アイネクライネナハトムジーク(小説・漫画・映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『アイネクライネナハトムジーク』とは、2014年に発刊された伊坂幸太郎の連作短編集を原作とした、2019年に公開された日本映画である。監督は今泉力哉。会社員の佐藤(さとう)は、恋愛したいと思いつつも「出会いがないから」と理由をつけて恋愛に積極的になれずにいた。それを友人の織田一真(おだかずま)や妻の由美(ゆみ)らが見守る中、佐藤と本間紗季(ほんまさき)は劇的な出会いを果たす。この作品は、佐藤と紗季やその周りを取り巻く人々が10年にわたって織りなす物語を穏やかに描き出す作品である。
佐藤の大学の同級生。一真の妻で美緒の母。学生時代から美人と有名でファンが多かったため、一真との交際がわかるとショックを受ける友人が多かったという。ちゃらんぽらんでいい加減なことを言う一真をたしなめる場面が多くみられるが、なんだかんだ言いつつ一真のことは大切に思っている。物語後半の10年後では、パートとして働いている描写がある。「どうしてお父さんと結婚したの」と聞く美緒に対し、「なに、好きな人でもできた?」とからかっている。
織田 美緒(おだ みお/演:恒松 祐里)
物語後半の10年後、高校生になった一真と由美の娘として登場する。由美に似て美人に育ち、クラスメイトから高嶺の花としてみられている。藤間の娘である亜美子が親友。和人とはクラスが同じで席も隣同士。責任感の強い和人の性格を見込んで、駐輪場のステッカーを盗んだ犯人捜しに誘う。犯人捜しを機に和人との距離が近づき、好意を寄せられて美緒もまんざらではない様子である。一真のことを「まわりに頼りきり、なんとか助けてもらって生きているような男」と評しており、毛嫌いしていた。
久留米家の人物
久留米 和人(くるめ かずひと/演:萩原 利久)
美緒と亜美子のクラスメイト。家族3人でファミレスで食事をとることが多い。自分は「終始ぺこぺこしている父のようにはならない」「社会の歯車にはならない」と、思春期特有の反発心を持つ。学校でも正義感ある発言をすることがあり、これが美緒の目に留まった。美緒と親しくなるにつれて好意を抱くようになり、学の試合を機に美緒に告白しようとする。結局は無計画での告白となったが、うまくいった様子。
久留米 邦彦(くるめ くにひこ/演:柳 憂怜)
和人の父でマリ子の夫。サラリーマンで、家族といる時間でも仕事の電話に応対し、電話の相手にうまいことを言ってぺこぺこしている。その様子を見ていた和人には、「父のようにはならない」とはっきり言われ拒絶されてしまう。しかし駐輪場で揉めていた美緒と和人に偶然遭遇した際は、無難な対応でステッカーを盗んだ犯人を簡単になだめた。長年のサラリーマン生活で培ったその処世術は和人を唖然とさせるほどで、後に和人も邦彦の真似をすることになる。
久留米 マリ子(くるめ まりこ/演:濱田 マリ)
和人の母で邦彦の妻。邦彦に「終始ぺこぺこしている父のようにはならない」「社会の歯車にはならない」と言う和人に対し、「歯車をなめんなって話よね。どんな人だって、基本的には歯車なんだから」と諫める。歯に衣着せぬ物言いで、人生の先輩としての姿を和人にみせる。
学とその周辺の人物
小野 学(ウィンストン 小野)(おの まなぶ/演:成田 瑛基)
香澄の弟で、美奈子の交際相手。ボクシングヘビー級の選手。一度チャンピオンにまで昇り詰めるが、防衛戦で敗退。それから10年後に再びチャンピオンに挑戦する。その際も敗退してしまうが、諦めずに戦い続ける姿が多くの観客を魅了した。美奈子とは香澄の紹介で知り合い、チャンピオンになった際に告白して交際がスタートした。防衛戦で敗退してどん底の時期に美奈子と結婚し、子供を1人もうける。香澄とは、幼い頃姉弟の2人きりで生きてきたという経緯がある。
美奈子(みなこ/演:貫地谷 しほり)
美容師で、香澄はその常連客。学の交際相手。香澄の紹介で学と連絡を取り合うようになる。はじめは学の職業を知らず、どこかの会社の事務員だと思っていた。香澄から「学がヘビー級の試合で挑戦者が勝ったら告白するらしい」と聞くも、学がその挑戦者であるとは試合が終わるまで気づかなかった。その後交際期間を経て結婚、1人の子供を出産する。学が防衛戦に負けて世間からバッシングを浴び、どん底だった時期に結婚した。
板橋 香澄(いたばし かすみ/演:MEGUMI)
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目次 - Contents
- 『アイネクライネナハトムジーク』の概要
- 『アイネクライネナハトムジーク』のあらすじ・ストーリー
- 交差する出会い
- 劇的な出会い
- 積み重ね
- 10年後
- 『アイネクライネナハトムジーク』の登場人物・キャラクター
- 主人公とその周辺の人物
- 佐藤(さとう/演:三浦 春馬)
- 本間 紗季(ほんま さき/演:多部 未華子)
- 織田家の人物
- 織田 一真(おだ かずま/演:矢本 悠馬)
- 織田 由美(おだ ゆみ/演:森 絵梨佳)
- 織田 美緒(おだ みお/演:恒松 祐里)
- 久留米家の人物
- 久留米 和人(くるめ かずひと/演:萩原 利久)
- 久留米 邦彦(くるめ くにひこ/演:柳 憂怜)
- 久留米 マリ子(くるめ まりこ/演:濱田 マリ)
- 学とその周辺の人物
- 小野 学(ウィンストン 小野)(おの まなぶ/演:成田 瑛基)
- 美奈子(みなこ/演:貫地谷 しほり)
- 板橋 香澄(いたばし かすみ/演:MEGUMI)
- 少年(演:中川 翼)
- 青年(演:藤原 季節)
- 女子高生(演:祷 キララ)
- セコンド1(演:伊達 みきお(サンドウィッチマン))
- セコンド2(演:富澤 たけし(サンドウィッチマン))
- その他の人物
- 藤間(ふじま/演:原田 泰造)
- 亜美子(あみこ/演:八木 優希)
- ストリートミュージシャン(斉藤)(さいとう/演:こだま たいち)
- 『アイネクライネナハトムジーク』の用語
- 仙台駅
- ヘビー級
- 防衛戦
- 『アイネクライネナハトムジーク』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 佐藤と紗季の出会い
- 小野 学(ウィンストン小野)「僕はまだ、挑戦しなきゃならないことがあります」
- 佐藤「なんか、色々かなわないなって」
- 『アイネクライネナハトムジーク』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 「どこにでもいる」ような主人公を意識した「佐藤」
- 監督からの「相手をちゃんと使ってください」というアドバイス
- 伊坂幸太郎作品の映画化が怖かった今泉監督
- 『アイネクライネナハトムジーク』の主題歌・挿入歌
- 主題歌:斉藤 和義「小さな夜」