硫黄島からの手紙(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『硫黄島からの手紙』とは、アメリカ合衆国で製作された戦争映画。太平洋戦争末期の日本軍司令官、栗林忠道が家族に送った『「玉砕総指揮官」の絵手紙』に基づいており、クリント・イーストウッドが監督を、アイリス・ヤマシタが脚本を務めた。前作のアメリカ側からみた硫黄島での戦闘を描く、『父親たちの星条旗』と対をなす『硫黄島2部作』の日本側作品。2006年に発見された兵士たちの手紙から始まり、1944年当時の硫黄島守備隊の玉砕までの日々を陸軍一等兵西郷や守備隊指揮官栗林中将の目線から描いている。
真珠湾攻撃
真珠湾攻撃(しんじゅわんこうげき)は、1941年12月8日未明、第二次世界大戦において大日本帝国海軍が、アメリカ合衆国のハワイ準州オアフ島真珠湾にあったアメリカ海軍の太平洋艦隊と基地に対して行った攻撃のことである。宣戦布告と共に行った航空機による攻撃で、アメリカ軍の軍艦が多数沈没し、日本軍は勝利した。この攻撃をきっかけとして日本軍とアメリカ軍が激突する太平洋戦争が幕を開けることとなる。
ミッドウェー海戦
ミッドウェー海戦(みっどうぇーかいせん)は、1942年6月5日から6月7日にかけて中部太平洋ミッドウェー島周辺で行われた日本海軍とアメリカ海軍による海戦である。太平洋戦争の転換点と言われ、この戦闘における敗北により日本側は制空権と制海権を失い、以後は戦争の主導権がアメリカ側に移った。各地の勝利にアメリカ軍の早期撃滅を確信した日本軍はさらに支配地域を拡大すべく、ミッドウェー島攻略を目指す。また、並行してアメリカ海軍の殲滅を目的として日本軍のエリート航空部隊を派遣するが、機密情報を守るための暗号が解読されてしまい、逆に戦力を失ってしまう結果となった。
トーチカ
1930年代前半にソ連軍が日本軍の侵入に対抗して満州(中国東北部)との国境線に沿って配備した鉄筋コンクリート製の陣地。厚さ1.5~2.5メートルのコンクリート壁の内部に機関銃、火砲、高射砲などの兵器を収容し、連携した射撃が可能であった。指揮設備、通信設備、居住設備が整い、周辺のトーチカ群との間を地下道で結び、鉄条網、地雷原との組合せで強力な要塞(ようさい)となる。本作では日本軍がアメリカ軍を迎え撃つために硫黄島内部に多数建築しており、西郷の守る摺鉢山もトーチカ要塞の1つであった。
憲兵
憲兵(けんぺい)とは、大日本帝国陸軍において陸軍大臣の管轄に属し、主に警察の役目を果たした。1881年(明治14年)に創設された組織である。日本では1890年代には全国の市町村に配置され、軍警察、治安維持、防諜を主要任務としていた。本作では清水が配属されたのが憲兵隊であり、日本軍の活動を妨害する者がいないか見回りを行っていた。
硫黄島守備隊が遺した手紙
硫黄島守備隊の兵士達は激しい戦闘の中でも、内地に残してきた妻や母親、家族に手紙を書いていた。初めのうちは郵便が機能しており、手紙を集めて内地に送ることもできていたが、日本軍の敗北が濃厚になると手紙1つ送ることも難しくなっていった。内地に残した大切な人たちの近況が分からない不安に駆られながらも、兵士たちは手紙を書き続ける。そして玉砕の時、兵士たちは思いの丈を手紙に書き残す。これは本来であれば敵に情報を奪われないために焼却されるはずであったが、処分を命じられた西郷は手紙を処分せず司令部に埋めて隠す選択をする。この手紙は戦後の遺骨探索隊によって発見され、兵士たちの思いが明かされることとなる。
『硫黄島からの手紙』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
栗林忠道「いい上官は鞭だけではなく、頭も使わんとな」
西郷は陣地構築に愚痴をこぼした結果、上官である谷田大尉に殴られてしまう。それを止めた栗林は上官の谷田の面子を潰さないよう、「いい上官は鞭だけではなく、頭も使わんとな」と諭すように語り掛けた。上官の暴力から救われた西郷と栗林が初めて出会った時のセリフだが、このセリフには司令官としての栗林ではなく、一人間としての栗林の優しさが表れている。
西武一 「諸君、最善を尽くせ。そして、正しいと思う道を行ってくれ。それが己の誠意なんだ。いいな」
摺鉢山から撤退し、栗林のいる司令部へと向かう途中、西中佐は爆風にやられ目を負傷してしまう。これ以上の移動は困難だと考えた西は、引き連れていた兵隊を1人でも多く逃すべく解散を決意した。「諸君、最善を尽くせ。そして、正しいと思う道を行ってくれ。それが己の誠意なんだ。いいな」とは、その際の訓示の一言である。この言葉からは硫黄島守備隊として生きて戦い続けるべきだと考え、兵隊たちに栗林の命令を守らせようとする西の強い意志を感じることができる。
栗林忠道 「予は常に諸子の先頭に在り」
硫黄島の日本軍守備隊はほとんど壊滅となり、東京の大本営の命令通り玉砕することを栗林は決断する。玉砕直前、栗林は生き残った兵隊を集め、最後の激励として短い訓示を行う。その締めくくりとして使われたのが、「予は常に諸子の先頭に在り」だった。この言葉通り、栗林は兵隊の先頭に立って突撃を敢行することとなる。
『硫黄島からの手紙』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
クリント・イーストウッド監督自ら提案する異例の撮影現場
監督がストーリーに沿ったある程度の指示を出して、それを演者が正確に表現する。従来の映画の撮影では基本であったことが、今回は違った。クリント・イーストウッド監督自らが演技について提案を持ち掛けていた結果、多数の受賞を成し遂げた作品が完成した。
イーストウッド監督との撮影について二宮さんは、「これ一番良かったのが、『こうやって撮って、モノを見てくれ』みたいな演出があるじゃないですか。あの人がやるんですよ」と監督自ら提案を行っていたと明かす。
一方で当時の二宮さんは「本物だ...」と感激し、指導が頭に入らなかったとのこと。「目の前で芝居するんですよ?あの人が!」と言い、「一番それが(ハリウッド)行ってよかった」と力強く語っていた。
出典: news.yahoo.co.jp
クリント・イーストウッド監督と石原都知事との面会
2005年4月5日に、クリント・イーストウッド監督は43年ぶりの来日を果たした。目的は本作の映画の舞台であり、映画の撮影に不可欠な存在、東京都小笠原村硫黄島での撮影許可を得るためであった。彼は直接、石原慎太郎東京都知事を表敬訪問し、それから1年後の06年4月27日に硫黄島で撮影し、翌日東京で「硫黄島」2部作(「硫黄島からの手紙」と「父親たちの星条旗」)のクランクアップ記者会見を開いた。
私が問いかけると、イーストウッドは「そう」「そう」と5度繰り返し、その代表的な作品「硫黄島からの手紙」にかけた思いを語ってくれた。
「資料を読み進めるうち、(生きて帰る)希望が全くない状態で、あの島に取り残されているというのはどういう気持ちだったんだろうと思ったんだ」
そして彼は東京に行き、当時の石原慎太郎・都知事に会った。石原が作家で、映画も作ることを知り、意気投合。遺族らで作る硫黄島協会の同意を得て撮影に臨んだという。
出典: dot.asahi.com
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目次 - Contents
- 『硫黄島からの手紙』の概要
- 『硫黄島からの手紙』のあらすじ・ストーリー
- 日本軍守備隊が遺した手紙の発見
- 1944年の硫黄島
- 栗林中将と陸軍一等兵西郷との出会い
- アメリカ軍の上陸と悲惨な戦闘
- 清水と西郷の投降
- 栗林中将の決断と玉砕
- 生き残った西郷と兵隊たちが遺した手紙の行方
- 『硫黄島からの手紙』の登場人物・キャラクター
- 主要キャラクター
- 栗林忠道 (くりばやし ただみち/演:渡辺謙)
- 西郷昇 (さいごうのぼる/演:二宮和也)
- 日本軍
- 西武一(にしたけいいち/演:伊原剛志)
- 清水洋一(しみずよういち/演:加瀬亮)
- 伊藤(いとう/演:中村獅童)
- 藤田正喜(ふじたまさのぶ/演:渡辺広)
- 谷田(たにだ/演:坂東工)
- その他
- 西郷花子(さいごうはなこ/演:裕木奈江)
- 『硫黄島からの手紙』の用語
- 硫黄島
- 真珠湾攻撃
- ミッドウェー海戦
- トーチカ
- 憲兵
- 硫黄島守備隊が遺した手紙
- 『硫黄島からの手紙』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 栗林忠道「いい上官は鞭だけではなく、頭も使わんとな」
- 西武一 「諸君、最善を尽くせ。そして、正しいと思う道を行ってくれ。それが己の誠意なんだ。いいな」
- 栗林忠道 「予は常に諸子の先頭に在り」
- 『硫黄島からの手紙』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- クリント・イーストウッド監督自ら提案する異例の撮影現場
- クリント・イーストウッド監督と石原都知事との面会
- 映画に出演したクリント・イーストウッド監督の息子
- 『硫黄島からの手紙』の主題歌・挿入歌
- メインテーマ:カイル・イーストウッド/マイケル・スティーヴンス「Letters From Iwo Jima」