた。ところが、それから間もなくして竜ヶ浦にモンモウ病の症状が表れるのだった。
エピローグ
桐人は、カシン・ベック病という流行り病が蔓延するスラムにて、患者たちの世話をするキツネのような顔をした外国人女性がいるという噂を聞きつけて現地にやって来た。女性の正体はヘレンで、彼女に会ったことで初めて桐人は占部が亡くなったことを知る。2人は似た病気で同じような差別を受けてきたが、完全にわかり合うことはできなかった。それでも、ヘレンの様子を見た桐人は、自分の戻るべき場所が中東難民地区であることを悟った。
桐人は、竜ヶ浦が入院するM大学医学部附属病院の病室に姿を現し、改めてモンモウ病が風土病だと宣言した。竜ヶ浦は真っ向から対立し、事前に医局に命じていた「知恵水」の分析結果を待っていた。そこへ、マンハイム博士がクオネ・クオラレ病の正体について、放射能障害による風土病であるという確かな学説を発表したというニュースが飛び込み、竜ヶ浦を絶望の淵へと追いやる。さらに、「知恵水」の分析結果も、マンハイム博士の説を裏付けるものとなる。竜ヶ浦は桐人の前では最後まで負けを認めなかったが、今わの際で自分の肉体を研究材料に使うよう言い遺してこの世を去った。
いずみは、ヘレンのいるスラムを訪れ、彼女が占部の子供を妊娠していることを知った。そして、そのままスラムに残り、ヘレンの仕事と彼女の出産を手伝う。ヘレンは、自分の子供が犬のような風貌で生まれてくるのではないかと恐怖していたが、いずみはクオネ・クオラレ病が伝染病ではないと彼女を励ました。ヘレンは、無事に丈夫な赤ん坊を産んだ。
桐人は、難病患者たちの会合に来賓として出席した。竜ヶ浦への復讐を果たしたと考えた彼は穏やかな表情になり、たづ・麗花・占部に感謝するのだった。そして、情報交換のためにマンハイム博士と会い、その後に中東難民地区へと戻った。桐人が中東にいることを知ったいずみは、彼を追って中東行きの飛行機に乗り込んだ。こうして『きりひと讃歌』の物語は完結したのだった。
『きりひと讃歌』の登場人物・キャラクター
主人公
小山内桐人(おさないきりひと)

本作品の主人公。初登場時は、M大学医学部附属病院第一内科に勤務する医師だった。生真面目な性格の持ち主で、病院では特定の派閥には属さず、実践から導き出した自説を展開している。モンモウ病については早くから風土病説を唱えていて、伝染病説を推す同病院の権威竜ヶ浦(たつがうら)博士とは意見を異にしていた。そのため、竜ヶ浦とは反りが合わず、彼の策略で犬神沢へ調査へ向かわされることとなる。吉永いずみ(よしながいずみ)という婚約者がいるが、やむにやまれぬ事情で村から差し出された女性たづと婚姻する。程なくして現地でモンモウ病に罹患してしまい犬のような顔と身体に変貌した。自身の治療で病状は落ち着いたものの、たづを男に殺害された上に、万(まん)という台湾の大富豪に売り飛ばされた。その後は、台湾・中東を放浪した末に難民地区にて医者として居を構えた。しかし、自分がモンモウ病になった原因が竜ヶ浦にあることを知り帰国し、日本医師会会長選挙投票の場に現れて竜ヶ浦の悪事を暴露した。その後、同じ病気を患ったヘレン・フリーズと邂逅すると、自分を待っている中東難民地区へと戻ったのだった。
M大学医学部関係者
竜ヶ浦博士(たつがうらはかせ)

M大学医学部第一内科医長で、主任教授でもある。経験を重要視するタイプの医者であり、同病院の権威の象徴として描かれている。徹底した権力志向の持ち主として知られ、モンモウ病では伝染病説を強硬に推していた。桐人の風土病説が自説を脅かすと考え、彼を犬神沢に向かわせてモンモウ病に罹患させた。また、桐人の同期で彼の説を支持する医者占部(うらべ)をアフリカに調査へと向かわせ、後に占部が精神を蝕まれると容赦なく病院から追放している。日本医師会会長へ立候補しており、様々な工作を企て念願の会長に就任するも、間もなくモンモウ病を患う。さらに、桐人やマンハイム博士の研究成果を受けて自説をも覆され、最期まで自説を曲げる事はなかったが失意のうちに息を引き取った。その際、自身の身体を研究するように病院へ言い遺しており、医者としての矜持を持ち合わせてもいた。
占部(うらべ)

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誰の中にもある「死生観」。客観的に見つめている深いマンガをまとめてます
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完結済の面白い漫画まとめ!寄生獣やAKIRAなど盛りだくさん!【全部名作】
完結しているおすすめの漫画をまとめてます!知らなかった作品や読んだことのない作品があった人はぜひ読んでみてください! 寄生獣やAKIRAなど今でも愛されている名作だらけですので最後までご覧ください!
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心揺さぶられる!漫画に登場する名言・名セリフまとめ
日常的に何気なく読んでいるマンガのセリフに、ふと心を揺さぶられて思わず涙を流したことがあるという人は多いのではないだろうか。スポーツ・医療・ファンタジーなどマンガには様々なジャンルがあるが、その中には著者の想いが込められた「アツい」名言・名セリフがちりばめられている。本記事では漫画に登場する「名言・名セリフ」を、五十音順にまとめて紹介する。
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目次 - Contents
- 『きりひと讃歌』の概要
- 『きりひと讃歌』のあらすじ・ストーリー
- プロローグ
- 桐人の苦悩
- 放浪する桐人
- 桐人と竜ヶ浦の争い
- エピローグ
- 『きりひと讃歌』の登場人物・キャラクター
- 主人公
- 小山内桐人(おさないきりひと)
- M大学医学部関係者
- 竜ヶ浦博士(たつがうらはかせ)
- 占部(うらべ)
- 桐人と関わる女性
- 吉永いずみ(よしながいずみ)
- たづ
- 麗花(れいか)
- その他
- 吉永(よしなが)
- ヘレン・フリーズ
- たづを殺したヤクザ
- 万(まん)
- マンハイム博士 (マンハイムはかせ)
- マクラッケン
- 山形教授(やまがたきょうじゅ)
- 『きりひと讃歌』の用語
- モンモウ病(モンモウびょう)
- 犬神沢
- クオネ・クオラレ病(クオネ・クオラレびょう)
- 『きりひと讃歌』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 小山内桐人「これでも医者だってのかおれは」
- 麗花が命懸けで披露する人間天ぷら
- 桐人と竜ヶ浦との間で精神を蝕まれていく占部
- 小山内桐人「さあ…なんといいますか…人間に戻ったような心境ですよ」
- 『きりひと讃歌』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 手塚治虫公式サイトにて明かされた小山内桐人とイエス・キリストとの関連性
- 手塚治虫初の長編医療漫画
- 多くの読者に衝撃を与えたモンモウ病
- 劇画を取り込んだ実験的描写