やけっぱちのマリア（手塚治虫）のネタバレ解説・考察まとめ

CV：平田裕香（ラジオドラマ版）
市立第13中学を牛耳る不良グループ「タテヨコの会」のボス。中学3年生。美しい容姿と高い知能を兼ね備え、実家も大金持ちという、対外的には非の打ちどころがないスペックを持ちながらも、性格は非常に悪く、自らの地位を守るためには卑劣な行為に手を染めることに少しの躊躇いもない。持ち前の美貌と立ち回りで学園中の男子生徒を骨抜きにしており、教師すらみどりには逆らうことが難しいと言われている。「タテヨコの会」に反抗する矢八を服従させるべく子分を差し向けて彼を襲うこともあるが、内心では彼に好意を抱いている。そのため、常に彼の近くにいるマリアを抹殺しようと様々な策を弄する。しかし、鼻が低いことをコンプレックスに思うという、普通の女の子らしい一面も持っている。口癖は「あなたは最高の最低」。

若松（わかまつ）

中学3年生。「タテヨコの会」のボス格で、雪杉みどりに次いで地位が高いナンバー2にあたる。彼女に思いを寄せており、絶対的な忠誠を尽くすが卑怯なことは嫌っているため、時折進言もしている。終盤においてみどりが矢八に恋していることを知り、実力で決着をつけようと矢八と戦うが敗北を喫した。
最後は教頭を訪ねて今までのみどりの悪行を伝え、みどりを学園から追放することと、「タテヨコの会」の解散に一役買った。

その他

羽澄 マリ（はずみ マリ）

秋田先生の縁故で転校してきた女生徒。校内では数少ない矢八の理解者になる。物語終盤で雪杉みどりの策略に嵌まって退学処分を受けてしまった矢八を激励し、卑劣な手段を使う「タテヨコの会」と最後まで戦うことを促した。矢八がマリのことを異性として想うようになって人間的な成長を遂げたことから、母親の代わりを務めていたマリアが役目を終えられるようになったという、物語のキーパーソンでもある。

秋田先生（あきたせんせい）

学校で問題ばかり起こしている矢八の唯一の理解者となってくれた教師。マリアという存在にも柔軟に接してくれる。不良グループである「タテヨコの会」に支配されている学園内で、正しい男女関係のあり方を教えるために「B.Gクラブ」を設立した立役者。

1313号（1313ごう）

「タテヨコの会」に敗れたマリアが送られた網走刑務所に収監されていた死刑囚。
処刑も間近となり、世の中を恨んで自暴自棄になっていたが、マリアとのふれあいで人間らしい心を取り戻していく。脱獄し、熊に襲われた際に自ら囮となってマリアとヤケッパチを逃がし、命を落とした。

幽霊（ゆうれい）

BGクラブの合宿中、マリアに取り憑いた肥満体の幽霊。丸い体つきのためか、あまり怖そうな見た目はしていない。自らを崖から突き落として殺した「鈴木カッちゃん」への復讐を遂げるべく、マリアの体となっているダッチワイフを宿り木とした。

ヒゲオヤジ

矢八の父。非常に喧嘩っ早い性格をしており、息子の矢八とも親子喧嘩が絶えない。その素質は息子である矢八と、矢八の魂をベースにして誕生したマリアにしっかり受け継がれてしまっている。

『やけっぱちのマリア』の用語

エクトプラズム

ある日「妊娠した」と訴えたヤケッパチが産み出し、後に「マリア」という名前をもらってダッチワイフに取り憑いたもの。交霊会などで霊媒の体から出てくる、もやもやとした糸状や霧状の物質のことで、その正体は霊体であるとも言われているが詳細は不明。謎めいた都市伝説のような扱いを受けている現象である。