昭和天皇物語(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『昭和天皇物語』とは半藤一利の『昭和史』を原作とする、『ビッグコミックオリジナル』2017年9号より連載を開始した能條純一による歴史漫画である。原作以外にも複数の文献資料や当時の新聞などからも補強されている。主人公は昭和天皇である。明治天皇崩御から大東亜戦争前、戦中、戦後という激動の日本を昭和天皇がどのように駆け抜けたのか描かれている。他の重要人物も活々とリアルに描かれており、二十世紀日本の歴史全体の流れや天皇制の在り方など改めて振り返られる内容である。

白鳥庫吉(しらとりくらきち)

第1巻4話に登場する。
日本の歴史学者。裕仁の通う東宮御学問所では御用掛として歴史を担当する。登場回の講義で白鳥は「天皇の先祖は天照大神である」という神代史について講義する。しかし「神代の物語は神話であり歴史ではない。」とする。学長の東郷はこれを不満に思い講義後、白鳥にクレームをつける。しかし白鳥は「嘘は申し上げられない」として決して譲らない。

服部広太郎(はっとりこうたろう)

第2巻10話に登場する。
東宮御学問所の御用掛に任命された生物学者。初回の授業でダーウィンの『進化論』を挙げ「人間の祖先は猿です。」と断言し学長の東郷平八郎らを動揺させる。皇祖皇孫も猿となるからであった。御学問所の職員はそれを良くないとし「差し障りないもの言いを」と注文するが、服部はひるむことなく、「誰がやっても同じ答えになるのが科学です!!」として退けるのであった。

野口幽香(のぐちゆか)

第2巻13話に登場する。
貞明皇后が最も信頼を寄せた女性教育者である。貧しい庶民の子供たちに向けた私設幼稚園である二葉幼稚園を創業する。

中村雄次郎(なかむらゆうじろう)

第3巻16話に登場する。
山縣の画策で辞任に追い込まれた宮内大臣の波多野敬直に代わり宮内大臣に任命される。
山縣の画策で開かれた皇族会議で挙がった「一部の皇族を華族へ降下させる」という議題は可決されなかった。その責任を取り、波多野は辞任に追い込まれる。その波多野に代わり宮内大臣を務めることになるのが中村であった。中村は山縣の手下官僚であった。

後閑菊野(ごかんきくの)

第3巻16話に登場する。
御学問所責任者を務める女性教育者である。杉浦重剛に宮内省眼科医の意見書を読むように伝える。

倉富勇三郎(くらとみゆうさぶろう)

第4巻26話に登場する。
法学博士で司法・宮内官僚を務める。宮内大臣の牧野伸顕(まきののぶあき)の元へ裕仁の摂政設置に関する手続きの草案を届ける。

三浦謹之助(みうらきんのすけ)

第4巻28話に登場する。
裕仁の欧州外遊に同行する宮内省の御用掛である。英国のケンリー飛行場で裕仁らが初めて飛行機を目の当たりした際、怖がりながらも、三浦は「乗ってみたい」と言う。初めて医学者で大正天皇嘉仁の診断を行う。

内閣総理大臣

鈴木貫太郎(すずきかんたろう)

第2巻8話から登場する。
第42代内閣総理大臣である。元海軍大将でありながらも裕仁のたっての希望で侍従長にも就任する。裕仁が「本当の母のようであった。」と慕う足立タカ(あだちたか)と二度目の結婚をする。二・二六事件の際には海軍の青年将校に襲撃されるも一命を取り留める。

寺内正毅(てらうちまさたけ)

第2巻15話に登場する。
第18代内閣総理大臣である。“ビリケン宰相”という異名を持つ。第一次世界大戦の影響による好景気はコメ消費増大や農業人口減少を招き、米価を急騰させる。これに伴い大正7年(1918年)富山県魚津町で米騒動が起きる。これに対し政府は厳しく取り締まるも騒動は全国へ波及する。この責任を負い寺内は総辞職をする。

原敬(はらたかし)

第2巻15話から登場する。
第19代内閣総理大臣である。平民宰相として日本初の本格的政党内閣を組閣する。裕仁と良子の婚儀が山縣有朋らにより干渉されていると知るとが国家存亡の危機とし、その干渉に関与する宮内省職員を引責辞任させ、山縣を激怒させる。また裕仁に世界の広さを実感してもらうためへ欧州外遊を勧める。“賀田引鉄”の方針の元日本の鉄道インフラ整備に大きく貢献する。大正10年(1921年)大塚駅構内で鉄道省鉄道員を務める中岡良一(なかおかりょういち)に暗殺される。

清浦圭吾(きようらけいご)

第5巻36話から登場する。
第23代内閣総理大臣である。登場時は枢密院副議長を務めている。元老の山縣有朋からの信頼が厚く、裕仁の摂政就任の皇室会議の山縣自身の代理が必要な際その代理にと充てられる程であった。

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