余命10年(小説・映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『余命10年』とは、小説を実写化し2022年に公開された映画だ。生と死、希望と絶望といった深いテーマを背景に、登場人物たちの内面の葛藤や変化がリアルに描かれている。坂口健太郎と小松菜奈がダブル主演を務めるということでも注目を集めた。物語は、難病を患った女性と生きる希望を失った男性が出会い、お互いに惹かれていく二人を中心に展開する。彼らは自身の過去や不安と向き合い、新たな未来への一歩を踏み出していく。

富田タケル(とみた たける/演:山田裕貴)

茉莉と和人の中学時代の同級生であり、2人の友人。
茉莉の小学校時代の初恋相手。彼は中学校に転校するまで、茉莉が一途に想いを寄せていた相手だった。
同窓会で再会するが、彼は既に同棲している彼女がいることがわかり、茉莉の気持ちには最終的な決着がつくことになる。

真部紫(まなべ ゆかり)

和人の母で、「桐庵流」の家元夫人。茉莉が振袖で体験入門茶会に参加した際、彼女に優しく丁寧な対応をしてくれた。お茶会の後、茉莉が気分が悪くなり倒れた時には、彼女が介抱してくれた。茉莉にとって、彼女の紫の温かさは喜びと同時に切ない感情をもたらした。

月野(つきの)

沙苗の友人で、茉莉が沙苗に連れられて行ったコスプレイベントで出会った女性。お互いに好きなアニメのキャラクターが同じで、すぐに打ち解けて友人となった。茉莉の漫画を褒めて同人誌の発行や原稿の出版社への持ち込みなど、アドバイスをしてくれる。

『余命10年』の用語

原発性肺高血圧症

心臓から肺に血液を送るための血管を「肺動脈」と呼ぶ。この肺動脈の圧力(血圧)が異常に上昇するのが「肺動脈性肺高血圧症(PAH)」。肺動脈の圧力が上昇する理由は、肺の細い血管が異常に狭くなり、また硬くなるために、血液の流れが悪くなる。

必要な酸素を体に送るためには、心臓から出る血液の量を一定以上に保つ必要がある。狭い細い血管の中に無理に血液を流すように心臓が努力するために、肺動脈の圧力(血圧)が上昇する。しかし、何故このような病気が起こるのかは解明されていない。この病気の原因解明が必要であり、有効な治療法の研究開発のため、「肺動脈性肺高血圧症(PAH)」は「難治性呼吸器疾患(指定難病)」に認定されている。

この病気の最初の認定のためには、右心カテーテル検査を受ける必要がある。肺動脈平均圧が25mmHg以上であり、さらに、肺血流シンチグラムという検査で、肺血栓塞栓症ではないことを確認する必要がある。この病気は難治性ですが、この病気であることが診断された場合には、専門医による適切な治療(薬の服用)により、体を動かす際の息苦しさが改善される場合がある。

CCU

CCU(Cardiac Care Unit)は、循環器疾患の集中治療室であり、主に心筋梗塞や狭心症などの急性発症し緊急の処置・管理を要する患者さんに対して、総合的な集中治療を行う。CCUには、循環器内科医、看護師、薬剤師、理学療法士、臨床工学技士などの医療従事者が関与している。

循環器内科医は、CCUでの集中治療に専従し、患者様ひとりひとりの主治医となる。看護師は、24時間体制で観察・看護を行い、患者様の状態をモニタリングする。薬剤師は、薬物療法の調整や薬剤の管理を担当し、治療の安全性を確保する。理学療法士は、リハビリテーションプログラムを提供し、早期離床リハビリテーションをサポートする。臨床工学技士は、医療機器の設定やモニタリングを行う。

CCUでは、急性心筋梗塞や狭心症の管理、心不全の治療、心電図モニタリング、カテーテル処置などの治療が行われる。CCUは心臓疾患の重症患者が入る集中治療室であり、専門の医療スタッフがチームを組んで患者さんの治療を行い、患者の状態を的確に評価し、適切な治療を提供する。

自宅療養

自宅療養は、ある程度軽傷な患者が、医療機関に入院せずに自宅で過ごすことを指す。自宅療養の適格者は、特定の基準に適合する患者や、医療機関の病床がひっ迫している場合などに適用される。自宅療養の際には、患者が外出を控え、同居者との生活空間を分けるなどの感染対策が求められる。

自宅療養中には、患者の健康状態を確認し、必要な医療を提供するために、医師の診療や訪問診療が行われる。訪問看護師は、健康状態のモニタリングや医師の指示に基づいた看護ケアを提供する。また、訪問介護員は身体介護や生活援助を行い、患者の日常生活を支援する。

さらに、訪問リハビリテーションでは、理学療法士や作業療法士が患者の運動機能や日常生活動作の回復をサポートする。訪問入浴介護では、入浴車を利用して患者の入浴を支援し、清潔な環境を保つ。

通所介護やショートスティなどのサービスも利用できる。通所介護では、日中施設での介護や機能訓練を受けられる。ショートスティでは、特別養護老人ホームなどに短期間入所して、介護や機能訓練を受ける。

さらに、福祉用具の貸与も行われる。歩行器や車椅子、介護ベッドなどの福祉用具が必要な場合には、提供される。これらの支援を通じて、自宅療養中の患者が安心して適切なケアを受けられる。

『余命10年』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

真部和人「平凡でつまらない人生かもしれないけど、隣には茉莉ちゃんがいる。死にたいって思ってた俺に生きたいって思わせてくれた茉莉ちゃんのために俺は生きる。これからは俺が茉莉ちゃんを守るから、だから一緒にいてください。茉莉ちゃん、好きです」

2016年、初めての告白でのシーンで、
「平凡でつまらない人生かもしれないけど、隣には茉莉ちゃんがいる。死にたいって思ってた俺に生きたいって思わせてくれた茉莉ちゃんのために俺は生きる。これからは俺が茉莉ちゃんを守るから、だから一緒にいてください。茉莉ちゃん、好きです」
と和人が茉莉に伝える。この言葉には、彼の真摯でまっすぐな思いが込められている。
和人の告白は、茉莉に対する深い愛情と彼女が彼に与えた生きる意味を示す。見事な演技で、和人の決意と茉莉への純粋な気持ちが反映されている。この名言は、彼らの関係を象徴し、感動と共感を呼び起こし涙した人も多いだろう。

高林茉莉「夜まぶたを閉じるのが怖いんだ。私間違ってなかったよね、これで良かったんだよね。ねぇ、和くん…私の人生は幸せだったよ。人より短かったけどあなたと出会って、あなたに愛されて、私は確かに生きてたって思う。だからこれで良かったんだよね。会いたいよ会いたいよ、和くん、大好きだよ。」

命の間際に茉莉が
「夜まぶたを閉じるのが怖いんだ。私間違ってなかったよね、これで良かったんだよね。ねぇ、和くん…私の人生は幸せだったよ。人より短かったけどあなたと出会って、あなたに愛されて、私は確かに生きてたって思う。だからこれで良かったんだよね。会いたいよ会いたいよ、和くん、大好きだよ。」
と小説に残す。茉莉の言葉にも、和人への深い感謝と愛情が溢れている。
これらの言葉は、茉莉の人生に対する受け入れと満足、そして和人への愛情を示す。茉莉が生涯を振り返りながら語ったこの言葉は、実に純粋で美しい。

高林百合子「もっと泣いたりわめいたりしていいんだよ。最初に先生から病気の事を聞かされたとき、お母さんたちの方が動揺して先に泣いちゃったから泣けなかったんだよね、ごめんね。」

2018年、茉莉が和人と別れてきたことを感じ取った母親が、
「もっと泣いたりわめいたりしていいんだよ。最初に先生から病気の事を聞かされたとき、お母さんたちの方が動揺して先に泣いちゃったから泣けなかったんだよね、ごめんね。」
と茉莉に謝る。この言葉には、茉莉の内に秘められた感情と向き合うよう促す深いメッセージが込められている。
この言葉は、茉莉に対する母親の深い理解と愛情がにじみ出ており、涙した人も多いだろう。母親は茉莉に対して、自分の感情を抑えずに泣くことや叫ぶことが許されていることを伝え、そして自分が最初に泣いてしまったことに対する謝罪も述べる。この名言は、茉莉に対する母親の包容力と強さ、そして家族の絆を象徴している。茉莉はこの言葉を通じて、自分の感情を受け入れ、生きることへの勇気を得ることができただろう。

『余命10年』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

撮影のプロセスで見える坂口健太郎の進化

坂口は、本作の撮影がない期間に他の作品にも出演していた。和人と茉莉の存在を頭の中で引き続き考えながらも、一時的に役柄から離れることは、彼にとって良い影響をもたらした。「長い間の撮影でしたが、全体の撮影日数を短期間に凝縮すると、1~2ヶ月ほどになる。その間、他の作品にも出演した。ただ、和人は物語の中でシンプルな存在であることが良かった。ただ茉莉のことを愛しているだ。シンプルであるが故に、この愛情をどれだけ持続させるか、その情熱をどれだけ真実に表現するか、というのは非常に難しかったですが、そのことだけを考えることができればよかった。」と語る。「別の作品に出演していても、茉莉とこの作品のことをいつもどこか心に留めていた。むしろ、その期間が一歩引いて考える時間になった。これは和人と距離を置くことではなく、その時間があったからこそ、心からの芝居ができたという結果だ。様々なことに追われる中で、考える余裕がない状況もあったが、そういった意味では、長期間にわたって和人と茉莉のことを心に留めて演じることができたことは、本当に良かったと思う。」と自身の成長を実感したようだ。

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坂道のアポロン(漫画・アニメ・映画)のネタバレ解説・考察まとめ

坂道のアポロン(漫画・アニメ・映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『坂道のアポロン』とは、2007年から2012年まで小玉ユキが『月刊フラワーズ』(小学館)にて連載していたジャズと青春をテーマにした少女漫画、およびそれを原作としたアニメ、実写映画である。舞台は1966年の長崎県。主人公の薫が、横須賀から長崎の高校へ転入したところから始まる。父の仕事の都合で転校ばかりしていた薫にとって、学校は息苦しくストレスばかりの場所であった。しかし、そこで不良の千太郎と心優しい律子、そしてジャズに出会い薫の生活は一変する。美しい友情と交錯する恋心が魅力的に描かれている。

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