哲仁王后~俺がクイーン!?(チョルインワンフ)のネタバレ解説・考察まとめ

『哲仁王后(チョルインワンフ)~俺がクイーン!?』とは、2020年12月から2021年2月に韓国で放送されたテレビドラマ。朝鮮第25代王哲宗との婚礼を控えた王妃の身体にタイムスリップしてしまった青瓦台の男性シェフ​​が、現代に帰るまでの奮闘ぶりを描いたドラマである。男の魂が体に入った王妃を演じるのは女優シン・ヘソン。哲宗(チョルジョン)を演じるのは『愛の不時着』でク・スンジュンを演じた俳優キム・ジョンヒョン。陰謀渦巻く宮廷内で徐々に心が通い合う2人の奇想天外なフュージョンコメディ時代劇である。

目次 - Contents

『哲仁王后(チョルインワンフ)~俺がクイーン!?』の概要

『哲仁王后(チョルインワンフ)~俺がクイーン!?』とは、2020年12月12日から2021年2月14日までtvNにて放送された韓国のテレビドラマ。このドラマの舞台は李氏朝鮮時代。​​前王である第24代国王の憲宗(ケンソウ)が後継者を残さず亡くなったことから、安松キム家は王朝を支配するために自分達に都合の良い哲宗を王に据えた。その朝鮮第25代王哲宗(チョルジョン)が真の王になるまでの、哲宗と王妃と安松キム家と攻防を描いている。
現代のある日、青瓦台(チョンワデ)専属シェフ​​であるチャン・ボンファンは、国賓をもてなす為に出した料理から釣り針が見つかりシェフの職をおわれる。その上、経費着服の罪で警察に追われる身となってしまった。自宅に捜索にきた刑事に追いつめられたチャン・ボンファンは、逃げ場をうしないバルコニーから落ちる。そのまま階下のプールに落ちたはずが、助け出されて目覚めた場所は李氏朝鮮時代。チャン・ボンファンの魂は​​、朝鮮第25代王哲宗との婚礼の儀を控えた公女キム・ソヨンの身体の中に入っていた。国王哲宗は政略結婚で結ばれるキム家一族のソヨンとは距離を置いていたが、対立しながらも様々な事件を乗り越えてゆくうちに、チャン・ボンファンが入り込んで人格が変わった王妃ソヨンに心が惹かれてゆく。王妃でありながらも魂は現代の男であるソヨンと、それを知らない哲宗との関係はロマンスでもブロマンスでもなくノータッチロマンス。2人は徐々に戦友のような絆が深まり史実では傀儡の国王として悪評しかない哲宗が、チャン・ボンファンの活躍で現代でも皆に尊敬される王になる。
脚本は、パク・ケオク。監督演出は、ユン・ソンシク。主演は、男の魂が入った王妃を演じる女優シン・ヘソン。哲宗を演じたのは、『愛の不時着』で韓国で詐欺を働いて北朝鮮に逃げた青年実業家のク・スンジュンを演じた俳優キム・ジョンヒョン。
原作は、中国のテレビドラマ『太子妃 狂想曲(ラプソディ)』である。

『哲仁王后(チョルインワンフ)~俺がクイーン!?』のあらすじ・ストーリー

料理人チャン・ボンファン王妃になる

青瓦台(チョンワデ)の専属シェフのチャン・ボンファンは、秘書室長ハン・ピョジンの罠により専属シェフの職を解かれ警察に追われる身になった。捜索のために自宅へやって来た刑事から逃げるうちに自室のバルコニーから階下のプールに落ちてしまう。落ちたはずのプールはどういうわけだか深く、沈み込んでいくうちに少しずつ意識が薄れてゆく。そんなチャン・ボンファンに、水中の奥から韓服を纏った女性が泳いできてキスをした。ハッとして目覚めた時、チャン・ボンファンの魂は朝鮮第25代王哲宗(チョルジョン)との婚礼の儀を控え宮廷で暮らす公女キム・ソヨンの身体の中にあった。チャン・ボンファンがプールに落ちた時に、朝鮮時代では公女キム・ソヨンも宮廷にある春塘池(チュンダンジ)に落ち意識不明となっていたのだった。目覚めたソヨンは以前とは全く違い、高慢で女好きになり、怖いもの知らずで粗野な振る舞いをするようになり周囲を混乱させるが、お付きの腰元のホン・ヨンやチェ尚宮の力をかりなんとか無事に婚礼の儀式を終え王妃になる。しかし、王妃の魂の中にいるチャン・ボンファンはなんとしても元の世界に帰りたいと思っている。元の世界につながる場所は王妃が落ちた春塘池だと確信し、池に飛び込んで元の世界に戻ろうとするが大王大妃の命によって池の水は抜かれていた。宮廷で一番権力がある大王大妃に池に水を入れてもらう為、得意の料理や現代の知識で取り入ろうと悪戦苦闘する。念願が叶い池に水が入ったのだが、春塘池は現代につながる場所ではなかった。落胆した王妃は元の世界に戻れないのならせめてハン室長の先祖を探し出して捕え、子孫ができないように根絶やしにしてやろうと誓うのだった。

​​哲宗の夢に賭ける王妃

哲宗は宮廷内だけでなく民にまで、大王大妃とその弟キム・ジャグンの2人に操られる傀儡王だと思われていた。しかし、哲宗本人は民を大切に思う国を作ろうと密かに安松(アンソン)キム一族から政を奪い返す策を考えていた。手始めに王妃の快気祝いの為の端午節の宴で、強い王の姿を見せようと宴をとり仕切る。大王大妃やキム・ジャグンによる妨害を受けたものの、王妃の手助けを借りながらなんとか宴を乗り切ろうとしたが、やはりキム・ジャグンの企てに翻弄されてしまう。意気消沈しつつ哲宗は、宴の最後に行う祈りの儀式のために祭壇に上がり祈りを捧げようとした瞬間、祭壇にある香炉が大爆発した。この爆発で哲宗は思いっきり吹き飛ばされ重症を負ったかのように見えたが、実はこの爆発は哲宗による自作自演。敵対するキム・ジャグンを王を殺そうとした罪で失脚させる為の策だった。

王妃は哲宗が爆風で耳を負傷し昏睡していると聞かされる。心から心配して哲宗を見舞う王妃は、哲宗の悲惨な姿に今まで気づかなかった哲宗を愛しく想う気持ちが溢れる。そんな王妃の姿が、昏睡状態を演じている哲宗は愛おしくてたまらず、王妃への気持ちがどんどん大きくなる。一方、後宮のチョ・ファジンは宮廷に上がる前から哲宗と相思相愛で、深い絆で結ばれているとお互いに思っていた。それなのに哲宗の気持ちが王妃へと傾くのを感じ、哲宗の気持ちを留めたいがあまりに王妃に対する行動が過激になってくる。王妃は自分を陥れようと躍起になっているチョ・ファジンをなだめようとするが、執拗に憎しみを深めるチョ・ファジンをどうすることもできない。それでも過激になるのをどうにかしたいと相対しているうちに、春塘池に落ちた時にチョ・ファジンがそばにいた事、池に落ちる自分を助けようとしなかった事などの記憶がよみがえる。さらに、チョ・ファジンが哲宗に隠している秘密がある事にも気づく。王妃はチョ・ファジンに、哲宗に隠している秘密を知っているが自分自身でケジメをつけるようにと告げる。チョ・ファジンは、自分が心から哲宗を想うがあまりに怪物になってしまっていたと悟り、哲宗のために自ら宮廷から去った。
大王大妃は徐々に距離が近くなる哲宗と王妃の様子に、王妃が安松キム一族より哲宗を選んだと確信し、安松キム一族繁栄のための手駒では無くなった王妃の命を狙うようになった。
民の為の国を作るために安松キム一族を倒したい哲宗と、安松キム一族を裏切った者として命を狙われる王妃。2人は同じ敵に立ち向かう者同士。安松キム一族を倒すために同盟を結ぶことにした。未来から来たチャン・ボンファンの魂が宿る王妃は、この戦いの行く末を史実で哲宗が負けると知っていた。しかし、哲宗の権力は民のための国を作る道具だという心意気に惚れ込み、常に勝者の側につくことが信条のチャン・ボンファンだが、負け戦と知りつつ哲宗の夢に賭ける事にした。

夢を叶えた哲宗と王妃

地方の反乱を抑えるため1人で宮廷を出た哲宗は、キム・ビヨンインが率いる朝廷側の兵士に襲われ急死に一生を得る。哲宗を助けたのは、今の政治に不満を持つ反乱軍の東​​​​匪(とうひ)たちだった。意気投合した哲宗と東​​​​匪たちは、共に今の政治を倒し新しい国を作ろうと意気投合する。その頃大王大妃は、宮廷に戻らない哲宗を死んだ事にして、自分達が操りやすい幼い新王を立てようとする。新王の擁立を知った哲宗は、即位式を阻止するために王妃や東​​​​匪たちと共に宮廷に向かうが、哲宗が宮廷に戻って来ることを恐れた大王大妃とキム・ジャグンによって全ての城門が閉ざされていた。哲宗と王妃は、食料や献上品を運ぶ為に唯一開いている城門から荷車に忍び込み宮廷内に入り込んだ。民の姿で宮廷内に入った哲宗と王妃は、王と王妃の装束である袞龍(こんりょう)と翟衣(じいい)に身を包み宮廷側の武士達をなぎ倒しながら即位式が行われる仁政殿へと急いだ。哲宗が東​​​​匪たちに命じた声東撃西(せいとうげきせい)の策が功を奏し、仁政殿の前は警備が薄く静かだった。しかし、屋根の上に銃を構えて潜んでいたキム・ジャグンの間者に、哲宗も王妃も撃たれてしまう。王妃は哲宗へと手を伸ばすが、あと少しのところで手が届かない。薄れてゆく意識の中で王妃は自分の魂にいるチャン・ボンファンが消えてゆくのを感じた。
意識が戻った王妃は、魂にいたチャン・ボンファンがいなくなった事に気づく。同じく銃で撃たれた哲宗の意識も戻った。防弾服が哲宗と王妃を守ったのだった。
元の世界に戻ったチャン・ボンファンは、撃たれた後の哲宗がどうなったか心配で入院着のまま病院から抜け出し書店へと向かう。書店で広げたのは、朝鮮の歴史が綴られた『朝鮮王朝実録』。哲宗の項目を調べると、哲祖のカリスマ性が朝鮮を揺さぶると書いてある。さらに、改革の主導者哲祖と哲仁王后(チョルインワンフ)。君主のかがみ哲祖。民主主義の礎を築いた。などの言葉の数々が目に入り、哲宗が改革をやり遂げたと喜び安堵する。哲宗は無能な王という評判から自分自身の力で運命を変え、チャン・ボンファンの運命はハン室長の不正を暴いた情報提供者として保護され、追われる身であった元の状況とは変わっていた。歴史が変わっても腐った人間は存在するが世界が腐っていなければ、人生を変える努力をすれば世界も変えられるのだと、チャン・ボンファンは思うのだった。

『哲仁王后(チョルインワンフ)~俺がクイーン!?』の登場人物・キャラクター

主要人物

王妃/キム・ソヨン(演:シン・ヘソン)

吹替:平山笑美

宮廷の実権を握る安松キム家一族に生まれる。子供の頃から王妃になることを夢見ていた。念願が叶い王妃となるために宮廷に上がるが、王の哲宗にとって自身の一族を殺した安松キム一族のソヨンは憎い存在で全く受け入れてもらえなかった。一族の期待や重圧、その上哲宗の冷たさなどに耐えかねて、嘉礼式の前日に宮廷内の池に身を投げてしまう。助けられたものの魂は、現代の男チャン・ボンファンに乗っ取られていた。

哲宗(チョルジョン)/イ・ウォンボム(李元範)(演:キム・ジョンヒョン)

吹替:岩崎​​​​諒太

朝鮮第25代王。子供の頃にキム家によって一族を滅ぼされ、キム・ジャグンに恐怖を植え付けられて江華島に流刑になっていた。
数年たち新王を擁立する時に大王大妃とその弟キム・ジャグンによって、宮廷内での安松キム家の権力を高めるために都合がいい哲宗が江華島から呼び戻され王に据えられた。哲宗は安松キム家の言いなりなる王であったが、流刑の地での暮らしで民の厳しい暮らしに接しているうちに、民が暮らしやすい国を自らの手で作りたいと思うようになっていた。

チャン・ボンファン(演:チェ・ジニョク)

吹替:仲村宗悟

青瓦台専属シェフ。13歳から料理をはじめ最年少で青瓦台の料理長になる。性格は高慢で女好き。秘書室長のハン・ピョジンの罠で青瓦台専属シェフの職を追われ、さらにハン・ピジョンの経費着服の罪を着せられ警察に追われる身となる。刑事達に追われて逃げ場を無くしたチャン・ボンファンは自宅バルコニーから階下のプルーに落た。薄れてゆく意識の中で朝鮮時代の装束の女性とキスをする。意識が戻るとそこは朝鮮時代、キム・ソヨンの身体の中だった。

安松(アンソン)キム家

大王大妃/純元王后(スンウォンワンフ)(演:ペ・ジョンオク)

吹替:笹島かほる

哲宗の祖母にあたる。弟のキム・ジャグンと手を結び垂簾聴政(スリョムチョンジョン)を行うことで、安松キム家の権力を強固なものにしていた。見た目の衰えは権力の衰退を意味すると考えており、美容への執着は滑稽なほどだがどことなく憎めない雰囲気がある。幼い頃に宮廷に入ってから一度も外に出たことがないせいか、王妃が作る初めて口にする見た目も珍しい料理の数々に魅了される。

keeper
keeper
@keeper

目次 - Contents