
『バンパイヤ』とは、手塚治虫原作の長編SF漫画。第1部が1966年から1967年まで『週刊少年サンデー』に、第2部が1968年から1969年まで『少年ブック』に連載された。同作品はテレビドラマ化されており、水谷豊の主演デビュー作として知られている。『バンパイヤ』は、狼に変身する少年と世界征服を目論む少年を2人を中心に物語が展開されるSFサスペンス漫画である。シェイクスピアの『マクベス』をモチーフにして展開されるストーリーは、悪の魅力を湛えたピカレスクロマンの様相を呈していて人気を博した。
バンパイヤ

村の秘密を守るために家を燃やす夜鳴き一族のバンパイヤたち
バンパイヤとは、同タイトル漫画に登場する架空の人間種族である。バンパイヤは、ある特定の条件で動物に変身する能力を有している。完全に動物に変身する者もいれば、単純に毛深くなるだけの者もいるなど、変身後の姿はまちまちであることが明かされた。また、小さいネズミや大きなアリゲーターなど、細胞の大きさを変えた変身ができるものもいる。但し、重さを変えることはできない。バンパイヤは、長年人間たちから魔女狩りなどの迫害を受けてきたとされており、国や法律、文明・規則などを取り払って人間を原始人の状態へと戻す「バンパイヤ革命」を世界規模で起こすことを企てていた。
虫プロダクション(むしプロダクション)

虫プロダクション社屋
虫プロダクション(むしプロダクション)とは、かつて実在した日本のアニメーション制作会社。『バンパイヤ』の原作者である手塚治虫が、1961年6月に創設した。日本初の本格的な1話30分の連続TVアニメ『鉄腕アトム』をはじめ、『ジャングル大帝』や『リボンの騎士』など多くの手塚作品をアニメ化したことで知られている。しかしながら、他のアニメ制作会社との受注競争の敗北や、人件費の高騰などで資金繰りが悪化し、業務改善ができないまま1973年11月に倒産した。
『バンパイヤ』のストーリー内における虫プロは、トッペイが同社の給仕として採用されるなど、序盤で大きくフィーチャーされた。
マッドPA(マッドパー)

熱海教授の日記を読む手塚治虫
「マッドPA(マッドパー)」とは、バンパイヤに登場する架空の薬品。開発者は、熱海教授である。熱海教授は、核実験をはじめとする人間の愚行に絶望しており、やがてそれは狂気となってマッドPAの開発へと走らせることとなった。マッドPAの効果は、人間から人間の心を失わせて完全にケダモノにするというものである。そのため、バンパイヤたちはこの薬品の存在をひどく恐れていた。手塚治虫は、熱海教授の日記からマッドPAの製造方法を突きとめ、製造に成功させた。そして、ヒゲオヤジがマッドPAの入ったワインをバンパイヤたちに飲ませて、「バンパイヤ革命」を失敗へと追い込んでいる。
ウェコ
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檜山ハヤト(右)の血を吸うウェコ(左)
ウェコとは、『バンパイヤ』に登場する架空の生物。猫のような姿をしていて、生物の生き血を主食としている。元々は気の弱い性格をしており、そのために擬態として人間そっくりの姿に変身する能力を有している。また、訓練をすれば、人間の言葉を話すこともできる。ウェコは生き血を吸う時には残忍な性格となり、対象生物を殺すことにも躊躇がない。ストーリー内では、台湾に生息している1匹が最後のウェコだとロックが考察していた。しかし、日本の信州にもメスのウェコが生息していることが判明し、多数の同族がいる可能性が示唆されている。
『バンパイヤ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
トッペイの変身シーン

狼から人間に戻るトッペイ
『バンパイヤ』の名シーンとして多くのファンが挙げる場面に、トッペイの変身シーンがある。トッペイは、満月を見ると狼に変身するバンパイヤであるが、それ以外にも自分の感情が昂った時に昼夜を問わず狼に変身することが判明している。トッペイの変身シーンは、メタモルフォーゼ描写を得意とする手塚治虫のアニメ的なタッチで表現されており、奇妙なリアリティーを生み出していると高く評価されている。特に、ストーリーの序盤にて、手塚治虫がトッペイの正体を知るに至った狼から人間へと戻るシーン、そして駅で若い男性が与太者に殴られている時に、周囲の者が誰も助けに行かないことに怒りを感じて狼に変身したシーンの人気が高いと言われている。
ロック「ぼくはあくまの申し子だ。世界じゅうを悪の世界にかえてやる」
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無数の屍の上に立ち、悪魔の祝福を受けて君臨するロックのイメージ
『バンパイヤ』の主人公の1人であるロックは、悪の魅力を湛えたキャラクターとしてファン人気が高い。同作品におけるロックのモデルになったのが、シェイクスピアの『マクベス』であることは知られている。ストーリー内でロックは、脅迫・誘拐・殺人などあらゆる犯罪に手を染めていて、そして警察に捕まることなく上手に立ち回っていた。そのような彼の悪人としての存在がピークに達したシーンが、自室に1人でいた時に自分が悪魔の申し子であるという妄想に耽った場面である。このシーンは、ミュージカル形式で描かれ、最後にロックが多くの屍の上に立ち、多くの悪魔たちの前で「ぼくはあくまの申し子だ。世界じゅうを悪の世界にかえてやる」と高らかに宣言したところで終わっている。『バンパイヤ』屈指の名シーンとして、ファンへ強烈なインパクトを残した。
ロックの部屋に乗り込んだ手塚治虫
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手塚治虫(左)とロック(右)
『バンパイヤ』の第1部において、トッペイとともに人間側としてロックやバンパイヤたちと対峙したキャラクターが手塚治虫である。手塚は自信を狂言回しにして、同作品にリアルさをもたらすことに成功した。また、この作品での手塚は、コメディーリリーフ的な役割を果たしたり、ヒーロー然とした佇まいを見せるなど縦横無尽に活躍している。特に、トッペイの提案を受け入れて、虫プロでバンパイヤを告発するテレビ番組を作成した後で、悪魔の申し子になることを宣言したロックの自室に現れて、彼の悪事を追求したシーンにファン人気が集まった。
ロック「い、い、いつウェコにすりかわったんだ。いつ…」
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ウェコ(右)に足を掴まれたロック(左)
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『地球を呑む』とは、手塚治虫原作のサスペンス漫画。『ビッグコミック』誌上にて1968年から1969年まで連載された。長編漫画でありながら、随所にアナザーストーリーとしての短編が挿入された作風は後の漫画作品に多大な影響を与えた。また、所謂青年漫画のはしりとしても知られている。『地球を呑む』は、男性たちを翻弄して世界を滅ぼさんとする「ゼフィルス」という名前の絶世の美女、そして唯一ゼフィルスに惑わされない主人公の青年との人間ドラマを通して、世界の変容を描いたサスペンス大河漫画である。
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鉄腕アトム(手塚治虫)のネタバレ解説・考察まとめ
『鉄腕アトム』とは、手塚治虫による漫画作品。テレビアニメ版や実写版など様々なメディアミックスが行われていることでも有名であり、手塚治虫の代表作の1つに挙げられている。『鉄腕アトム』の原作漫画は、光文社の月刊漫画雑誌『少年』にて1952年から1968年まで連載された。コミックスは、『講談社手塚治虫全集』全18巻をはじめ様々なバージョンが存在する。人間に似た心を持つ少年型ロボットアトムが、人間とロボットとの関係の狭間で地球の平和のために数々の難事件や敵に挑む姿を描いたSF作品である。
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シュマリ(手塚治虫)のネタバレ解説・考察まとめ
『シュマリ』とは、手塚治虫による明治時代初頭の北海道を舞台にした歴史漫画作品。『ビッグコミック』誌上にて、1974年から1976年まで連載された。手塚作品の中でメディアミックスされていないが、ファン人気の高い作品として知られている。骨太の主人公を中心に激動だった明治初期の北海道を描き切った大河ドラマ的作風は、手塚漫画の魅力をさらに広げたとも評されている。主人公の元旗本は、自分から逃げた妻と間男を追って北海道へやって来た。そこでアイヌの人々と文化に魅せられて「シュマリ」と名を変え生きていく。
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目次 - Contents
- 『バンパイヤ』の概要
- 『バンパイヤ』のあらすじ・ストーリー
- 第1部
- トッペイとロックの出会い
- ロックの野望と「バンパイヤ革命」
- 「バンパイヤ革命」の結末
- 第2部
- ロックと謎の生物ウェコ
- 『バンパイヤ』の登場人物・キャラクター
- メインキャラクター
- ロック/間久部緑郎(まくべろくろう)(演:佐藤博/梶健司(第19話 - 第26話))
- トッペイ/立花特平(たちばなとくへい/演:水谷豊)
- チッペイ(演:山本善朗)
- 第1部の登場人物
- 手塚治虫(てづかおさむ/演:手塚治虫)
- 熱海教授(あたみきょうじゅ/演:戸浦六宏)
- 3人の占い師(演:原泉、日高ゆりえ、本間文子)
- 立花博士(たちばなはかせ)
- 岩根山ルリ子(いわねやまルリコ/演:嘉手納清美)
- 大西ミカ(おおにしミカ/演:桐生かほる)
- 大西泰三(おおにしたいぞう/演:上田吉二郎)
- 大西夫人(おおにしふじん/演:平松淑美)
- 西郷風介(さいごうふうすけ)
- 下田警部(げたけいぶ/演:岩下浩)
- ヒゲオヤジ/伴俊作(ばんしゅんさく)
- 円山(まるやま/演:木村幌)
- アリゲーター
- トッペイの母(演:幾野道子)
- 第2部の登場人物
- ウェコ
- 金(きん)
- 蔡博士(さいはかせ)
- 檜山ハヤト(ひやまハヤト)
- 檜山正道(ひやままさみち)
- 檜山忠道(ひやまただみち)
- 余久川(よくのかわ)
- 千恵(ちえ)
- テレビドラマ版に登場する人物
- 森村太(もりむらふとし/演:渡辺文雄)
- 皮野捜査一課長(かわのそうさいちかちょう/演:菅井一郎)
- 立川(たちかわ/演:館敬介)
- 中原(なかはら/演:中原茂雄)
- 別府博士(べっぷはかせ/演:外山高士)
- 林伴助(はやしばんすけ/演:石井竜一)
- オディノス
- マルガレーテ
- 西川(にしかわ)
- マンモス東条(マンモスとうじょう)
- アキ
- 『バンパイヤ』の用語
- バンパイヤ
- 虫プロダクション(むしプロダクション)
- マッドPA(マッドパー)
- ウェコ
- 『バンパイヤ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- トッペイの変身シーン
- ロック「ぼくはあくまの申し子だ。世界じゅうを悪の世界にかえてやる」
- ロックの部屋に乗り込んだ手塚治虫
- ロック「い、い、いつウェコにすりかわったんだ。いつ…」
- 『バンパイヤ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 掲載誌『少年ブック』の休刊で未完に終わった『バンパイヤ』第2部
- 水谷豊の俳優主演デビュー作となったテレビドラマ版『バンパイヤ』
- ファンの間で『バンパイヤ』の続編だと考察された『メタモルフォーゼ』シリーズの1編『ウォビット』
- 『バンパイヤ』のオマージュ漫画『京獣物語』
- 『バンパイヤ』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):松川義昭「バンパイヤのテーマ」(ED(エンディング):第1、6、8、12~14、16話)
- ED(エンディング):佐藤博「ロックのバラード」(第5、9~11、18話)
- ED(エンディング):堀絢子「チッペイ音頭」(第1、16話)
- ED(エンディング):尾藤イサオ「トッペイのバラード」(第7、15、17、19~25話)