凶悪(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『凶悪』とは、ノンフィクションベストセラー小説『凶悪 -ある死刑囚の告発-』を元に、2013年に映画化された社会派サスペンス映画である。雑誌記者の藤井(ふじい)は、上司から須藤(すどう)という死刑囚に会うように言われる。須藤は数々の犯罪に手を染めてきていた。そして、須藤と共謀して多くの犯罪を犯し、最後には須藤をだました木村(きむら)という男の話を聞く。藤井は話を聞くうち、家庭を顧みず取材にのめりこんでいく。この映画は、私たちの身の回りのどこにでも存在しうる犯罪をリアルに描く作品となっている。
スクープ雑誌『明潮24』の記者で、実在のモデルは『新潮45』編集部の宮本太一である。須藤の告発を聞くうちにその凶悪な事件性に取りつかれ、自らの家族や回りを巻き込んで取材を続ける。結果的にその努力が実って警察を動かす事態にまでなったが、家族との時間や藤井自身の感情など、犠牲になったものも多かった。
藤井 洋子(ふじい ようこ / 演:池脇 千鶴)
藤井の妻。普段は藤井の母である認知症の和子の世話をしている。藤井との子供が欲しいと思っているが、和子の存在がその邪魔をしていると感じ、毎日の介護に疲れ切っている。和子の世話を全て自分におしつける藤井に対しても憤りを感じており、ことあるごとにその感情をぶつけるようになってしまう。
藤井 和子(ふじい かずこ / 演:吉村実子)
藤井の母。認知症を患っている。主な症状としては、嫁の洋子を「お母さん」と呼んだり、昼夜を問わず外出しようとするなど。食事をとったことも忘れてしまい、盗み食いをしていたところを洋子にとがめられ、洋子に対して「どうしていじわるするの!」と手を上げていた。物語の最後には藤井夫婦により老人ホームに送られるが、おだやかな表情で施設職員につき従っていた。
須藤とその共犯者
須藤 純次(すどう じゅんじ / 演:ピエール瀧)
殺人、覚せい剤、死体遺棄などの数々の容疑で死刑囚となる、暴力団幹部。裏切られることが何よりも許せないことで、数々の犯罪の中には自分を裏切った者への報復も多く含まれる。木村にだまされたことで誰よりも信頼していた舎弟の五十嵐を自らの手で殺害してしまい、内縁の妻に供養を頼む。自分を信頼してくれていた相手に対しては、非常に情にあつい。
木村 孝雄(きむら たかお / 演:リリー・フランキー)
須藤や他の共犯者などから、「先生」と呼ばれている不動産ブローカー。人をだましたりすることにおいて、異様に頭の回転がはやい。人を傷つけることが楽しくてしょうがない様子。これまで多くの犯罪に手を染めてきたが、上手く証拠隠滅をはかり逃れてきた。共犯者が自分に不利益な存在になるとわかると、即座に相手を切り捨てる。
五十嵐 邦之(いがらし くにゆき / 演:小林 且弥)
須藤の舎弟で、暴力団組員だったが、破門されている。「須藤のためなら何でもできる、須藤のためなら命をかけられる」と言うほど、心酔している。須藤の手足となって共に犯罪に手を染めてきたが、木村にだまされた須藤によって射殺されてしまう。射殺される、最期の最期まで須藤に忠誠を誓っていた。
福森 孝(ふくもり たかし / 演:九十九 一)
木村の共犯。「福森介護テック」という会社を経営している。木村と共に老人ホームを回り、身よりのない土地持ちの老人を探して殺すなどして利益を得ていた。木村が逮捕された後も藤井に取材を続けられており、自らの関与をかたくなに否定していた。しかし警察の捜査の手が自分に及びそうになり、動揺して道路に飛び出し、トラックにひかれてしまう。
被害者
日野 佳政(ひの よしまさ / 演:斉藤 悠)
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目次 - Contents
- 『凶悪』の概要
- 『凶悪』のあらすじ・ストーリー
- 7年前の出来事
- 取材の始まり
- 余罪2件目 島神剛志について
- 余罪3件目 牛場悟について
- 木村と須藤
- 牛場悟の末路
- 7年前の真実
- 藤井の取材
- 裁判
- 『凶悪』の登場人物・キャラクター
- 藤井家
- 藤井 修一(ふじい しゅういち / 演:山田 孝之)
- 藤井 洋子(ふじい ようこ / 演:池脇 千鶴)
- 藤井 和子(ふじい かずこ / 演:吉村実子)
- 須藤とその共犯者
- 須藤 純次(すどう じゅんじ / 演:ピエール瀧)
- 木村 孝雄(きむら たかお / 演:リリー・フランキー)
- 五十嵐 邦之(いがらし くにゆき / 演:小林 且弥)
- 福森 孝(ふくもり たかし / 演:九十九 一)
- 被害者
- 日野 佳政(ひの よしまさ / 演:斉藤 悠)
- 田中 順子(たなか じゅんこ / 演:範田 紗々)
- 佐々木 賢一(ささき けんいち / 演:米村 亮太朗)
- 森田 幸司(もりた こうじ / 演:外波山 文明)
- 牛場 悟(うしば さとる / 演:ジジ・ぶぅ)
- 牛場 百合枝(うしば ゆりえ / 演:白川 和子)
- 牛場 利明(うしば としあき / 演:廣末 哲万)
- 牛場 恵美子(うしば えみこ / 演:原 扶貴子)
- その他の人物
- 遠野 静江(とおの しずえ / 演:松岡 依都美)
- 遠野 星姫(とおの きらり / 森田 眞生、木村 心結)
- 木村 幸恵(きむら ゆきえ / 演:山田 彩、小倉 明莉)
- 芝川 理恵(しばかわ りえ / 演:村岡 希美)
- 『凶悪』の用語
- 未決死刑囚
- 不動産ブローカー
- 登記簿謄本
- 宅地造成
- 上申書
- 情状証人
- 『凶悪』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 牛場 百合枝「もっと飲ませてください」
- 藤井 洋子「私は生きてるんだよ!?」
- 須藤 純次「藤井さん、神様は俺に言いましたよ。生きて罪を償いなさいって」
- 『凶悪』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 木村と須藤の関係性は、リリー・フランキーとピエール瀧の普段の空気感から
- 「リアリティの追求」と、回想シーンは「生っぽく」
- わざと「何が善で何が悪なのか」をはっきり描かなかった
- 『凶悪』の主題歌・挿入歌
- 挿入曲:安川午朗「ブッ込んじゃおう!」