谷垣源次郎(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
谷垣源次郎は、『週刊ヤングジャンプ』に2014年から連載が開始された、野田サトル原作の漫画・アニメ『ゴールデンカムイ』の登場人物。時代は明治時代の北海道。日露戦争(1904年~05年)終結から間もないころ、アイヌ民族が隠したとされる莫大な金塊のうわさを聞き、様々な理由と野望を胸に秘めた男たちが、誇り高き北の大地に集結する。その中で谷垣は金塊を追っている屯田兵の部隊、大日本帝国陸軍最強と謳われた北海道の第七師団(道民は畏敬の念を含めて「北鎮部隊」と呼ぶ)27聯隊に一等卒として所属している。
「鶴見中尉の命令で俺を追ってきたのか?」と尋ねる尾形に谷垣は「世話になった婆ちゃんの許に孫娘を無事帰す それが俺の「役目」だ」と言い、軍にも尾形にも関わる気はないと告げる。助けてくださいと頼んでみろ、と不敵に微笑みながら銃の装填をする尾形を見て「あんたの助けるの選択肢なんて皆殺ししかないだろう」と言って断る谷垣。そこへアイヌの男たちの村のエカシ(村長)がやって来て、谷垣を村へ連れて行くと言った。犯人を殺すことについて村人の中でも意見が割れていたのだ。
森の中で鹿を送っていた男の許に、犯人が捕まり今村にいるということをアイヌの子どもたちが知らせにやって来る。杉元とアシㇼパも男の村に同行した。
村では谷垣が子熊の檻に両手首を縛られ、その前では村人たちの議論が紛糾していた。尾形は少し離れた「プ(食糧庫)」の上から高見の見物をしている。先ほど谷垣を追い詰めていた男たちの一人(おそらく村中で一番強いのであろう)が「俺たちのやり方でこいつを裁く!」と叫んでいた。鼻と耳と足の建を切り追放するのだという。(アイヌの刑罰に死罪はないが、概ね死ぬ方がマシではないかと思わせるようなやり方が多い)そこへ杉元が「ちょっと待った」と割って入った。叫んでいた男が「オマエもこの男の仲間か?どけっ!!」と杉元の顔面を激しい勢いで殴るが「まあまあ落ち着きなって」と杉元は男をなだめようとした。だが、聞く耳を持たずに男は杉元を一方的に殴り続ける。心配したアシㇼパが(この時アシㇼパはキレた杉元が相手を殺してしまうかも知れないことを心配していた)「杉元ッ」と声をかけるが、杉元はそれを制し微笑んだ。「アシㇼパさん…俺は大丈夫だから」
そして、杉元は男を一撃で殴り倒した。
真犯人を追う
一撃でその場の騒ぎを鎮めた杉元は、真犯人について説明を始めた。「犯人の名前は姉畑支遁、上半身に入れ墨のある男だ。ここにいる谷垣は寝てる間に銃を犯人に奪われたドジマタギだ」と言いい、谷垣の着ていたシャツを破り上半身に入れ墨がないことを村人に証明して見せた。ついでに谷垣の胸毛も毟り取った。「俺達が必ず姉畑支遁を獲ってくる」杉元がそう言いながら捨てた谷垣の胸毛は風に散り、アシㇼパの顔にかかるのだった。
「三日以内に真犯人とやらをここへ連れてこい」アイヌの男はそう言って杉元たちに三日間の猶予を与えた。
万が一、与えられた期間内に戻って来れなかったその時は「尾形が谷垣を守ってくれ」とアシㇼパは尾形に頼んだ。だが尾形は谷垣に対して、鶴見中尉の命令で追ってきたのではないかとの疑念がまだ晴れない。「谷垣は鶴見中尉を信奉し、鶴見中尉に謀反を企んだ「戦友」を3人殺しているのだ」とその疑念を杉元に説明する。「谷垣と行動していた3人のことか?」と杉元は聞き返し、そして「あいつらを殺したのはヒグマだ 俺がその場にいたんだから間違いない」と尾形に真相を伝えた。「谷垣に何かあればフチが悲しむ」と言うアシㇼパに「俺の助ける方法は選択肢が少ないぞ」と尾形は返す。
谷垣からの情報で、姉畑の最大の目的はどうやらヒグマとのウコチャヌㇷ゚コロであると知った杉元たち。姉畑がヒグマと遭遇し行為に至る前に必ず捕えなければならない。入れ墨が姉畑ごと食べられてしまっては大変だからだ。一日目の捜索はあまり進展のないまま終わった。野営をする二人の周囲の草むらで何かガサガサ音がする。気になりつつすでに寝言を言い始めているアシㇼパの隣で杉元も体を横たえた。
最終日
姉畑支遁捜索の二日目は雨が降ってしまい色々な匂いや痕跡が流されていった。雨が止むころには日没が迫り、杉元とアシㇼパはこの日もたいした成果は得られず捜索を終えた。
いよいよ迎えてしまった期限最終日の三日目。全く見つかる気配のない姉畑に杉元は業を煮やしていた。一度村に戻り、谷垣を逃がし時間を稼いだ方が良いのではないかと考え始める杉元だったがアシㇼパは「谷垣は尾形が助ける」と言って、捜査を続ける意思を見せる。するとまた周囲の草むらからガサガサと音がした。捜索の初日から感じていた音と気配だ。近づいてくる気配に杉元は銃を、アシㇼパは弓矢を構えるがそこに現れたのは一匹の犬だった。「あれ?この犬どこかで…」と言う杉元に「リュウだ!!」とアシㇼパは言った。その犬はアシㇼパが自分の村に残してきた、亡き二瓶のかつての相棒である熊犬のリュウであった。リュウは二瓶の銃を持つ谷垣の匂いを辿りはるばる追いかけてきたのだ。もしかしたら、二瓶の銃を持つ姉畑の匂いを追えるのではないかとの希望を胸に、二人と一匹は改めて姉畑の捜索を開始した。ほどなくしてリュウは、どうやらその上で人間が暴れまわっていたらしい痕跡のある、ヒグマの糞を発見する。「姉畑支遁しかいねえだろそんなの!!」と杉元は言った。それは、姉畑がメスのヒグマの糞を体中に塗り付け、オスのヒグマの警戒を和らげようと試みていた跡だった。
そして一方では、姉畑がついにその出会いを待ちに待っていたヒグマを見つけ目を輝かせていた。
また同じ頃、尾形は谷垣を連れアイヌの村を脱走していた。
姉畑支遁の悲願
「杉元たちを信じて待っても良かったのに…」と言う谷垣に「時間が迫ればそれだけ監視も厳しくなる」と話す尾形。村からの脱走を図った二人は湿原を駆けていた。その時、一発の銃声が聞こえた。銃声が聞こえた方に向かおうとする谷垣と尾形を村からの追手の男たちが発見する。
谷垣と尾形が聞いた銃声は、ヒグマに接近していた姉畑を、匂いを辿り見事追いついたリュウが二瓶の銃を奪い返すべく噛みついた時に、姉畑が発砲した音だった。そして、近接できたはいいが姉畑はやはりヒグマに襲われ食われかけていた。助けに向かう杉元とアシㇼパも足元のおぼつかない湿原のヤチマナコ(谷地眼。湿原の水草類で水面が隠れ、見つけにくい落とし穴のようになった水の窪み)にはまり苦戦を強いられていた。「何であんな馬鹿をヒグマから必死で守らなきゃいけないんだッ」不満を叫びながら姉畑を救うために撃った銃は、杉元と一緒に水没したことにより銃身に水が入り使い物にならなくなっていた。姉畑は食べられまいと四足で走るヒグマの腹に必死にしがみつき、杉元たちの苦労も知らずに、人生を賭けた悲願である「ヒグマとのウコチャヌプコロ」を達成すべく、いつの間にか下半身を露出していた。ヒグマに対峙していた杉元は逃げるために一旦また別のヤチマナコに自ら飛び込み難を逃れるが、ヒグマは姉畑を腹にひきずりながら杉元がヤチマナコから顔を出すのを待っていた。このままでは杉元が水面に顔を出せずに溺れてしまう。顔を出してもヒグマの一撃が待っている。杉元を助けるためアシㇼパは、草むらにいた自分が大の苦手なジムグリ(蛇)を掴んでヒグマの前に投げつけた。ほとんどのアイヌの人たちは蛇が苦手で、またヒグマも蛇を苦手としている。驚いたヒグマは動きを止めた。その瞬間、顔を出した杉元の目の前にヒグマとのウコチャヌプコロを達成した姉畑の姿があったのだった。
少女の決断
脱走していた谷垣と尾形、それを追っていていた村の男たちは遠くから姉畑とヒグマの信じられない行為を目にした。正に目撃者全員が全員、自分の目を疑う状況であった。
そして悲願を達成した姉畑支遁は、そのまま満ち足りた表情で死んでいた。過度の興奮による、心筋梗塞か脳卒中であったようだ。こと切れた姉畑を再びヒグマが食おうとしたところを杉元が寸でで倒し、なんとか無事に姉畑の入れ墨は回収した。
かくして、谷垣の疑いは無事に晴れ、杉元・アシㇼパ・谷垣・尾形の一行は村に凱旋することができたのだ。
かつて二瓶とともに狩りをしたことあると言っていたアイヌの男「キラウㇱ」が村長に今回の事件の一部始終を話した。谷垣の誤解は無事に解け、安心した村では事件に巻き込まれた一行をもてなす宴と獲れた熊(姉畑がウコチャヌプコロをし杉元が斃した熊)を送る儀式が開かれた。やっと落ち着いてアシㇼパたちと話す機会を得られた谷垣は、なぜ自分が追ってきたのかをアシㇼパに伝えた。伝えられた内容を聞いたアシㇼパの表情に不安を見て取った杉元は「一度帰ろうか?」とアシㇼパに尋ねる。一度顔を見せてやれば、「二度と会えない」という予言は無効になり、フチの元気も出るだろうと考えたからだ。
だがアシㇼパは「私にはどうしても知りたいことがある 知るべきことを知って自分の未来の為前に進むんだ!!」と言って断った。
人のためを思って何かをすることは容易い。確かにそこにはお互いに「安らぎ」があるだろう。しかし、アシㇼパが選び杉元に言ったこの言葉は、アシㇼパの大切な人にとっても彼女自身にとっても茨の道だと言える決断だ。立ち止まらずに進むこと。まだ小さな少女の大きな大きな覚悟であった。
そして、それはまた谷垣にとっても、彼自身の役目を全うするためのスタートであったのだ。
真実を見つけるための旅
迫る災い
出がけにキラウㇱから熊のオハウ(煮物)を食べていくようすすめられるが、姉畑のウコチャヌプコロが脳裏によぎり「悪いが急いでいる!!」と辞退する杉元に同調する谷垣。そして一行はキラウㇱの村を出発した。
アシㇼパ・杉元・尾形・谷垣は、離れていた白石・インカㇻマッ・チカパシと釧路の街で無事に再会、合流することができた。谷垣の身を案じていたインカㇻマッが「ケガは無いですか?ずっと心配してました」と言いながら谷垣に走り寄るのを見て、杉元たちは冷やかした。
海岸のコタンに住むフチの15番目の妹の世話になる一行。クンネ・エチンケ(アオウミガメ)を一緒に獲り、夕餉の鍋を囲み一日を終えた。
一方、アシㇼパ一行を送り出したキラウㇱの村では異変が起こっていた。キラウシが一服していると一匹のトノサマバッタがキラウシの肩に止まる。「オンネ・シペシペッキ(トノサマバッタ)か」と言いながら指に乗せ見ているキラウシにバッタが咬みついた。「ハイイイッ(痛いの意味)咬まれた」と振り払い、フと周りを見てみると、村のそこら中にバッタが取り付いている。バッタの大群が飛来したのだ。
「プ(食糧倉庫)を守れ!!全部食べられてしまうぞ!!」食糧はおろか、家までも食らおうとするバッタの群れに村の危機が訪れる。(「災害」と呼ばれるほどの規模に膨れ上がった大群は、実際に世界中の記録に残っている。2007年(平成19年)、オープン直前の関西国際空港2期空港島でトノサマバッタが大量発生の報もあった。)姉畑の行いにまだ神は許しを与えてくれないのかと天を仰ぎ憤るキラウㇱだった。
キラウㇱの村から離れた海岸のコタンに身を寄せているアシㇼパ一行の元にも同じく異変は迫っていた。
その日は朝からアシㇼパは海へマンボウを獲りに出かけていた。海岸沿いでは、杉元・白石と谷垣・チカパシ・インカㇻマッがハマナスの実を摘んで食べている。「腹減ったなあ… ハマナス以外のもの食べたいよ」と愚痴る白石。尾形は狙撃手らしく常に周辺の警戒を続けていた。
浜辺に腰を下ろし、インカㇻマッは谷垣の取れていたシャツのボタンを付け直してやった。キラウㇱの村で杉元が引きちぎったからだ(ついでに胸毛も引きちぎった)。「世話になりっぱなしだ」と改めてインカㇻマッに礼を言う谷垣。インカㇻマッ自身も占いしながら旅を続ける生活は女の身では危険なこともあるので助かっていることを告げ「夕張で助けに来てくれたことは嬉しかった」と礼を言うのだった。そこへ、猟で獲れたというラッコを手にアイヌの老人が通りかかる。アイヌ語でラッコの肉について色々と説明してくれる老人の言葉をインカㇻマッは谷垣に通訳できずにいた。老人に夫婦だと勘違いされていたことが照れ臭かったのだ。説明を求める谷垣に「ラッコの肉をくれるそうです」とだけ伝え、谷垣と老人にもらったラッコを残し「もっとハマナス採ってきます」と言ってインカㇻマッは立ち去った。
一方海上ではマンボウの猟を手伝っていたアシㇼパが遠くに見える普通ではない様相の黒雲に目を留め、谷垣たちと離れコタンに戻っていたチカパシは、空を見上げて威嚇するリュウの唸り声に空を見上げていた。
避難
杉元の胸元にバッタがとまる。「やだぁ~~バッタきらーい!!」ととまっていたいたバッタを指で弾きながら情けない声を出す杉元に「不死身のくせに」と茶々を入れる白石。そのそばで尾形が双眼鏡で空を確認し「まずいぞこれは…」と呟いたが、時すでに遅く気づけばバッタの大群がそこら中に押し寄せていた。海岸沿いにあった番屋(漁師たちの宿泊所)を見つけ慌てて非難する杉元たちと谷垣。谷垣はインカㇻマッの安否を気にかけたが「死にはしねえよ 早く入れッ」と杉元に促される。番屋に避難できた杉元・白石・尾形・谷垣はバッタの大群が過ぎ去るのを待っていたが、腹が減ったと言う白石に、谷垣はさっき海岸でアイヌの老人にもらったラッコを鍋にして振る舞った。
杉元たちが番屋に避難していた時を同じくして、海岸沿いではバッタの飛来から逃げている最中のインカㇻマッをアシㇼパが海から小舟で接岸し、一緒に海上に逃げるよう誘導をしていた。海上はとまることのできる場所が少ないのでバッタの襲来がマシになるからだろう。小舟の上で二人きりになれたアシㇼパは「私の父について知っていることをすべて話せ」とインカㇻマッに問い質すのだった。
番屋では、ラッコの肉の煮えるニオイの独特さに「ホントに食べられるものなの?ラッコって」と不安を口にする白石。そのニオイによる異変は少しずつ男たちにワケの分からない感情を芽生えさせていた。
インカㇻマッが通訳しそびれた、アイヌの老人の言葉。それは「必ず二人で食べなさい」という夫婦者に向けて言われたものであった。アイヌの言い伝えでは、ラッコの肉の煮えるニオイは欲情を刺激し、それは一人でいては気絶してしまうほどのものだと言う。自分たちの中に湧き上がる感情が「欲情」だと知らずにお互いに色気を感じてしまう男ばかりが集まってしまった小屋。そこにまた一人、バッタの大群から避難するために飛び込んできた者がいた。
ラッコ鍋
番屋に飛び込んできたのは土方歳三一派と同行していたキロランケであった。単身でアシㇼパ一行に追いついてきたのだ。(この時点でアシㇼパ一行は、アシㇼパ・杉元・白石・尾形・キロランケと谷垣・チカパシ・インカㇻマッ・リュウの8人と1匹、離れている土方一派は、土方・永倉・牛山・家永・夏太郎5人)
バッタを払うために服を脱ぎながら番屋に入ってきたキロランケの体に妖しい魅力を感じる小屋の中の男たち。
海上に難を逃れたアシㇼパとインカㇻマッは「のっぺら坊」と思われるアシㇼパの父親について語っていた。インカㇻマッが今のアシㇼパほどの年齢の時にアシㇼパの父親・ウイルクに出会っていたこと。インカㇻマッが初めてウイルクに出会ったとき、彼は北海道に来たばかりだったこと。自らの知ることを少しずつアシリパに話すインカㇻマッ。そして、幼いながらに彼女はウイルクを心から愛していたこと。父から聞いていたのは母との思い出だけで、インカㇻマッのことは一度も聞いたことはなかったと言うアシリパの言葉に「ウイルクにとっては私はまだ子供でしたから 忘れちゃったかもしれませんね」と言ってインカㇻマッは涙をこぼした。その言葉にアシㇼパは少しだけ今の自分自身と杉元との姿を重ねた。
そしてまた番屋では、ラッコ鍋を平らげた男たちの間に妖しげな空気が漂っている。「ダメだ俺…もう我慢できねえ…」と杉元が服を脱ぎだし「相撲しようぜ」と号令をかけると「なるほどそうか!!」と全員激しく同意し、ワケの分からない欲情を発散するために小屋の中でふんどし一丁の取り組みを始めだすのであった。ひとしきり裸のぶつかり合いが終わり落ち着きを取り戻した杉元たちは「なんか盛り上がっちゃったな?なんでだろうな…ハハハ」とバツが悪そうに着衣し、ふんどし一丁で寝てしまっていた谷垣を残し番屋を後にした。
残された谷垣の許にインカㇻマッが様子を見にやってくる。インカㇻマッは眠っている谷垣に優しく声をかけ「ラッコ肉のせいにしてくれていいですから」と自ら衣服を脱いで谷垣にキスをした。すぐ隣に置いてあった二瓶の村田銃にそっと衣服をかけ、銃に「目隠し」をする谷垣の行動に真面目さが垣間見える。だが、様子を窺いに来ていたチカパシが二人の「行為」を覗き見してしまい、その迫力に小屋の外で一人で泣いていたことなど谷垣たちは知らなかった。
疑心暗鬼
蝗害の脅威が去り、落ち着いた各々は海岸で焚火をしていたアシㇼパを見つけた。谷垣と一緒にいたインカㇻマッ。そして相撲祭りが済み、先に小屋を出ていた杉元・白石・尾形・キロランケがアシㇼパを挟んだ形で一堂に会した。「キロランケニㇱパが私の父を殺したのか?」開口一番にアシㇼパはみなの前でキロランケに尋ねた。合流を知らなかったインカㇻマッはキロランケがいたことに一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに「証拠」を取り出し全員に見せた。証拠とは「指紋」であった。
バッタの大群から逃げ、アシㇼパと一緒に海上にいた時にアシㇼパに話していたことを語り始めるインカㇻマッ。
谷垣と出会う以前に、インカㇻマッは苫小牧のコタン(アシリパのフチの一番末の弟の村)で世話になっていた所をアシㇼパ一行と出会っており、インカㇻマッのよく当たる占いを利用して儲けを企んだ白石と、それをたしなめるアシㇼパ・杉元・キロランケたちと一緒に競馬場を訪れている。その時購入した馬券に付着していた指紋を調べたのだという。するとその指紋の一部が、数年前のある事件現場で回収された遺留品に残っていたものと一致したのだ。(ちなみにこの時はまだ指紋による犯罪捜査はまだ普及しておらず、日本で正式に採用されたのは明治44年からであった。)
一致した指紋はキロランケのものであったという。そしてその事件の現場とは、金塊争奪戦が始まるきっかけとなった、金塊強奪の殺人現場であった。
「この女…鶴見中尉と通じてるぞ」そう言いながら持っていた銃の照準をインカㇻマッに向ける尾形。何を根拠に疑うのかと谷垣は慌ててインカㇻマッを背に庇う。「色仕掛けで丸め込まれたか?」尾形は谷垣にそう問い、理由を話した。「殺害現場の遺留品を回収したのは鶴見中尉だ つまり鶴見中尉だけが指紋の記録を持っている」
動揺を隠せず背に庇ったインカㇻマッを振り返る谷垣に「鶴見中尉を利用しただけです」とインカㇻマッは表情を変えずに言った。その表情には迷いもためらいも無かった。想い続けていた男性を殺した(と思われる)犯人を、彼女は彼女なりに真剣に追っていたのだろう。そして本来はアイヌのものであるはずの金塊の行方も。
「鶴見中尉の情報を信じるのか?殺し合えば鶴見中尉の思うツボだ」と言って銃を向け続ける尾形を制したのは疑惑をかけれらたキロランケだった。真偽のわからない情報の中で、行動を共にする者同士が疑心暗鬼になってしまうことは一番避けなければならない。キロランケは年長者らしい配慮でその場を収めた。
アシㇼパの父親は果たしてどちらなのか。金塊を奪われ殺されたアイヌたちの中の一人なのか、それとも金塊を奪いこの争奪戦を仕掛けた「のっぺら坊」本人なのか。増えてゆく情報量と反比例するかのように謎は深まるのだった。
囚人の情報
簡単に謎は解けるわけもなく、一行は釧路から約30キロ離れた塘路湖まで歩を進め、アシㇼパのフチの二番目の姉の息子のコタンに世話になっていた。
塘路湖には「水の上にあるもの」と言う意味のペカンペ(菱の実)がたくさん実っている。なので湖の周辺にはコタンがいくつも出来たのだという。安定した供給の見込める食糧があるというのは大変重要だ。よって、村同士で争いが起きたことがあるほど貴重な食べ物なのである。ちなみに「忍者」が使っていたとされるマキビシとは、カチカチに乾燥させた菱の実のようだ。
一行はそのコタンでアシㇼパの身内から、入れ墨の囚人の情報を得る。
それは最近塘路湖周辺のコタンに出没し、真っ暗闇の中松明も灯さずに森の中を抜け、道行く者を襲う盗賊集団で恐らく盲目の者たちであるという。白石の持つ情報と照らし合わせ、その中の一人は「都丹庵士(トニアンジ)」という名の囚人であると一行は推察する。硫黄鉱山で苦役を強いられ、周囲から出る亜硫酸ガスにより失明してしまった囚人である。「囚人だから」と使い捨てられ命を落とし、監獄にすら二度と戻って来れなかった者も多かったらしい。出没する盗賊団は、その苦役から逃げ生き延びた者たちを都丹がまとめ上げたものなのだろう。
情報を手に入れ一行は塘路湖のコタンに別れを告げ、そこから北へ60キロの屈斜路湖へ向かった。屈斜路湖のコタンでは、アシㇼパのフチの13番目の妹の息子に世話になった。その夜のご馳走はコタンコロカムイ(シマフクロウ)だった。コタンコロカムイを獲る時には絶対に目を傷つけてはいけないらしい。傷つけた者はカムイの怒りを買い光を奪われてしまうのだという。杉元は誤ってその目を射抜いてしまっていた。迷信とは思いつつも一抹の不安を隠せない杉元をよそに、そこで初めて谷垣は「チタタプ」をアシㇼパの指導により経験する。
釧路から合流した谷垣は、第七師団きっての孤高の狙撃手であり、任務遂行のためには手段を選ばない尾形が、杉元・白石とともに鳥の雛のようにすっかりアシㇼパに「餌付け」されている姿を目にし、驚きを禁じ得ないのであった。
その時、村で飼われているフクロウが何かを警戒するようにひと際大きな鳴き声を出した。
みなで外に出て様子を確認するが、特に変わった様子もなく「イタチか何かだろう」と小屋に引き上げようとした時、アシㇼパは森の中から「カンカン」と高く響くゲタの音のような物音を聞いた。
暗闇の復讐者
「盲目の盗賊団」は新月の夜にしか現れないという。新月までは残り二日だが、それを待たずに盗賊団のアジトを突き止め昼間に奇襲をかけようと一行は考える。今世話になっているコタンの近所には和人(日本人)が経営する温泉旅館があり、そこなら何か情報が聞けるのではないかと言うアシㇼパの親族の提案に、一行は温泉宿へ向かう。
この周辺には廃墟になっている温泉宿が何軒か森の中に点在しているという。硫黄山で働く鉱夫たちのたまり場であったようだが、明治29年の閉山に伴う客足の激減で廃業した宿らしい。杉元は盲目の按摩師から聞いた情報を露天の温泉に浸かりながらみなに話していた。おそらくその中に盗賊団のアジトがあるはずだ。男たち(杉元・白石・尾形・谷垣・キロランケ・チカパシ)は、夜が明けたら探しに行こうと打ち合わせていた。
一方、アシㇼパとインカㇻマッは旅館の一室で先ほど杉元に施術していた按摩師を見送っていた。盲目の按摩師の帰路を心配し、声をかけたアシㇼパに「ありがとう 夜道はお嬢ちゃんより得意だよ」と微笑みながら話す。目が見えない分、視覚に頼っている者よりも見えるものがあるのだと言う。そして「夜のゲタの音に気をつけなさい」と進言した。夜になるとこの周辺に出没する盲目の盗賊団が現れるとき「カンカン」とゲタを鳴らすような音が聞こえるのだという。だが、それはゲタの音などではなく、自身の舌を鳴らし、音の反響で周囲のものを認識する能力(反響定位)を持つ者が出す音なのだ。
どんな音なのかとアシㇼパに聞かれた按摩師は、自分の舌を鳴らしアシㇼパに聞かせてやった。それは、コタンでアシㇼパが耳にしていた高く響くゲタのような音と同じだった。
すでに盗賊団が忍び寄っていたことを確信したアシㇼパは、それを知らせるため慌てて露天風呂に向かった。
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尾形百之助(おがた ひゃくのすけ)とは『週刊ヤングジャンプ』で連載されている野田サトル原作の漫画・アニメ作品『ゴールデンカムイ』の作品に登場する銃さばきの上手い軍人。大日本帝国陸軍の第七師団に所属していたが、途中軍隊の上司である鶴見中尉を裏切った。その後は脱走兵として土方歳三とアイヌの金塊を探すため一緒に行動し、金塊の鍵を握るのっぺらぼうに会うため網走監獄に潜入した。そこでのっぺらぼうと一緒にいた杉元の頭を撃ち抜いて逃げた。それから新たな金塊の情報を探るべく誰にもすがらずに自分で旅を続けている。
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宇佐美時重(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
宇佐美時重(うさみ ときしげ)とは、『週刊ヤングジャンプ』で連載の野田サトル原作の漫画・アニメ作品『ゴールデンカムイ』の作品に登場する人物。第七師団の初期メンバーの一人で階級は上等兵。かなり腕が立ち、丸腰で武器を持った複数人の殺人犯を返り討ちにしてしまう程。鶴見中尉に心酔しており、恋愛感情にも似た忠誠心を持つ。最期は元第七師団の尾形に狙撃され、胸を撃ち抜かれて致命傷を負う。それでも尚、今際の際に鶴見中尉に刺青人皮と重要情報を伝えて息絶えた。
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ヴァシリ・パヴリチェンコ(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
ヴァシリとは『ゴールデンカムイ』に登場するロシア人狙撃手である。樺太の国境警備隊所属。日本軍の狙撃手・尾形百之助(おがたひゃくのすけ)との狙撃対決に敗れるが、再戦を熱望して脱走兵となり、尾形を追い続ける。二人の対決は作中屈指の名勝負の一つであり、ファンの間で人気が高い。狙撃の他には絵を描くことが得意。ヴァシリが描いた似顔絵がきっかけで、主人公・杉元佐一(すぎもとさいち)と打ち解け、共に北海道へ渡る。言葉が通じないこともあり、杉元たちとの旅では絵やジェスチャーでやり取りをしている。
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姉畑支遁(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
姉畑支遁(あねはたしとん)とは、『週刊ヤングジャンプ』で連載の野田サトル原作の漫画・アニメ作品『ゴールデンカムイ』の作品に登場する人物。刺青の囚人のうちの一人であり、動物学者。動物、植物をこよなく愛し、研究している。だが嫌がる動物を無理矢理犯したり植物を傷つけて射精するなど異常な性格の持ち主。自分の欲望のままに行為をしたにも関わらず、行為後は大変後悔をする。そして自分が犯した動物や植物に責任を一方的に擦り付け動物は殺害、植物はナイフで傷をつける、とかなり独善的で身勝手な行動をする。
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杉元佐一(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
杉元佐一(すぎもとさいち)とは『週刊ヤングジャンプ』で連載されている野田サトル原作の漫画・アニメ作品『ゴールデンカムイ』の作品に登場する主人公。日露戦争を戦い抜いてきた元・陸軍兵士で、体に無数の傷を追ってきたが全く命を落とすことが無かった。その活躍ぶりから、軍人の間では『不死身の杉元』と言われている。杉元が金塊を探しに北海道の山に入ると、アイヌの少女アシリパと出会う。後に少女の父は金塊を隠した人物であることを知り、お互いの目的を果たすために一緒に旅を始める。
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アシリパ(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
アシリパとは『週刊ヤングジャンプ』で連載されている野田サトル原作の漫画・アニメ作品『ゴールデンカムイ』の作品に登場する主人公の1人である。北海道の小樽近辺の集落に住むアイヌの少女で、大人顔負けの精神力と狩猟技術と調理技術の持ち主。伝統を尊重しながら時代の変化を柔軟に受け入れ、「新しいアイヌ」たることを信念としている。アイヌが隠した金塊とそれを巡る殺人事件に父が関与していた事を知り、その真実と真意を知るため、元日本兵でもう1人の主人公である杉元と共に、隠し金塊の謎へと挑んでいる。
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松田平太(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
松田平太(まつだ へいた)とは、『週刊ヤングジャンプ』で連載の野田サトル原作の漫画・アニメ作品『ゴールデンカムイ』の作品に登場する人物。刺青の囚人のうちの一人である。砂金の専門知識を持ち、北海道での砂金の採取に情熱を燃やしている。だが、その本性は多重人格の殺人鬼である。自分がかつて同居していた長兄夫婦、次兄、父親、ヒグマの人格を持つ。自分の家族がヒグマに襲われて殺され、自分もヒグマに襲われて殺される幻覚を見る。その後、自分の体をヒグマに乗っ取られて人を襲って食べるという異常な殺人を行う。
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白石由竹(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
白石吉竹(しらいしよしたけ)とは『週刊ヤングジャンプ』で連載されている野田サトル原作の漫画・アニメ作品『ゴールデンカムイ』の作品に登場する人物。通称「脱獄王」の異名を持つ天才的な牢破りである。脱獄する際は看守を騙す詐術や狭い隙間を通るための関節外しなど、脱獄のための多彩な技術を持つ。体には金塊の隠し場所を描いた刺青が彫られており、同じ刺青が描かれている囚人の皮を集めるとありかが分かるようになっている。金塊の手掛かりとなる刺青を持つ囚人たちを探して、北海道で出会った仲間達と共に旅を続けている。
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奥山夏太郎(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
奥山夏太郎(おくやま かんたろう)とは、『ゴールデンカムイ』の登場人物で、アイヌの隠し金塊争奪戦に参加している「土方一派」と呼ばれる組織の一員。 北海道のヤクザの若衆だったが、ある時土方歳三と出会い、その覇気溢れる様に魅了される。同じ若衆だった亀蔵と共に出奔し、土方を追いかけてその一派に加わり、部下として金塊争奪戦に関与する。一方で「土方に認めてもらいたい」との思いからたびたび無茶なスタンドプレイに走る“血気盛んな若者”としての側面を持ち、その都度幸運によって生き延びている。
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関谷輪一郎(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
関谷輪一郎(せきや わいちろう)とは、『週刊ヤングジャンプ』で連載の野田サトル原作の漫画・アニメ作品『ゴールデンカムイ』の作品に登場する人物。24人の刺青囚人のうちの1人である。際立った戦闘力は無いが狡猾さと独自の信仰心を持ち、他人の命を「試練」と称し運任せで毒殺する異様な殺人を繰り返し投獄される。脱獄後は北海道の阿寒湖のほとりで刺青人皮を巡り土方一派を狙う。一時は土方と牛山を持ち前の狡猾さで戦うことなく倒して生き埋めにした。しかし仲間の門倉とキラウシの活躍で復活した土方に逆襲され力尽きる。
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辺見和雄(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
辺見和雄(へんみ かずお)とは野田サトルの漫画作品『ゴールデンカムイ』の登場人物で、体に刺青を掘られた24人の囚人のうちの1人。この刺青は埋蔵金の手掛かりとなっていて、多くの人や組織に狙われている。表向きでは人当たりがいいが、その正体は日本各地で100人以上を殺してきた殺人鬼。幼少期にイノシシに無残に食い殺された弟の死に方に憧れ、自分を残酷に殺してくれる人を求めている。辺見の刺青を狙う主人公・杉元佐一と死闘を繰り広げた後、シャチに海に引き摺り込まれた。想像を超える死に方ができて満足気だった。
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花沢勇作(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
花沢勇作(はなざわ ゆうさく)とは、野田サトル原作の漫画・アニメ作品『ゴールデンカムイ』の登場人物で、尾形百之助の異母兄弟。清廉潔白な人格で周囲の人々に愛された美男子だ。日露戦争の二〇三高地で味方を鼓舞する旗手を務めていたが戦死し、物語の開始時点では既に故人となっている。敵に殺されたのではなく、後方にいた尾形が狙撃した。将校である父が芸者に産ませた子どもである尾形を、階級が下であるにも関わらず「兄様」と呼んで慕っていた。金塊争奪戦を引っ掻き回す尾形の前に、たびたび幻覚として現れる。
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いご草ちゃん(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
いご草(いごぐさ)ちゃんとは漫画『ゴールデンカムイ』に登場する人物である。第七師団で鶴見篤四郎の腹心である月島基の幼馴染で元恋人である。将来を誓い合う仲だったが、両親に騙され、三菱財閥幹部の息子と結婚。東京へ移住し、幸せな家庭生活を送る。だが真実を知らない月島は、実の父親が「彼女を殺した」と誤解し、父親を殺害して死刑囚となってしまう。いご草ちゃんは月島にとってかけがえのない存在だった。それに目を付けた鶴見は彼女の存在を利用し、月島を忠実な部下に育て上げ、共に金塊争奪戦に身を投じていく。
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牛山辰馬(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
牛山辰馬(うしやま たつうま)とは、『ゴールデンカムイ』に登場する人物で、アイヌの隠し金塊の在処を示す刺青を施された囚人の1人にして柔道の達人である。大柄で屈強な肉体に石頭、独特な耳の形状が特徴的な人物である。金塊を狙う土方歳三に協力し活動する。「不敗の牛山」の異名を持ち、様々な強敵をその卓越した柔術と怪力で組み伏せる。白兵戦では作中最強の男である。普段は紳士的だが極度の女好きでもあり、一定期間女を抱かないと男だろうと老人だろうと見境なく襲い掛かる一面を持つ。物語序盤から終盤にかけて活躍した。
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土方歳三(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
土方歳三(ひじかたとしぞう)とは、漫画『ゴールデンカムイ』に登場する人物で、刺青の囚人の頭目にして「新撰組鬼の副長」と恐れられた男。函館戦争で死亡したと思われていたが、極秘で監獄に収監されていた。蝦夷共和国樹立を叶えるため、アイヌの隠し金塊を狙う。同じく金塊を狙う大日本帝国陸軍第七師団を最大の障害と見なし、主人公・杉元佐一や彼の仲間たちとも一時共闘する。普段は穏やかな老人だが、戦闘時には鬼のような気迫を見せて敵と戦う。利害が一致すればどんな人物とも手を組むが、敵と見なす者には一切容赦しない。
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ウイルク(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
ウイルクとは『ゴールデンカムイ』に登場するアイヌ民族の男性である。アイヌの隠し金塊の所在を唯一知る人物であり、金塊争奪戦の原因となった。メインヒロインであるアイヌの少女アシリパの父親であり、娘と同じ独特な青い目をしている。作中では網走監獄に幽閉され、顔の皮が無い「のっぺら坊」として登場。アイヌの金塊を隠し、その場所を示した暗号を24人の凶悪な囚人達に刺青として彫った。金塊を巡る様々な勢力が網走監獄を襲撃した際にかつての仲間のキロランケの差金で暗殺された。
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フチ(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
フチとは、『ゴールデンカムイ』のキャラクターで、アイヌの老婆にしてヒロイン・アシリパの祖母。 アイヌの古い教えを大切にしながら日々を生きる一般人で、作中で繰り広げられる熾烈な金塊争奪戦とは無縁の立場にある。一方で家族の多くが金塊争奪戦の渦中にあり、たびたびその関係者の来訪を受ける。中でも陸軍兵士の谷垣源次郎とは、瀕死の重傷を負って彼女の家に担ぎ込まれてから交流を重ね、実の家族のように互いを大切に想う間柄。主人公・杉元佐一を気に入り、アシリパを嫁にもらってほしいと考えている。
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鯉登音之進(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
鯉登音之進とは野田サトル原作の漫画・アニメ『ゴールデンカムイ』に登場する人物で、大日本帝国陸軍第七師団歩兵第27聯隊に所属する陸軍少尉である。鶴見篤四郎中尉を崇拝しており、彼からも「お気に入り」とされている。銃器が多く登場する本作において、薩摩に伝わる日本剣術・自顕流を実践で通用するレベルにまで鍛え上げた一流の使い手。海軍少将の鯉登平二を父に持ち、裕福な家庭で育ったいわゆる「ボンボン」。様々な場面で月島基軍曹の補佐を必要としたが、最終的には一人前の将校へと立派に成長した。
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門倉利運(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
門倉利運(かどくら としゆき)とは、野田サトル原作の漫画・アニメ作品『ゴールデンカムイ』の登場人物で、のっぺらぼうを収監していた網走監獄の看守部長。冴えない中年男だが、実は土方歳三の内通者として情報を流していた。網走の攻囲戦の後は土方と行動を共にする。のっぺらぼうが隔離される前に最後に刺青を入れた男だが、刺青はすべてが揃わなくても解けるため、門倉の刺青はさほど重要ではないと思われていた。しかし最終局面で、思わぬ鍵が隠されていたことが判明する。
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岩息舞治(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
岩息舞治(がんそくまいはる)とは、野田サトル原作の漫画・アニメ作品『ゴールデンカムイ』に登場する刺青の囚人のうちの一人で、屈強な肉体と暴力への飽くなき欲求を併せ持つ男だ。樺太にあるロシア人の村で、男たちが集団で殴り合う競技「スチェンカ」に参加していた。キロランケやアシリパを追跡する杉元と出会い、拳を通して心を通わせる。刺青は剥がずに書き写された後、強者との出会いを求めてロシアへ渡っていった。
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マンスール(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
マンスールとは、『ゴールデンカムイ』のキャラクターで、ロシア皇帝の暗殺にも加担したパルチザンのソフィア・ゴールデンハンドの仲間の1人にして砲撃手である。 アイヌの隠し金塊を手に入れるため、ソフィアや仲間たちと共に北海道に乗り込み、主人公の杉元たちに協力。金塊を我が物にせんとする第七師団と壮絶な戦いを繰り広げ、敵の駆逐艦を旧式の大砲で撃破するという大殊勲を挙げた。突如鳴り物入りで登場し、作品の内外からその力量に疑問を持たれるも、鮮やかな活躍で評価を覆したキャラクターである。
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二階堂浩平(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
二階堂浩平(にかいどう こうへい)とは、『ゴールデンカムイ』の登場人物で、アイヌの隠し金塊争奪戦に参加している大日本帝国陸軍第七師団の兵士である。双子の兄弟の二階堂洋平を返り討ちにした杉元佐一に激しい殺意を抱くようになり、復讐を果たさんとたびたび死闘を演じた。戦いを経る毎に両耳や手足を失って行き、治療の際に使用したモルヒネによって薬物中毒者と化し、その副作用で子供のような性格の異常者となった。最終的に武器の仕込まれた義手や義足を装備し、心も体も壊れていきながら金塊争奪戦の最前線で戦い続けた。
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津山睦雄(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
津山睦雄(つやま むつお)とは、野田サトル原作の漫画・アニメ作品『ゴールデンカムイ』に登場する刺青の囚人のうちの一人で、「三十三人殺し」と呼ばれている。本編には登場せず、第七師団の鶴見中尉が刺青人皮を持っている。津山から剥いだ刺青人皮をベストのように着こなす鶴見中尉の姿は、多くの読者に衝撃を与えた。「三十三人殺し」という経歴から、モデルは「津山三十人殺し」の都井睦雄(とい むつお)であるという見方が一般的だ。
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菊田杢太郎(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
菊田杢太郎(きくた もくたろう)とは、野田サトル原作の漫画・アニメ作品『ゴールデンカムイ』の登場人物で、鶴見中尉率いる第七師団の一員。作中では珍しく、比較的常識的な言動をする男だ。日露戦争で倒したロシア将校の銃を奪い、戦争が終わった後でも持ち歩いている。金塊争奪戦には途中から参戦したが、その正体は軍中央から鶴見中尉に差し向けられたスパイ。また、かつて故郷を出たばかりの杉元佐一(すぎもと さいち)と出会い、軍に入隊するきっかけを作っており、「不死身の杉元」の生みの親とも言える。
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インカラマッ(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
インカラマッとは、『週刊ヤングジャンプ』にて連載されていた野田サトル原作の漫画・アニメ作品『ゴールデンカムイ』に登場する人物で、占いで生計を立て北海道を旅するアイヌ女性。少女の頃にアシリパの父ウイルクと交流があり、金塊争奪戦の渦中にいるアシリパの周囲に現れる。目的を明かそうとせず、周囲を占いで惑わすような行動を取るため、その存在を怪しまれている。鶴見中尉率いる第七師団から離れ小樽のアシリパのコタンで療養していた谷垣源次郎と、疱瘡で家族を失ったチカパシとともに、アシリパを追いかけ旅をする。
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江渡貝弥作(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
江渡貝弥作(えどがいやさく)とは、野田サトルによる漫画作品『ゴールデンカムイ』の登場人物で、北海道・夕張で剥製工房を営んでいる青年である。剥製職人としての腕は良いが、人間の死体の皮で革細工を作るという歪んだ趣味を持っている。自分の実の母親を剥製にして所有。母親の偏った教育の下で成長したが、母を慕うなどマザコン気質の持ち主である。鶴見の依頼により贋物の刺青人皮を作成したが、刺青を狙う尾形や杉本に狙われる。初めて自分を受け入れてくれた鶴見を慕っており、最期は鶴見の為に自らの命を犠牲にした。
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目次 - Contents
- 谷垣源次郎の概要
- カント オㇿワ ヤク サㇰ ノ アランケㇷ゚ シネㇷ゚ カ イサㇺ
- 谷垣源次郎のプロフィール・人物像
- プロフィール
- 人物像
- 谷垣源次郎の装備・能力
- 武器
- 三十年式歩兵銃
- 村田銃(十八年式単発銃)
- マタギとしての知識と技術
- 知識と能力
- 戦闘技術
- 谷垣源次郎の来歴・活躍
- 入隊から日露戦争終結まで
- 第七師団入隊
- カネ餅
- 戦場にて
- 仇
- 遺言
- 生まれてきた役目
- 軍人と猟師
- 追跡者として
- 白い狼
- 伝説の猟師
- 毒矢
- 受け継がれた「魂」
- 最初で最後の勝負
- 恩人
- 疑惑
- 謀反組の追撃
- 抹殺
- 形見
- 追う者
- 交戦
- 追われる者
- 穏やかな日々
- 出会い
- しばしの別れ
- 役目を果たす旅へ
- 道連れ
- トカチ
- 替え玉の千里眼
- 探しているもの
- 熊除けのおまじない
- 家族だから
- 死装束
- 合流
- 事件
- 犯人
- 助け
- 真犯人を追う
- 最終日
- 姉畑支遁の悲願
- 少女の決断
- 真実を見つけるための旅
- 迫る災い
- 避難
- ラッコ鍋
- 疑心暗鬼
- 囚人の情報
- 暗闇の復讐者
- 網走監獄へ
- 侵入の準備
- 本当の家族に
- 思惑
- 裏切り者
- 樺太の大冒険
- 先遣隊への参加
- キロランケを追って
- 仲間たちとの別離
- 決戦の五稜郭
- 妻と娘と戦友
- 最後の戦い
- 家族と共に故郷へ
- 谷垣源次郎の関連人物・キャラクター
- 二瓶鉄造
- フチ
- チカパシ
- インカㇻマッ
- リュウ
- レタラ
- 谷垣源次郎の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「コレヨリノチノ ヨニウマレテ ヨイオトキケ」
- 「ラッコ!!」
- 「おお…立派なイチモツだ」
- 谷垣源次郎の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- マタギ猟
- 作者が谷垣源次郎の体格の参考人物を挙げている