白夜行(東野圭吾)のネタバレ解説・考察まとめ

『白夜行』とは、1999年に刊行された東野圭吾の推理長篇である。発行部数は2010年12月時点で200万部を超えている。1973年、大阪で起きた殺人。犯人は小学5年生の被害者の息子・桐原亮司と、容疑者の娘・西本雪穂。未解決のまま時は流れていく。そして成長した2人は犯罪行為で互いに助け合うようになり、周囲で不可解な事件が次々と起きる。 疑念を抱く刑事が2人の関与に気づき、証言や調査で真相に迫っていくというストーリー。2006年にはテレビドラマ化、2011年には映画化されている。

雪穂の所属するダンス部の副部長をしていた。雪穂に惹かれて結婚し、夫となる。雪穂に利用され、亮司がデータに不正アクセスするためのIDを渡してしまう。挙げ句の果てはDVと不倫をでっち上げられて雪穂と離婚し、多額の慰謝料を支払うことになる。

その他

三沢 千都留(みさわちづる/演:佐藤仁美)

高宮の勤務先で働いている派遣社員。高宮は千都留に惹かれていて、雪穂との結婚直前に彼女へのプロポーズを密かに計画していたが、亮司の策略で回避された。

谷口 真文(たにぐちまふみ/演:余貴美子)

亮司と雪穂が幼い頃よく訪れていた図書館の司書。この図書館で2人は出会った。2人が成長しても、気に掛けて普通の人間として接した。

島崎(しまざき/演:武野功雄)

松浦たちが常連客であった居酒屋の店長。松浦の生い立ちを知っている。

『白夜行』の用語

白夜行

白夜とは日の出前および日没後のかなり長い時間にわたって薄明が続く現象で、夜なのに薄暗い昼の様な明かりの状態になる。本作の2人は親殺しという暗い過去を背負い、一生太陽の下を歩くことが出来ない生き方をすることになった。闇の中で互いの存在というわずかな明かりしか無い中を生きていく人生で、かすかな太陽の光の中を這いずり回って生きていく悲しい2人の進む道を表している題名である。

質屋きりはら

桐原亮司の父、洋介が経営していた質屋で、妻の弥生子、松浦勇が働いていた。洋介の死後は店をたたみ、弥生子はスナックを開店した。

ブティック「R&Y」

唐沢雪穂が、友人の小竹亮子と共同経営する会員制の高級ブティックで、亮司と雪穂の頭文字を取っている。ブティックを開店するにあたり、雪穂は夫の高宮の財産を使っている。経営は順調でクリスマスの日に2店目をオープンした。

『白夜行』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

桐原亮司「不公平だと思ってもわざわざ人の幸せ壊してやろうとは思わねえよ」

自分が一目惚れした篠塚と付き合った親友の江利子を襲うように雪穂に頼まれた時、亮司は「不公平だと思ってもわざわざ人の幸せ壊してやろうとは思わねえよ」と言い放った。亮司は誰かの幸せを壊そうと思って犯罪行為を働いているわけではなく、純粋に雪穂を想って幸せにするために罪を重ねているだけであるという2人の関係性を象徴する悲しいセリフである。雪穂と違って亮司は罪の意識に苛まれている様子がわかる。

西本雪穂「やったのは私だよ」

亮司が性的虐待を受けていた雪穂を助けるために父親を殺してしまい、絶望感に打ちひしがれている中、雪穂は「やったのは私だよ」とかばった。雪穂は、自分もこれまで何度も洋介を殺してやりたいと思ったという。父親の洋介を殺害してしまい、号泣する亮司の罪悪感を振り払うかのような雪穂の印象的な言葉である。

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