とある科学の超電磁砲（レールガン）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『とある科学の超電磁砲』の概要

『とある科学の超電磁砲（レールガン）』とは、鎌池和馬のライトノベル『とある魔術の禁書目録（インデックス）』の外伝漫画・アニメ作品である。作画は冬川基、キャラクターデザインは灰村キヨタカが手掛ける。
『月間コミック電撃大王』にて2007年4月号より連載されている。当初『月間コミック電撃大王』で『とある魔術の禁書目録』のコミカライズの企画が挙がるも、『月間少年ガンガン』での連載が決まっていたため、編集者内で話し合い御坂美琴を主人公とする作品の話を鎌池和馬に持ち込んだところ、『とある科学の超電磁砲』が生まれたという。
総人口230万人、その8割を学生が占める『学園都市』が舞台。そこでは学生全員を対象にした超能力開発実験が行われており、230万人の頂点である7人の超能力者（レベル5）の第三位、御坂美琴（みさか みこと）を中心に起こる事件を描くファンタジー作品である。
2017年6月号から2020年9月号には乃木康仁作画の『とある科学の超電磁砲外伝 アストラル・バディ』が連載された。

『とある科学の超電磁砲』のあらすじ・ストーリー

幻想御手（レベルアッパー）編

総人口230万人の8割が学生で、そのほとんどが超能力者である「学園都市」。そこでは、能力者による事件や諍いが少なからず起こっている。ところが最近になり、「書庫（バンク）」の能力レベルよりも強力な能力を使う犯人による事件が多発する。
アルミを爆弾に変え、「風紀委員（ジャッジメント）」を狙った虚空爆破（グラビトン）事件の犯人が異能力（レベル2）にもかかわらず大能力（レベル4）並みの能力を持っていることに疑問を持った御坂美琴（みさか みこと）と白井黒子（しらい くろこ）が捜査をしていると、佐天涙子（さてん るいこ）から都市伝説の「幻想御手（レベルアッパー）」の存在を聞かされる。レベルアッパーの調査を行う美琴と黒子に「虚空爆破（グラビトン）事件の犯人が意識不明になった」との連絡が届く。駆け付けた二人が医師から話を聞くも原因不明、さらに最近似た症例の患者が増えているとの情報を聞く。すると、そこへ病院から招聘を受けてやってきたという大脳生理学者の木山春生（きやま はるみ）が現れる。

一方、涙子はネットでレベルアッパーを発見していた。しかし無能力（レベル0）である自分が能力者になれるチャンスを失いたくない気持ちから、危険だとわかりながらも美琴たちに打ち明けることができずにいた。そんなある日、調査を続けていた初春飾利（ういはる かざり）と黒子はついにレベルアッパーを手に入れる。その正体が音楽ソフトであることを知った黒子たちが木山に解析を依頼すると同時に、インターネットの情報を頼りにレベルアッパーの取引を取り締まる。
レベルアッパーを使うかで悩んでいた涙子は、レベルアッパーの取引現場での不良たちの暴行を目撃する。見て見ぬ振りができず止めに入る涙子だったが、非力な彼女は不良たちに襲われそうになる。そこへ黒子が現れた。レベルアッパーにより能力が強化された相手に苦戦するも、何とか勝利した黒子を見て、同い年である自分との力の差を感じた涙子は、つい現場から逃げ出してしまう。逃げている最中に涙子は昔の同級生と再会する。能力のレベルがなかなか上がらない涙子と同級生たちはレベルアッパーの話題になる。そして、ついに涙子は同級生たちと共にレベルアッパーに手を出し、昏睡状態に陥ってしまう。

涙子が倒れたことにショックを受けていた初春は木山のところへ相談に行く。そこで初春はレベルアッパーの研究に関する論文を見つける。さらに、そのころ美琴と黒子は医師から昏倒している患者たちから木山の脳波パターンが検出されたことを聞かされる。
黒子は急いで木山のもとへ向かった初春に電話するも、すでに初春は木山につかまっていた。木山の目的は超高性能の演算処理能力を持つ「樹形図の設計者（ツリーダイアグラム）」の代用として1万人の能力者を利用し、あるシミュレーションをすることだった。それが終われば被害にあった学生すべてを解放すると言い、その証拠にレベルアッパーの解除プログラムを初春に手渡す。逃走する木山は、ついに「警備員（アンチスキル）」に包囲される。しかし、レベルアッパーにより学生でないのに能力を使うことのできるようになった木山はアンチスキルに応戦。さらに、本来一人に一つの能力を複数持つ、幻の存在「多重能力者（デュアルスキル）」となった木山は美琴が駆けつけたときにはすでにアンチスキルを全滅させていた。

木山の様々な能力に翻弄される美琴だったが、やられたふりでスキを突き、ゼロ距離からの電撃を木山に浴びせる。その時、電気を介して木山の記憶が美琴に流れ込む。
「置き去り（チャイルドエラー）」と呼ばれる身寄りのない子供たちを対象とした実験を行うため、木山は彼らの先生となった。初めは子供を嫌っていた木山だったが、気づけば子供たちを大切に感じるようになっていた。そして実験当日、教師の役割が終わることに複雑な感情を抱いていた木山だが、実験は失敗した。のちに、木山は子供たちが使い捨てとして利用されていたことを知る。そんな木山の過去を見た美琴は動揺を隠せずにいた。さらに、木山から学園都市の最高権力である「統括理事会」も実験を容認していて、子供たちの回復方法を探るために今回の事件を起こしたことを聞かされる。
子供たちのために必死になる木山に気圧される美琴。しかし、木山が突然苦しみだし、その体から胎児のような化け物が現れる。木山が「幻想猛獣（AIMバースト）」と呼ぶその化け物は、美琴の電撃やアンチスキルの銃撃を食らっても、すぐに再生してしまう。木山いわく、この化け物はレベルアッパーのネットワークに束ねられた1万人の「AIM拡散力場」と呼ばれる能力者の出す微弱な力が触媒となり生まれたという。これを止めるには解除プログラムが必要と知った初春は、アンチスキル協力のもと学園都市中に解除プログラムを流す。初春のおかげでレベルアッパーのアンインストールに成功し、再生しなくなったAIMバースト相手に美琴は木山との戦いのときよりも強力な力で圧倒する。そして最後には、美琴の代名詞「超電磁砲（レールガン）」でAIMバーストの核を打ち抜き、倒すことに成功する。
その後、意識不明だった涙子は目を覚ました。駆け付けた初春はすっかり元通りになった涙子を見て安心する。涙子も「大切なものを失うところだった」と反省し、お互いの絆を深めた二人だった。

アニメオリジナル 武装無能力集団（スキルアウト）編

「武装無能力集団（スキルアウト）」による「能力者狩り」が多発していた。そのターゲットにされた美琴の友人の婚妃光子（こんごう みつこ）は自衛のため能力を使おうとするも、突然甲高い音が鳴り響き、頭が痛くなり、うまく能力を使うことができなくなる。スキルアウトに囲まれ絶体絶命の婚妃を、蜘蛛のタトゥーを入れた革ジャンの男が助ける。しかし、その話を聞いた「風紀委員（ジャッジメント）」の固法美偉（このり みい）は顔を曇らせた。
事件を知った美琴たちはスキルアウトについての捜査を始める。結果、黒妻綿流（くろづま わたる）という男がリーダーの「ビッグスパイダー」という組織が能力者狩りを行っていることが分かった。しかし黒妻は、婚妃を助けた男と同じ蜘蛛のタトゥーを背中に入れていた。美琴たちは混乱する。
とりあえず、美琴と黒子の二人でビッグスパイダーの根城、ストレンジと呼ばれる第十学区へ行くことになった。そこで美琴たちは黒妻らしき人物と遭遇する。彼らを確保しようとする二人だったが、婚妃が襲われた時と同じ甲高い音が鳴り響くと、頭が痛くなり能力がうまく使えなくなってしまう。それは「キャパシティーダウン」と呼ばれる、能力者の演算機能を妨害するというものだった。能力を使えなくなった二人の前に、婚妃を助けた男が牛乳を片手に現れて助ける。彼が本物の黒妻で、ビッグスパイダーのリーダーは蛇谷という名前だということが判明した。美琴たちが黒妻と話していると、そこへ固法やってきた。黒妻と固法は知り合い同士だった。
詳しい話を聞くため、固法の自宅へ向かうと、そこには固法の姿はなく、同居人の柳迫碧美（やなぎさこ あおみ）がいた。彼女から固法が昔ビッグスパイダーに所属し、黒妻を尊敬していたことを知る。固法がスキルアウトに所属していたことに疑念が払えない美琴たちのもとに、「警備員（アンチスキル）」からスキルアウトの「能力者狩り」に対抗し、ストレンジの一斉摘発を行うとメールが届く。
ビッグスパイダーを作った責任を感じ、自分で片を付けようとする黒妻についていくという固法だったが、黒妻は一人でビッグスパイダーのもとへ行くと言う。次の日の朝、ビッグスパイダー時代に来ていた赤い革ジャンに身を包み、出発しようとする固法のもとに美琴と黒子がやってくる。戸惑う固法に美琴たちは「風紀委員（ジャッジメント）」の腕章をつける。それにより何か吹っ切れたのか、顔つきの変わった固法たちはひとりでビッグスパイダーと戦う黒妻のもとへ向かう。黒妻はジャッジメントの腕章をつけた固法を見て安心し、二人でビッグスパイダーと蛇谷を倒す。
一件落着し、蛇谷たちがアンチスキルに連行される中、黒妻は固法に両手を差し出し、逮捕するように言う。固法は一瞬戸惑うも、手錠をかけた。

アニメオリジナル 乱雑開放（ポルターガイスト）編

ビッグスパイダーの事件が解決した後、学園都市では地震が多発していた。そんなある日、初春たちの通う中学校に季節外れの転校生の春上衿衣（はるうえ えりい）がやってくる。彼女は初春のルームメイトとなり、美琴たちと友人になる。
そんな中、多発する地震についての「警備員（アンチスキル）」と「風紀委員（ジャッジメント）」の合同会議が行われた。そこに出席していた先進状況救助隊（MAR）の隊長のテレスティーナ・木原・ライフラインから、多発する地震が「RSPK症候群」と呼ばれる、超能力者の暴走状態の集団発生が原因のポルターガイストであることが報告される。黒子は、春上が誰かの声が聞こえるようなそぶりを見せたとき、ポルターガイストが発生するのに気づき、春上がポルターガイストの原因だと疑い、春上をかばう初春と対立する。
黒子たちが春上について調べると、レベル2の精神感応（テレパス）であるものの、特定の人物とはレベル2以上の能力を発揮することがわかった。さらに、春上は「置き去り（チャイルドエラー）」であり「幻想御手（レベルアッパー）」事件の犯人である木山春生の元教え子の枝先絆理（えださき ばんり）の友人で、彼女こそが春上がレベル2以上の能力を発揮する特定の人であることも判明する。ポルターガイストは「AMI拡散力場」への干渉により発生することが判明し、木山が釈放されたことを知った美琴たちは木山を疑う。そこで、美琴は木山に接触する。そしてポルターガイスト現象は、木山が「能力体結晶投与実験」により昏睡状態になった元教え子たちを起こそうとして発生したことを知る。
ポルターガイストを起こさず目覚めさせるには初めの被験者から取り出された能力体結晶「ファーストサンプル」から作るワクチンが必要なのだが、テレスティーナの介入によって木山と子供たちが引き離されてしまう。子供たちを助けるために木山と初春はテレスティーナのもとへ行くも、門前払いされる。そこで、美琴たちが子供たちが収容されている施設へ向かう途中、特大の「駆動鎧（パワードスーツ）」を身にまとったテレスティーナが行く手を阻むも美琴の「超電磁砲（レールガン）」で突破する。そして施設についた美琴たちだったが、小型のパワードスーツを再び身にまとったセレスティーナが現れる。
そこで美琴は、「ファーストサンプル」はセレスティーナから取り出されたことを知る。セレスティーナは実験の被害者だったが、実験を恨むどころか「ファーストサンプル」を使用してレベル6を誕生させようとしていた。美琴たちはセレスティーナを止めるため戦うも、キャパシティーダウンによりうまく能力を使うことができずに苦戦する。しかし、初春と涙子の活躍によりキャパシティーダウンが破壊され、能力を取り戻した美琴たちはテレスティーナを倒す。そしてファーストサンプルを手に入れ、子供たちを目覚めさせることに成功する。

『とある科学の超電磁砲』の登場人物・キャラクター

主要人物

御坂美琴（みさか みこと）

CV：佐藤利奈
本作の主人公。常盤台（ときわだい）中学校の二年生。誕生日は5月2日、AB型。
学園都市に7人しかいない超能力者（レベル5）の第三位、常盤台の「超電磁砲（レールガン）」として知られる。同中学校の白井黒子に「お姉さま」と慕われている。本編である『とある魔術の禁書目録（インデックス）』の主人公である上条当麻（かみじょう とうま）に思いを寄せるも、素直になり切れずにいる。
整った容姿に肩に触れるくらいの茶髪で、自身の胸の大きさにコンプレックスを抱えている。かわいいものに目がなく、特に「ゲコ太」というカエルのキャラクターが大好き。携帯電話やパジャマもゲコ太仕様である。洋服は基本、常盤台中学校の制服にルーズソックス、スカートの下に短パンを履いている。
能力は「電撃使い（エレクトロマスター）」で超能力者（レベル5）である。最大出力は10億ボルトで、電流を操作したり、磁力を操作して砂鉄の剣を作り出したりする。異名にもなっている必殺技の「超電磁砲（レールガン）」はゲームセンターのコインを打ち出す技で、地面をえぐるほどの威力である。

白井黒子（しらい くろこ）

CV：新井里美
常盤台中学校1年生、御坂美琴のルームメイトで「風紀委員（ジャッジメント）」の一員である。美琴のことを「お姉さま」と呼んで心酔している。自他ともに認める変態で、事あるごとに美琴に抱き着いたり、キスを迫る。一人称は「わたくし」、語尾は「ですの」や「ですわ」でいわゆるお嬢様キャラ。
赤みがかった長い髪を赤いリボンでツインテールに結んでいる。美琴が関わると変態的になることが多いが、基本的には成績優秀な優等生である。
能力は「空間移動（テレポート）」の大能力者（レベル4）。自身や手に触れている物体を瞬時に転移させることができるが、自身を連続で転送する場合1秒ほどのタイムラグが発生する。また物体Aを物体Bがある場所に転移させると強度に関係なく物体Bを押しのけて転移する。つまり紙でダイヤモンドを切断することもできる。窓ガラスで廃ビルの柱を切断する場面がある。

初春飾利（ういはる かざり）

CV：豊崎愛生
柵川中学の1年生で、黒子と同じ「風紀委員（ジャッジメント）」の第177支部に所属する。
ショートの黒髪に特徴的な花の髪飾りをつけている。美琴や黒子と違って戦闘能力はないが、情報処理能力に優れ、ジャッジメントでは黒子のパートナーとしてオペレーターを担っている。特にハッキング能力に優れており、一部の人間に「守護神（ゴールキーパー）」と呼ばれている。性格は温厚で友達思い。「お嬢様」に憧れている。
能力は低能力（レベル1）の「定温保存（サーマルハンド）」。手に触れているものの温度を一定に保つというものである。作中で能力を見せたのは一度だけで、美琴や黒子も能力を知らない。

佐天涙子（さてん るいこ）

CV：伊藤かな恵
柵川中学の1年生で、飾利のクラスメイト。腰辺りまであるロングの黒髪に花の髪飾りをつけている。
元気はつらつで少しおやじ臭いところもあり、飾利にあいさつ代わりにスカートをめくってパンツの確認をしている。噂や都市伝説が好きで、話の伏線になっていることもある。
能力は無能力（レベル0）で、そのことにコンプレックスを抱いている。「幻想御手（レベルアッパー）」を使用したことで能力は「空力使い（エアロハンド）」だと判明したが、数枚の木の葉を動かす程度の力しかない。普段は戦闘には参加しないが、いざというときには金属バットで美琴たちと共に戦うこともある。