Mother(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ
『Mother』とは、2010年4月から水曜22時に日本テレビ系で放送されていたドラマで、坂元裕二が脚本を手掛ける。主演は松雪泰子。その他、山本耕史や芦田愛菜などが出演している。母性をテーマに、様々な視点から母親について描かれている作品である。小学校教諭の鈴原奈緒は、ある日教え子の道木怜南が極寒の中でゴミ袋に入れられ、捨てられているのを発見する。それをきっかけに、奈緒は怜南の母親になることを決意し、彼女を誘拐した。そして奈緒は怜南の母親になることで、女性として人間として成長していくのだった。
『Mother』の用語
渡り鳥
奈緒が唯一興味を示し、大学で研究していた動物。奈緒は捨てられている怜南を発見した後、彼女が見たがっていた渡り鳥を一緒に見に行った。その際、渡り鳥に向かって「怜南も連れてって」と叫ぶ怜南を見たことも、奈緒が彼女を誘拐するきっかけとなった。
好きなものノート
怜南が好きなものを書いて、持ち歩いている小さなノート。怜南は好きなもののことを考えると楽しくなるのだと、奈緒に語っていた。
白鳥園
奈緒が逮捕された後、怜南が預けられた室蘭の養護施設。怜南は施設では他の子供たちとすぐに仲良くなり、楽しく遊んでいた。しかし奈緒のことは忘れられず、毎日夜中にこっそり施設の固定電話から、奈緒の携帯に電話をかけていた。
『Mother』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
奈緒が誘拐を決意する場面
教え子である怜南がゴミ袋に入れられて、捨てられているところを発見した奈緒は自宅に連れて帰った。そこで「赤ちゃんポストに行きたい」と懇願する怜南を見て、奈緒は涙を流す。そして奈緒は怜南と一緒に海へ行き、彼女が見たがっていた渡り鳥を見せてあげた。すると怜南は渡り鳥に向かって「怜南も連れてって」と叫ぶ。奈緒はそんな彼女を抱きしめ「私あなたを誘拐しようと思う」「あなたのお母さんになろうと思う」と告げる。さらに奈緒は「誰も私たちのことを知らない街にいくの。そこではあなたは私の娘、私はあなたのお母さん。絶対に誰にも知られちゃいけない。嘘をつき続けなくちゃいけない」「これから先、一生私のこと『お母さん』って、嘘言える?」と問いかけた。すると怜南は「お母さん。怜南のお母さん」と泣きながら答えた。そんな彼女に、奈緒は「あなたは捨てられたんじゃない。あなたが捨てるの」と伝えた。それまで子供が苦手で、怜南の虐待も見て見ぬふりをしていた奈緒。しかし怜南がゴミ袋に入れられている場面に遭遇したことで母性が目覚め、誘拐することを決意した。そんな奈緒の言葉と怜南の表情が、心に刺さる名場面だった。
迎えに来た仁美を怜南が追い返す場面
怜南が奈緒に誘拐されたことを知った仁美は、葉菜の理髪店を訪れた。怜南は押し入れの中に隠れてしまい、仁美はふすまの前で「ママとぎゅうってしよう?」と優しく声をかける。すると怜南はふすまを開いて仁美の前に現れ、「あのね、怜南は天国に行ったの。怜南はもういないの」と落ち着いた様子で伝える。仁美は「あなた怜南じゃない。ここにいるじゃない」と言うが、怜南は「私の名前は継美だよ。鈴原継美。お母さんとこのおうちで暮らしてるの」と返した。それを聞いた仁美は、戸惑いながら「ママのこと好きでしょ?嫌いになっちゃった?」と問いかける。すると怜南は「あのね、好きでも嫌いでもないよ。もうママじゃないからね」と答えた。仁美は涙を流し、奈緒のことを睨みながら、その場を去っていく。そして奈緒は怜南を抱きしめ「笑わなくていいの。泣いていいのよ」と声をかけた。怜南は我慢していたものが溢れ出し、声を上げて泣き出した。奈緒の言いつけ通りに嘘をついて、実の母親である仁美を捨てるという辛い選択をする怜南の姿が、心に残る名場面だった。
奈緒が入院している葉菜のお見舞いに行く場面
急性骨髄性白血病に侵されていた葉菜は、奈緒の逮捕後、ついに入院することになった。籐子は葉菜に口止めされていたものの、釈放された奈緒にそのことを伝える。奈緒は葉菜のお見舞いに行き、「夜までいる」と話すが、葉菜は「もう帰りなさい。気持ちだけで十分」と遠慮する。すると奈緒は「離れてても、母でいてくれたことを分かってる。だから今度はあなたの娘でいさせて」と告げた。それを聞いた葉菜は奈緒を引き寄せ、抱きしめる。奈緒は「ずっとこうしたかった」と声を上げて泣き出した。自分を捨てた葉菜のことを恨み、拒絶していた奈緒。しかし葉菜と過ごすうちに彼女の愛を感じ、母親として慕うようになっていた。そして罪悪感から気を使っていた葉菜も奈緒の言葉でわだかまりが解け、親子として抱き合う2人の姿が感動的な名場面だった。
『Mother』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
作品ともども高い評価を受けたキャスト陣
本作はキャスト陣の演技が高く評価され、さまざまな賞を受賞している。まず連続ドラマの主演が12年ぶりとなった松雪泰子は、ザ・テレビジョンドラマアカデミー賞と東京ドラマアウォード2010で、主演女優賞を獲得。民間放送の連続ドラマ出演が24年ぶりとなった田中裕子は、ザ・テレビジョンドラマアカデミー賞で助演女優賞を受賞した。また虐待する母親役を演じた尾野真千子も、東京ドラマアウォード2010で助演女優賞を獲得。尾野は綾野剛と共に演技力が高く評価され、後のブレイクのきっかけの1つにもなった。さらにドラマ自体も高く評価され、ザ・テレビジョンドラマアカデミー賞や東京ドラマアウォード2010、ギャラクシー賞、放送文化基金賞などで作品賞を受賞。脚本家の坂元裕二も3つの賞を獲得した。
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目次 - Contents
- 『Mother』の概要
- 『Mother』のあらすじ・ストーリー
- 奈緒と怜南の出会い
- 継美の母親になった奈緒
- ついに逮捕される奈緒
- 奈緒と継美の再会と別れ
- 『Mother』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- 鈴原奈緒(すずはらなお/演:松雪泰子)
- 道木怜南(みちきれな/演:芦田愛菜)
- 怜南の関係者
- 道木仁美(みちきひとみ/演:尾野真千子)
- 浦上真人(うらがみまさと/演:綾野剛)
- 藤吉家
- 藤吉駿輔(ふじよししゅんすけ/演:山本耕史)
- 藤吉健輔(ふじよしけんすけ/演:田中実)
- 鈴原家
- 鈴原芽衣(すずはらめい/演:酒井若菜)
- 鈴原果歩(すずはらかほ/演:倉科カナ)
- 鈴原籐子(すずはらとうこ/演:高畑淳子)
- その他の登場人物
- 望月葉菜(もちづきはな/演:田中裕子)
- 野本桃子(のもとももこ/演:高田敏江)
- 木俣耕平(きまたこうへい/演:川村陽介)
- 袖川珠美(そでかわたまみ/演:市川実和子)
- 加山圭吾(かやまけいご/演:音尾琢真)
- 日野(ひの/演:長谷川公彦)
- 恩田克子(おんだかつこ/演:五月晴子)
- 多田平三(ただへいぞう/演:高橋昌也)
- 『Mother』の用語
- 渡り鳥
- 好きなものノート
- 白鳥園
- 『Mother』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 奈緒が誘拐を決意する場面
- 迎えに来た仁美を怜南が追い返す場面
- 奈緒が入院している葉菜のお見舞いに行く場面
- 『Mother』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 作品ともども高い評価を受けたキャスト陣
- 芦田愛菜の出世作
- 世界各国でリメイクされた本作
- 『Mother』の主題歌・挿入歌
- ED(エンディング):hinaco「泣き顔スマイル」