松田平太(ゴールデンカムイ)の徹底解説・考察まとめ
松田平太(まつだ へいた)とは、『週刊ヤングジャンプ』で連載の野田サトル原作の漫画・アニメ作品『ゴールデンカムイ』の作品に登場する人物。刺青の囚人のうちの一人である。砂金の専門知識を持ち、北海道での砂金の採取に情熱を燃やしている。だが、その本性は多重人格の殺人鬼である。自分がかつて同居していた長兄夫婦、次兄、父親、ヒグマの人格を持つ。自分の家族がヒグマに襲われて殺され、自分もヒグマに襲われて殺される幻覚を見る。その後、自分の体をヒグマに乗っ取られて人を襲って食べるという異常な殺人を行う。
松田平太のプロフィール・人物像
性別:男
出身:不明
年齢:不明
特技:砂金の採取
好きなもの:砂金
性格:気弱、多重人格
登場話:217話〜221話、224話(回想のみ登場)
松田平太(まつだ へいた)とは、漫画『ゴールデンカムイ』の登場人物で24人の刺青囚人の一人である。冬の北海道雨竜川で登場した。
漫画『ゴールデンカムイ』は、のっぺらぼうと呼ばれる網走監獄に収監されていた、アイヌの男が金塊を隠した事から始まる。のっぺらぼうはその金塊の在処の暗号を、同じ房にいた24人の囚人に刺青として彫り込んだ。24人の囚人達は脱獄し、北海道中に逃亡した。本作ではその24人の囚人の刺青を狙って様々な組織や人が行う、命を賭けた争奪戦を描いている。
ギョロリとした魚眼に防寒帽子、小柄で小太りの人物である。目に光が無いが表情豊かで人当たりが良い。冬の北海道雨竜川で砂金採り師として行動している。その腕前は一流で1日50円も稼いだ事がある(この時代の50円は現在の価値で約100万円である)。
お人好しな所があり、主人公である杉元一行に砂金の知識を披露した。物語では砂金の採り方を教える形で杉元一行と行動を共にした。
その本性は多重人格者で、かつて同居していた父親、長兄夫婦、次兄、ヒグマの人格を持つ。ヒグマの人格になると人を襲い、殺して喰う殺人鬼と化す。
ウェンカムイの話がトラウマになる
幼少期にアイヌの人と砂金を採取した経験がある。その際アイヌ文化や知識を教わり、ウェンカムイ(人を襲ったヒグマの事。悪い神様の意)の話を聞く。その話がとても恐ろしかった幼少期の松田は、心にトラウマに近い恐怖を抱く様になる。その恐怖は大人になっても心に深く刻まれていた。この時の恐怖が後述するような殺人鬼松田平太を生み出してしまう。
人格が分裂し、殺人鬼になる
松田は気弱で、自分が砂金採りで得た稼ぎを散財する家族に何も言えなかった。そんな理不尽な家族をウェンカムイに罰して貰おうと、松田はヒグマの食べ残しを自分の家の近くに埋め直した。ヒグマは一度獲物と定めたものに異常に執着する性質があるため、マツダの行為によって「獲物を横取りされた」と感じて彼の家族を襲うこととなる。どの程度の罰を与えたかったのかは不明だが、結果的に家族は松田のけしかけたヒグマによって惨殺された。そのヒグマは自分を襲う前に猟師に仕留められてバラバラにされてしまう。松田はウェンカムイに襲わせることで間接的に家族を殺し、一人生き残ってしまったのだ。
この事件をきっかけに、人格が分裂した松田は死んだ家族の幻覚を見るようになる。本人から見ると、家族が生きているかの様に振る舞い、松田に話しかけたり、会話をしたりする。他人から見ると松田が急に女口調になったり、独り言を言っている状態である。更に、松田は常にヒグマに狙われているという妄想に取り憑かれるようになる。ヒグマの幻覚を見るようになり、その姿に怯えていた。そのヒグマは最後には幻覚の中で家族を惨殺し、松田自身も殺してしまう。幻覚の中で家族と自分を殺したヒグマは、松田の人格を乗っ取ってしまう。ヒグマに人格を乗っ取られた松田は現実に人を喰い殺す殺人鬼となる。殺人の際には常に持っているヒグマの毛皮を被り、凶行に及ぶ。要するに人を喰うヒグマ(ウェンカムイ)に成り切って人を襲い始めるのだ。
人を殺した松田は弾け飛び、元の人格に戻る。そして、再び家族の幻覚の中で暮らした後、またヒグマに襲われて、自身がヒグマになりきり、人を喰い殺す。この流れを繰り返し、人を喰い殺してきた松田は死刑囚として投獄された。
本来、アイヌの信仰でウェンカムイが人を殺すのは「罰を与える」からでは無く、「好かれたから連れていかれた」とされている。松田はこの事を曲解し、「罰を与える為に人を殺してしまう」と信じ込んでしまった。幼少期にその話を信じ込んでしまった松田にとって、ウェンカムイは罰を与える裁定者のような存在になってしまったのだ。
ウェンカムイは当初、松田にとって自分の代わりに罰を与えてくれる存在だった。それが実際には家族を喰い殺してしまった。この時から松田の中でウェンカムイの存在が変わってしまった。「自分の為に家族に罰を与える存在」から「自分を罰する存在」になってしまったのだ。これは家族を間接的に殺してしまった事への罪悪感から来ている。この時から松田の人格は分裂し、ウェンカムイに狙われているという妄想に取り憑かれていった。妄想の中で松田は何度も死んだ家族と共に生活し、ウェンカムイに家族を喰い殺されている。その度に松田は怯えて逃げ回っている。ウェンカムイはそんな松田を殺して喰うまで追いかけていく。「罰を与える存在」であるウェンカムイが自分を追いかけて喰い殺すという事は、松田は自分が「罰を与えられるべき存在」である事を認めている事を示している。この点から、家族を間接的に殺してしまった事への罪悪感が見て取れる。
一方で松田はウェンカムイに家族を喰い殺させた事に正当性も感じている。「罰を与える存在」のウェンカムイが何度も妄想の家族を喰い殺している。劇中、妄想の義姉がウェンカムイに襲われて殺された時、松田は「ノリ子姉ちゃんが悪いんだ」と言っている。こういった点から、ウェンカムイを家族にけしかけた事に正当性を持っているといえる。
罪悪感と正当性。この矛盾した考えが松田の中に同居している。人格に統合性がなく、相反する考えや想いが同時に存在している。多重人格者である松田の最大の特徴である。
松田平太の装備・能力
煙草入れ
ヒグマが彫ってある。常に肌身離さず持ち歩いている。幼少期にアイヌと砂金採りをした事があり、その際に譲り受けたもの。特に道具として使う事は無かった。アイヌのウェンカムイに取り憑かれて、凶行を繰り返す松田のキャラクターを象徴している。
舶来の長靴
明治時代では大変高価なゴム長靴。松田が砂金採り師として成功しているのを物語っている。
カナペラ
砂金採りに使用。細長いカギのついた棒。先端に松脂が塗ってある。この棒で岩盤の隙間の砂金を掘り出して、松脂でくっつけて砂金を採る。松田はこの道具を主に使って砂金を採取していた。
ガラス箱
砂金採りに使用。箱の底をガラス張りにしておいて、潜らずに水中を見れるようにしてある。
砂金の知識
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目次 - Contents
- 松田平太のプロフィール・人物像
- ウェンカムイの話がトラウマになる
- 人格が分裂し、殺人鬼になる
- 松田平太の装備・能力
- 煙草入れ
- 舶来の長靴
- カナペラ
- ガラス箱
- 砂金の知識
- ネコ板
- アマッポ
- ヒグマの毛皮
- ウェンカムイの人格
- 松田平太の来歴・活躍
- 砂金採り師として道東で活動
- ヒグマに家族を襲わせてしまう
- 死刑囚として網走監獄に収監される
- 脱獄後、北海道中の川と湖を調査
- 雨竜川を拠点に砂金を採取
- 杉元一行と遭遇
- 杉元一行と行動
- ウェンカムイの妄想が近づいてくる
- ヴァシリに裸体を描かせる
- ヴァシリを殺そうとするも失敗
- 杉元一行、松田が刺青の囚人だと気付く
- ウェンカムイに支配される
- 杉元と交戦
- 自ら命を断つ
- 松田平太の関連人物・キャラクター
- 杉元佐一(すぎもと さいち)
- 白石由竹(しらいし よしたけ)
- アシリパ
- ヴァシリ
- 海賊房太郎(かいぞく ぼうたろう)
- 親父
- 嵩ニイ(たかにい)
- ノリコ
- 二郎ニイ(じろうにい)
- 門倉利運(かどくら としゆき)
- キラウシ
- 松田平太の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「これは第二のゴールドラッシュなんですよ!!」
- 「もう何年もです」
- ぺろぺろぺろ
- 「私は必ずあいつに食われる。だから出来るだけ離れてください」
- 家族全員が松田の妄想だったと判明するシーン
- 「平太の頭の中にだけいるんじゃないのか?」
- 松田平太の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 松田平太のモデル
- ビリー・ミリガン
- 物語と類似している事件
- 三毛別羆事件