東京卍リベンジャーズ～場地圭介からの手紙〜とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『東京卍リベンジャーズ～場地圭介からの手紙～』の概要

『東京卍リベンジャーズ～場地圭介からの手紙〜』とは、2022年7月27日より『マガジンポケット』（講談社）にて連載を開始した『東京卍リベンジャーズ』の公式スピンオフ作品。同日発売の『週刊少年マガジン』35号に第1話、次号36号には第2話がそれぞれ出張掲載されたが、それ以降は『マガジンポケット』のみである。
『東京卍リベンジャーズ』の作者である和久井健が全面監修と原作の担当を行い、夏川口幸範が漫画を担当。
単行本の描きおろしやカバー裏のイラストも注目が集まっている。
『東京卍リベンジャーズ』本編は主人公花垣武道（はながきたけみち）が恋人・橘日向（たちばなひなた）を救うため、過去にタイムリープをし、最悪の未来を改変すべく奮闘する物語である。
だが、本作『東京卍リベンジャーズ～場地圭介からの手紙〜』では、東京卍會壱番隊の隊長である場地圭介（ばじけいすけ）と副隊長・松野千冬（まつのちふゆ）らを中心としたストーリー構成となっている。
本編では名前のみの登場だった四谷傀團との抗争や、松野の前に副隊長に就いていた佐藤龍星（さとうりゅうせい）も登場。

また、読者の反応では『東京卍リベンジャーズ』本編ファンにはたまらない、といった声がある反面、本編未読の場合のネタバレを注意のするようにとの、意見も見受けられた。
スピンオフ作品という事もあり、ストーリーやキャラ設定が不安だったが原作者監修という事で安心して読めるといった声が多かった。

『東京卍リベンジャーズ～場地圭介からの手紙〜』のあらすじ・ストーリー

場地の手紙と2人の出会い

2005年10月31日に不良集団の東京卍會と芭流覇羅（ばるはら）の2つのチームがぶつかり合った。「血のハロウィン」と呼ばれたその抗争から1か月が経ったところから、物語は始まる。
血のハロウィンによって命を落とした場地圭介（ばじけいすけ）の墓参りに訪れていた松野千冬（まつのちふゆ）は場地の母親・涼子（りょうこ）に声を掛けられる。
尊敬する場地の死から月日が流れ、皆は前を向こうとしていたが、松野だけはどうしても前を向けずにいた。
そんな様子を見た涼子は、息子からの手紙を彼に手渡す。手紙の日付は10月30日、血のハロウィンの前日だった。
受け取った手紙をその場で読みだす松野は、自分が場地と出会ったころの思い出を思い出すのだった。
中学に入学したての松野は喧嘩無敗の一匹狼と呼ばれるほど喧嘩が強く、誰ともつるもうとしなかった。そんな彼はある日「東京卍會の幹部が校内にいる」といううわさを聞きつけ、ある教室へと向かう。」「そこにいたのは長い髪を後ろで束ね、眼鏡をかけた姿の場地だった。
場地は教室で、1人黙々と手紙を書いており、松野がそっとのぞき込むと「トラ」の文字が間違っていた。
外見と見合わない国語力に違和感を覚えながらも彼に漢字を教えたのが2人の出会いだった。
その後、松野は御礼参りと称して武器を持った20人程に襲われてしまうのだが、場地が手紙を無事かけたことのお礼として彼を助けた。
学校で見せていた姿とは正反対の強さを見せる場地に松野は感動し、彼を尊敬し始めたのだった。

夜行童子編

場地に助けられてから、松野は彼について回るようになった。
学校内外問わず付きまとう松野にイラついた場地は、彼に東卍には入れない事、自分の前に姿を現さないことを厳しく告げる。
しかし、その言葉にへこたれるわけもない松野は、雨にもかかわらず傘を差さず場地を待ち、自身の決意を叫ぶのだった。
松野の姿に心を動かされた場地は、1度だけという約束で壱番隊の集会へ彼を連れていった。
その集会では、恵比寿周辺を拠点とした老舗のチームである夜行童子（やぎょうどうじ）に、東京卍會の壱番隊の隊員・チュウが大けがを負わされてしまう。
そんな事件を受け、東京卍會の壱番隊は臨時の集会で夜行童子を潰すと意気込んでいた。
夜行童子は第2金曜日に廃病院で集会をやっていること教えられた松野は、成果を上げようと1人で乗り込むのだが、すでに何者かによって倒された夜行童子のメンバーの姿を目にする。
その光景に驚く松野だったが、すぐに手術室に人の気配がするのを察知し、部屋へはいると首に蛇のタトゥーを入れた男が寝ていた。
その男は自らを「夜行童子12代目総長、佐藤龍星（さとうりゅうせい）」と名乗り、外でノびている隊員らは自分がやったと発言する。
佐藤の言葉にイラついた松野とのタイマンが始まるが、佐藤は松野の喧嘩の癖を指摘しつつ余裕綽々な様子。
2人が殴り合っていると、目覚めた夜行童子のメンバーがバットをもって襲い掛かってきた。
しかし、メンバーは佐藤の蹴りによりいとも簡単に倒されてしまった。
自分たちに襲い掛かってきたその男の特攻服には「総長」の文字が刺繍されていた。
そして、その後に現れた壱番隊のメンバーが佐藤を「副隊長」と呼んだことにより、彼が壱隊副隊長だと知ったのだった。
場地の役に立つため、単独でたまり場に乗り込んだ松野だったが、その行動が佐藤に気に入られて晴れて松野は壱番隊へと入隊することになる。
その後無事入隊を認められた松野は、どうしても佐藤の事が気がかりで、自分の取り巻きに尋ねると、そのうちの1人と同じクラスという事が判明。
様子をうかがうため教室をのぞいてみるとそこには、女子に囲まれた佐藤の姿があった。
松野は佐藤がクラスメイトから遊びに誘われていたのを断ったのを目撃し、その用事について問いかける。
しかし、佐藤は焦った様子で松野をかわし、その場を後にした。その様子を不審に思った松野はこっそりと佐藤の後をついていき、女子高やラーメン屋など様々なところへと入っては出てを繰り返す。
そして最後に佐藤がたどり着いたのは、チュウが入院する病院だった。彼は、入院しているチュウにすら顔を見せないようにこっそりとお見舞いをしていた。

鬼羅美威編

佐藤がひそかにチュウのお見舞いをしていたことが発覚した日から、しばらくたったある日、松野は場地に不良丸出しの格好についてダメ出しされる。
自分の髪形をどうしようか悩み続けた結果、困り果てた松野は場地に髪形をキメてもらい、屋上で「正式に壱番隊・松野千冬が生まれた」と叫んだ。
そんな時、校門に特攻服を着た鬼羅美威（キラービー）の面々が「東卍狩り」をしに乗り込んできた。
留年の事もあり場地は校内でモメ事をおこせないため、彼に代わり松野・佐藤が鬼羅美威の相手をすることに。
だが、そんな努力もむなしく鬼羅美威のメンバーは校内へ乗り込み、場地を見つけ出す。
応戦しようとした場地だが、母親の顔がちらつき、動きが止まってしまった。
その結果、場地は腕を骨折してしまうが、スキを見て教室から脱出する。しかし待ち構えていた鬼羅美威のメンバーに後頭部をバットで殴られ膝をついたところへ、松野と佐藤が現れる。
2人は場地を守りながら屋上へと移動し、そこで鬼羅美威のバックには、四谷を拠点とした暴走族である「四谷傀團（よつやかいだん）」がついていることを知る。
佐藤は四谷傀團のチーム名を聞いた瞬間に豹変し、鬼羅美威の総長を殺す勢いで首を持ち屋上から落とそうとする。
しかしその姿を見た松野に止められ、佐藤は正気を取り戻し、総長がやられた鬼羅美威はそそくさと逃げ帰ったのであった。
その後、松野・佐藤両名は学校から異例の謹慎処分1週間を言い渡されるも、場地は両名が口裏合わせをしたためおとがめなしだった。

四谷傀團編

鬼羅美威の襲撃があった後、様子がおかしかった佐藤はとうとう学校に姿を見せなくなってしまう。
心配した松野は、佐藤の家まで行くとそこはスナックだった。恐る恐る扉をノックすると、佐藤の母親が顔を出す。佐藤の居場所を尋ねると「2階の部屋にいるのではないか」と言われ、松野は佐藤の自室へと向かう。
しかし、自室には佐藤の姿はなかったが、松野は彼のクローゼットに仕舞われた四谷傀團の特攻服を見つける。
特攻服を見た松野は場地の「切っても切れねぇ因縁がある」という言葉を思い出し、佐藤が四谷傀團に拉致された可能性がある、と踏んで取り巻きらと四谷へ乗り込む。
四谷へ来た松野が情報収集をしようとするが、チーム名を出しただけで逃げ出されてしまい、何の成果も得られずにいた。
そんな時、ある男が松野たちに近づいてきて、四谷のたまり場を教えると、自分も一緒に行くと言い出す。
しかし、松野はその男にスタンガンを当てられ、拉致されてしまう。

目を覚ました松野は、近付いてきた男が四谷傀團の副総長・菱小次楼（ひしこじろう）だという聞かされる。
松野はかつての仲間であっただろう佐藤をボコボコにしたことが理解できず、「なぜそんなことができるのか」と叫んだ。すると佐藤は菱はただの仲間ではなく、物心ついたころから一緒にいた幼馴染であり、親友だと明かす。
しかしそんな関係だったが故だろうか、菱は佐藤が東卍へ行ったことを「迷い」と称し、佐藤をひたすらにバットで殴りつけた。
そんな様子を見ていた松野が、必死の思いで仲裁に入ったところで、彼の取り巻きの2人が場地を連れ駆けつけた。
場地と菱のタイマンが始まるかと思われたが、警察が到着したため、7月7日に改めて抗争をすることになったのだった。

7月7日当日、場地率いる東京卍會壱番隊と四谷傀團の抗争が幕を開ける。
圧倒的な人数差に押され気味の壱番隊は、四谷傀團のメンバーに東京各地で名の売れた強い人物がいることに気が付く。
そんな不利な状況の中、壱番隊メンバーは善戦し、場地・松野は菱らがいる建物の中へと乗り込む。
しかしそこには菱だけでなく、彼の存在により元々いたチームである四谷傀團に戻った佐藤の姿もあった。
佐藤は松野とタイマンを張るも、松野が自分を信じていることを知り、正気に戻る。
そこへまたも金属バットで殴りかかろうとする菱が現れるが、佐藤の一撃によりノックダウン。
四谷傀團と東京卍會・壱番隊の闘いは壱番隊の勝利に終わった。

その後、赤マロと自称する男・森清麻呂（もりきよまろ）によって元・四谷傀團のメンバーが襲撃される事件が多発する。裏で糸を引いていたのは、四谷傀團の総長で菱の兄である菱謙彰（ひしけんしょう）だった。少年院出所後にメンバー襲撃を行った彼の、真の目的は東京卍會を潰すことだった。

『東京卍リベンジャーズ～場地圭介からの手紙〜』の登場人物・キャラクター

東京卍會

場地圭介（ばじけいすけ）

1990年11月3日生まれ／身長175cm 体重58kg／東京卍會・壱番隊隊長
東京卍會・総長の佐野万次郎（さのまんじろう）とは幼馴染であり、幼少期は彼の祖父が師範を務める道場で稽古をしていた。
中学2年で松野千冬と出会った際は留年していた。
留年の理由は問題を起こしたためだったので校内では自身が暴走族のメンバーであることは表に出さず、髪を結び眼鏡をかけた通称・ガリ勉スタイルで学校生活を送っていた。
東京卍會の創設メンバーであり、壱番隊の隊長を務めているだけあり、実力は確かなものである。
しかし、鬼羅美威が東卍狩りとして学校へ乗り込んできた際は、反撃しようとするも、母親との約束を思い出して踏みとどまるなど、親思いの一面も見せた。
また、少年院に入っている羽宮一虎（はねみやかずとら）に手紙を書いていたが、四谷傀團との抗争後はその頻度が増していると、佐藤に指摘されている。

松野千冬（まつのちふゆ）

1991年12月19日生まれ／身長168cm 体重58kg／東京卍會・壱番隊副隊長
中学へ入学したての頃から喧嘩負けなしの一匹狼だった。
ある日、御礼参りに訪れた暴走族メンバーらに、人数の差で押されている所へ場地が登場し、助けられる。
学校では見たことのない場地の姿に憧れた松野は、生まれて初めて敬語を使う
また、場地とは棟は違うが同じ団地に住んでおり、助けられた日には彼の住んでいる部屋に案内され、初めてペヤングを半分コして食べた。
血のハロウィン編では、場地が芭流覇羅へ入隊するための踏み絵として、彼に殴られ続けるも、自分からは場地に一切反撃することはなかった。
血のハロウィン抗争が起きた後、彼が死んだ後も墓前にペヤングを半分だけ供えるという姿が描かれている。

チュウ

東京卍會壱番隊の隊員
口元にハの字に生えているひげが特徴。
夜行童子編では、アゴの負傷による全治1か月の重傷を負わされている。
他の隊員によると、母親の誕生日プレゼントを買いに行った帰りに襲撃されたとのこと。
また、四谷傀團編では、7・7抗争当日、四谷傀團側に寝返った佐藤を見て動揺するシーンも描かれていたりと、優しい人柄が見て取れる。
7・7抗争後の武蔵祭りの話では、場地・松野・佐藤と4人で肝試しを行うが、極度の怖がりという事が判明する。

羽宮一虎（はねみやかずとら）

東京卍會・創設メンバー
場地の相棒であり、彼が手紙を書いている相手。
場地とともに、窃盗目的でバイク屋に侵入し、その際まだ店にいた佐野の兄・佐野真一郎（さのしんいちろう）を撲殺してしまい、少年院へ入っている。
この事件がきっかけで、羽宮は佐野を憎むようになってしまう。

四谷傀團（よつやかいだん）