神の手を持つ男 ブラック・ジャックの生い立ちと謎について考察まとめ
手塚治虫の漫画『ブラック・ジャック』。一話完結の作品の中に完璧な人間ドラマを描きだす手塚治虫は間違いなく天才だったといえるでしょう。漫画を読んだことのない人はもちろん、ある人にとってもブラック・ジャックは謎の多い人物です。今回は間黒男がいかにして伝説の無免許医ブラック・ジャックになったのか、ブラック・ジャックとはいったい何者なのか、その本性に迫ります。
ブラック・ジャックの医大時代の恩師。今でもブラック・ジャックとの交流が深く、ブラック・ジャックが困ったときに助けてくれることもしばしばあります。幼いブラック・ジャックを救った医者、本間丈太郎とも少なからず交流があったようです。
手塚
ブラック・ジャックの医大時代の友人。自分の患者について困ったことや不可解なことがあったときに、頻繁にブラック・ジャックのもとへ相談しに来ます。定期的に「シメキリ」と叫びながら苦しむ病気に侵されており、手塚治虫本人がモデルになっていると考えられます。
辰巳
ブラック・ジャックの医大時代の友人。病院で務めていましたが、院長と同じ大学出身の人間だけが大手を振っている病院の在り方に疑問を持っていました。ピアニストであった少年の手術を任され「腕を切れ」と院長から指示されていましたが、ブラック・ジャックに手術を頼み腕を切らずに手術をしました。ブラック・ジャックに手術を頼んだことがばれて病院を追い出されますが、本人は最後に「せいせいした」と語っています。
ブラック・ジャックの謎
なぜ法外な手術料を取るのか
先にも書きましたようにブラック・ジャックは漫画の中で患者から法外な手術料を取ることで有名になっています。それはいったいなぜなのでしょうか。漫画の中からいくつか考えられる理由を挙げてみましょう。
患者の決意を試す
ブラック・ジャック自身は幼い頃、血の滲むようなリハビリと、不発弾をずさんな処理をした人間に必ず復讐をする、という強い意思でその体を取り戻し、命も取り留めました。ブラック・ジャックにとって手術料の金額は患者がどれほど必死に生きようとしているかの目安になっています。また母親を失った辛い経験から、患者の家族にも同様にその意思を確認させるように高額な手術料を提示します。
復讐のため
ブラック・ジャックは幼いころ不発弾のずさんな処理のせいで爆発に巻き込まれ、その人生をめちゃくちゃにされます。そして幼い彼はそこの責任者であった五人の人間に復讐を誓います。第115話『不発弾』の中では責任者の一人である井立原を騙して気球に乗せ、地雷をしかけた無人島におびき出します。気球を手配したり、島を丸ごと罠として使ったりと、復讐を正確に行うためにかなり大掛かりな計画が練られます。その準備金としての金を患者から取っていると考えることができるでしょう。
メスを作る
ブラック・ジャックはメスを鍛冶師の憑二斉に作ってもらっています。メスを作る際、憑二斉はブラック・ジャックの持ってきた札束を燃やし、その炎でメスを作ります。ブラック・ジャックの大金の一部は少なくともこのメス作りに充てられているようです。
墓を作る
第81話『宝島』ではブラック・ジャックは沖縄の美しい自然を残すために、その島々を購入して自然を守っているという趣旨の発言をしています。その島の一つにはブラック・ジャックが世話になった看護士五條ナミの墓があり、彼女の遺言を守って遺骨を沖縄の伝統的な墓である亀甲墓に収めるためにその島を買って墓を作っていました。「世話になった」ことに関してブラック・ジャックは言及していませんが、ブラック・ジャックが大金をつぎ込んで恩を返そうとするほどなのですから、恐らく幼い時の事故で入院していた時に世話になった看護士なのでしょう。島を買うのには当然高額な金額が必要になりますし、特別なお墓を作るのにもお金はかかります。それに充てる金を高額な手術料をとして取っていると考えられます。
特製の医療機器を作る
第163話『本間血腫』ではブラック・ジャックは患者に対し特別な人工心臓を作ってきます。これを出すとき彼は「金がかかった」と発言しています。また第152話『約束』の中では自分の恩人を救うために病院ごと買い取るシーンもあります。患者を救うためなら何でもするブラック・ジャック。そのためにはいくらでも使う覚悟があるので、その金を患者から取っているのでしょう。
なぜ正規の免許を取らないのか
ブラック・ジャックは正規の医師免許を取っていません。そのため大病院から煙たがられたり、モグリの医者だと軽蔑される場面もあります。しかし、それでもブラック・ジャックは正規の免許を取ろうとしません。それはいったいなぜなのでしょうか。
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