硫黄島からの手紙(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『硫黄島からの手紙』とは、アメリカ合衆国で製作された戦争映画。太平洋戦争末期の日本軍司令官、栗林忠道が家族に送った『「玉砕総指揮官」の絵手紙』に基づいており、クリント・イーストウッドが監督を、アイリス・ヤマシタが脚本を務めた。前作のアメリカ側からみた硫黄島での戦闘を描く、『父親たちの星条旗』と対をなす『硫黄島2部作』の日本側作品。2006年に発見された兵士たちの手紙から始まり、1944年当時の硫黄島守備隊の玉砕までの日々を陸軍一等兵西郷や守備隊指揮官栗林中将の目線から描いている。

硫黄島守備隊に所属する兵隊で階級は陸軍一等兵。徴兵された応召兵であり、以前は妻の西郷花子(さいごうはなこ)とともにパン屋を営んでいた。あんパンやカステラを作っていたが、戦局が悪化したことを建前に憲兵があらゆるものを持ち去っていったことでパン屋を継続できなくなってしまった。そのような背景から、憲兵出身である清水にあまり良い印象を持っていない。また、上官の谷田から体罰を受けていた際、着任したばかりの栗林に救われ、また戦闘の中で栗林と交流を深めていく。栗林の最期を看取る、本作の主人公。

日本軍

西武一(にしたけいいち/演:伊原剛志)

戦車第26連隊長。階級は陸軍中佐。1932年ロサンゼルスオリンピック馬術障害飛越競技の金メダリストでもあり、日本軍のみならず敵である米軍にも「バロン西」として彼を知る人物が多く、かなりの有名人である。騎兵科出身である栗林と馬話で盛り上がり、硫黄島に馬を連れてくるほど。胸ポケットにはロサンゼルスオリンピック時の相棒であるウラヌス号の写真を入れている。硫黄島の戦闘では戦車を動かすことはできなかったが、固定砲台として戦車を運用した。また、戦車が破壊された後は栗林の命令に従い、残余の兵を指揮して司令部に向かおうとしたがその途中で目を負傷し、迷惑をかけられないと自決した。

清水洋一(しみずよういち/演:加瀬亮)

硫黄島に新しく派遣された兵士。階級は陸軍上等兵。元憲兵であり、硫黄島の兵隊とは異なる背景を持つことから兵隊から敬遠されてしまう。妻のために戦地で生き残ろうとする西郷に最初は反発するが、やがて行動を共にする。彼は憲兵として配属された直後、巡察中に民家で飼われている犬を殺害しろという命令を受けたが殺すふりをしていたことが露呈してしまう。その責任からこの硫黄島に送り込まれたことが後に判明し、憲兵に不信感を持つ西郷とも打ち解けることとなる。

伊藤(いとう/演:中村獅童)

海軍大尉として登場。栗林が着任する前に陣地の構築を担当していた。栗林から陣地構築を否定され、他の海軍将校とともに栗林に対して不信感を抱いている。また戦闘中は栗林の命令に背いて行動し、栗林の命令通りに動いた西郷や清水を粛正しようとする。最後は1人で地雷を持って敵戦車を待ち伏せるが戦車が来ることは無く、アメリカ軍に捕えられ、生還する。

藤田正喜(ふじたまさのぶ/演:渡辺広)

左から2人目の軍人が藤田 正喜(ふじた まさのぶ)

栗林中将の副官として硫黄島にやってきた将校。階級は陸軍大尉。栗林と常に一緒に行動し、栗林の考えに理解を示す数少ない軍人の1人。玉砕時も栗林と行動を共にするが、栗林の介錯を行う前に狙撃され、戦死する。

谷田(たにだ/演:坂東工)

西郷が所属する摺鉢山守備隊所属の機関銃中隊長。階級は中尉。水際防衛陣地の構築中に愚痴をこぼした西郷を殴りつけるが栗林に制止される。摺鉢山の戦闘では機関銃を使って善戦するも陣地は陥落。その責任を取って西郷と清水を除く部下と共に手榴弾で自決し、戦死する。

その他

西郷花子(さいごうはなこ/演:裕木奈江)

西郷昇の妻で夫の帰りを日本本土で待ち望んでいる。夫が徴兵される前は、夫婦でパン屋を営んでいたが、戦局が悪化したことを建前に憲兵があらゆるものを持ち去っていったことでパン屋を継続できなくなってしまった。

『硫黄島からの手紙』の用語

硫黄島

硫黄島(いおうじま)は、小笠原諸島(おがさわらしょとう)の南端付近にある東西8 km、南北4 kmの島。小笠原諸島最大の島であり、周囲の島々と合わせて火山列島(硫黄列島)と呼ばれる列島を形成する。本作品では1944年に起きた硫黄島の戦いの舞台として登場する。日本軍2万人とアメリカ軍11万人が激突した歴史を持つ、第二次世界大戦激戦地の1つ。本作の舞台でもある。

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