三つ目がとおる(手塚治虫)のネタバレ解説・考察まとめ

『三つ目がとおる』とは、手塚治虫による漫画及び、それを原作とするアニメ作品である。無邪気な性格の中学生、写楽保介は古代種族三つ目族最後の生き残り。額の絆創膏を剥がすと第三の目と共に超知能、超能力を操る冷酷な人格が現れ悪魔のプリンスと化す。写楽は世界征服を目論む一方で、時にクラスメイトの和登さんらと共に古代遺跡絡みの陰謀に巻き込まれる。オカルトブームの中、人気を博し第1回講談社漫画賞を受賞。漫画の神と呼ばれた作者の没後初のアニメ化作品でもある。

絆創膏が剥がれ第三の目が露わになった状態。能力も性格も封印時とはまるで別人で、知性的かつ傲慢な言動や冷酷さが目立つ。原作では殺人行為に及び、人間の脳を赤ん坊同然(トコロテンと表現)にする機械を平気で作るなど非道な所業を行った。
目的は三つ目族の復活であり、現代人を滅ぼす、或いは配下にする為ならテロ行為も含めどんな非道な手段も厭わない。『古代王子ゴダル編』では京都に集まった各国首脳をガスで気絶させ、誘拐までしようとした。

現代人には制御できない能力と厄介な性格が同居しており、そのことを自覚していて悪魔のプリンスを自称する。三つ目族の遺物を悪用しようと企むことも多い。
古代文字(基本的に三つ目族の文字)の解読や遺跡の推測ができ、念力で敵を吹き飛ばせるなど利害が一致すれば頼りになる面もある為、仕方なく絆創膏を剥がされることもある。こうした件に対し写楽は「都合のいい時だけ利用する」と皮肉っている。
ガラクタを材料に機械を作ることも多いが、戦闘に関しては基本的に念力や頭脳に頼っている。隙をつかれて絆創膏を貼られることもあれば、自分の力を過信して追い込まれることも多く、決して無敵ではない。

母を慕う気持ちと和登さんへの想いは二つ目の時と変わらず、和登さんにだけは頭が上がらない。また、彼女にだけは絆創膏を貼ることを許している。和登さんに母の遺品である服を託した。和登さんに対しては今で言うツンデレのような態度を取ることもある。和登さんの推測では、養父との間に愛情と距離を感じていた模様。傲慢な態度は仲間がいないことに対する強がりともとれる。

テレビ東京版では第一話から街を破壊し、その後も度々テロや不良行為(夜遊びなど)に手を染めるが、原作に比べるとやや丸い性格になっている。最終話でモエギに現代人を支配して三つ目族の国を作ると言ったが、それとて本心ではなかった。また初期の方でも和登さんを救うため絆創膏を貼るように促すシーンがある(三つ目族のオーラにより動く機械を止めるには第三の目を封じるしかなかった)。
「二つ目の母さんなんかいらない」とのセリフがあり、三つ目の状態でも母を恋しがり、寂しがる姿が見受けられる。
絆創膏が剥がれるや学ランの色が濃くなり、襟を立ててマントのように羽織るなどしている。

和登千代子(わと・ちよこ)

出典: blogs.yahoo.co.jp

声:高島雅羅(24時間テレビ版)/松井菜桜子(テレビ東京版、及び『手塚治虫が消えた?!20世紀最後の怪事件』)/横山智佐(まんがビデオ版)

写楽のクラスメイト。通称和登さん。よく「かわい子ちゃん」と称される美少女。その一方で腕っぷしも気も強く、いじめられる写楽を助けていた。テレビ東京版では「和登さんは怒ると怖い」と写楽に言われている。和登さんにそっくりなセリーナは「こんなにおとなしいなら和登さんじゃない」とまで言われた。

初めはいじめられても反撃しない写楽に歯がゆさを感じて助けたのだが、たまたま絆創膏を剥がされ三つ目になった写楽を見て、そこから写楽との関わりを深めることとなる。写楽が転校することになっても、犬持に頼んで友達でいさせてほしいと言っていた。

三つ目状態の写楽に恐怖心と同時に魅力を感じており、初期はこっそり絆創膏を剥がす描写が見受けられた。両親(特に父)は写楽との関係をよく思っていない。寺の娘で、度々読経などの修行を受けている。

三つ目の写楽の危険性は何度も目にしているが、第三の目の摘出手術には反対し、阻止している。これは単に三つ目の写楽に会えなくなるからではなく、絆創膏の写楽が寂しがり屋であることや、一生懸命に発掘作業を行っていた点を犬持に認めてほしいとの願いからだった。三つ目、絆創膏いずれの写楽にも単なる友情とも恋愛とも母性本能とも言い切り難い感情を抱いており、絆創膏を貼った写楽と風呂に入るなど微妙な関係を築いている。
一人称が「ボク」であることから「元祖ボクっ娘」と呼ぶファンも多い。

名前の由来はホームズの相棒、ワトソン博士より。

犬持(けんもち)

声:岸野一彦(24時間テレビ版)/嶋俊介(テレビ東京版)

写楽の養父。開業医で、赤ん坊の写楽を診療し、写楽の母の死を目撃する。そのまま身寄りのない写楽を引き取った。原作では写楽を古代遺跡や三つ目族から遠ざけようとする傾向にある。普通の子として育ってほしいとの願いと、ゴダルの一件でテロ行為に手を染めかけた三つ目写楽の危険性から、第三の目を切除する手術を受けさせようとした。その選択も随分悩んだ末のことであり、本音を言えば健康な目を潰すことは避けたがっていた。他者から第三の目を取るように言われた時には怒りを見せたこともある。結局和登さんの説得で手術は中止になった。

テレビ東京版では考古学者で、犬持教授と呼ばれる。三つ目族の調査、研究を行っており、その縁で写楽を託された。三つ目族の研究こそしているが、写楽を普通の子供として育てたい気持ちは原作と同じである。

ヒゲオヤジ

出典: animeperson.com

声:八奈見乗児(24時間テレビ版)/緒方賢一(テレビ東京版)

中華料理店、来々軒店主。犬持とは旧知であり、犬持が不在の時に写楽を預かることもある。江戸っ子気質の熱い性格。写楽の絆創膏は、彼の店で使用するラーメンの油を使用した薬でないと剥がせない。写楽の三つ目のことは知っており、時折三つ目族絡みの陰謀や事件に巻き込まれる。
本人曰くバカ田大学出身。

テレビ東京版では犬持とは中学時代からの付き合いで、写楽が柔道部に入り、合宿で数日間いないのならと、犬持と温泉旅行に行くなどした(ただし、犬持は三つ目族絡みの調査が目的であった)。

『手塚治虫が消えた?!20世紀最後の怪事件』にも登場しているが、『三つ目がとおる』ではなく一手塚キャラクターとしての参加である。

須武田博士(すぶたはかせ)

出典: tezukaosamu.net

声:田中康郎

考古学者。犬持とは旧友。三つ目の写楽の危険性を知りながらも、その能力を人類の発展のために使うべきとの考えを持つ。その為、研究者としての好奇心や、協力要請の為に写楽の絆創膏を剥がしてしまうことが多い。危機的状況にあっても古代遺跡を見て興奮したり、写楽の三つ目を取ることになった時には学会をあげて抗議すると言い切る程の学者肌であり、三つ目の写楽の能力に価値を見い出している。三つ目の神仏のモデルが三つ目族であることを説いたのは須武田博士である。
遺跡や遺品の学術的価値を優先する様はある意味でロマン派で、現実主義者の犬持とは対極的な存在と言える。
考古学者という役割を犬持が引き継いだため、テレビ東京版には登場しない(24時間テレビ版には登場した)。

雲名警部(うんめいけいぶ)

出典: video.unext.jp

雲名警部(左)。

声:熊倉一雄(24時間テレビ版)/石塚昇運(テレビ東京版)

ベートーベンのような容姿の警部。自称ドイツ帰りで、「学聖」。これはベートーベンが「楽聖」と呼ばれていることのパロディである。コメディリリーフなキャラクターだが意外と推理力に長けている。『イースター島航海編』では山火事の焼け跡から出た遺体の頭部の傷に気付き、殺人事件と断定。また犬持の頭部の傷と似ていることから二つの事件に繋がりがあると推測。凶器は長く持ち運びがしにくい物に見えるが、分解して運ばれたものと言及した。『イースター島航海編』においてはそのまま、パンドラの陰謀に巻き込まれる。
『古代王子ゴダル編』にも登場し、みやびホテルに集まった首脳を眠らせる為の装置を飲まされて放置される。この装置の作用で酸っぱいものが欲しくなり、部下達とドレッシングを飲んで装置を吐き出すという一種の運び屋の役目をする羽目になった。
「私は不幸だ」が口癖。

鬼胴三郎(きどう・さぶろう)

鬼胴三郎(中央)。

声:塩沢兼人(24時間テレビ版)/速水奨(テレビ東京版)

写楽、和登さんのクラスメイト。財閥の御曹司で見た目も成績もいい御曹司だが、不良生徒をまとめる裏番長であり、写楽をいじめていた。和登さんに好意を抱いており、和登さんが写楽を庇うのが気に入らない。
原作では最初に絆創膏を剥がした人物である。間近で第三の目を目撃したが「オデキか何か」だと言い張った。その後、三つ目の写楽の作った機械により脳を赤ん坊同然(写楽曰くトコロテン)にされ、二度と現れなくなった。

テレビ東京版では機械が試作型だったので数日で元に戻り、度々写楽たちにちょっかいをかけていた。

オサム

出典: www.google.com

声:田野恵

アニメオリジナルキャラクター。写楽のクラスメイト。気弱にして温厚な性格。見た目は手塚氏の自画像がモチーフ。タカシとセットで登場することが多く、第一話では無邪気な写楽を見ながら「あいつ(写楽)が満点でこの中学の入試をパスしたとの噂がある」と話していた。
三つ目の写楽を見るのは、最終話が初めてであった。

タカシ

えどまち
えどまち
@edono78

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