三つ目がとおる(手塚治虫)のネタバレ解説・考察まとめ

『三つ目がとおる』とは、手塚治虫による漫画及び、それを原作とするアニメ作品である。無邪気な性格の中学生、写楽保介は古代種族三つ目族最後の生き残り。額の絆創膏を剥がすと第三の目と共に超知能、超能力を操る冷酷な人格が現れ悪魔のプリンスと化す。写楽は世界征服を目論む一方で、時にクラスメイトの和登さんらと共に古代遺跡絡みの陰謀に巻き込まれる。オカルトブームの中、人気を博し第1回講談社漫画賞を受賞。漫画の神と呼ばれた作者の没後初のアニメ化作品でもある。

三つ目の写楽がよく使う呪文。アニメでは赤いコンドルを呼び出すのにも使うが、三つ目族の遺跡を開くのにも使用される。古代三つ目族がこの呪文を唱えている最中に長耳族の攻撃を受けるシーンがあり、呪文詠唱が長すぎるのが弱点と言えるかもしれない。
『イースター島航海編』では、ポゴの処刑の際に小声もしくは心に思った状態でこの呪文を唱え、念力でポゴに投げられた槍を全て処刑人に跳ね返している。

「写楽クンにとってはどっちが生きがいなんだろうか…?」

出典: tezukaosamu.net

寂しげにも見える寝顔。

『三つ目族の謎編』を締める、和登さんのモノローグ。三つ目族の生き残りとして現代人を滅ぼすことを先祖の遺言によって義務付けられた写楽に対し、和登さんは「写楽は三つ目のままがいいのか、それとも何も知らない絆創膏を貼った姿の方がいいのか」と考える。コミカルタッチで描かれながらも時に浮き彫りにされる写楽の孤独などを思いやる言葉である。

「三つ目クンは人間にとっていつか恐ろしい敵になるかもしれないけど…。…でも、そんな三つ目クンが好きなの。ボクはたまらなく彼に惹かれるんだ」

和登さんが三つ目の写楽を評し、心でつぶやいたセリフ。この時点ではまだいじめられっ子の写楽とのギャップに戸惑いつつ、悪魔のプリンスたる三つ目写楽に対する恐れと、恋愛ともつかない好意が読み取れる。

「あのバンソウコウをとってはならんのだ。第三の目をむきだしにすると危険なんだ」「でも先生。そういう三つ目クンに…ボクあこがれちゃってるんです。…すばらしいわ…。だってそうでしょ?いまの人間とぜんぜんちがった心をもってちがったことをやれるなんて…。そういう人、今世の中にいるかしら?」

出典: twitter.com

三つ目の写楽に対する犬持と和登さんの見解の違い。写楽を普通の子として育てたい犬持と、三つ目の写楽が好きな和登さん。このセリフからは、和登さんの三つ目写楽に対する羨望や尊敬のようなものが垣間見える。
寺の娘として生まれて良き妻、良き住職、良き社会人になることを父から望められている和登さんには一種の破壊願望があるとの考察がある。父による寺院の修行だけではなく華道や琴と言った稽古ごとに明け暮れる日々の中、悪魔(写楽)と一緒に暴れ回る想像をするシーンすらある。

「そうだ。お前はオレの和登サンだ。ぜったいにウワキは許さんぞ。おまえはいずれ悪魔のプリンスの奥さんになる運命だ」

出典: twitter.com

雑誌掲載時の最終話『スマッシュでさよなら』でのセリフ。この時、和登さんはテニス部部長の駄盤(ダーバン)に一目惚れする。写楽と共にテニス部の練習を見に行くほどの熱の入れようだった。
しかし駄盤はとんでもない女たらしであり、和登さんは駄盤の女遊びの標的にされていたのだ。かつて駄盤に捨てられた少女から駄盤の正体と目的を知った和登さんはどうにか難を逃れる。
写楽はずっと、駄盤から邪魔者扱いされてテニス部員たちからスマッシュの的にされていた。傷の手当ての最中、額の絆創膏が取れた写楽は念力でテニス部員、並びに駄盤に仕置きを食らわせる。和登さんも助けを求めて来た駄盤を放り投げるのだった。
このセリフは一見すると傲慢だが、和登さんに対する照れや気遣いも見て取れる。

『地下の都編』ラスト、三つ目の写楽が自ら和登さんに絆創膏を貼らせるシーン

出典: twitter.com

二人の関係性が徐々に信頼へと変わりつつあるシーン。「君以外は敵」との言葉は、裏を返せば「君は敵ではない」との意味である。写楽は『地下の都編』で和登さんが絆創膏状態の写楽に言った「約束を守る」(地下の都を守ったら戻ってきて絆創膏を貼るという約束)を実行するために戻って来た。
この時の写楽はマヌイたちとの「地下の都を盗掘者から守る」という約束も果たしている。マヌイたちもまた、和登さんの心に溶け込むことで写楽の三つ目を守った。写楽はマヌイの言ったように常人とは違う、三つ目族の脳でそれを感じ取ったのだ。
一方でマヌイたちは三つ目族同様とうの昔に滅んだ者たちであり、写楽が絆創膏を貼られに戻って来たのは、古代人だけではなく現代に生きる和登さんとの約束を果たす為とも考えられる(和登さんは写楽が逃げ出して戻ってこないと思っていた)。
「ボクを信頼してくれてんの?」「今ンとこはな。でもこの次は分かんないぜ」というセリフに、今後の二人の関係性が集約されている。

『三つ目がとおる』の主題歌・挿入歌

OP(オープニング):徳垣とも子『?(はてな)のブーメラン』

ED(エンディング):中島安名『ちょっと魔法でばんそうこ』(第1話 - 第47話)

1:24から『ちょっと魔法でばんそうこ』がスタート。

ED(エンディング):CHIEMY『FRIEND』(第48話)

三つ目がとおる 最終回 ED 『FRIEND』

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