ガサラキ(アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ガサラキ』とは、サンライズが1998年に製作したSFアニメである。『装甲騎兵ボトムズ』を手掛けた高橋良輔が監督を務めた。戦場にて戦車や兵士と共にリアルロボットが活躍するミリタリーSFとしながらも、その物語の根幹には、平安時代以前から脈々と伝わる「ガサラキ」の伝承とその謎を据える。主人公「ユウシロウ」が、秘技「ガサラの舞」の演者として周囲の野望や思惑に利用されながらも、ヒロイン「ミハル」と出会うことで次第に自我を取り戻し、みずからの出自や前世からの因果を追い求めていく物語が展開される。

『ガサラキ』の概要

『ガサラキ』とは、1998年にサンライズが製作したSFロボットアニメである。1998年10月から翌年の3月までテレビ東京系列で全25話が放送された。『太陽の牙ダグラム』『装甲騎兵ボトムズ』などを手掛けた高橋良輔が監督を務め、シリーズ構成に『耳をすませば』や『勇者王ガオガイガー』の野崎徹。キャラクターデザインに『新機動戦記ガンダムW』の村瀬修功。メカニックデザインを『聖戦士ダンバイン』や『機動警察パトレイバー』の出渕裕をそれぞれ起用している。4m程度の小型ロボット、タクティカルアーマー(以後TA)が、戦車や装甲車などの現行兵器と入り乱れて戦場で運用されるという、リアルロボットの極北としての側面を持つ一方、平安時代やそれ以前の時代から続く「ガサラキ(餓沙羅鬼)」にまつわる謎と宿命を物語の中心に据え、主人公ユウシロウが舞う「能」や次回予告に挿入される「和歌」などの和風の演出が、伝奇物語としての本作を盛り上げる。終盤は世界規模の食糧問題や日米関係、さらには国内に蓄積した難民問題の噴出など、現実の現代日本にも通じる政治的なテーマも展開する。

『ガサラキ』のあらすじ・ストーリー

ベギルスタン編

日本の豪商一族である「豪和家」の4男「豪和ユウシロウ(ごうわゆうしろう)」は、若干17歳でありながら、特務自衛隊の第3実験中隊に所属し、2足歩行型兵器「タクティカルアーマー(以下TA)」のテストパイロットとしての日々を過ごしていた。TAのテストが一段落し、ユウシロウが帰省すると、彼を心配していた同僚達は安堵する。しかし豪和家の当主「豪和代三郎(ごうわだいざぶろう)」は彼を、「ガサラキ」降臨のため実験素材として扱う。ユウシロウは「ガサラの舞」を踊り、降臨を半ば成功させるが、同じ実験に供されていた「ミハル」の精神体に制止される。ユウシロウが舞を中断したことで、豪和の実験は失敗に終わるも、ベギルスタンにガサラキの気配を察した豪和家長男「豪和一清(ごうわかずきよ)」は、特務自衛隊に働きかけ、第3実験中隊を送り込む。同行した豪和家次男「豪和清継(ごうわきよつぐ)」と三男「豪和清春(ごうわきよはる)」は、ベギルスタンの遺跡で舞い始めたユウシロウを見て、思惑が当たったと密かに喜ぶ。その時TAと同様の兵器「フェイク」の強襲を受ける。何度かの交戦をしのいだ第3実験中隊は輸送機で帰国しようとするが、フェイクのサンプルを持ち出されまいと、シンボルの妨害を受ける。度重なる危機を乗り越え、第3実験中隊は無事に帰国する。

鬼哭石の里編

ユウシロウはベギルスタンで出会ったミハルのことが頭から離れない。シンボルがフェイクのサンプルを奪回するため豪和の研究所を襲撃する中、ユウシロウはミハルと再会し、豪和の4男「豪和憂四郎(ごうわゆうしろう)」は8年前に死亡していると告げられる。ユウシロウは自分の出自に疑問を持ち、真偽を確かめるべく鬼哭石の里を訪れた。舞の師匠「空知(そらち)」に案内された蔵の中には、夭折した本物の憂四郎が眠っていた。そこにミハルの乗るフェイクが乱入してくる。負傷で朦朧としたユウシロウは舞い始め、蔵の最奥に安置されていた「骨嵬」を蘇らせると、フェイクを完膚なきまでに粉砕する。空知はユウシロウに、ミハルを連れ京都を目指すように諭す。山中をひた走るふたりだったが、捜索していた特自に見つかり連れ戻される。北海道での極秘実験で事故が起こり、事態収拾に駆り出されるユウシロウは、被験者を命がけで救う。帰宅した彼を待っていたのは、豪和家当主の代替わり、その是非を問う席だった。清継と清春の賛成で、当主の座は一清の手に渡る。骨嵬を操り、死人であるはずの自分は何者かという問いに、一清はただ一言、「嵬だ」と応える。隠居の身になった代三郎は、ユウシロウとミハルの逃避行に加担する。

平安編

京都の渡辺の地を目指したユウシロウ達は、荒寺に隠された骨嵬と、それを守る老人と出会う。骨嵬に触れたふたりの中で、前世の記憶が蘇る。ユウシロウの前世「憂四郎(ゆうしろう)」は、平安時代に栄えた豪和の祖先、渡辺党の「渡辺競(わたなべのきおう)」に仕える「嵬」という存在だった。渡辺党はかつてガサラキの神事に通じていたが、朝廷の策略でそのほとんどを失っていた。朝廷からの命令で、骨嵬を差し出そうとする競に、武闘派である「渡辺綱(わたなべのつな)」が反発する。綱の妹でミハルの前世「美晴(みはる)」と憂四郎は、骨嵬での一騎打ちをすることになり勝利するが、その素顔に見惚れて戦いを止めてしまう。神事をおとしめたと咎めて競を射殺した綱は、渡辺党を糾合し、朝廷への反逆を宣言する。戦いの前夜、憂四郎は美晴にスズランを贈る。連れ添える喜びを分かち合うふたり。しかし戦いが始まると、戦場の地獄絵図に戦慄して立ち尽くす。やがて降臨し始めたガサラキを、憂四郎は骨嵬を放棄して食い止める。その姿を見た綱は激昂し矢を射かけるが、見かねた美晴に刺し殺される。戦は終わり、渡辺党はいずこかへと落ち延びていった。記憶の旅から覚めたふたりだったが、ミハルは慕っていた兄を殺した記憶に耐えきれず、心を閉ざした。

アジアン静脈瘤編

ユウシロウは人形のように意思を示さなくなったミハルを抱え、不法移民の溜まり場である「アジアン静脈瘤」に流れ着く。商店主の李を暴漢から救ったことで、一帯に縄張りを持つ「共和会」の「王」に匿われ、廃ホテルの1室で働きながらミハルと暮らすユウシロウ。その頃、一清は国士「西田拓(にしだひらく)」と密会を重ねる。西田はアメリカが画策する経済戦争「穀物モラトリアム」に対抗すべく、クーデター計画を進めていた。やがてアメリカの情報操作によって日本の治安は一気に悪化していく。暴動に対抗するため、西田は第3実験中隊長の「速川保(はやかわたもつ)」に協力を要請する。飲まず食わずの説得に応じた速川に賛同する形で、第3実験中隊はクーデター派に参加する。その頃、シンボルが王に接触し、ミハルを差し出す取引を持ちかける。義憤に駆られてユウシロウとミハルを海路で逃がそうとした王だったが、その動きはシンボルに読まれ、強襲部隊を差し向けられる。必死の抵抗も虚しく王は命を落とす。ユウシロウは東京に向かう第3実験中隊の同僚に助力を乞い、ミハルを取り戻すべく、TAで横田基地へ殴り込みをかける。しかしミハルは連れ去られ、ユウシロウ達は無念の撤退を余儀なくされる。

ガサラキとの邂逅

一清の野望が、綱のそれに酷似していることに気が付いたユウシロウは、彼を拒絶して決別する。シンボルの支配者ファントム・F・フィーゼラーは日本の情報中枢を探るために強襲を仕掛ける。ミハルをフェイクに搭乗させ市ヶ谷駐屯地に突入させたのだ。それは閾で嵬を対峙させるファントムの策謀でもあった。ユウシロウの必死の呼びかけで自我の戻ったミハルが拒絶したことで、ガサラキ召喚は阻止されたが、そこには「骨嵬のコア」が残された。ミハルはシンボルと決着をつけるべく旅立つ。やがて米軍のフェイク4機が、情報中枢であった豪和ビルを襲撃する。ユウシロウが戻った第3実験中隊は、火力と単体性能で勝るフェイクに苦戦するが、チームワークで見事勝利する。一清は「骨嵬のコア」を使ってのガサラキ召喚をもくろみ、ユウシロウの妹「豪和美鈴(ごうわみすず)」を連れ出す。父・代三郎を射殺され、深い絶望に瀕した美鈴は、嵬として目覚める。その場にいた嵬の素養を持つものは異空間に飛ばされる。ユウシロウは、そこで語られたガサラキの真実に怒りをぶつけ、力の限り拒絶する。一清はガサラキに召されて現世を去り、ユウシロウには微笑むミハルと腕の中で眠る美鈴、そして駆け寄る仲間達が残された。

『ガサラキ』の登場人物・キャラクター

主人公

豪和ユウシロウ/憂四郎(ごうわ ゆうしろう)

豪和ユウシロウ

CV:檜山修之

本作の主人公の1人。豪和家四男。17歳。教導団第3実験中隊に、タクティカルアーマー(以後TA)の操縦士として、民間委託の形で出向している。階級は大尉待遇。A小隊で安宅とコンビを組む。コールサインは「フォーカス1」。類い希な資質を備え、搭乗中「メンタルバースト」を起こすことによりTAのポテンシャルを最大限に発揮することができる。その一方で、豪和家秘伝、「ガサラの舞」の能楽演者「嵬」としての顔も持つ。心理操作を施され、道具もしくは実験動物のように扱う父兄に従っている。10歳から前の記憶を思い出せないためか、自身のアイデンティティーに対する不信を抱えている。実は本当の豪和家四男「憂四郎」は、物語開始の8年前に実験中の事故によって他界しており、その遺体は、鬼哭石の里(旧豪和邸跡地)にある蔵の中で冷凍装置に安置されている。現在の豪和「ユウシロウ」は、嵬の資質を備えていた空知の孫が記憶を消去され、「憂四郎」の遺体から抽出した記憶情報を、脳に転写されたものである。ユウシロウが10歳から前の記憶を持たないのはそのため。豪和家ではその事実を知らないのは妹の美鈴だけである。シンボルのインヴィテーター(嵬と同等の存在)であるミハルとの精神接触を経て、徐々に自我を取り戻していく。本当の自分が誰なのか、時々垣間見える記憶の断片がどこから来るのかを追い求め、豪和の家を飛び出して探求の旅に出る。

ミハル

ミハル

CV:金月真美

本作のもうひとりの主人公。15歳。その名前から日本人と推測できるが、作中ではその出自が詳細に語られることはなかった。シンボルの擁するインヴィテーターであり、ナダの神事と呼ばれる実験の中心に据えられる。メタルフェイク(以後フェイクと略)の非常に優秀なパイロットでもあり、メンタルバーストを発揮したユウシロウと同等のポテンシャルを、平時でも引き出せるようである。ベギスルタンではユウシロウを含めた第3実験中隊のTA4機を相手にほぼ単騎で翻弄した。前世の記憶がそうさせるのか、スズランのマーキングを自機に施している。シンボル内ではユウシロウと同じく希少な実験動物のように扱われており、幼児のような意志薄弱を装いながら、餓沙羅の舞でガサラキと接触しかけたユウシロウに、精神接触によって警告を送っていた。その後ベギルスタンでユウシロウと現実世界での接触を果たす。日本に戻って鬼哭石の里で骨嵬・朱天に敗北した後、みずからの出自をあきらかにするためにユウシロウと行動を共にする。その結果、シンボルから脱走する形になり追跡を受ける。

豪和一族

豪和一清(ごうわ かずきよ)

Realis
Realis
@Realis

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ダリルバルデ(水星の魔女)の徹底解説・考察まとめ

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ダリルバルデとは、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』に登場する人型機動兵器MS(モビルスーツ)の1機で、同作に登場するジェターク・ヘビー・マシーナリー社製の最新鋭機。 タイプとしては分厚い装甲を売りとする重MSで、それを意識させないだけの高い出力と機動力を持つ。両腕とシールドにドローンシステムを搭載しており、これを利用した立体的な戦闘を持ち味としている。最新型の意志拡張AIにより、完全なオートパイロットで戦闘を行うことも可能だが、反応が早過ぎて陽動に引っかかりやすいという弱点を持つ。

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MD-0032G グエル専用ディランザ(水星の魔女)の徹底解説・考察まとめ

MD-0032G グエル専用ディランザ(水星の魔女)の徹底解説・考察まとめ

MD-0032G グエル専用ディランザとは、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』に登場する人型機動兵器MS(モビルスーツ)の1機で、同作の登場人物であるグエル・ジェタークの専用機。 ジェターク・ヘビー・マシーナリーの主力商品ディランザを、同社の御曹司であるグエルに合わせてカスタム化した機体。出力など全体的な性能の強化に加え、近接兵器として十字の刃を成すビームパルチザンを装備。頭部のブレードアンテナには羽根飾りのような白い装飾をつけている。物語の1話で華々しく登場し、ガンダム・エアリアルと交戦した。

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ガンダムビルドメタバース(アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

ガンダムビルドメタバース(アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ガンダムビルドメタバース』とは、『ガンダムシリーズ』の世界観をモチーフとする体感型オンラインゲームを舞台に、少年の葛藤と成長を描いた2023年のオリジナルアニメ。ガンプラをテーマにする『ビルドシリーズ』の5作目で、前作までのキャラクターが次々とゲスト出演したことで話題となった。 ホウジョウ・リオは、ガンプラを用いて遊ぶ「ガンダムメタバース」に夢中なハワイ在住の少年。近所のホビーショップの店員であるウルツキ・セリアに師事してガンプラ制作の腕を上げつつ、様々なライバルと戦っていく。

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勇者王ガオガイガーFINAL(ガガガ続編)のネタバレ解説・考察まとめ

勇者王ガオガイガーFINAL(ガガガ続編)のネタバレ解説・考察まとめ

『勇者王ガオガイガーFINAL』とは、日本のオリジナルロボットアニメ。TVアニメ『勇者王ガオガイガー』の続編であり、全8巻のOVAとして発売された。後に映像が追加された上で、『勇者王ガオガイガーFINAL GRAND GLORIOUS GATHERING』の名でTVでも放送された。 ガオガイガー擁するGGGが、侵略者の脅威を打ち破ってから1年。彼らのかつての仲間の天海護が、地球各地を襲撃する事件が発生する。両者が激突する中、宇宙の命運をも懸けた大異変が彼方の星系で起き始めていた。

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黄金勇者ゴルドラン(Goldran)のネタバレ解説・考察まとめ

黄金勇者ゴルドラン(Goldran)のネタバレ解説・考察まとめ

『黄金勇者ゴルドラン』とは、1995年に放送されたサンライズによるロボットアニメ。「少年と意思を持つロボットが悪に立ち向かう」様を描いた勇者シリーズの6作目の作品である。同シリーズの作品の中でも特にコメディに徹した内容で知られており、さらに「冒険」や「宝探し」といった子供の興味を引く要素を組み合わせることで低年齢層の視聴者の獲得を図った。 伝説のパワーストーンと黄金勇者たちを手に入れたタクヤ、カズキ、ダイの3人は、ワルザック共和帝国の王族たちと戦いつつ、黄金郷「レジェンドラ」を目指していく。

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熱血最強ゴウザウラー(エルドラン)のネタバレ解説・考察まとめ

熱血最強ゴウザウラー(エルドラン)のネタバレ解説・考察まとめ

『熱血最強ゴウザウラー』(ねっけつさいきょうゴウザウラー)とは、サンライズ製作のロボットアニメ。『エルドランシリーズ』の第3作にしてTV版最終作である。月面から恐竜時代までを駆け抜けるシリーズ最大のスケールと、物語が進むに連れてシリアスさを増していくストーリーが特徴。「心」が生み出す力をテーマとしており、これを巡る敵との交流も見所の1つである。 外宇宙からの侵略者たる機械化帝国により、人類は危機に陥る。地球の守護神エルドランから巨大ロボットを授かった小学生たちが、力を合わせてこれに立ち向かう。

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機動戦士Vガンダム(ヴィクトリーガンダム)のネタバレ解説・考察まとめ

機動戦士Vガンダム(ヴィクトリーガンダム)のネタバレ解説・考察まとめ

『機動戦士Vガンダム』(きどうせんしヴィクトリーガンダム)とは、1993年に放送されたロボットアニメ。『ガンダムシリーズ』の作品の1つで、「宇宙世紀」と呼ばれる時代の中で繰り広げられる戦争を描いている。物語後期の主人公機であるV2ガンダムは「光の翼」という特徴的な武装を持ち、その見栄えの良さから後に様々な作品で同様の装備が用いられた。 地球の不法居住者で暮らす少年ウッソ・エヴィンは、リガ・ミリティアとザンスカール帝国の戦争に巻き込まれ、その中でパイロットとしての類稀な素質を開花させていく。

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