ゾンビ(Dawn of the Dead)のネタバレ解説・考察まとめ

『ゾンビ』とは、1978年に公開されたジョージ・A・ロメロ監督のホラー映画。日本では1979年に公開された。北米では 「Dawn of the Dead」それ以外の国では「ゾンビ」(Zombie)が題名である。
ゾンビが大発生して社会秩序が崩壊しだした世界で、主人公4人が生き延びるべくショッピングモールに籠城するが、やがてそのモールも人間の略奪者から襲われてしまう。

『ゾンビ』の概要

DVDのジャケット

『ゾンビ』とは、1978年に公開されたサバイバル・ホラー映画である。本作品に登場するゾンビの特徴として「動きがのろい」「知能は4歳程度で生前の記憶がない」「ゾンビに少しでも噛まれると3日程で死亡する」「死者はゾンビとなって甦る」「ゾンビは人肉を求めて人間を襲う」「ゾンビの活動を止める方法は四肢をバラバラにするか頭部を破壊する」「ゾンビに関係なく病院や事故、自殺で死亡した人間もゾンビになる」があり、後に大量作成されるゾンビ映画、ゲームの基本的なゾンビの設定となる。
監督のジョージ・A・ロメロは前作「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」で成功したものの、その後の作品に恵まれなかった。ロメロ監督が友人とショッピングモールを歩いていると友人が「緊急時にはここで籠城できる」という発言が本作品の「主人公たちがゾンビから逃れてモールに避難する」というあらすじのヒントとなった。また投資家から「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」の続編製作要望を受け、「ゾンビ」の企画はスタートした。
しかし資金の調達は難航し、イタリアで映画監督、製作をしているダリオ・アルジェントが編集権と引き換えに資金を提供した。
「ゾンビ」は「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」の続編ではあるが、時系列やキャラクターに接点はなく、1978年の映画公開時に「死者が蘇るという謎の現象が起きて3週間経過後」という設定で物語は始まる。
製作費は150万ドルで興行収入は5500万ドルの大ヒットを遂げた。映画公開時は110分程度で編集されたアクション色の強いホラー映画だったが、後年ドラマ部分のカットシーンを加えた再編集版が発表されると本作は単なるホラー映画ではなくゾンビというモンスターを介した強烈な社会風刺ドラマであることが認識されロメロ監督の映像作家の手腕が再評価された。

『ゾンビ』のあらすじ・ストーリー

崩壊する社会

世界中で死体がゾンビとなってよみがえり、生者を次々と襲い始める現象が発生した。3週間後ゾンビの大増殖を抑えることが出来ず社会は大混乱をきたす。
フィラデルフィアのテレビ局に勤める女性社員フランは疲れ切っていた。ニュース番組生放送中、コメンテーターのフォスター博士、ラウシュ博士、司会のバーマンはゾンビが増殖を続けるこの世界でどう生き延びるかを討論していたが、全く論点が噛み合わず番組として成立していなかった。正確な情報が入らずスタッフ全員混乱して錯綜していた。フランの恋人はテレビ局の同僚でヘリコプターパイロットであるスティーブンである。フランはスティーブンとヘリコプターを奪って都市部からの脱出を計画していた。

脱出

一方、スティーブンの友人で警察のSWAT隊員のロジャーは、プエルトリコ系住民が住むアパートの制圧作戦に参加していた。住民は死んだ家族がゾンビというモンスターに生まれ変わったことを認めず、伝統的な供養を行えば死者は動かなくなる、という信仰の理由から大量のゾンビを建物内に留まらせていた。アパート住民のリーダーはマルチネス。「マルチネス、危険だから住民全員を建物から出せ」と警察は命令するも、マルチネスは逆らって発砲した。遂に警察はアパートに突入した。しかし警察も機能を失いかけていた。大量に発生したゾンビが人々を殺害し、それに便乗した暴動が多発しているため警察の手には追えなくなったからである。SWAT隊員のウーリーは、人種差別意識からゾンビと共にプエルトリコ人を虐殺する。ロジャーはウーリーを抑えようと懸命に試みるもウーリーは頑なに反抗するため、ロジャーは遂にウーリーを射殺する。その場にはSWAT隊員のピーターがいた。警察すら機能しなくなった社会秩序に絶望したロジャーは、ピーターにヘリコプターでの脱出を誘った。

束の間の休息

フラン、スティーブンと合流したピーターとロジャー。4人はヘリコプターに乗りゾンビの少ない郊外を目指す。すると巨大なショッピングセンターが見えてきた。不眠でヘリコプターを運転したスティーブンが休息をとる為、一時的に屋上にヘリコプターを着陸させた。ショッピングセンター内にも大量のゾンビがさまよっているが、商品は手つかずのまま残っていた。4人は当面ここで生活することにした。

仲間の犠牲

ロジャーが噛まれてしまう

モールを安全な拠点とするため、まずはゾンビが建物内に入らぬようトラックで入り口を塞ぐことにした。ゾンビが溢れる中、素早く走り抜けてトラックに乗り込み入り口に駐車する。しかし作戦の途中にロジャーはゾンビに噛まれてしまった。負傷しながらもピーターは作戦に参加し、今度はモール内に閉じ込めたゾンビを射殺し続ける。遂にモール内部のゾンビを一掃し安全な居住地を確保した。4人は気ままに店内の食品を食べ、高級な宝石を身に着け、束の間の休息を得た。しかしピーターの体力は徐々に衰えていく。物資に不自由はしていないが閉塞感は募るばかり。そんな中、遂にロジャーは息を引き取った。死亡したロジャーに毛布を掛けて見守るピーター。その毛布がゆっくりと動き、中からゾンビとなったロジャーが顔を出した。ピーターはロジャーを射殺し、銃声を聞いたフランとスティーブンはロジャーの死を悟った。

襲撃者

息の詰まる日々は続く。テレビはまだ放送はしていたが、出演しているラウシュ博士の「生存者が全員人体の20%をゾンビに与えれば、ゾンビを飼いならすことが出来てパニックは収まる筈だ」という説にキャスターは呆れ果てていた。そんな中フランは妊娠していた。このような状況で出産、さらには育児などできるのだろうか。答えは見つからない。フランは「自分は女だから今まで何の役にも立たなかった。足手まといにはなりたくないからヘリコプターの操縦を覚えたい。」と申し出る。スティーブンは賛成し、早速二人はモールの屋上でヘリコプターの操縦練習をする。ヘリが上下している様子を双眼鏡で眺めている男達がいた。彼らは暴走族で略奪の旅をし続けていた。
夜になるとモールに侵入すべく暴走族が突入してきた。自動ドアを壊し、ゾンビと共にモール内に入り込み、略奪を始める暴走族をスティーブンは物陰から見つめる。ピーターは「好きなだけ獲らせてやれ。放っておけばそのうち出ていく。」と言うが、スティーブンは「ここにあるものは俺たちのものだ。」と暴走族に発砲してしまう。暴走族もスティーブンと応戦し、モール内は戦場となってしまう。スティーブンは負傷しエレベータシャフトから脱出しようとするが、ゾンビに襲われてしまい、ゾンビとなってしまった。略奪を終えて逃げ出す暴走族だが、何人かは逃げ遅れてゾンビに襲われおぞましい死を遂げる。

変わり果てたスティーブン

暴走族はいなくなり、モール内には再び大量のゾンビが徘徊し始めた。ピーターは命からがら隠れ場所に戻るが、スティーブンの姿はない。フランは「待つだけ無駄よ、ヘリコプターで逃げましょう。」と悲しみを抑えて促すが、ピーターは「もう少しだけ待ちたい。」とその場を動こうとしない。階段下から人の気配がする。スティーブンは生きて戻ってきたのか、一瞬期待する二人だが現れたのは変わり果てたスティーブンだった。

再び脱出の旅へ

自殺を覚悟するピーター

ピーターはゾンビとなったスティーブンを射殺する。スティーブンの後をついて来た大量のゾンビが2人に近づいてくる。ピーターはフランに逃げるように言う。フランが「あなたは?」と尋ねると、ピーターは「いいんだ、ここにいたいんだ。」と動こうとしない。ピーターはゾンビで溢れた世界に絶望してしまった。ピーターの意図を組み、屋上へ行きヘリコプターに乗り込みエンジンをかけるフラン。ピーターに近づくゾンビ達。ピーターは手に持った銃を自分のこめかみにあてた。
ピーターは歩み寄るゾンビを見ている内に「こんな奴らに負けてたまるか」と思い直し、自殺を思いとどまった。ゾンビの群れを突っ切って屋上へ向かうピーター。フランはヘリコプターを始動させ、ギリギリまでピーターを待った。屋上にまでゾンビが押し寄せてきた。フランが諦めかけてヘリコプターを離陸させようとしたその時、ピーターが屋上へ姿を現した。ピーターは無事ヘリコプターに乗り込み「燃料は?」と聞くと、フランは「わずかよ。」と答えた。「いいさ。」とピーターは言う。長い夜が明けて二人を乗せたヘリコプターは朝焼けの中を飛び立った。

『ゾンビ』の登場人物・キャラクター

ピーター・ワシントン(演:ケン・フォリー)

冷静沈着なSWAT隊員

長身の黒人、SWAT部隊の隊員で射撃は上級者レベル。冷静沈着な行動をとり、ゾンビに満ちた世界でも理性的であろうとしている。モールに入り込んだ際、ゾンビに見つからないようドアを塞いでペンキで通路と同じ色に塗りドアを隠してしまうなど大工仕事もこなす。屋上で一人テニスの壁打ちをして体を鍛えてたりもした。略奪する暴走族に人間の醜い本性を見せつけられ、モール内でやっと作った安全な場所を破壊されたことで、またゾンビに怯えながら放浪の旅を続けなければならないことに絶望しかけたが直前で自殺を思いとどまった。

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