谷垣源次郎(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
谷垣源次郎は、『週刊ヤングジャンプ』に2014年から連載が開始された、野田サトル原作の漫画・アニメ『ゴールデンカムイ』の登場人物。時代は明治時代の北海道。日露戦争(1904年~05年)終結から間もないころ、アイヌ民族が隠したとされる莫大な金塊のうわさを聞き、様々な理由と野望を胸に秘めた男たちが、誇り高き北の大地に集結する。その中で谷垣は金塊を追っている屯田兵の部隊、大日本帝国陸軍最強と謳われた北海道の第七師団(道民は畏敬の念を含めて「北鎮部隊」と呼ぶ)27聯隊に一等卒として所属している。
谷垣源次郎の概要
谷垣源次郎(たにがきげんじろう)とは、『ゴールデンカムイ』の登場人物で、陸軍第七師団の兵士で元マタギである。
ゴールドラッシュに沸いたころの北海道。その頃、鮭や鹿の猟を禁止し土地を奪うなどして先住民=アイヌ民族を迫害してきた日本人に対抗するために、一部のアイヌたちが密かに軍資金(砂金)を貯めていた。それを持っていたアイヌたちをひとりの男が皆殺しにし、強奪したという。
その男は警察に追われ、奪った金塊を北海道のどこかへ隠した。
やがて男は捕まり、死刑囚として地の果ての牢獄「網走監獄」に収監される。外にいる仲間に金塊の隠し場所を伝えるために男がしたことは、同房になった死刑囚たちの体に埋蔵金のありかをしるした暗号の入れ墨を彫り、ここ「網走監獄」からの脱獄に成功したものには金塊の分け前をやる、と脱獄を促すことだった。そして、その入れ墨は全員でひとつの暗号になっているらしい。
入れ墨を彫られた囚人は全部で24人。
金塊を手に入れるための「刺青人皮」を、ある者は手段を選ばず、また入れ墨を持つ囚人同士も協力しながらそれを集めていく。アイヌを皆殺しにして金塊を強奪し、果てには囚人たちに入れ墨をほどこし脱獄までさせた「その男」と関わりがあるアイヌの少女アシㇼパと、日露戦争から満期除隊となり「惚れたオンナのため」一攫千金を狙い北海道にやってきた杉元佐一の二人が奇しくもめぐり逢い、野望の渦に飛び込んでゆく壮大なサバイバルストーリー。
谷垣は当初は第七師団の兵士として杉元たちと敵対していたが、アシリパに付き従うレタラという白い美しいオオカミに魅せられて「マタギとしてどうしてもあれを仕留めたい」との思いから部隊を脱走。この時出会った伝説的な猟師である二瓶鉄造(にへい てつぞう)から、「お前は兵士には向いていない」と諭されたことをきっかけに本格的に群を抜ける決意を固めていく。
またレタラを仕留めようとした際にアイヌの仕掛け罠で死にかけ、これをアシリパの祖母に看護してもらったことを恩に感じ、これを返すために本格的に杉元たちの味方となる。優し過ぎる性格から対人戦では後れを取ることも少なくなかったが、マタギとしての知識と技術で幾度となく敵を退け、杉元たちの窮地を救う。隠し金塊争奪戦の中で出会ったアイヌのインカラマッとは次第に相思相愛となり、作中で彼女との間に娘を設けている。
その誠実な人柄は作中の人物の多くから信頼され、読者からも好意を向けられる一方、作者からも“イジリたくなる”と受け取られたのか、無理のある形で裸にされたりネタにされたりすることが多い。最終的に、熾烈な隠し金塊争奪戦を生き抜いた人物の1人となった。
カント オㇿワ ヤク サㇰ ノ アランケㇷ゚ シネㇷ゚ カ イサㇺ
アイヌのことわざで、コミックスの表紙カバーの袖に必ず書かれてある言葉。
「天から役目なしに降ろされた物はひとつもない」
ゴールデンカムイを理解し、楽しむために覚えておきたい言葉だ。また、アイヌ言葉を表記するにあたり、小文字が用いられている。現在アイヌ語はカナとローマ字で書かれているが、カナはもともと日本語を表記するための文字なので、これは日本語に無い発音をより正確に伝えるためにされた工夫で、百年以上前から使われているものである。
谷垣源次郎のプロフィール・人物像
プロフィール
名前:谷垣源次郎
身長:作中では詳細不明。装備している銃の全長などから類推すると、170センチ~175センチほどではないかと思われる。
明治という時代を考えれば、大柄なほうであろう。
体重:作中では詳細不明だが、見るからに良いガタイをしている。新日本プロレスに所属するレスラーで、172センチ83キロの「BUSHI」という選手がいるので参考になるのではないか。
胸囲:124センチ
年齢:作中では詳細は不明。当時の徴兵義務年齢が二十歳からであったことなどから推測して、20代前半~半ばくらいではないかと考えられる。
設定として「ゴールデンカムイ公式サイト」の質問箱で作者が公開している情報によれば「オソマ < チカパシ < アシㇼパ< 夏太郎 < 鯉登少尉≒江渡貝くん < 杉元≒谷垣≒二階堂 < 尾形 < インカㇻマツ≒白石 < 月島軍曹 < キロランケ≒鶴見 < 辺見 < 牛山 < 二瓶 < 家永≒永倉 < 土方≒フチ」となる。
誕生日:6月28日 蟹座
血液型:A型
出身地:秋田県阿仁
好きなもの:きりたんぽ
嫌いなもの:しいたけ
人物像
義理堅く真っ直ぐな性格。漢気が人の形を成したかのような、熱い魂を持つ。雪深い国の猟師であることもあってか、心身ともに忍耐強い。
情にも厚く涙もろい一面もあり、一緒に旅をしたチカパシとの別れの際には惜別の涙を流した。
後の物語の中で、月島軍曹とともに曲芸の演目の脇で踊る少女たちの舞踊チーム「少女団」に配属されてしまうのだが、生来の真面目さで、文句一つこぼさずひたすら一生懸命に少女たちと可愛く踊るための練習に励んだ。
また、練習の中でも自分の踊りの不出来さに「俺は少女団のお荷物です…ッ うまく…踊れない!!」と責任を感じ涙を見せていた。本作品において、屈指の体格の良さと真剣さを誇る谷垣だが、素直な感情表現も彼の数ある魅力の中の一つ。そして、純粋で真面目過ぎるがあまり、作品中屈指のいじられキャラでもある。
谷垣源次郎の装備・能力
武器
三十年式歩兵銃
1897年(明治30年)に陸軍で採用され、国産連発式小銃として日露戦争において陸軍の主力小銃として使用された。弾は5発装填できる。
当初は軍からの刺客の役割を担い杉元らを追っていたため、杉元を含めた登場人物はほぼこの銃を装備している。
村田銃(十八年式単発銃)
山中で負傷し行き倒れていた谷垣を助けた「伝説の熊撃ち」二瓶鉄造の愛用銃。1発づつしか弾が入らない。
マタギである谷垣の父親も使っていたらしく、二瓶に向かって「そういうのは“こだわりふじゃねぇ 時代遅れっていうんだ」と毒づくが、後に彼の生き方に関わるほど重要な意味を持つことになる。
マタギとしての知識と技術
知識と能力
役に立つ「ビバーク」
yamahack.com
そもそもマタギとは、日本の東北地方・北海道から北関東、甲信越地方にかけての山岳地帯で、古い方法を用いて集団で狩猟を行う者を指す。
マタギは山の神様は女だと信じており、山の神様が嫉妬をしないよう女のにおいを消すため、猟に入る前に水ごりをするのだという。心身を清めるという神聖な意味合いとともに、嗅覚の鋭い動物に対峙するために余計な体臭などを消す効果もあったのだと考えられる。第25話で二瓶が谷垣にマタギの信仰はどれも理にかなったもので出来ていると言っている。
また、二瓶との会話の中で谷垣が言っていた「木化け」とは、「マツマイ」と呼ばれる鉄砲撃ちが心を周りの木と同化させ気配を消すマタギの技で、2時間でも3時間でも、また天候が急変しようとも、獲物が現れるまでじっと待つという。
第36話で、谷垣がフチの家で療養をしている最中、白石がリュウ(二瓶の愛犬)の手懐け方を尋ねてきた。それに対して谷垣は「重要なのは服従させることだ」と答える。本来犬は服従する主人を求めており、むしろその方が心が安定するのだという。毅然とした態度で一緒に歩くことが、短時間で主従関係を確立させる手段であることを白石に教えてやった。この時白石は谷垣をマタギ=猟師と見込んで聞いているが、実際にはマタギの狩猟形態においては、猟に犬を用いることは少なかったらしい。
第166話、網走監獄総進撃編で離ればなれになってしまったアシㇼパを杉元が追う旅では、猛吹雪の中前を走る同行の鯉登・月島組の乗るソリを見失ってしまい、遭難の危機に陥る。無理に進むことが困難であると判断した杉元と谷垣は、風雪を凌ぐため地面に穴を掘りろうとするが、地面が固く凍りついていて作業がなかなか進まない。谷垣はすぐさま自分たちが乗っていたソリを壊し、薪にして火をつけた。
強風の中、なんとか勢いよく燃えだした薪を谷垣は土中に埋める。どうして埋めてしまうのだ、という杉元の問いに「ソリ一台分の薪なんてあっという間に燃え尽きる。だが、埋めれば土の中でゆっくり燃えるので、薪を埋めた上で横になれば少しでも長く暖まれる」と谷垣は答えた。しかし、なんとか掘ることのできた穴は浅すぎ風よけ程度にしかならなかった。そこで谷垣はさらに、先ほどまでソリを引いてくれていた犬たちを、防寒と保温のために横たわる自分たちの上に布団のように乗せた。
アイヌ犬のリュウ、そしてソリを引く樺太犬たちは極寒の吹雪の中体力を温存するのに3~4日は平気で眠ることができ、60日間の絶食にも耐えうる強靭さを持っているという。雪深い国で冬場に狩りを行うマタギの知識や体験ならではの迅速な判断で、同行していた杉元とチカパシの命を救う一助をした。
犬ゾリを引いていたリュウが吹雪により視界がゼロの中、走る群れと別方向に行こうとした時には「何か理由があるんじゃないのか?」と、別方向に走るリュウをたしなめる杉元に意見している。その時リュウは他のソリ犬たちが嗅覚も利かず視界ゼロで道を見失ってしまった中、一匹だけ正しい方向へ走ろうとしていたのだ。結果として谷垣のリュウへの信頼は間違いではなかった。動物に敬意を払うという感性が染みついているマタギらしい彼の言葉であった。
また、谷垣の持っている携行非常食の「カネ餅」は秋田阿仁マタギには欠かせない食糧で、水を加えた米粉に味噌や塩などを練り込み、葉っぱ(朴葉などではないかと思われる)に包み、囲炉裏の灰の下に入れて蒸し焼きにしたもので、丸い形のものを「太陽」、楕円の形のものを「月」と見立てて2個を1組にし山に持って入るという。
戦闘技術
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二階堂浩平(にかいどう こうへい)とは、『ゴールデンカムイ』の登場人物で、アイヌの隠し金塊争奪戦に参加している大日本帝国陸軍第七師団の兵士である。双子の兄弟の二階堂洋平を返り討ちにした杉元佐一に激しい殺意を抱くようになり、復讐を果たさんとたびたび死闘を演じた。戦いを経る毎に両耳や手足を失って行き、治療の際に使用したモルヒネによって薬物中毒者と化し、その副作用で子供のような性格の異常者となった。最終的に武器の仕込まれた義手や義足を装備し、心も体も壊れていきながら金塊争奪戦の最前線で戦い続けた。
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津山睦雄(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
津山睦雄(つやま むつお)とは、野田サトル原作の漫画・アニメ作品『ゴールデンカムイ』に登場する刺青の囚人のうちの一人で、「三十三人殺し」と呼ばれている。本編には登場せず、第七師団の鶴見中尉が刺青人皮を持っている。津山から剥いだ刺青人皮をベストのように着こなす鶴見中尉の姿は、多くの読者に衝撃を与えた。「三十三人殺し」という経歴から、モデルは「津山三十人殺し」の都井睦雄(とい むつお)であるという見方が一般的だ。
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菊田杢太郎(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
菊田杢太郎(きくた もくたろう)とは、野田サトル原作の漫画・アニメ作品『ゴールデンカムイ』の登場人物で、鶴見中尉率いる第七師団の一員。作中では珍しく、比較的常識的な言動をする男だ。日露戦争で倒したロシア将校の銃を奪い、戦争が終わった後でも持ち歩いている。金塊争奪戦には途中から参戦したが、その正体は軍中央から鶴見中尉に差し向けられたスパイ。また、かつて故郷を出たばかりの杉元佐一(すぎもと さいち)と出会い、軍に入隊するきっかけを作っており、「不死身の杉元」の生みの親とも言える。
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インカラマッ(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
インカラマッとは、『週刊ヤングジャンプ』にて連載されていた野田サトル原作の漫画・アニメ作品『ゴールデンカムイ』に登場する人物で、占いで生計を立て北海道を旅するアイヌ女性。少女の頃にアシリパの父ウイルクと交流があり、金塊争奪戦の渦中にいるアシリパの周囲に現れる。目的を明かそうとせず、周囲を占いで惑わすような行動を取るため、その存在を怪しまれている。鶴見中尉率いる第七師団から離れ小樽のアシリパのコタンで療養していた谷垣源次郎と、疱瘡で家族を失ったチカパシとともに、アシリパを追いかけ旅をする。
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江渡貝弥作(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
江渡貝弥作(えどがいやさく)とは、野田サトルによる漫画作品『ゴールデンカムイ』の登場人物で、北海道・夕張で剥製工房を営んでいる青年である。剥製職人としての腕は良いが、人間の死体の皮で革細工を作るという歪んだ趣味を持っている。自分の実の母親を剥製にして所有。母親の偏った教育の下で成長したが、母を慕うなどマザコン気質の持ち主である。鶴見の依頼により贋物の刺青人皮を作成したが、刺青を狙う尾形や杉本に狙われる。初めて自分を受け入れてくれた鶴見を慕っており、最期は鶴見の為に自らの命を犠牲にした。
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目次 - Contents
- 谷垣源次郎の概要
- カント オㇿワ ヤク サㇰ ノ アランケㇷ゚ シネㇷ゚ カ イサㇺ
- 谷垣源次郎のプロフィール・人物像
- プロフィール
- 人物像
- 谷垣源次郎の装備・能力
- 武器
- 三十年式歩兵銃
- 村田銃(十八年式単発銃)
- マタギとしての知識と技術
- 知識と能力
- 戦闘技術
- 谷垣源次郎の来歴・活躍
- 入隊から日露戦争終結まで
- 第七師団入隊
- カネ餅
- 戦場にて
- 仇
- 遺言
- 生まれてきた役目
- 軍人と猟師
- 追跡者として
- 白い狼
- 伝説の猟師
- 毒矢
- 受け継がれた「魂」
- 最初で最後の勝負
- 恩人
- 疑惑
- 謀反組の追撃
- 抹殺
- 形見
- 追う者
- 交戦
- 追われる者
- 穏やかな日々
- 出会い
- しばしの別れ
- 役目を果たす旅へ
- 道連れ
- トカチ
- 替え玉の千里眼
- 探しているもの
- 熊除けのおまじない
- 家族だから
- 死装束
- 合流
- 事件
- 犯人
- 助け
- 真犯人を追う
- 最終日
- 姉畑支遁の悲願
- 少女の決断
- 真実を見つけるための旅
- 迫る災い
- 避難
- ラッコ鍋
- 疑心暗鬼
- 囚人の情報
- 暗闇の復讐者
- 網走監獄へ
- 侵入の準備
- 本当の家族に
- 思惑
- 裏切り者
- 樺太の大冒険
- 先遣隊への参加
- キロランケを追って
- 仲間たちとの別離
- 決戦の五稜郭
- 妻と娘と戦友
- 最後の戦い
- 家族と共に故郷へ
- 谷垣源次郎の関連人物・キャラクター
- 二瓶鉄造
- フチ
- チカパシ
- インカㇻマッ
- リュウ
- レタラ
- 谷垣源次郎の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「コレヨリノチノ ヨニウマレテ ヨイオトキケ」
- 「ラッコ!!」
- 「おお…立派なイチモツだ」
- 谷垣源次郎の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- マタギ猟
- 作者が谷垣源次郎の体格の参考人物を挙げている