真夏の方程式(小説・映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『真夏の方程式』とは、2010年から連載されていた東野圭吾の『ガリレオ』シリーズが原作の、2013年公開の日本映画である。監督は西谷弘。夏休みを玻璃ヶ浦の川畑(かわはた)家で過ごすことになった柄崎恭平(つかさききょうへい)は、仕事で来ていた湯川学(ゆかわまなぶ)と出会う。しかし同じ時期に玻璃ヶ浦に来ていた元警視庁の刑事が遺体で見つかったことにより、川畑家が抱える秘密が次第に明るみになっていく。この物語は海を臨む美しい町で湯川が少年とともに事件解決に進む様子と、血を超えた家族の愛が描かれている。

『真夏の方程式』の概要

『真夏の方程式』とは、2010年から「文藝春秋」で連載されていた東野圭吾原作『ガリレオ』シリーズで、2013年6月29日公開の日本映画である。『ガリレオ』シリーズの映画化としては、『容疑者Xの献身』以来5年ぶりの第2作品目である。監督は西谷弘で、主演は福山雅治。福山演じる湯川学(ゆかわまなぶ)の相棒役である刑事は、シリーズ初めの柴咲コウ演じる内海薫(うつみかおる)から吉高由里子演じる岸谷美砂(きしたにみさ)に変更されている。『真夏の方程式』と連動し、フジテレビでは連続ドラマ第2シリーズが放送された。2012年9月にクランクインし、撮影場所は愛媛県高浜駅や西伊豆町である。第37回日本アカデミー賞話題賞作品部門を受賞し、累計興行収入33.1億円で2013年度の邦画実写第1位となっている。
美しい海を臨む玻璃ヶ浦(はりがうら)という町で夏休みを過ごすことになった小学4年生の柄崎恭平(つかさききょうへい)は、仕事で玻璃ヶ浦に来ていた帝都大学准教授の湯川学と出会う。2人が宿泊している緑岩荘(ろくがんそう)は、恭平の叔母家族が経営している旅館で、そこには塚原正次(つかはらまさつぐ)という元警視庁の刑事も宿泊していた。しかし翌朝、塚原が遺体で発見される。もともと「子供は嫌い」と言っていた湯川だったが、恭平や警視庁の刑事である岸谷美砂と事件を追ううちに恭平とは1人の人間同士として接するようになる。そして緑岩荘を経営する、川畑成実(かわはたなるみ)をはじめとする家族が隠している秘密にもたどりつく。そこには愛する人を必死に守ろうとした、一つの愛の形があった。この物語は、海を臨む町に隠された秘密と家族の愛が美しい景色とともに描かれる作品となっている。

『真夏の方程式』のあらすじ・ストーリー

事件の始まり

帝都大学准教授の湯川学は海底資源掘削アドバイザーとして玻璃ヶ浦(はりがうら)の駅に来ていた。この駅で小学校四年の柄崎恭平(つかさききょうへい)と出会う。恭平は玻璃ヶ浦の宿である緑岩壮の主人、川畑重治(かわはたしげはる)と妻の節子が迎えに来るのを待っていた。節子は恭平の叔母にあたる。駅のいたるところには、「海底発掘絶対反対」の垂れ幕が掲げられていた。

湯川は海底資源の開発説明会に登場すると、重治と節子の娘で海底資源開発反対派の代表である成実(なるみ)と出会った。

説明会が終わり成海は緑岩壮に帰ってきた。すると湯川が宿泊客として現れる。その晩の夕食は同じ広間で、湯川、恭平、他の宿泊客である塚原正次と一緒に食事をとることになった。

女将である節子が広間の様子を観にくると、塚原が「川畑さん、私は昨年まで刑事をやっておりました。仙波英俊、ご存じですよね」と尋ねてきた。しかし節子は「知りません、そんな人は」と慌てた様子で奥へと戻った。その夜、恭平は重治の誘いで緑岩荘の前で花火を楽しんでいた。

次の日、緑岩荘の近くの堤防で塚原が遺体で見つかった。警察は、緑岩壮にいた者たちを事情聴取にかける。警視庁は、塚原が死んだ事件に、湯川の友である草薙俊平と岸谷美砂に捜査を依頼。さらに岸谷は緑岩壮にいる湯川に捜査の協力を求める。

追いかけてくる過去

岸谷の話しでは、「塚原は当初、堤防から落下し脳挫傷で亡くなったと思われていた。しかし、死因は一酸化炭素中毒であって、亡くなってから落とされた」と他殺の可能性を広げる。そして、そもそもなぜ塚原は、玻璃ヶ浦に来たのかと言う。

平成10年、東京のとある歩道橋で三宅伸子が殺された。その前の晩、仙波と伸子がもめていたという目撃情報があった。警察が仙波の家を尋ねると、血のついたナイフが見つかり、そこで仙波を逮捕したのが塚原であった。

仙波は平成18年に刑期満了で釈放され、今は行方は分かっていない。仙波は玻璃ヶ浦の出身で、塚原は仙波をさがしに来ていたのだと思われた。

湯川と恭平

次の日、湯川と恭平は堤防の端まで来ていた。湯川の作った装置を使い、携帯のテレビ電話で海底を見ることができるのだという。恭平はテレビ電話に出ると、サンゴ礁やキレイな魚たちを見て大喜びであった。

緑岩壮に帰ると、警察が屋上にある煙突を調べているのが見えた。

その晩、湯川と恭平は塚原が泊まっていた部屋の前にいた。恭平にこっそり部屋の鍵を持ってきてもらい中を確認する。

湯川は恭平に「花火をやった時は、あの窓は開いていたのか」と確認する。すると、「おじさん(重治のこと)がロケット花火が部屋に飛び込んだら危ないって、全部ふさいどこうって」と、窓はすべて閉まっていたと証言する。最後に湯川は押入れの壁の亀裂を確認し、恭平に鍵の束を返した。

川畑家の秘密

湯川は重治が、塚原を殺したと疑っていた。岸谷と草薙の捜査で、川畑家が玻璃ヶ浦に移住してきた年と、仙波が起こした事件の年がほぼ一致していた。

さらに仙波の起こした事件当時は、重治は名古屋の工場に単身赴任していたことが判明する。東京に残された節子と成実の生活を調べ始めるのだった。

湯川は海洋研究開発機構の船に乗船していた。船には成実も乗船している。湯川は10年前から玻璃ヶ浦の海について、成実が書いていたブログの事を尋ねた。成実は怪訝そうに「海が好きだからです。おかしいですか」と答えた。湯川は「まるで誰かをまっているかのような文章だ」と返した。

東京で成実と節子が住んでいたのは、伸子が殺された事件現場のすぐ近く。そして川畑家が玻璃ヶ浦に移住してきたのは、事件のわずか2週間後であった。重治は、湯川が事件の真相に近づいていると気づき、自首を決意する。そして湯川と恭平は他のホテルに移ることとなる。

明らかになる過去

重治の供述によると事件の起こった夜、塚原が眠れないと申し出てきたので睡眠薬を渡した。そして重治は恭平と庭で花火で遊んだ後、塚原に朝食時間の確認のため電話をかけたが出なかった。

部屋へ伺うと塚原が倒れていたのが見えた。部屋からはすすけた匂いがしていて、ボイラーが不完全燃焼を起こし一酸化中毒となったとすぐに気づいた。そこに帰ってきた節子が警察に届け出るという。しかし重治は、部屋から死体が出たことで緑岩壮の評判が悪くなると懸念。節子を説得して、死体を堤防に運んだのだという。

しかし、湯川は重治の供述には納得していなかった。そして草薙に重治の供述を鵜呑みにしないよう忠告。

一方、岸谷は玻璃ヶ浦にある小料理屋で働く、鵜飼継男に聞き込みをしていた。店内にあるアルバムに川畑家と仙波が一緒に写っている写真があった。
鵜飼によると、節子は30年前にここで働いていた。節子は仙波に気があったが、仙波にはその時奥さんがいたのだという。
アルバムからは「せっちゃんとなるみちゃん2か月」と書かれた写真だけ、消えているのだった。

湯川は岸谷の車の中で「仙波は誰かをかばって刑に服した。だがそのことに気づいたのは、仙波を逮捕した塚原さんだけだった。だから刑期を終えた仙波を探し出し、真実を聞き出そうとしたんだ」と話した。

15年前、節子と成実の家に伸子が訪ねてきた。成実が仙波の娘であることを知った伸子は、節子に金を無心しにきたのだった。
しかし節子は留守にしており、成実に伝言を頼む。その内容から成実は、自分が重治の娘ではないと確信した。成実はその真実を隠すために、伸子の後を追い殺害したのだった。

湯川と岸谷は、仙波が入院している病院へ来ていた。車イスでやってきた仙波はひどく弱っている。湯川は、成実が書いているブログと成実の写真を仙波に見せた。
すると仙波は「ありがとうって、玻璃ヶ浦の海を守ってくれてありがとうって、この人に伝えてください」と言うのだった。仙波の病室には、「節子と成実の生後2か月」の写真が大事に保管されていた。

15年前の伸子殺害の翌日、仙波は節子を呼び出し、成実が使った凶器の包丁を節子から無理やり受け取った。そして成実に変わって警察に出頭したのであった。

事件の真相

湯川は取調室で重治に事件の真相を迫っていた。重治は何も知らない恭平に頼み、煙突の上に濡らした段ボールを置かせた。そうすることによって、塚原の部屋に一酸化炭素が流れ込むようになっていた。そして塚原が死んだ後、再び恭平に頼みダンボールを回収させていたのだった。すべては重治の計画通りである。

重治はなぜ、塚原を殺さなければならなかったのか。重治は成実が仙波の娘であるということを知っていた。そして伸子を殺したのが成実である、ということにも気づいていた。
しかし塚原が現れ真実を暴き出そうとしていたので、成実を守るために犯行に及んだのだった。取調室のマジックミラー越しで話を聞いていた成実は、「お父さん、ごめんなさい」と涙を流した。

成実は湯川に「私は罰を受けようと思います」という。しかし湯川は、恭平を守ってやる使命があると返す。「恭平君はいつか自分のしたことに気づくだろう。その時は真実を隠さず話してほしい。全てを知ったうえで、自分の進むべき道を進むために」と話した。

恭平は迎えに来ていた父と駅に来ていた。湯川は恭平に「この夏休み、君は色々なことを学んだ。問題には必ず答えがある。だけど、それをすぐに導き出せるとは限らない。だが焦ることはない。僕たち自身が成長していけば、きっとその答えにたどり着けるはずだ。忘れるな、君は1人じゃない」と話した。そして恭平は、父と一緒に電車に乗り込むのだった。

『真夏の方程式』の登場人物・キャラクター

主人公とその周辺の人物

湯川 学(ゆかわ まなぶ/演:福山 雅治)

帝都大学の物理学准教授。帝都大学理工学部卒業で、警視庁の草薙とは大学時代からの友人。物理学において天才的な頭脳を有し、雑学も豊富。しかし性格は非常に偏屈で、「論理的ではない相手と付き合うのは疲れる」という理由から、特に子供が苦手である。本作の恭平とは、湯川にしては珍しく相手が子供であっても対等な態度で接していた。塚原の事件に始めは興味がなさそうだったが、恭平と触れ合ううちに事件の真相に近づいていくこととなる。

岸谷 美砂(きしたに みさ/演:吉高 由里子)

警視庁捜査一課の刑事で、草薙の後輩にあたる。ドラマ『ガリレオ』の第2シリーズから、湯川の相棒として登場する。入庁2年目で警部補にまでなったエリートで、プライドが高く自信家である。そのため横柄な態度や強気な発言が見受けられるが、刑事としての責任感や使命感は非常に強い。塚原の事件に関しても「同じ警視庁の人間が犠牲者だから」というわけではなく、あくまで一つの事件として解決のために奔走する姿がみられる。

草薙 俊平(くさなぎ しゅんぺい/演:北村 一輝)

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2016年公開。監督・大根仁、主演・福山雅治の映画。以前は写真週刊誌SCOOP!のエースカメラマンとして数々のスクープ写真を撮っていた都城静だったが、今はうらぶれたフリーランスのパパラッチとして生活していた。静はSCOOP!編集部へ移動してきた新人記者・行川野火と組む事になる。最初は衝突しあうも数々のスクープを撮り二人は次第に惹かれあうが、静にかかってきた1本の電話が悲劇をもたらす事となる。

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ATARU(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

ATARU(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ATARU』とは、2012年にTBSで日曜21時に放送された、櫻井武晴が脚本を手掛けたドラマ。主演は中居正広。その他、北村一輝や栗山千明などが出演している。サヴァン症候群で特殊な能力を持った謎の青年・アタルが、警察と一緒に難事件を解決していく推理ミステリードラマである。2013年に公開された映画では、アタルと同じサヴァン症候群の女性が現れ、アタルが彼女の起こした事件に巻き込まれていく。

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県庁の星(小説・漫画・映画)のネタバレ解説・考察まとめ

県庁の星(小説・漫画・映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『県庁の星』とは、桂望実により2005年『小学館』から発行されたヒューマン小説及び、それを元にした漫画、映画作品である。県庁に勤める野村聡は、民間人事交流の一員としてスーパー満天堂に配属となる。野村は満天堂の人間を見下し、満天堂の二宮あき達は野村のことを厄介者扱いして衝突を繰り返す。しかし野村が県庁の出世コースから外れたことで二宮との距離が近づき、満天堂の危機も救うこととなる。この物語は立場の違う人間同士が出会い、歩み寄る過程で得る「気づき」を教えてくれる作品となっている。

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カムカムエヴリバディ(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

カムカムエヴリバディ(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『カムカムエヴリバディ』とは、NHK連続テレビ小説の第105作目となるテレビドラマ。2021年11月1日から2022年4月8日まで放送された。 連続テレビ小説史上初となる3人のヒロイン、安子(やすこ)、娘のるい、孫のひなたの親子3世代にわたる家族の物語である。安子の生まれた1925年(大正14年)から物語はスタートし、ひなたがアメリカでキャスティングディレクターとして活躍する2025年までの100年を描いている。

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陰陽師(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

陰陽師(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『陰陽師』とは、陰陽師安倍晴明の活躍を描いた野村萬斎主演の映画。平安時代の日本を舞台に、善と悪の対立や人間と妖怪の関係を描く。清明と彼の仲間たちがさまざまな困難に立ち向かう様子を描いている。 ゴールデングロス賞銀賞と第56回毎日映画コンクール録音賞を受賞。滝田洋二郎監督は優秀監督賞を受賞。野村萬斎はブルーリボン賞主演男優賞、日本アカデミー賞と新人俳優賞、優秀主演男優賞を受賞している。小泉今日子も優秀助演女優賞を受賞している。

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14才の母(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

14才の母(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『14歳の母』とは、2006年10月に日本テレビで放送されたドラマで、脚本は井上由美子が手掛ける。主演は志田未来。その他、三浦春馬や田中美佐子などが出演する。中学2年生の一ノ瀬未希は、14歳にして子供を身ごもってしまう。両親や兄妹、友達など周りの人々から猛反対を受けるが、未希は産む決心をする。しかし、そんな彼女を様々な困難が待ち受けていた。どんなに苦しくても産むことを諦めない少女が、苦難を乗り越えて成長していく姿を描く。本作の視聴率は20%を超え、数々の賞を受賞した。

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