怒り(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
2010年に国内の映画賞を総ナメにした大ヒット作「悪人」の原作者吉田修一と監督李相日が6年振りにタッグを組み、音楽に坂本龍一を加え、実力派のオールスターキャストで挑んだ感動のヒューマンミステリー。八王子の平静な住宅街で残忍な夫婦殺人事件が起こる。一年後のある日、千葉と東京と沖縄に素性の知れない3人の男が現れ、それぞれに重厚な人間ドラマが展開する。愛した人は、殺人犯なのか?2016年9月全国公開。
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2010年に国内の映画賞を総ナメにした大ヒット作「悪人」の原作者吉田修一と監督李相日が6年振りにタッグを組み、音楽に坂本龍一を加え、実力派のオールスターキャストで挑んだ感動のヒューマンミステリー。八王子の平静な住宅街で残忍な夫婦殺人事件が起こる。一年後のある日、千葉と東京と沖縄に素性の知れない3人の男が現れ、それぞれに重厚な人間ドラマが展開する。愛した人は、殺人犯なのか?2016年9月全国公開。
2010年に国内の映画賞を総ナメにした大ヒット作「悪人」の原作者吉田修一と監督李相日が6年振りにタッグを組み、音楽に坂本龍一を加え、実力派のオールスターキャストで挑んだ感動のヒューマンミステリー。八王子の平静な住宅街で残忍な夫婦殺人事件が起こる。一年後のある日、千葉と東京と沖縄に素性の知れない3人の男が現れ、それぞれに重厚な人間ドラマが展開する。愛した人は、殺人犯なのか?2016年9月全国公開。
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松山ケンイチは青森県むつ市出身、1985年3月5日生まれのホリプロ所属のタレントで、俳優やモデルとして活動中。原作を忠実に再現するために演技や外見などを変える為、憑依型俳優や和製ジョニーデップなどと呼ばれている。2011年に女優の小雪と結婚し、現在は三児の父である。
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『池袋ウエストゲートパーク(IWGP)』とは2000年4月から6月までTBS系で放送された日本の若者の日常をワイルドに描いたテレビドラマ。主演は長瀬智也、脚本は宮藤官九郎。その他渡辺謙や妻夫木聡など、多くの豪華俳優が出演している。池袋を舞台に、主人公マコトが池袋を舞台に友人やギャングたちとケンカや友情に明け暮れるストーリー。原作は石田衣良の小説『池袋ウエストゲートパーク』で、ドラマ以外にも、コミック、ミュージカル、舞台、アニメなど幅広いメディアミックスがなされた。
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『凶悪』とは、ノンフィクションベストセラー小説『凶悪 -ある死刑囚の告発-』を元に、2013年に映画化された社会派サスペンス映画である。雑誌記者の藤井(ふじい)は、上司から須藤(すどう)という死刑囚に会うように言われる。須藤は数々の犯罪に手を染めてきていた。そして、須藤と共謀して多くの犯罪を犯し、最後には須藤をだました木村(きむら)という男の話を聞く。藤井は話を聞くうち、家庭を顧みず取材にのめりこんでいく。この映画は、私たちの身の回りのどこにでも存在しうる犯罪をリアルに描く作品となっている。
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『百万円と苦虫女』とは、ひょんなことから前科持ちとなってしまい、実家にも居づらくなったフリーター・鈴子が、百万円を貯めては場所を転々し、様々な経験や人との出会いを通して成長していく様子を描いた青春ロードムービーである。2008年7月19日に日本で公開され、興行収入は3億円、観客動員数は19.7万人を記録した。『百万円と苦虫女』の功績が認められ、監督のタナダユキは第49回日本映画監督協会新人賞を、主演の蒼井優は2009年に芸術選奨新人賞を受賞した。
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『20世紀少年』とは、浦沢直樹による漫画作品。2008年から2009年にかけて映画化もされている。 コンビニの店長として働く中年の男・ケンヂの身の回りで、不可解な事件が相次ぐ。やがて、それらの事件はケンヂとその仲間たちの子供のころの妄想を現実化したものであるということに気が付く。少年時代に共に未来の世界を想像した仲間を集めたケンヂは、仲間とともに事件の首謀者である「ともだち」と呼ばれる人物の正体を探る。
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『新宿スワン』はアンダーグラウンド系の日本の漫画である。作者は和久井健。講談社『週刊ヤングマガジン』で、2005年20号から2013年45号まで連載された。スカウトマンをテーマにした物語で、和久井にとって連載のデビュー作品となった。主人公は19歳の白鳥龍彦、通称タツヒコ。ライバルの死や暴力団がからむ違法薬物の取引、そして信頼していた仲間の裏切り、そして、タツヒコの知らないところで大きな復讐の計画が動き出していた。数々のトラブルに見舞われながらも逃げずに立ち向かうタツヒコの成長する姿を描く。
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『Mother』とは、2010年4月から水曜22時に日本テレビ系で放送されていたドラマで、坂元裕二が脚本を手掛ける。主演は松雪泰子。その他、山本耕史や芦田愛菜などが出演している。母性をテーマに、様々な視点から母親について描かれている作品である。小学校教諭の鈴原奈緒は、ある日教え子の道木怜南が極寒の中でゴミ袋に入れられ、捨てられているのを発見する。それをきっかけに、奈緒は怜南の母親になることを決意し、彼女を誘拐した。そして奈緒は怜南の母親になることで、女性として人間として成長していくのだった。
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『バットマン ビギンズ』とは、2005年にアメリカで制作された実写映画。監督はクリストファー・ノーラン。アメリカンコミック『バットマン』シリーズを原作としている。実業家ブルース・ウェインが、闇の騎士「バットマン」として、世に蔓延る凶悪犯罪者たちと戦う決意をする様を描く。
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『SUNNY 強い気持ち・強い愛』とは、韓国映画『サニー 永遠の仲間たち』を原作とした2018年公開の青春音楽映画。90年代、社会の中心にいた“コギャル”たち。コギャルとして青春を共に過ごした“SUNNY”の6人は、ある事件の後バラバラになってしまう。20年以上の時を経て、あるきっかけから一人、またひとりと再会していく。光と影、理想と現実をそれぞれ抱えて生きてきた6人の複雑な思いが、懐かしい90年代ヒットソングに乗せて、90年代と2018年の場面が交差しながら展開される愛と青春の音楽ストーリー。
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「銭ゲバ」とは、ジョージ秋山の漫画を原作したテレビドラマ。幼い頃、母親の桃子と貧しい生活を送っていた風太郎。父親の健蔵は働きもしないで女と酒に溺れ、桃子に暴力を振るうようになる。優しい母だけが風太郎にとって心の支えだった。しかし貧乏生活ゆえ、桃子は身体を壊してしまい、薬を買うお金さえなかったため帰らぬ人となってしまう。お金がなかったから母は死んだと子供ながら理解した風太郎は金に取りつかれていく。
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『陸王』とは作家の池井戸潤が書いた小説『陸王』が原作のドラマで、脚本は八津弘幸、演出は福澤克雄と田中健太が担当。ドラマのストーリーは資金難に苦しむ老舗足袋屋の社長が、会社の未来を考え新規事業のランニングシューズ開発に乗り出し、たくさんの人の助けで苦難を乗り越え、マラソン足袋「陸王」を開発するまでの企業再生物語。ドラマの主人公である宮沢紘一を俳優の役所広司が演じ、たくさんのエキストラを使った駅伝シーンなどは臨場感のあるシーンに仕上がっている。大多数の人たちから感動したと大反響を呼んだ人気ドラマ。
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『リバース』とは、2017年4月から6月まで放送された湊かなえのミステリー小説が原作のテレビドラマである。主人公の深瀬和久は、10年前に大学時代の友人たちと卒業旅行に行った際、親友・広沢由樹が失踪し、遺体となって発見された。10年前の事件について深瀬たちに何者かが告発文を送りつけられ、その犯人を突き止めていくミステリー。現在と過去を交互に描いていくストーリーが、人気を博した。
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万引き家族(英題:Shoplifters)とは、2018年に公開された日本映画である。監督は『そして父になる』などで知られる是枝裕和。主演はリリー・フランキーと安藤サクラ。 第71回カンヌ国際映画祭において最高賞のパルム・ドールを獲得するなど、国内外で高い評価を受けた。 貧困のなか、万引きによって生計を立てながら身を寄せ合う家族6人の姿を描く。
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『ランチの女王』とは、2002年にフジテレビ系の月9枠で放送されたドラマ。主演は竹内結子。その他、妻夫木聡、山下智久、山田孝之などが出演している。ランチタイムに洋食店を訪れた麦田なつみが、ひょんなことからその店で住み込みで働くことになる。洋食店を舞台に、なつみと男四人兄弟の恋愛模様や交流を描いたラブコメディ。脚本は『カバチタレ』や『青天を衝け』を担当した大森美香などが手掛けている。第34回ザ・テレビジョンドラマアカデミー賞で最優秀作品賞や主演女優賞などを獲得した。
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『四月は君の嘘』とは『月刊少年マガジン』(講談社)で2011年から2015年まで連載されていた、新川直司原作の音楽をテーマにした漫画、およびそれを基にしたアニメ作品である。数々のピアノコンクールで優勝したが、ピアノの音が聞こえなくなった有馬公生は、同い年の女の子でヴァイオリニストの宮園かをりと知り合った。現代の日本で、中学生のピアニストとヴァイオリニストが互いの才能に共鳴し合い成長する姿を描いている。
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『サンクチュアリ -聖域-』は、2023年5月にNetflixで配信が開始されたオリジナルドラマである。大相撲を題材にした作品で、主演は一ノ瀬ワタル。脇を固める役者は染谷将太、小雪、ピエール瀧と、豪華な顔ぶれが揃う。相撲のセンスはあるが品性や礼儀は欠片もない不良少年・小瀬清が、相撲に真剣に取り組み、やがては各界を揺るがし始めるというストーリー。相撲の裏側をリアルに映し、相撲にかける力士たちの厳しい稽古と、熱すぎるまでの情熱が描かれ、世界で大ヒットを記録した。
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『ザ・マジックアワー』とは三谷幸喜が脚本・監督したエンターテインメント映画である。佐藤浩市の主演映画で妻夫木聡や深津絵里など豪華キャストが多数出演している。三谷幸喜が監督する4作品目の映画で、第32回日本アカデミー賞で4部門にノミネートされた。マフィアの天塩商会が牛耳る港町の守加護。彼らの怒りを買ってしまった備後は、助かるために三流俳優の村田を騙し、映画撮影と称して殺し屋のデラ富樫を演じさせる。天塩の者たちに村田が偽のデラ富樫だとバレないよう備後が四苦八苦する、大ヒットコメディ映画。
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『3年A組ー今から皆さんは、人質ですー』とは、日本テレビ系で2019年に放送された日本のテレビドラマ。半年前に起きた女子生徒・景山澪奈の自殺の真相を明らかにするため、美術教師の柊一颯が生徒たちを人質に取った立てこもり事件を起こす、異色の学園ドラマである。主演は菅田将暉。生徒役には永野芽郁や今田美桜、森七菜などが出演している。『電車男』や『花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~』などのヒットドラマを生み出した武藤将吾が脚本を手掛ける。
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『WATER BOYS』とは、2003年7月の火曜21時にフジテレビで放送されていたドラマ。映画『ウォーターボーイズ』を元に制作されており、脚本は橋本裕志と中谷まゆみ。主演は山田孝之で、森山未來や瑛太などが出演している。シンクロに憧れて唯野高校水泳部に入部した進藤勘九郎は、学園祭のシンクロ公演でリーダーに選ばれたが、シンクロ公演が急遽中止となってしまう。そこで勘九郎はシンクロ公演を実現させるため動き出す。勘九郎と仲間たちの友情や恋愛を描いた青春ドラマである。
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『MIU404』とは、性格が全く違う二人の刑事が日本の社会問題に立ち向かいながら事件解決を目指す、警視庁機動捜査隊を舞台としたテレビドラマである。臨時部隊として新設された第4機捜に召集された刑事が志摩一未と伊吹藍だ。二人は相反する性格ながら、様々な事件に相棒として立ち向かうことになる。斬新なストーリーと共に、二人の刑事がバディとして絆を深めていく姿も目が離せない作品だ。
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『リトル・フォレスト』とは、主人公の成長を描くヒューマンドラマであり、五十嵐大介による漫画、漫画を基にした森淳一監督、橋本愛主演の映画である。漫画『リトル・フォレスト』は、作者の実体験を基に制作され、2002年12月から講談社発行の『月刊アフタヌーン』で連載された。映画『リトル・フォレスト』は、2014年8月に公開された『夏』『秋』、2015年2月に公開された『冬』『春』の4部作である。東北地方の小さな村に住む主人公のいち子が、自然に向き合いながら自分を見つめ直すストーリーとなっている。
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『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(いつ恋)とは、東京という街で必死に生きる若者たちの恋愛を描いた日本のテレビドラマである。フジテレビ系列で2016年1月から3月まで放送された。坂元裕二によるオリジナル脚本作品。主演を有村架純と高良健吾がつとめた。東日本大震災が発生する2011年前後と、5年後の2016年からの2部構成で描かれている。第3回コンフィデンスアワード・ドラマ賞作品賞・脚本賞などを受賞した。
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2006年に公開されたジャスティン・リン監督によりオリジナル・フィルムが制作した、カーアクション映画である。大人気ワイスピシリーズの3作目となるが、今までのシリーズとは異なりアメリカではなく東京が舞台となっており主演がルーカス・ブラックになっている。日本の有名人も登場していることで話題になった作品である。本作は東京に引越してきたきたアメリカ人学生が日本が発祥であるドリフトに魅了されていくストーリーである。
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事件の犯人が逃亡したまま1年経過した日本のとある街。同じ時期に現れた正体不明の男性3人にフォーカスをあて、その周囲で巻き起こる事件や人間関係のストーリーです。男性3人は、その街に来た以前の経歴など詳細な個人情報は知られていないが、それぞれがその町で住人や職場の人と仲良くなったり、または恋人ができたりなど人間関係を築いていきます。信頼し合った関係になったと思っても、身の回りで不審なことや些細な事件があると、恋人でさえもその男性を疑ってしまいます。さらに、警察が公開した1年前の事件の犯人と、顔や身体的特徴がわずかに似ていた事に気づくと警察に通報したり、距離をおいたりします。そして、日が経ち、犯人ではなかったことを知り周囲の人々は激しく後悔します。このとき、人を信じるとは何か。恋人であっても僅かな不信感で疑ってしまい、何をもって人間は人を信じるのだろうと考えさせられました。1年前の殺人犯の顔が正体不明の3人全員に似ています。そのため最後の最後まで犯人が分からず、引き込まれます。そして、犯人の動機や犯人の結末に衝撃を受けます。また、話の中で少女のレイプ事件が起きます。この事件も重要なポイントになり、この事件で苦しむ少女やその友人の少年の想いを考えると非常にやりきれない気持ちになります。
この作品は2016年に公開された映画である。
「怒り」とは人間がもつ感情のうちの一つであるが、人は一体どういった時にこの「怒り」という感情を抱くのだろうか。
それは誰かに対して向けられた「怒り」かもしれないし、自分自身に向けられる「怒り」かもしれない。
作品の中でも登場人物はこの「怒り」という感情に翻弄されていく。
信じていた者に裏切られた悲しさから生じる「怒り」、自分を信じて着いてきた人を疑ってしまった自分自身の不甲斐なさに対する「怒り」、うまくいかない状況の中で誰かから向けられた優しささえも見下されているように感じるといった卑屈さから生じる「怒り」。
紐解いていくと、「怒り」という感情はただ単に「気に入らないから腹がたつ」といった単純なケースは少ないのかもしれない。
「悲しさ」「後悔」「劣等感」といった様々な感情が絡み合って生まれるものが「怒り」ではないだろうか。
作品の中でも、登場人物は怒りを表現する際に泣き叫んだり、膝から崩れ落ちたり、笑いだしたり、様々な表情を見せながら「怒り」を露わにしていく。
この作品では「怒り」という感情の複雑さや、些細なことから相手を疑ってしまったり、「怒り」と向き合うことを放棄して堕ちていく人間の弱さが描かれている。
その様子を見て他人事と捉える人はおそらく少ないだろう。自分の心の中にも存在する弱さや愚かさがくすぶられるのではないだろうか。
なんだか怖い話でした。
でも、3人のうち、だれかが犯人かも、もしかしたら時系列が違うだけで同一人物かもとは思えなかったです。
全員違う感じだし、まあ、それは整形したとかあるのでしょうが、それにしても違いすぎるかなって思いました。
原作は読んでないのですが、本だとそう読めるのかもしれません。
素性を明かさない3人の男たちは、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛なのですが、全員個性的で、狂気に満ちていると見えなくもない顔つきなので、役に合っていたと思います。
綾野剛さんと知り合うのは妻夫木さんなのですが、2人の話はとても悲しかったです。
疑いだせば、いくらでも疑えちゃうからこういうことになっちゃったんだなと思いました。
でも、妻夫木さんに綾野を信じてやれよと強くも言えない感じでした。
たしかに彼は怪しかったし、出会いからして昔からの知り合いとかでもないですしね。
人を信じるって何なんだろうと考えさせられました。
また、最初の殺人事件や、強制性交事件など、イヤな気持ちになる描写も多く、なかなか重たい話でした。
おもしろいし、また見たいなと思う一方、もう見たくないと思える作品です。
殺人事件の犯人は本当にいかれていて、理由がわからなかったからとても怖かったです。
実際に、こういうことがあるかもと思うとおそろしくてたまりません。
ストーリー序盤、同じ時間軸で物語に関わるそれぞれの登場人物や彼らを取り巻く環境を、頭で整理するのに少し苦労する。
ただ登場人物の表情や言動、人間関係を読み解く中で浮かび上がるそれぞれのキャラクターの個性には次第に引き込まれ、あくまで自然体でこの作品の世界観にハマることができる。
叙述的に進むストーリーの中「犯人は一体誰なんだ」というほのかな不安と期待を一種のじれったさと共に感じながら味わうのは新鮮であり、物語に引き込まれる心地よさに包まれる作品との一体感は、同時にこの映画を観終わることで喪失感さえ想起させた程である。
実話をもとに作成された為ストーリーは重厚。作品全体の雰囲気は終始暗くじっとりとした物だが、作中でそれぞれのキャラクターが見せる人間性やリアルな立ち居振る舞いによってスムーズな感情移入が出来たことは、この作品に没入するに至る大きな要因であることに間違いない。
犯人は殺人を犯したまま整形で顔まで変えて逃亡している凶悪犯。それが身近に潜んでいるかもしれないという恐怖心が終盤でのテンポのよい展開とともに増加していき、見終わった後も心地いいリアルな質感を持って体感できるので面白い。
サスペンスではあるがグロテスクな描写も序盤の一部だけであり、全般的にほぼ謎解きの要素が占めるためゴア表現が苦手な人も安心できる。そのためサスペンス好きだけにとどまらず全ての映画好きにオススメできる極上の邦画だと評すことができる。
豪華な俳優陣としても話題となった映画「怒り」。
渡辺謙、松山ケンイチ、宮崎あおい、妻夫木聡、綾野剛、森山未來、広瀬すず、佐久本宝。各世代の演技派の俳優、女優陣が魅せたそれぞれの役が素晴らしかったのは言うまでもないが、やはりこの映画のおもしろさの一番の理由は、脚本にあると思う。
自分の信じた人が、自分の愛した人が殺人犯かもしれない。それでもその人を信じ続けられるか。そんな重い問いを、終始自分に向けられているような気がする。
それぞれが愛した人の真実を知ったあとで、宮崎あおい演じる槙愛子と、妻夫木聡演じる藤田優馬が涙を流すシーンは、この映画の中で最も心に響くものがあった。彼らは相手を信じきることができなかったことに、申し訳なさと悔しさと後悔の涙を流したのだ。相手の全てを知らないと信じきることもできない自分への怒りもあったのかもしれない。一方で信じるべきではなかった人を信じてしまった若い男女も描かれている。広瀬すず演じる小宮山泉と、佐久本宝演じる知念辰哉である。映画を通して、信じるということへの難しさを、観ている者に訴えかけられた気がした。それでも自分が愛した人を信じれる人になりたいと思ったし、後悔の涙を流すようなことにはなりたくないと思った。重たい内容ではあったが、脚本が素晴らしく、その脚本を体現した俳優、女優陣の演技も素晴らしかった。
予告CMが印象的だったので気になり映画館で見ました。サスペンスのような作品で、実際の殺人事件をテーマにしたものだとは分かっていましたが、思っていた以上に鑑賞後の気持ちが重たく、なかなかうまく消化できない作品でした。
東京、千葉、沖縄で現れた身元不明の男たちと、関わっていく人々の群像劇ですが、特に沖縄パートはうまく消化できませんでした。東京、千葉の展開は幸せとはいきませんが、しっかり納得いく結末でした。その反面、沖縄パートは弱者として踏み躙られ、抵抗することも許されない、やり場のないもどかしさが後半になるにつれて露わになっていくのがきつかったです。私は沖縄出身なので、米軍による婦女暴行や、県外から来た人たちとのギャップなどが、他人事に思えなかったという事も関係しているかもしれません。見ていくうちにやり場のない憎しみ、いら立ちが募ってくる映画でした。
また、タイトルである「怒り」のメッセージが、作中でどう表現されていたのかは感じ取ることができず、終始もどかしい気持ちもありました。個人的には、この映画を通して見た人々が何かのメッセージを受け取るというより、見て感じた苛立ちや理不尽さを通して、それぞれの「怒り」や社会にかき消されている理不尽さに気づくような映画なのかなと思いました。どちらにせよこの映画は私には合わなかったです。