Nのために(小説・ドラマ)とは

『Nのために』とは、湊かなえの推理小説、及びそれを原作とした純愛ミステリードラマである。ドラマの主演は榮倉奈々で、窪田正孝や賀来賢人などが出演する。高層マンションの野口宅で、野口貴弘と妻の野口奈央子が殺害された。現場に居合わせたのは大学生の杉下希美と成瀬慎司と安藤望と西崎真人だった。その中で西崎が殺害を自供し、殺人罪で懲役10年が言い渡される。それから10年後、元警察官の高野茂が事件に疑念を抱き、真相を追い始める。本作は大切な人を守ろうとする究極の愛が描かれており、多くの賞を受賞した。

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築60年の風呂なしアパートである。上京して大学生となった希美が暮らしていた場所で、同じく大学生だった安藤や西崎も住んでいた。

料亭さざなみ

青景島の老舗料亭で、成瀬の両親が営んでいる。しかし経営不振に陥って閉店することになり、周平が自ら店に火を放って自殺を図ったため、料亭は焼失した。

将棋

希美や成瀬が得意な遊びである。2人とも小学校の時に同じ将棋クラブに所属していた。高校で同じクラスになってから、再び2人で将棋を楽しむようになった。また貴弘が趣味で将棋をやっていたことから、希美や安藤が将棋を通して彼に接近して親しくなった。

『Nのために』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

希美が成瀬を庇う場面

第2話、成瀬を庇う希美

成瀬の実家である料亭さざなみが閉店した直後に火事となり、建物内にいた周平が助け出されたが、成瀬の姿はどこにもなかった。奨学金の申請をしようと東屋で書類を準備していた希美は火事に気付き、慌てて現場に向かおうとするが、離れた場所で呆然と焼失するさざなみを見つめる成瀬を発見する。「燃やしてしまえば大事な場所を誰にもとられず自分のものにできる」と語っていた成瀬の言葉を思い出した希美は彼がさざなみを燃やしたのだと思い込み、彼の手を握る。そこへ高野がやって来て、成瀬に何があったのかと尋ねる。希美は何も言わない成瀬を庇い、「さっきまで一緒にいた」「東屋で奨学金の申請書を渡した」と咄嗟に嘘をついた。そして希美は自分が申請するつもりだった奨学金の書類を成瀬に譲ったのだった。辛い時に成瀬に救われた希美が、自分を犠牲にして彼を庇う姿が心に残る名場面だった。

成瀬慎司「大丈夫。全部偶然だっていえばいい」

第10話、「全部偶然だっていえばいい」と言う成瀬

貴弘に囚われた奈央子を救うべく、N作戦2を立ち上げた希美と西崎と成瀬だったが、計画が狂い貴弘と奈央子が死んでしまった。作戦のために野口家にやって来た成瀬は、西崎に状況を説明される。成瀬は自分がここにいる意味を考えて、4年前に希美が火事の際に自分を庇ってくれたことを思い出し、今度は自分が彼女を庇う番だと感じる。そして成瀬は「大丈夫。全部偶然だっていえばいい」と動揺する希美を安心させるように伝えた。希美が自分を庇ってくれたように、彼女を守るために行動しようとする成瀬の決意が伝わる名言だった。

希美と早苗が和解する場面

第10話、希美(左)を抱きしめる早苗(右)

晋に家から追い出された早苗は現実を受け入れられず、精神的に不安定となって高級化粧品を買いあさるなど、希美や洋介に迷惑をかけてしまう。そのことがトラウマとなった希美は上京してから1度も早苗と会うことができなかったが、10年後に病を患い、高野や成瀬に背中を押されたことで早苗に会いに行く。早苗は希美に酷いことをしたと涙ながらに謝罪する。そんな彼女に希美は病気になったことを打ち明け、この世からいなくなることが怖いと語り、涙を流す。早苗はそんな希美のことを大丈夫と抱きしめた。希美を苦しめていた早苗が時を経て母親らしさを取り戻し、希美を愛で包みこむ姿や、わだかまりが解けて素直に母親に甘えることができた希美の姿が心温まる名場面だった。

『Nのために』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

10年の女優人生の中で1番プレッシャーを感じていた榮倉奈々

主演の榮倉奈々は撮影に入る前、原作が抜群に面白いため自分が演じられるのかどうか10年女優をやっている中でも1番不安と語り、寝付けないほどのプレッシャーを抱えていたという。そのため共演者は榮倉を応援しようと、三浦友和が中心となって一致団結していた。窪田正孝が好きな漫画の話題で榮倉を和ませたり、モロ師岡が即興コントをしたり、山本未來が日本と海外の犬の鳴き真似を披露して彼女を笑わせていたようだ。周囲のサポートのおかげもあり、榮倉は1話の撮影終了後には、主人公の希美が健気で応援したくなるドラマに仕上がったと自信満々に語っていたという。またクランクアップの際には「20年に1度出会えるかどうかという作品に出会えて、みんなの作品に対する愛情がプレッシャーでもあり、ありがたい責任を負わせていただいた」と涙ながらに語っていたが、無事に撮影を終えたことに安堵していた。

ドラマの共演がきっかけで結婚した榮倉奈々と賀来賢人

榮倉奈々と賀来賢人は、このドラマでの共演がきっかけで1年の交際期間を経て2016年に結婚し、子供が2人誕生している。榮倉は賀来の誠実さに惹かれ、賀来は彼女の明るく気さくな性格に惹かれたようだ。交際時は結婚を意識していなかったようだが、緊急時の連絡で位置情報を共有するアプリに登録できず、家族であることが登録条件だったことから互いに結婚を意識するようになったという。また榮倉は2023年にアパレルブランドを立ち上げ、会社も創設しているが、賀来が陰ながら支えていたようだ。榮倉は互いに仕事を尊重することが2人の関係を維持するコツで、家族と一緒にいる時間を大切にしていると語っている。

青景島のロケ地は香川県の小豆島

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