ウォンカとチョコレート工場のはじまり(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』とは、2023年12月に公開されたミュージカル・ファンタジー・コメディ映画である。
ウィリー・ウォンカの若かりし日の冒険の物語であり、夢と挫折、友情が甘くもほろ苦く描かれている。
1964年に出版され、映画化もされているロアルド・ダールの小説『チャーリーとチョコレート工場』の原点を描いた作品である。
ティモシー・シャラメが主演であるウォンカ役を演じ、ワーナー・ブラザース・ピクチャーズによって公開され、2023年の興行収入第8位の映画となった。

『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』の概要

『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』とは、『チャーリーとチョコレート工場』の登場人物であるウィリー・ウォンカの若かりし頃をティモシー・シャラメが演じたミュージカル・ファンタジー・コメディ映画である。ポール・キングとサイモン・ファーナビーが共同脚本し、ポール・キングが監督を務めた。『ハリー・ポッター』シリーズ全8作のプロデュースを手掛けたデイビッド・ヘイマンがプロデューサーを務めた。
ワーナー・ブラザース・ピクチャーズが2016年10月にキャラクターの権利を再取得したことから製作が開始され、2023年12月に公開された。

ウォンカが自身のチョコレート店を開くためにイギリスに向かい、様々な苦労を経験しながらも友情を手に入れる。そして、自身のチョコレート店を持つという夢の動機でもある、亡くなった母との繋がりを再認識するというストーリーである。小説にはない新たなオリジナルストーリーであり、ウィリー・ウォンカの若かりし頃が描かれているが、『チャーリーとチョコレート工場』に繋がる前編ではない。しかし、『チャーリーとチョコレート工場』のコンパニオンピースとして存在するためにウンパ・ルンパの音楽、テーマ的要素、ビジュアルデザインの一部が再現された。
ティモシー・シャラメが主演であるウォンカ役を演じ、ヒュー・グラント(『ブリジットジョーンズの日記』主演)やローワン・アトキンソン(『ミスター・ビーン』主演、『ジョニー・イングリッシュ』主演)などの名俳優が脇を固めた。

ティモシー・シャラメの演技、サウンドトラック、ビジュアルデザインが評価され、2023年の興行収入8位となった。『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』は英国アカデミー賞の英国映画賞にノミネートされ、ティモシー・シャラメはゴールデングローブ賞のミュージカル・コメディ部門主演男優賞にノミネートされた。

サウンドトラックは、ニール・ハノンが作曲を担当し、本映画で脚本・監督を務めたポール・キングとサイモン・ファーナビーが作詞した7曲のオリジナル曲が収録されている。また、1971年公開の『チャーリーとチョコレート工場』サウンドトラックに収録されていた『Pure Imagination』と『Oompa Loompa』も今回の映画キャストによる新バージョンで収録されている。2023年12月にWaterTower Musicからリリースされた。

あらすじ・ストーリー

夢を叶えるためイギリスに降り立ったウォンカ

船の上のシーンから物語は始まる。若き発明家でありマジシャン、ショコラティエであるウォンカは望遠鏡を覗きイギリスを見つけ、『A Hatful of Dreams』を歌いながら上陸準備を始める。
ウォンカはソブリン銀貨(イギリス硬貨)12枚を持ちイギリスに上陸し、ギャラリーグルメ(有名チョコレート店が軒を連ねるショッピングストリート)に向かう。途中、靴磨きや警官からお金を請求されたり、ホームレスの母親にお金を恵んだりしたため銀貨はたった1枚になった。
日が暮れ、ウォンカはベンチを見つける。野宿をするつもりでベンチに座ると、大型犬が現れウォンカのズボンに噛みつく。飼い主のブリーチャーという怪しい男が止めに入る。ブリーチャーは「野宿をするには寒い」と言ったが、ウォンカは「どこかに泊まるためのお金がない」と話した。するとブリーチャーは「それは残念」と怪しい笑みを浮かべる。そして、「助けてくれる人を知っている」とウォンカに話し、宿に向かうために2人は歩き出す。
ウォンカはブリーチャーに連れられ宿兼クリーニング店を訪れる。
経営者のスクラビン婦人が出世払いの宿泊プランを提案し、ウォンカは合意する。1泊のための1ソブリンを明日の夕方6時までに支払うという約束で、スクラビン婦人はウォンカに契約書へのサインを求める。その場に居合わせた孤児の少女ヌードルは「契約書の中身をしっかり読んで」と警告する。ウォンカは契約書が10ページ以上もあることに気づく。ウォンカは契約書を読んでいるふりをしてスクラビン婦人と男を不安にさせるが、実はウォンカは字を読むことができなかった。そして、契約書にサインをしてしまう。
商売の邪魔をしたとして、スクラビン夫人はヌードルを真っ暗なお仕置き部屋に閉じ込める。

3人の有名ショコラティエと出会う

翌日、ウォンカは再びギャラリーグルメを訪れる。
空き店舗の前でウォンカは母の手作りチョコレートを取り出し、決意を固める。大きな声で通りを歩く人の注目を集め、『You've Never Had Chocolate Like This (Hoverchocs)』を歌いながら、ホバーチョコを紹介し始める。人々が集まり、付近の有名チョコレート店のショコラティエ達も騒ぎを聞きつける。
ウォンカがチョコレートの入った瓶のふたを開けると中からチョコレートが飛び出し、有名ショコラティエは飲み物を吹き出し驚く。たまたまギャラリーグルメを通りかかったヌードルも目撃し目をキラキラさせる。有名ショコラティエの1人が秘書に警察を呼ぶよう頼む。
ウォンカがホバーチョコを試したい人はいるか尋ねると、有名ショコラティエ3人が人混みをかき分けてウォンカに近づいてくる。先ほど警察に通報するよう秘書に頼んだアーサー・スラグワース、フェリックス・フィクルグルーバー、ジェラルド・プロドノーズである。ウォンカが「子供の頃から憧れていました」とスラグワースに握手を求めると、スラグワースは強い力で握手をしてウォンカを威嚇する。
そして、有名ショコラティエ3人がホバーチョコの味見をする。あまりのおいしさに有名ショコラティエ3人の表情が緩む。しかし、有名ショコラティエ3人は口々に「チョコレートはシンプルであるべきだ」などとウォンカを批判し始める。ウォンカは批判されたことに驚き、少し悲しそうな顔をするが、突然有名ショコラティエ3人の体が浮かび上がる。ウォンカはこの現象について、チョコレートの中のホバー(アブ)が卵から孵り、羽ばたいているからであると説明する。それを見た人々は次々とホバーチョコを試したがり、ウォンカは1つ1ソブリンで人々にホバーチョコを配る。ウォンカが遠くからこちらを見ていたヌードルに気づき会釈をし、ギャラリーグルメは楽しい雰囲気に満ち溢れていた。
すると、複数の警察官が現れる。昨日ウォンカに空想の罰金を要求した警官は、ウォンカに「店を持たずにチョコレートを売ったという営業妨害の苦情通報があった。売り上げを没収する」と伝える。ウォンカは「せめて1ソブリンだけ、宿代に」と警察官にお願いをする。警察官は自分のポケットから1ソブリン取り出し、ウォンカに渡す。
ウォンカは1ソブリンだけでスクラビンの宿に戻る。

スクラビンの宿の宿泊者4人との出会い

宿代の支払いをしようとするウォンカはスクラビン婦人に追加料金を請求される。暖炉で暖を取った代、階段使用料、石鹸代など悪徳な追加料金であったが、契約書に書かれていたと主張するスクラビン夫人にウォンカは何も言い返すことができない。1泊1ソブリンのはずが1万ソブリンになってしまう。スクラビン婦人とブリーチャーはクリーニング店で働いて借金を返済することを提案し、1日の労働で1ソブリン返済し、27年4カ月16日間かかることを説明する。そして、ブリーチャーが洗濯室へウォンカを突き飛ばす。

洗濯室では、元会計士のアバカス・クランチ、元配管職人のパイパー・ベンツ、無口のロッティ・ベル、コメディアンのラリー・チャックルズワースが働いていた。4人も宿泊代の安さに釣られ契約書にサインし、ウォンカと同じ目に遭った人たちである。クランチがウォンカを持ち場に案内し、それぞれの仕事を続ける。クリーニング店での仕事を終え、4人はそれぞれの自室に戻り、ウォンカも雨漏りのする宿の自室へ戻る。

ウォンカは母との思い出を語る

ルームサービスでウォンカに残飯届けにきたヌードルにウォンカはSilver Lining(ひとすじの光)をというチョコレートを作る。チョコレート作っている間、ウォンカの回想シーンが始まる。

幼いウォンカは手品で母を喜ばせている。ウォンカと母は貧しい暮らしをしていたが、毎週カカオ豆を1つ買い、ウォンカの誕生日にはチョコレートを作ってくれた。
「世界で一番美味しいチョコレートだね」とウォンカは母に伝えると、「世界で一番美味しいのはギャラリーグルメのチョコレートだそうよ」と母が答える。ウォンカが反論すると、母は「ママのチョコレートには秘密が隠れているからね」とウォンカに話す。秘密とは何かと尋ねると、大人になったら教えると母がウォンカをなだめる。いつか2人でギャラリーグルメに行こうと提案し、ギャラリーグルメでウォンカというお店を出したいとウォンカは母に伝える。「ただの夢かな?」とウォンカは不安そうな表情で母に問いかけると、「素敵なことはすべて夢から始まるの。だから夢を追い続けて。あなたがチョコレートを披露するとき、ママはあなたの隣にいるよ」と母はウォンカに声をかける。そして2人は約束し、指切りをする。

母のチョコレートの秘密とは何だったのかヌードルが尋ね、ウォンカの回想シーンは終わる。ウォンカは「聞けなかった」と答える。その後すぐ母は病気になったという。ウォンカは母が作ったチョコレートをお守りのように大切に持っている。そのチョコレートを母さんと食べるためにギャラリーグルメに来たとウォンカはヌードルに話す。そうしている間に、作っていたチョコレートのSilver Lining(ひとすじの光)が完成する。ヌードルが試食すると、「食べなきゃよかった。これからチョコレートのない毎日がつらくなる」と悲しい顔をする。「それなら毎日チョコレートをあげる。一生分のチョコレートをあげるよ。」とウォンカはヌードルに伝えるが、代わりの条件として、チョコレートを売り借金を返すためにスクラビンの宿から数時間抜け出す手助けをしてほしいと提案する。

チョコレート・カルテルは警察署長に賄賂を渡す

警察署長は懺悔をするために聖堂に訪れる。告解室に入り、罪を犯したとジュリアス神父に伝える。「このチョコレートを150粒も食べてしまった」と言い、ジュリアス神父に1粒のチョコレートを手渡す。ジュリアス神父がレバーを引くと、告解室がエレベーターになり下の階へ降りていく。銀行の金庫のようなセキュリティ扉を進み部屋に入ると、そこにはあの有名ショコラティエ3人がいた。スラグワース、フィクルグルーバー、プロドノーズはチョコレート・カルテルを構成し、町のチョコレート取引を牛耳っていた。そして、警察署長はこのチョコレート・カルテルと同盟関係にあり、ウォンカを追い払った手数料として賄賂(チョコレート)をもらう。しかし、ウォンカは安くておいしすぎるチョコレートを売っているため、追い払うだけでは不十分であると有名ショコラティエ3人は懸念している。町でまたチョコレートを売れば、事故に遭い死ぬと脅すようスラグワースは警察署長に頼む。警察署長は控えめに断るが、スラグワースがソファに座るよう警察署長に促し、『Sweet Tooth』を歌い出す。賄賂としての1800箱のチョコレートの誘惑には負けてしまい、警察署長はチョコレート・カルテルと再び取引をする。

ウォンカはヌードルと共に動物園に忍び込む

ウォンカはスクラビンの宿を抜け出すために作戦を練り、自動洗濯マシンを作っていた。
昨日作ったチョコレートを売る言い、ウォンカはヌードルに商品を披露しようとするが瓶の中身は空っぽであった。ウォンカは「またか」と落胆する。チョコレートが盗まれたという。ヌードルが「誰に?」と尋ねると、ウォンカは「緑の髪のオレンジ色の小男だよ」と答える。
新しくチョコレートを作ることはできるが、そのためにはミルクが足りないとウォンカはヌードルに伝える。また、牛のミルクではなくキリンのミルクが必要であると話す。ヌードルは「キリンなら動物園にいるけど、勝手にミルクを絞るなんてできないよ。」と答える。ウォンカは1つだけ隠し持っていたチョコレートを手にヌードルと共に動物園へ向かう。

ヌードルは動物園の警備員に「動物園長から長年働いたご褒美です」とウォンカのチョコレートを手渡す。ウォンカは手渡したチョコレートについてヌードルに説明する。チョコレートはナイトライフという名で、夜遊び気分を味わえるという。チョコレートを食べた警備員は踊りだした後、「愛したのは彼女だけ」と泣き出す。そして警備員は受話器を取り、学校で席が隣だっただけの女性に電話し愛していると伝え、居眠りを始める。ヌードルは今起きた出来事に驚き目を見開き、ウォンカとヌードルは動物園に忍び込む。
2人はキリンの小屋に入り、ウォンカはキリンのアビゲイルに深々とお辞儀をする。キリンが興奮しウォンカに近付くと、ウォンカはアカシアミントを差し出し、「キリンはアカシアミントが大好物なんだよ。」と話す。そして乳搾りを始める。
ウォンカはヌードルに名前の由来を尋ねる。ヌードルはペンダントにしている家族から唯一残された指輪をウォンカに見せ、そこにはNが刻印されていた。だからヌードルという名前を名乗ることにしたと話す。指輪の持ち主を何度も探したと話し、ヌードルが憧れる家族像の回想シーンが始まる。「本がいっぱいある家で、ママが玄関で自分を待っている。二度と離さないと抱きしめてくれる。バカな夢だよね」と口にする。ウォンカは「バカな夢なんかじゃない。君を自由にしてあげる」とヌードルに話し、2人は指切りをする。ヌードルは笑顔になり、『For a Moment』を歌い出す。大量の風船を手に取りギャラリーグルメまで飛んできた2人は屋根で踊る。しかし、警察官がウォンカとヌードルを目撃してしまい、警察署長に報告する。噴水の前で踊っていると警察署長が現れる。「2人で話そう」と警察署長がウォンカに伝え、ウォンカはヌードルを逃がす。警察署長は「二度とこの町でチョコレートを売るな」と警告し、ウォンカの頭を警棒で殴る。

借金返済のためにスクラビンの宿の宿泊者たちは団結する

スクラビンの宿の4人は自動洗濯マシンのおかげでゆっくりとした午後を過ごしていたが、どこに行っていたのかとアバカスがウォンカに詰め寄る。ウォンカはスクラビンの宿の4人に自分はチョコレート職人であると打ち明ける。「町でチョコレートを売り、借金を返そうとしていたけど…」とウォンカが口ごもると、アバカスは「警察署長に邪魔された?」とこれまでの出来事を言い当てる。実は元会計士のアバカスは、チョコレート・カルテルの一員スラグワースの元会計士であった。「簡単な仕事だった。帳簿が2冊あることに気づくまでは」とアバカスは話し始める。スラグワース、フィクルグルーバー、プロドノーズがチョコレート・カルテルとして、チョコレート業界を牛耳っている証拠である裏帳簿を見つけたという。
そして、チョコレート・カルテルはチョコレートを水で薄め、大聖堂の地下の秘密金庫に保管していることや、チョコレート中毒の神父と500人の修道士がそのチョコレートを守っていることなどを説明する。秘密金庫には秘密のエレベーターを使い、金庫番の女性は何年も日光を浴びていない地底人であるという。アバカスはスラグワースに裏帳簿を隠れて読んでいたことに気付かれ、会計士をクビになった。

ウォンカは部屋のベッドで考え事をする。思い付いたように部屋の窓からヌードルの部屋の窓にロープをかけ、ロープ伝いにチョコレートを届ける。「一生分のチョコレートをあげると言ったでしょ」とヌードルに伝える。ヌードルもロープを使いウォンカにプレゼントを渡す。それはAと書かれた1枚の紙であった。「アルファベットの最初の文字だよ。私が文字を教える。」と話す。そして、どのようにチョコレートを売ればいいのか2人は考える。「道路にはロープも抜け穴もない」とウォンカが途方に暮れる。すると、「抜け穴ならある。配水管さ」と元配管工のパイパーが自身の窓から顔を出し会話に加わる。町中の配水管を案内する代わりに分け前をもらうという条件を提示する。するとコメディアンのラリーも自身の窓から顔を出し、「僕もやる。ここを出て妻とやり直したい。特技はないけど、水中で話しているような声を出せる」と会話に加わる。無口のロッティも窓から顔を出し「連絡の中継なら任せて」と話す。スクラビンの宿で長年共に働いているパイパーでさえ、「声を出せると思ってなかった」と皆が驚く。無口のロッティは「実は以前は電話交換手で、喋りまくってたの」と話す。アバカスも窓から顔を出し「水を差すようで悪いが、スクラビン夫人にバレたら半年お仕置き部屋に入れられるぞ。無茶をやらかす前によく考えろ」と忠告すると、ヌードルが「無茶じゃないよ。ウォンカのチョコレートは本当にすごいから」とアバカスにチョコレートを投げる。アバカスがチョコレートを口にすると目の色が変わり、「いつ始める?」と作戦に加わる。

ウォンカはチョコレートを売り配水管へ逃げる

シーンは町中に変わり、ヌードルは洗濯物を運んでいる。コリンという名の男性はバーバラという女性にプロポーズをするが、「共に冒険できる人が好き。あなたはそうかしら?」とバーバラが問いかけ、コリンはプロポーズを諦めてしまう。その場から立ち去るためタクシーを呼び止めようとするがタクシーは通り過ぎ、水たまりの水が跳ね返りびしょ濡れになってしまう。
失意の中コリンはレストランのテラス席に座ると、ウォンカがウエイターとして現れる。ウォンカが注文を尋ねると「失恋に効くものはあるかな?」とコリンは言い、ウォンカは『You've Never Had Chocolate Like This』を歌いだす。コリンはチョコレートを食べるとバーバラを追いかけキスをする。町の人々も集まりウォンカはチョコレートを売る。見張りのヌードルがウォンカに警察官が来たと合図を送ると、ウォンカは裏通りへ走っていく。1つのマンホールが開いており、ウォンカは配水管に逃げる。中で待機していたパイパーがマンホールを元に戻し、警察官はウォンカを見失う。しかし、ついに警察署長はマンホールに挟まったチョコレートの包み紙を見つけ「そういうことか…。町中の配水管を見張れ」と警察官たちに伝える。立ち上がろうとするが体が重く1人では立つことができず、警察官に手助けしてもらう。警察署長は「2週間で70kgも太ったんだよ」と話す。

ウンパルンパが現れる

満月の夜、ウォンカの部屋に侵入する怪しい影は、チョコレートが入った瓶を見つけ近づく。その影は緑の髪の小男ウンパルンパであった。ウォンカは部屋に罠を仕掛けており、空き瓶の中にウンパルンパを閉じ込める。ウォンカはついにウンパルンパを捕らえることができた。30cmほどで瓶に入るくらい小さいが、「ウンパルンパの中では標準サイズだ。ルンパランドでは大きい方で皆が私をロフティ(のっぽさん)と呼ぶ」と主張する。「チョコレートを盗んだだろう」とウォンカがロフティに詰め寄ると、「君が先だ。カカオ豆を盗んだだろう」とロフティが答える。ウォンカには思い当たる節がない。「私の人生をぶち壊した日を覚えていないのか。では思い出させてやろう」と、ロフティはウォンカの盗みと弁償方法を説明する。ウォンカは「盗んだ4つのカカオ豆を1000倍にしてなんか返せないよ」と絶望するが、ロフティが「この瓶から出してくれたら紳士的に話し合おう」と提案する。瓶から出してもらったロフティはフライパンを手にし、ウォンカに顔を近づけるよう伝える。そして、ウォンカの顔をフライパンで思い切り殴って逃げる。しっかりとチョコレートが入った瓶も奪い、「ウンパルンパは交渉しない。さらば」という言葉を残し立ち去る。

チョコレート店オープン初日に大惨事が起こる

「今日はチョコレートを売るのはお休み。これは、あなたが夢見ていたお店の鍵だよ」とヌードルはウォンカに鍵を見せる。そしてウォンカとヌードル、スクラビンの宿の宿泊者たちはギャラリーグルメにある廃店舗に到着する。店内はホコリっぽく、屋根も抜け落ちている。ウォンカは店内を見渡す。「気持ちはわかる。少しばかり修理は必要だ」とアバカスはウォンカに声をかける。「ここなら格安で借りられる。ひとまず一週間は借りられるだろう」とアバカスは付け加える。「気に入った?」とヌードルがウォンカに尋ねると、「まさに夢見ていた通りだ。いいや、夢見ていた以上だ!すごいよ」とウォンカは感動する。

チョコレート・カルテルの3人と警察署長は張り込み部屋でウォンカたちがこっそり町をうろついている様子を監視している。スラグワースは警察署長にチョコレートを手渡し、「まだ事故は起こすな。指示を待て」と伝える。「ウォンカもろとも全員始末してやる」とスラグワースを筆頭にチョコレート・カルテルの決意が固まる。
スラグワースは夜分にスクラビンの宿を訪れる。笑顔になるスクラビン婦人に、「ウォンカが小娘と一緒に町でチョコレートを売っている」と伝えると、「あの小娘め」とスクラビン婦人の表情は険しくなる。「奴らを完全に潰すために手を貸してくれ」と話すスラグワースに、スクラビン婦人は二つ返事で合意する。

「いくよ、ママ」とウォンカが自分に言い聞かせ、勢いよくお店の扉を開ける。そして、道行く人々にウォンカのチョコレート店を紹介する。『A World of Your Own』を歌いながら人々に店内を案内しチョコレートを紹介する。
しかし、チョコレートを購入した1人の客の髪の毛が突然青色に変色する。「そんなまさか。雪男の汗?」とウォンカは驚く。この世で1番強力な育毛剤であるという。そして、客の青くなった髪の毛や眉毛がどんどん伸びる。他の客の髪の毛やヒゲもカラフルな色に変わり、どんどん伸びる。その様子を目の当たりにし、ウォンカは毒が盛られていたと説明する。客たちは激怒し暴動を起こす。店内の商品は崩れ落ち、客に落とされた照明から火が出る。たちまち店中に炎が広がってしまう。
向かいに店を構えるスラグワースは高みの見物をし、笑みを浮かべる。全てが燃えてしまった店内でスクラビンの宿の宿泊者たちは打ちひしがれる。「チョコレート・カルテルだよ」とアバカスが雪辱の表情を浮かべる。「大丈夫だよ、やり直せる。もう一度やろう」とヌードルが声をかける。ウォンカは、「意味ないよ。ダメだった。母さんは結局来なかった」と珍しくネガティブな内容を口にする。「今は一人にしてやろう。」とアバカスは皆を連れ、宿に戻る。
ウォンカだけが残った店舗にチョコレート・カルテルの3人が現れる。スクラビン婦人にウォンカのチョコレートに雪男の汗を入れさせたことスラグワースが話し出す。そして、「取引をしに来た」と言うと、フィクルグルーバーがアタッシュケースを開ける。そこには大量の札束が入っていおり、全員分の借金を返済できるお金がここにあることを見せつける。「この交渉を飲むと皆の未来を変えられる」とけしかける。条件として、この町を出ること、二度とチョコレートを作らないことを提示する。そして最後に、「真夜中に船が出る。君自身と皆のためにその船に乗れ」と伝え、チョコレート・カルテルはウォンカの元を去る。

ウォンカは真夜中に町を出る

Kyoka_Nakano
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@Kyoka_Nakano

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