ベイブ(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ベイブ』とは、ユニバーサル・ピクチャー製作のもと、1995年にアメリカで公開された子豚が主人公のファミリー向け映画。のどかな農村を舞台に、主人公ベイブが農場の動物たちと絆を作りながら、牧羊犬ならぬ牧羊豚を目指すストーリー。奮闘する子豚の愛くるしい姿に思わず心が揺さぶられる癒し度マックスのこの作品は、動物達が演じる俳優顔負けの熱のこもった表情や、コミカルな動きなどを撮影した技術が評価され、第68回アカデミー視覚効果賞ほか、第53回ゴールデングローブ賞では作品賞を受賞している。

『ベイブ』の概要

『ベイブ』とは、ユニバーサル・ピクチャー製作のもと、1995年にアメリカで公開された子豚が主人公の映画。ある農場に貰われてきた子豚が、牧羊犬の仕事に憧れを持ち、その素質を持っていることを見抜いた農場の主人が、コンテストに出場させるというストーリー。動物の目線で物語が語られていくこの作品は、小さなテーマごとに小気味良い展開で物語が進み、どの年代でも楽しめるファミリー向け映画となっている。

絵本のような温かみを感じさせる風景は、オーストラリア南東部ニューサウスウェールズ州ロバートソンで撮影されており、主要な製作メンバーは、全員オーストラリア出身。クリス・ヌーナン監督のもと 、脚本は『マッドマックス』シリーズで有名なジョージ・ミラーが務め、音楽はナイジェル・ウェストレイク、演奏にはメルボルン交響楽団が携わった。映像の所々で動物たちが歌うシーンがあり、耳に残るフレーズの曲や、カントリー調に仕上げられた交響曲などが、場面をより印象付けている。
映像の大半を占める動物たちの撮影には、本物の動物とロボットを人工の皮膚で覆ったアニマトロニクスによる特撮とCGが用いられていて、その技術力が高く評価されている。第68回アカデミー賞では、アカデミー視覚効果賞を受賞したほか、アカデミー作品賞、監督賞、脚色賞、助演男優賞、美術賞、編集賞の6部門にもノミネートされた。

映画の穏やかな雰囲気とは対照的に、アメリカでの公開時には、豚の屠殺の悲惨さを訴えるビラが配られたりと、動物の権利について社会的問題として意識させるきっかけにもなった。また、イスラム教を国教としているマレーシアでは上映禁止となり、裁判へと発展。そののちにビデオ版でリリースされた。1998年には続編の『ベイブ/都会へ行く』が製作されている。

『ベイブ』のあらすじ・ストーリー

ベイブとホゲットの出会い

ベイブとホゲットの出会いのシーン

食肉用の牧場でたくさんの兄弟と一緒に育っていた一匹の子豚。母豚が連れていかれる様子を悲しそうに見つめていたその姿が、雇い主の目に留まる。

小さな農場を経営するアーサー・ホゲットは遊園地に来ていた。ホゲットは重量を当てたらその景品がもらえる体重あての屋台に足を運ぶ。景品は子豚で、抱き上げた瞬間にホゲットと子豚は目が合い、なにかしらの運命を感じ合った。ホゲットは重さを言い、その場を去る。後日、ホゲットの家の電話が鳴り、見事子豚が当たったことが知らされた。農場にやってきた子豚。そこには、ホゲットと妻のホゲット夫人、沢山の動物たちが暮らしていた。動物たちに名前を聞かれると、 母豚が兄弟と同じ名前で、皆のことを坊やという意味のベイブと呼んでいたと話す。母豚を思い出した寂しさから泣いてしまうと、それを見ていた牧羊犬のフライがベイブを慰めた。牧場に慣れるまでの間、自分の子供たちと一緒に寝かせるというフライの案を、夫のレックスはやむを得ず承諾した。

ベイブは、フライとその子犬たちと生活するうちに、家の中には猫と犬しか入れないことや牧羊犬はイヌが務めるもの、農場の外にある放牧場に入ってはいけないことなど、農場の様々なルールを知る。ある日、小さな小屋に入ると、メーという名前の羊がいた。メーは高齢で足が悪く、かぜ気味のため一匹だけ隔離されていた。ベイブはそこで、恐ろしい狼の話を聞く。「奴らはすぐに噛みつく。羊を追っかけまわして殺す。フライもその一員で、遊ばないほうがいい」とメーは言う。不信感を抱いたベイブだったが、優しく接してくれるフライにメーの言葉は間違いだと思った。農場で生活するアヒルのフェルディナンドは雄鶏もどきで、毎朝、雄叫びを上げてホゲット夫婦を起こしていた。ある日、いつもどおり雄叫びを上げようとした時、夫婦は目覚ましの音で目を覚ました。自分の役目を奪った目覚ましの存在が気に食わないフェルディナンドは、無邪気でお人好しなベイブに声をかけ、目覚ましを盗む作戦に協力させる。夫婦の留守中に、家に侵入し作戦を遂行していたが、フェルディナンドのくしゃみによって、家の中で暮らす猫が目を覚まし、暴れて失敗してしまう。帰ってきたホゲットは、散らかった家の中にアヒルと子豚と思われる足跡を見つける。フェルディナンドは逃げてしまったが、ベイブは、農場のルールを統括するレックスからの説教を受けることになった。

数日後、ホゲット夫婦は自家製ジャム、紡いだ毛糸、牧羊犬の子犬を売りに出した。子犬たちは全員買われて行き、農場の小屋で寂しそうにうずくまるフライにベイブは「ママと呼ばせて」と声をかけた。こうしてベイブには温かい居場所が出来たのだった。

牧羊豚への道のり

季節はクリスマス。農場には婿夫婦が子供を連れて帰ってきた。ホゲット夫婦は前回の事件で、ディナーに出す料理を子豚の丸焼きか、アヒルのオレンジ焼きにするかで迷っていた。ほかの動物たちも誰が犠牲になるのかと噂をする。食卓に並んだのは、アヒルだった。その様子を見ていたベイブ達にフェルディナンドが声をかける。驚くベイブ達。犠牲になったのは、ロザンナという別のアヒルの女の子だったらしい。「怖い思いはたえられない!もっと住みやすい場所がどこかにある」と農場を後にすることにしたフェルディナンド。別れの時、ベイブは農場の柵をあける手伝いをする。フェルディナンドが無事、飛び立ったあと、いけないとわかっていながら外の世界にひかれ飛び出してしまう。前から行きたいと思っていた牧場に着いたちょうどその時、泥棒が羊を車に乗せているところに遭遇。ホゲットに異変を知らせるためベイブは急いで家に戻る。ベイブに気づいたレックスとホゲットが牧場に駆け付け、泥棒の被害を最小限で食い止めることが出来た。ホゲットはレックスとベイブを褒めた。

お手柄をあげた翌日。庭先で、ベイブがにわとりを茶色と白にきれいに分けているのを見かけたホゲットは、レックス、フライと一緒に、ベイブを牧場に連れていくことにした。 牧場に着いたあと、ホゲットの指示で、牧羊犬の2匹は鳴きながら走り出し、時折、威嚇をしながら、慣れたように羊達をゲートの中へ誘導した。それを見ていたベイブに、今度はお前の番だと指示を出すホゲット。ベイブはフライからアドバイスをうけ、2匹と同じように犬の鳴き声の真似をして走ってみたが、羊達には笑われるだけだった。「ブタは引っ込め!」というレックスに対し、「くじけちゃダメ」と奮い立たせるフライ。舐められてはいけないと感じたベイブが、羊の足に嚙みついた時、その群れの中にいたメーが出てきた。「悪い狼たちの仲間になるつもり?偉そうに命令なんか、素直に頼めばいいのよ。」と教えてもらい、ベイブは改めて丁寧にお願いをすると見事、羊達はゲートまできちんと整列して動いてくれた。誘導される羊達を見て、出来ると思っていなかったホゲットとレックスは複雑な表情を浮かべる。

その晩、牧羊犬としてのプライドを持っていたレックスは、恥をかかされたと気が立っていた。フライがなだめに来るが、二匹で喧嘩になってしまい、フライは足にケガを負った。ホゲットは、ベイブに嫉妬したレックスの喧嘩だと考えたが、呼んだ医者がホルモン異常だと判断した。ホゲットは、羊を追えなくなることを了解したうえでレックスに鎮静剤を打ってもらうことにした。牧羊犬が2匹とも動けなくなってしまったため、ホゲットはベイブを代わりに牧場に連れていくことにする。薬を嫌がる羊を説得して誘導したりと、牧羊豚としての資質を見せ始めるベイブ。ホゲットは、ベイブを牧羊犬のコンテストに出すことを考え始める。

豚の存在理由とは

メーの最後に涙を流すベイブ

町の小さなコンテストの下見に行ったベイブ達。そこでフライは、ベイブにレックスの過去について話す。レックスは本当は偉大なチャンピオンになれるはずだった。ある冬の晩、大雨が降り、羊達を高台へ避難させなければいけなくなった。寒さと洪水が迫る中、一晩中誘導を続けたが臆病な羊たちは動かなかった。結果、羊は全滅し、レックスも死の一歩手前まで陥ってしまった。ちょうど、コンテスト1か月前の出来事で、後遺症で耳が聞こえなくなったレックスは、出場したコンテストでは指示が聞こえず失敗してしまった。というものだった。「だから気難しいんだね」とベイブは言葉を返した。翌日、練習用のゲートを作製し、ベイブにコンテストの動きを見せるホゲット。子豚を相手に指導する様子を見ていたホゲット夫人は心配そうな表情を浮かべていた。

早朝、ベイブが牧場に行くと、3匹の野良犬が羊達を襲っていた。ベイブは身を挺して野良犬を追いはらったが、首筋を嚙まれたメーが死んでしまった。到着したホゲットは、ベイブの仕業だと考える。一方、ベイブが殺したと思えなかったフライは状況を聞き出すため、はじめて羊達に話をしに向かった。犯人が野良犬だと聞き、急いで家へ戻るフライ。その頃、ホゲットはベイブを連れ、銃を片手に倉庫に入っていた。引き金を構えたその時、ホゲット夫人が慌てた様子でホゲットを呼んだ。「昨晩、野犬の群れが現れて近所で6頭やられたと警察から電話があったわ。」間一髪で、べイブは一命をとりとめた。

ホゲット夫人は、最近の夫の様子が不安だったが、婦人会の全国大会に行くため、3日間家を外すことになった。その日は、コンテスト2日前で、ホゲットはベイブを家に入れた。ホゲットは決意を固めて応募用紙を書くが、“犬の名前”という項目に戸惑い、正直に“PIG(豚)”と書いた。 その横で、ベイブが入ってきたことを気に入らない猫がひっかき、外に出されてしまう。そのことで意地悪な性格の猫はベイブに恨みを抱いた。コンテストの前夜、「他の動物たちはあなたを見て笑っているわ。ブタの本来の役目は?役立たずを飼う理由は食べるためよ」と猫がベイブに囁く。「僕は牧羊豚だよ」と言うベイブに、「それはご主人様のきまぐれよ。いずれ食用につぶされる」と言いっ放った。ショックで家を出たベイブは、小屋で会ったフライに「ブタは食用なの?」 と尋ねる。「多くのブタはね」との返答に対し、「ご主人様も食べるの?」と続けるベイブ。フライは「ええ、そうよ」と答えた。

コンテストでの奇跡

ベイブのため、羊達にアドバイスを求めるレックス

コンテスト当日の朝、姿を消したベイブ。ホゲットが探していると、木の下でびしょぬれになっていたベイブを見つけた。熱を出して震えるベイブに、ホゲットは手厚く看病し、哺乳瓶で薬を飲ませながら心からの歌を送った。食欲も出て元気になったベイブは、順番を後回しにしてもらい、コンテストに出場することになった。 会場に着き、羊達の様子を見るベイブとフライ。ベイブが何度か話しかけるが、全く聞いてもらえない。羊達の様子に不安を感じたフライはレックスに相談する。話を聞いたレックスは一目散にある場所に走っていった。 レックスが向かったのは農場の羊達のところだった。「コンテストの羊達が言うことを聞かなくてベイブが困っている。どうすればいいか教えてほしい」と話すレックス。はじめてレックスに話しかけられた羊達は、困惑しながらベイブを助けるためにと3つの条件をもちかけてある暗号を伝える。それは今後、羊達に優しくすること、噛まないこと、この暗号はコンテスト限りで今後一切使用しないことだった。

一方、ホゲットは、豚を出場させるのはどういうつもりなのかと、前代未聞の出来事に審査員に詰められていた。コンテストは一時中断。 たまたま宿泊先のテレビでコンテストを見ていたホゲット夫人は、同じホゲットという苗字の出場者に胸がざわつく。結局、コンテストの規則に動物の指定が無かったため、渋々の決断で出場許可が出ることになった。場内に入るなり、子豚を引き連れて歩くホゲットの姿に観客たちは笑った。競技直前、戻ってきたレックスが羊達からきいた暗号をベイブに伝える。 会場からの笑いと冷やかしの声に包まれる中、ブザーが鳴り、ホゲットがベイブに指示を出した。ベイブは教えられた暗号を羊達に語りかける。「バー・ラム・ユー バー・ラム・ユー 群れと仲間たちに変わらぬ忠誠を 裏切るなかれ」ざわめいていた会場が、一斉に静まり返った。サクサクッと軽快な音を鳴らし、きれいな整列をつくって行進する羊達。それを先導するベイブ。順調に指示をこなしていくベイブに会場中が息をのむ。最後、収まるようにきちんと羊達が入ったゲートのドアを、ホゲットが閉めた。その瞬間、観客中が沸き立ち、あふれんばかりの声援と拍手をベイブとご主人に送った。オール100点を掲げる審査員達。沢山の賞賛の中、ホゲットはベイブにひとこと「よくやった」と言い、物語は幕を閉じたのだった。

『ベイブ』の登場人物・キャラクター

メインキャラクター

ベイブ

CV:クリスティーン・カヴァナー
主人公の子豚。食肉農場にいたところを縁があって、ホゲットに貰われることになった。優しく素直な性格で、農場で暮らすほかの動物達とも仲良くなる。フェルディナンドにお願いをされて、ルールを破って家の中に入ってしまうなど、純粋でお人好しすぎるところも。泣いたり気弱な部分もあるが、レックスたちの牧羊犬という仕事に憧れを持ち、一人前の牧羊豚を目指して一生懸命奮闘する。

牧場で暮らす動物

フライ

黒い毛の犬がレックス(左)、顔に白い毛が混じっているのがフライ(右)

CV:ミリアム・マーゴリーズ
ホゲットの農場の牧羊犬。レックスの妻。犬種はボーダー・コリー。ベイブが農場に初めて来たときから自分たちの子供と同じように面倒を見ていて、自身の子供がいなくなってからは、本当の子供のように気にかける。甘やかすだけではなく、時には鼓舞してベイブを導く母親のような存在。はじめての牧羊犬の仕事に苦戦するベイブにアドバイスしたり、コンテスト会場で聞く耳を持たない羊達の様子が気になり、レックスに助けを求めに行くなど、牧羊豚を目指すベイブを支える。

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@7madaken66

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