六番目の小夜子(小説・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『六番目の小夜子』とは恩田陸の小説と、それを原作としたNHKで放送されたTVドラマ、および舞台作品である。恩田陸のデビュー作であり、新潮社の第3回日本ファンタジーノベル大賞にて最終選考まで残った作品だ。とある高校(ドラマでは中学校)に伝わる「サヨコ」という言い伝えを軸に、少年少女たちの瑞々しい青春とファンタジーホラーの一面も持つ。2000年にNHK教育『ドラマ愛の詩』でドラマ化された。また2022年1月、乃木坂46の鈴木絢音の主演で舞台化もされている。

学校に伝わる伝説を語る時に「サヨコ」が用いられる。

西浜中学校

玲や沙世子が通う中学校。

謎の少女

謎の少女(右)

劇中にしばしば登場する謎の少女。3〜4才ぐらいで、赤いシャツと黒いズボンを着ている。
校庭の碑の周りによくいるが、沙世子の家の近くにも現れたこともあった。
特に何をするでもなく、校庭の隅で砂いじりをしているだけなのだが、不気味なドラマの象徴でもある。

うたごえ喫茶

原作ではドイツ風のビアレストランに行ったことのある溝口が言い出しっぺとなり、ヨーロッパ風の「エーデルワイス」や「おおブレネリ」「おお牧場はみどり」などをみんなで声を合わせて歌っていた。
一方ドラマではやや日本風となり、津崎ゆりえが勤務しているお店「エーデルワイス」でも「瀬戸の花嫁」が、そして玲たちの文化祭では「エーデルワイス」の他に「あの素晴しい愛をもう一度」などのフォークソングが歌われていた。

『六番目の小夜子』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

玲と沙世子「今年のサヨコは二人いる、あなたと私、私とあなた。」

冒頭のセリフを確認する沙世子(左)と玲(右)

体育館に全校生徒が集合し、これから「小夜子」の呼びかけ劇が始まろうとしていた。玲と沙世子は自分たちが書いた台本が全員に配られたことを確信し、冒頭のセリフである「今年のサヨコは2人いる、あなたと私、私とあなた」をこっそりと、しかし楽しそうに口にする。
しかし配られた台本を開いた玲は、自分たちの台本がすり替えられていることに気づく。あわてて実行委員のところに行こうとする玲を「私が今年のサヨコですって言いに行くの?」と沙世子は止める。2人ともなすすべもなく立ちすくむのであった。

文化祭のシーン

暗い体育館の中でセリフの順番を待つ沙世子(左)と玲(右)

ドラマの最大のクライマックスと言える文化祭での「呼びかけ」劇。
暗幕を張った暗い体育館の中に全校生徒400名が座り、赤と黄色のランプに従い順番に一言ずつセリフを読んでいく。
様々な生徒たちの声が体育館に響き渡り、次第に緊迫感が増していく。
「本物のサヨコ」が現れる場面を玲が口にした瞬間に強風で体育館の扉が開き、窓ガラスはすべて割れ、天井の照明も破裂する。
騒ぎの中、舞台の上には謎の少女が立っていた。

津村沙世子「私はただの14歳なの!」

自分の悲しみを訴える沙世子(中央)

「呼びかけ」劇の事故に沙世子が関わっているのではと疑う雅子やクラスメイトに、沙世子は「私はみんなと同じただの14歳なの。あなた達が思っているような特別な生徒でもないし、そんな力もない。昔死んだ卒業生と同じ名前だとか、そんなことでいちいち大騒ぎするのはやめて!」と訴える。
しかしこのあと雅子に腕を掴まれた沙世子が「離して」と絶叫する。すると不思議な力が教室を揺らし、雅子や溝口は怯える。その隙に沙世子は教室を飛び出していく。自分では制御のできない力を持ってしまった沙世子の心の叫びであった。

『六番目の小夜子』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

原作・ドラマとも違うホラー仕立ての舞台『六番目の小夜子』

鈴木絢音(乃木坂46)の主演で、2022年1月7日〜16日に新国立小劇場で公演された。
脚本を小林雄次、演出を井上テテが担当し、総監督を「Jホラーの父」と呼ばれ、テレビドラマ『ほんとにあった怖い話』などを手掛ける鶴田法男が務めた。
そのこともあり原作、テレビドラマとは異なる物語となっており、亡くなった津村沙世子の亡霊が現れるなどホラー色が強いものとなっている。

あらすじは演劇部の部長を務める花宮雅子は文化祭で自分が作った劇を上演しようとしていた。しかし今年は3年ごとの「サヨコ」の年であり、その年は「サヨコ」の劇を上演しないと大学進学率が落ちると言われていた。その劇は最期に体育館が炎に包まれるという恐ろしい内容であり、雅子と転校生の沙世子はなんとか上演を回避しようとするが、迷信を信じる学生たちは結果として劇を上演し、ボヤ騒ぎを起こす。全ては亡くなった津村沙世子の亡霊の仕業であり、現在の沙世子は亡霊に操られながらも呪いを終わらせようとしていた。

始業式の花は生けられるものの、「サヨコ」の正体や「呼びかけ」を利用した劇などには触れておらず、原作、テレビドラマとは全く別物の作品となっているようである。

21年ぶりにキャストが集結して思い出を語る『六番目の小夜子同窓会』

nancyrose7
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