西部警察 PART-II（ドラマ）のネタバレ解説・考察まとめ

『西部警察 PART-II』の概要

『西部警察 PART-II』とは1982年から84年にかけて放送された、石原プロモーション制作の刑事ドラマシリーズ『西部警察』の続編である。
前作の特徴であるダイナミックなカースタントやアクションシーンが更にパワーアップし、日本のテレビドラマの中でも特に迫力のある作品として位置づけられている。主人公である大門部長刑事が率いる警視庁西部警察署捜査課と、彼らを見守る木暮課長が、様々な難事件を解決していく。

『西部警察 PART-II』では新たなメンバーが加わり、よりダイナミックなチームとなった。登場する事件は組織犯罪や凶悪犯罪が多く、捜査の過程で展開されるアクションシーンは、視聴者に強い印象を残した。また、ドラマの中で描かれている人間関係や登場人物たちの絆も深いのも、魅力の一つとなっている。

『西部警察 PART-II』は、当時のテレビドラマとしては異例の高い制作費を投じた作品であり、なんといっても人気があったのは「ロケ編」である。ロケ編は全国各地を舞台に超合金技術の海外流出をはじめ、生物兵器やミサイルの強奪やウラン強奪後の核テロなど、現実離れした事件が展開されている。犯人も単独犯ではなくグループ犯なのでバズーカ砲や手りゅう弾で大門軍団に抵抗する。その結果遊覧船や広島市電が大爆発しており、長い煙突の倒壊シーンなどは、幅広い層の視聴者の度肝を抜いた。また、石原裕次郎のカリスマ性と緊張感溢れるストーリー展開が、日本のアクションドラマの金字塔として高い評価を受け続けている。

『西部警察 PART-II』のあらすじ・ストーリー

沖田五郎の覚悟

キャリア時代は警部の階級だった沖田 五郎（おきたごろう）は、福岡で人質籠城事件において独断で突入を敢行した結果、人質救出に失敗、人質の母子は犯人に射殺され、沖田も犯人から腰部に銃撃を受けた。その傷が悪化し、余命いくばくもない身となった。そのことを知らされた沖田は残された時間を燃やし尽くすため、あえて警察庁から軍団への転属を志願した。

パトロール中、沖田の目の前で平尾 一兵（ひらおいっぺい）と北条 卓（きたじょうたく）が拳銃で撃たれた。その拳銃は沖田がキャリア時代に撃たれた時の物であった。大門は全員に拳銃の行方を指示するが、沖田は問い詰めた川田は拳銃の密輸をしていたことを知り発砲した。そんな折、川田の腹違いの弟の勝又が川田の釈放を要求してきた。

次のターゲットに浜 源太郎を狙う。浜の銃撃を阻止した沖田は肩を撃たれ、以前も世話になった民間病院で手当を受けた。その場面を偶然、大門 圭介の妹である「アコ」こと大門 明子（だいもんあきこ）が見つけ、木暮に相談する。木暮はその民間病院へ行き、沖田が余命半年だという真実を知り大門に伝えた。

再び勝又から川田の釈放の要求がきた。今度はアコが働いている保育園の園児が人質になっている。しかし沖田は川田の釈放に反対する。過去にしがみつく沖田を、大門は愛情を持って説得した。沖田は取引場所へ行く条件として川田を釈放した。沖田は犯人と合流し人気のない山奥に連れてこられた。沖田に土を掘る指示を与えて掘り続けると拳銃が50丁隠されていた。犯人の狙いは香港のシンジゲートに売りさばくことであった。沖田は犯人たちに殺されそうになったが、逃げることに成功し大門達に犯人の移動場所を伝えて無事解決した。

大門軍団静岡へ

刑務所から中西が出所した。以前、暴力団との取引現場を鳩村 英次（はとむらえいじ）に抑えられた経緯がある。そんな中西に密輸ルートについて聞きだすが、なにも話さなかった。中西は人生をイチからやり直すため、出身地である静岡に帰ることに決めていた。

ある日、M16ライフルを積んだトラックが襲撃された。そこから中西の指紋が見つかった。出所したばかりの中西がいきなり襲撃するということは、M16ライフルの組織に関する情報を持っていることを示唆している。また、中西はレンタカーで静岡に向かい、暴力団組織と大量武器を買い付けるという情報が入った。軍団は静岡へ向かう。

大門は中西と悪徳不動産で有名な山根（やまね）との情報のやりとりをおさえた。各自、密輸場所と中西の尾行を開始した。ところが密輸に使用したトラックはすでに廃車されており、尾行中に中西は密輸グループに襲撃され見失った。

一方、中西から大門へ「船での取引を行う」と電話で話した。軍団は取引現場に急行したが、船は予定時間を過ぎても入港していない。大門はヘリコプターから状況を把握し船の場所を軍団に伝えて急行。密輸グループが待ち構えていた。銃撃戦の末、制圧した。しかし、船に乗っていた密輸グループは既に皆殺しにされ、武器と弾薬は見つからなかった。山根と中西の共犯によるものとして捜査を始めた。

中西はその計画に加担し、成功を夢見ていたが山根に裏切られ殺害された。中西から得た情報によると、黒幕は山根の上司・杉森（すぎもり）と判明した。杉森は表向きは不動産会社の社長だが金の密輸で荒稼ぎしている。軍団は目的地へ急行した。杉森たちは金塊を遊覧船に積み込んで逃走した。軍団は犯人グループを追い詰め遊覧船での銃撃戦を行った。犯人グループは壊滅。金塊も無事に回収され事件は解決した。

大門軍団広島へ

広島では5000万円を奪い逃走中の現金輸送車が襲撃される事件が発生した。さらに、広島駅では銃殺事件が発生し街はさらなる恐怖に包まれる。犯人である土倉 純司（つちくらじゅんじ）は銀竜会という暴力団組織の一員である。10年前銀行強盗をおこし、行員を射殺して2000万円を奪い逃走後逮捕されており、9年間服役していた。仮出所後、土倉は金銭のもつれから銀竜会のボスを射殺し逃亡し、さらに広島に向かい井上という男を射殺した。亡く なった井上の家宅捜査をおこなった結果、時限爆弾が発見された。

一方、土倉の仲間が客をよそおい電車ジャックした。土倉は広島電鉄の社長に乗客を乗せた電車爆破予告と身代金の要求をした。大門は広島電鉄の会社へ向かい身代金を受け取り電車の様子をうかがう。その後、軍団の特殊車両からのビデオ通信を通じて、広島電鉄をジャックしている犯人が銀竜会の頃からの仲間・田山であることが判明。時限爆弾も確認された。田山からの電話が大門に入り「身代金を犯人に車で渡せ」という要求がされる。身代金は、田山が待機する広電に大門が身代金を投げ入れられる。土倉は田山に計画通りに進めるよう命令した。

鑑識は時限爆弾は土倉のリモートコントロールによるものだと分析。田山に時限爆弾があると思わせて金を受け取り、その後電車と田山を始末する計画だ。しばらくすると人質は数名釈放された。次に大門と木暮は電車のポイントを変えさせる作戦をおこなった。犯人に隙ができた瞬間軍団は突入し、ひるんだ田山を逮捕した。大門も土倉の行き先を突き止めて射殺した。電車は何者かによってリモート作動させ爆破されたが、乗客は無事であった。身代金は釈放されて人質に扮した仲間が受け取り、リモートボタンも操作していたことも木暮に突き止め逮捕された。

浜の過去

金融会社で起きた殺人事件は社長の榎本と社員の荒巻が射殺されたことから始まる。目撃者はおらず犯行に使用された拳銃は、10年前の青山の宝石店強盗事件で使われたものである。この事実を聞いた浜の表情がくもる。なぜなら、その犯人は10年前に亡くなっていると浜は断言しているからだ。10年前浜は城南署でその宝石店強盗事件を担当していた。犯人の安井（やすい）は宝石店社長とガードマンを射殺し約8億円相当の貴金属を奪った。安井は犯行後、車は炎上し崖下で発見されるが、宝石と拳銃は見つからなかった。

いっぽうで、浜の一人娘の幸子（ゆきこ）は母の墓まいりに行っていたが、母の存在を知らない幸子は不満をつのらせている。その後、不動産会社社長で元暴力団竜神会の幹部である八巻 均（やまきひとし）が散髪屋で射殺される事件が起きる。八巻は手術中安井の名を何度も呼んでいた。浜は安井が死んだと信じていたが安井に関する証拠が次々と浮上する。さらに調査を進めると浜と安井は少年航空兵の戦友であったこと、安井の妻が殺され当時3歳だった娘が姿を消していたことが明らかになる。安井は竜神会に裏切られ、妻を殺された復讐心から犯行に及んだ。浜は安井の親友に安井の居所を聞き出し、急いで現場に向かう。

ある日、浜の机から安井の妻に関する記事を見つけた幸子は、西部署に向かい大門に真実を求めるが大門は話さなかった。この事を知った浜は事件解決後に幸子に真実を話す決意をするが、幸子は役所で戸籍謄本を見て浜ではなく安井の子供という真実を知った。幸子は精神的に追い詰められている中、竜神会に拉致された。これを偶然目撃したアコが大門に連絡し大門軍団が急行する。安井は娘を守るために竜神会に射殺されるが、最終的に浜の幸子に対する愛情と大門軍団のチームプレーにより事件は解決される。

浜の殉職

警官連続殺人事件が発生した。弾丸も同一ということから犯人は同一人物である。浜は長年の勘からこの一連の事件を「怨恨」と判断した。殺害された2人は同じ派出所だったことから、浜は派出所に関連があると推察。大門は浜と平尾に調査を指示する。他の軍団員には、殺人現場近辺での聞き込みを行うよう指示がだされた。

いっぽう、竜神会の組員が殺害される事件が発生する。殺された組員の事情を聞くために、一緒にいた竜神会の組員を沖田と鳩村が問い詰めた。組員は酒に酔っており、犯人の顔を思い出せなかった。浜が懸命に派出所の記録をチェックしている中、白昼堂々と犯人が現れ、警官に向かって発砲した。浜は負傷した警官と救急車に乗り、警官は最後に「ホシは警官...」といい残して亡くなった。

その後の調べで数年前に退職した人間が2人いることが分かった。ひとりは太田であるが定年退職している 。もう1人の塚本は素行が非常に悪いため、太田が上司に報告し、懲戒免職になったことが分かった。浜は塚本が恨みでの犯行だと確信した。塚本は警備会社で働いていたが、覚せい剤の売買などの行為でクビになっていた。浜は塚本の女が働いているバーを訪れ、塚本の住所を聞き出し単独で家宅捜査を行った。部屋には拳銃やシャブがあった。偶然帰ってきた塚本を待ち伏せするも塚本はスキを見て逃走した。

大門は浜の机から辞職願を発見し木暮に相談する。木暮は大門に浜を守るよう指示した。浜は塚本が行きつけのバーにて電話を待つ。塚本から電話がきたので、太田になりすまして塚本を待ち合わせ場所に誘い込んだ。塚本は浜を窮地に追い込むが、大門が駆けつけ塚本を射殺した。浜は大門と軍団に見守られながら、「娘に伝えてください。親らしいことは何もできなかった。すまなかった」と言い残し亡くなった。

新たな仲間

浜の殉職後、八丈島から西部署へ南 長太郎（みなみちょうたろう）が配属された。西部署へ向かう途中、護送車襲撃の無線が流れ、南と平尾は現場に向かう。いち早く犯人の車を見つけ銃撃戦になる。犯人グループはヘリコプターを待機して逃走を計画しているが、南が軍団に指示をだし、沼尻（ぬまじり）を逮捕することができた。

犯行グループに使われたヘリコプターは、民間会社から盗まれたものである。護送車から奪還された矢吹（やぶき）はタワーの上から無差別に4人の額を被弾している。矢吹は元オリンピック強化選手であったため、犯行グループは矢吹の腕を利用したくて奪還したものと推測される。

一方、沖田と北条は拳銃を所持している組員を問い詰め拳銃の密輸ルートを調べる。米軍基地にクリーニング屋と偽って入場している米村（よねむら）が拳銃売買人であることが分かった。米村はM16ライフルを1丁は沼尻に、M16ライフルは何者かに売買している。

南は大門に沼尻釈放を提案し実行することになった。矢吹との取引に利用するのが目的である。南と沼尻は取引場所にむかう途中、何者かに襲われる。沼尻はあまりの恐怖のため、南に事件の黒幕と矢吹のターゲットを話した。黒幕は東海政治経済研究所の立川（たちかわ）、矢吹のターゲットは中光（ちゅうこう）建設社長秘書の片桐であることが分かった。中光建設は高速道路の不正入札で東京地検から捜査を受けた企業である。立川はお抱えの大物総会屋であり、立川を通じて多額のワイロが政治家に流れている疑いがある。立川は片桐に金の流れを知っていたため、矢吹を利用して殺害しようとしている。

軍団全員で片桐の護衛にあたるが、東京地裁に向かう途中、矢吹は片桐を狙うが偶然転倒し狙いを逃す。隙をみて大門は矢吹を射殺する。犯行グループも鳩村が射殺し、立川は逮捕され事件は解決した。

大門軍団VS地獄の要塞

愛知県で偽札が流通していることから、愛知県警より鳩村は派遣要請を受けた。愛知県警に到着した鳩村は偽札容疑者である北島が助けを求めるが、車に乗った何者かに射殺される。鳩村は追跡を試みるが犯人は逃走する。

一方、西部署では容疑者北島の詳細が判明した。北島は2年前に神田の印刷会社に勤めており、家族はいたが、1度逮捕歴があり東京から行方不明になった。北島は組織を裏切って自首しようとして殺害された。組織は偽札を使って大量の武器とヘロインを手に入れることが目的である。軍団は愛知県警の要請で愛知へ向かう。愛知県警に到着後、北島のアパートへ軍団が急行する。アパートの住民は全員「印刷技術者」であり組織に監禁されている。アパートの一室で北島の子供が工場の絵を描いていた。

その後、レストランで店員が射殺された。被害者の持ち物に不審な男たちと北島が写った写真が見つかった。写真を撮ったのは鳩村の幼なじみの清水だった。そんな中、組織に狙われ車にはねられた。鳩村は犯人を発見しバイクで追跡したが、激しい抵抗を受けて逃走。見回すと近くに工場があり、北島の子供が描いた工場の絵を思い出した。工場を潜入してみると、偽札と製造機を発見したが組織に拉致される。

一方、南は病院へ向かい、清水に写真を撮った時のことを聞いた結果、北島ともめていた男がいた。その男は清水や亡くなった店員のなじみのバーのマスター相沢（あいざわ）だった。相沢は東京の暴力団を相手にするヤミ商会のブローカーである。近々名古屋に向かっているとの情報が入ると同時に、鳩村が行方不明という連絡もあったが、工場近くで追跡していたとの目撃情報が入った。軍団は工場に急行した。工場の外では、相沢と組織が軍団を待ち受けていた。時限爆弾を煙突に仕掛け、人質全員の殺害を計画したが軍団で救出した。相沢と組織グループは壊滅し、大門は鳩村を無事に確保して事件は解決した。

最後の事件

大学生3名の連続自殺事件が発生した。皆、経済的にも恵まれており、自殺の動機は不明である。いずれも遺書を残しており、それぞれが大学も出身地も異なっているが、3名とも将来が約束された楽観的で遊び好きな性格であった。遺書は簡単で抽象的であり、誓約書のように思えたことから、何者かに書かされた可能性があると考えられる。3名の交友関係を調べた結果、学生向けのローン会社「ペガサス」にたどり着いた。運営しているのは、3年前に解散した暴力団幹部である 岡崎・梶原・佐野の3名である。

ある日、佐々木の母親が西部署を訪れ、息子が亡くなった後「ペガサス」から5000万円の支払いを要求されたと告白された。森山の親もお金を支払っていた。斎藤の親にも請求が来る可能性があるため、平尾と沖田は斎藤の家へ向かったが、「ペガサス」の幹部が既に接触していることを知る。大門は鳩村と北条に「ペガサス」への潜入捜査を指示した。その結果、3人はそれぞれ約100万円を借りており、殺された3人の借用書には「済」の印が押されていたが、新たに川本と書かれた借用書には「済」の印はない。川本も経済的にも恵まれている。大門は川本の護衛を軍団に指示した。

本性をあらわした「ペガサス」は川本殺害の方へ進めていく。「ペガサス」は川本をレストランに呼び出し念書という名の遺書を書かせた後、気絶させて車内に時限爆弾を仕掛けて殺害する計画を立てていた。しかし、車に乗る途中で川本が騒ぎ出し、揉み合いの中、後方から軍団が迫ってきた。必死に逃走するが川本の救出に成功し、「ペガサス」の岡崎・梶原・佐野は殺人容疑で逮捕された。こうして事件は解決へと導かれたのである。

『西部警察 PART-II』の登場人物・キャラクター

大門軍団

大門 圭介（だいもん けいすけ／演：渡 哲也）