『スワロウテイル』とは、1996年に公開された映画、およびその原案となった小説。岩井俊二監督によるクライム作品となっており、映画公開の同年には、岩井俊二自身が執筆した原案の小説も刊行された。架空の歴史で構築された日本にある町を舞台に、そこで暮らす移民達を描いた作品で、無国籍風な世界観の群像劇となっている。作中に登場するYEN TOWN BANDは現実にデビューし、作品・音楽の双方の面から多くのファンに支持されている。
須藤寛治の遺体から発見されたカセットテープ。フランク・シナトラの「マイ・ウェイ」が録音されているだけのテープだが、ランの解析によって一万円札の磁気データが隠されていることが判明。円都にバブルのような現象を巻き起こすも、後の大事件の引き金となった。
円都の住人達は出自を知らずにいるが、もとは上海流氓が所持していた偽札製造のための磁気データで、葛飾組に持ち逃げされたことで探されていた。
また、このテープを発見したことを機に、円都の住人達の中で「マイ・ウェイ」は大切な曲となっていく。
『スワロウテイル』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
あっさりマオフウを撃退したラン
マオフウの頭に銃を突きつけるラン
物語終盤、「マイ・ウェイ」のテープを探して執拗にグリコと鈴木野を追ってきたマオフウ。追われて「あおぞら」に逃げ帰ってきた彼女たちの目の前で、シャオメイがバズーカであっさりとマオフウ一味を吹き飛ばし、そして、呆然とするマオフウに駆け寄ったランは、何の躊躇いもなく彼を射殺するのであった。
絵面の派手さに対して静かな決着という温度差はコミカルでもある。そして、大人しい人物という印象だったランが、腕の立つ殺し屋であることを再認識する名場面だ。
フェイフォンの死
フェイフォンの遺体を乗せて燃える廃車に一万円札を投げ入れる仲間たち
偽札を使っている現場を見られて逮捕されたフェイフォンは、苛烈な拷問を伴う取り調べの後に、刑務所内で命を落としたことが、看守たちの会話で明かされる。看守たちは「フェイフォンが一晩中、大きな声でマイ・ウェイを歌っていた」と話しており、彼にとってこの曲がとても大事なものだったということに、視聴者は改めて気づかされるのだ。
そして火葬のシーン。彼の遺体を乗せて燃え盛る車の中に、アゲハはありったけの金を投げ込み、グリコと同じタトゥーを入れたことを明かす。
本作中において、「金」は彼らの夢の象徴。フェイホンの死と火葬は、アゲハにとっての「帰る場所」の喪失と、子供時代からの決別を象徴する、悲しくも美しいシーンとして描かれている。
アゲハとリャンキの別れ
本作のラストシーンは、ランとシャオメイ、そして梁魁とアゲハが登場する。遠い場所から橋の上を通るターゲットをライフルで狙う殺し屋たち。そして、自転車を押して歩くアゲハを見かけた梁魁は車から降りてアゲハに声をかける。アゲハはかつて助けてもらったお礼として、カセットテープを彼に渡すと、自分の名前はアゲハで、娼婦のグリコが名付けてくれたと自己紹介した。
思わぬところから探し物が登場したことと、生き別れの妹の存在を知って立ち尽くす梁魁と、笑顔で立ち去るアゲハ。このあと、ランたちが梁魁を撃ったのかは定かではない。この、含みのあるラストシーンは、長きにわたって多くの考察を呼んでいる。
『スワロウテイル』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
リャンキが妹に名付けた「グリコ」の由来
特徴的な名前のグリコだが、実はこの名前は生き別れの兄であるリャンキがつけたもの。由来は日本で古くから愛され続けているお菓子、グリコである。「日本のサラリーマンは、グリコを食べて大きくなった」というのが理由で、ささやかな幸福や妹への成長への願いが込められた微笑ましい逸話だが、後にリャンキと生き別れたグリコが娼婦になっていることを考えると、どこか皮肉な響きを帯びたネーミングでもある。
『スワロウテイル』の主題歌・挿入歌
挿入歌:YEN TOWN BAND「Sunday Park」
アゲハが円都に移り住み、そこでの住人との生活を描いているシーンで流れる楽曲。無国籍で独特な映画の世界観と、少し寂しげな曲がマッチしている。
挿入歌:YEN TOWN BAND「My Way」
YEN TOWN BAND結成の瞬間、フェイフォンのリクエストで演奏することになった楽曲。アメリカの伝説的歌手、フランク・シナトラのカバーで、優しさと疾走感をプラスしたアレンジになっている。
挿入歌:YEN TOWN BAND「上海ベイべ」
グリコの歌手デビュー曲として登場した。かわいらしくも、どこか切なくセクシーな魅力もある楽曲。
挿入歌:MY LITTLE LOVER「YES 〜free flower〜」
目次 - Contents
- 『スワロウテイル』の概要
- 『スワロウテイル』のあらすじ・ストーリー
- 円都(イェンタウン)の人々
- 謎の「マイ・ウェイ」のテープ
- YEN TOWN BANDの始動
- フェイフォンの死
- 『スワロウテイル』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- グリコ(演:Chara)
- アゲハ(演:伊藤歩)
- ヒオ・フェイホン(火 飞鴻)(演:三上博史)
- リョウ・リャンキ(劉 梁魁)(演:江口洋介)
- 円都(イェンタウン)の住人たち
- ラン(狼朗)(演:渡部篤郎)
- アーロウ(演:シーク・マハメッド・ベイ)
- ニハット(演:アブラハム・レビン)
- レイコ(演:大塚寧々)
- ホァン(演:小橋賢児)
- ユリコ(演:藤井かほり)
- 上海流氓の関係者
- マオフウ(猫浮)(演: アンディ・ホイ)
- ワン・シャンシェン(演:翁華栄)
- チュンオン(演:楊鍵宇)
- YEN TOWN BANDの関係者
- 星野(演:洞口依子)
- デイヴ(演:ケント・フリック)
- 本田(演:田口トモロヲ)
- 楠木(演:鈴木慶一)
- YEN TOWN BANDのメンバーたち
- その他
- ツェン(演:顧暁東)
- 須藤寛治(演:塩見三省)
- 葛飾組組長(演:渡辺哲)
- シェンメイ(春梅)(演:山口智子)
- ロリータ店長(演:酒井敏也)
- 浅川(演:武発史郎)
- ロック・ドク(演:ミッキー・カーチス)
- 鈴木野清子(演:桃井かおり)
- ローリー寺西(演:ローリー寺西)
- インタビュアー(演:クリス・ペプラー)
- 光石研(演:光石研)
- 監査官(演:山崎一)
- 『スワロウテイル』の映画と小説の違い・相違点
- 異なっている登場人物の設定
- 中身が違うマイ・ウェイのテープ
- 『スワロウテイル』の用語
- 地理・地名
- 円都(イェンタウン)
- 阿片街(あへんがい)
- 店舗・企業
- あおぞら
- YEN TOWN CLUB
- マッシュミュージック
- 組織
- 上海流氓(しゃんはいりゅうまん)
- 葛飾組(かつしかぐみ)
- その他
- 円盗(イェンタウン)
- YEN TOWN BAND(イェン・タウン・バンド)
- マイ・ウェイのテープ
- 『スワロウテイル』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- あっさりマオフウを撃退したラン
- フェイフォンの死
- アゲハとリャンキの別れ
- 『スワロウテイル』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- リャンキが妹に名付けた「グリコ」の由来
- 『スワロウテイル』の主題歌・挿入歌
- 挿入歌:YEN TOWN BAND「Sunday Park」
- 挿入歌:YEN TOWN BAND「My Way」
- 挿入歌:YEN TOWN BAND「上海ベイべ」
- 挿入歌:MY LITTLE LOVER「YES 〜free flower〜」
- 主題歌:YEN TOWN BAND「Swallowtail Butterfly ~あいのうた~」
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