
『奇子(あやこ)』とは、手塚治虫原作の青年漫画。『ビッグコミック』誌上にて1972年から1973年まで連載された。2019年に舞台化されている。とある旧家一族の人間ドラマを軸にして、第二次世界大戦以後の激動の日本を描いた作品であり、後の代表作『アドルフに告ぐ』の先駆けと評された。GHQのスパイであることを隠して復員した天外仁朗(てんげじろう)と彼の妹で実は不義の子の天外奇子(てんげあやこ)の2人を主人公として、人間の裏表と戦後日本の暗部を浮き彫りにした長編漫画である。
奇子は、仁朗が血の着いたシャツを洗っている場面を目の当たりにした。そのことを知った市朗によって、彼女は犯罪者隠蔽の犠牲とされてしまう。生きながら天外家の土蔵に閉じ込められ、その後20年以上もその場で暮らすこととなったのだ。最初奇子は、何度も土蔵からの脱出を試みたが自力では不可能だと悟り、その後は暗く狭い場所での生活でないと生きていけない状況に追い込まれた。そして、土蔵の中で育った奇子は、妖しい魅力を放つまでに至る。この一連のシーンは、人間の深層心理の謎までもが描かれていて、多くのファンや読者にトラウマを植え付けたと評されている。
下田波奈夫「同情からくる愛情は恋愛として邪道かい?」

下田警部(右)と下田波奈夫(左)
下田波奈夫は、祐天寺富夫(天外仁朗)邸を訪れた時に奇子と出会った。初めは波奈夫を警戒していたような奇子だったが、次第に打ち解けていく。奇子は自分の育ってきた境遇を波奈夫に話した。波奈夫にとって奇子が土蔵に20年以上もの間幽閉されていたという事実は、衝撃的なものだった。波奈夫の同情はやがて好意へと変わっていき、やがて2人は恋に落ちる。その際、波奈夫は父親の下田警部に向かって、「同情からくる愛情は恋愛として邪道かい?」と自分の心中を率直に話した。癖のある登場人物の多い同作品の中で、波奈夫は数少ない常識人として認知されており、このセリフはそのような彼を象徴する名言だと高く評価された。
天外ゐば「今の若いもんはわしらと違う。それでええのかもしれんのす。天外の家はわしさえ達者なら潰しはしねだ。」

天外家は、奥ノ沢の炭貯蔵穴でこれまでの出来事の清算を行った。そこでは、伺朗がダイナマイトを爆発させて出口が塞がれてしまったことと、次々に真相が明るみになったことを受けて多くの人間が亡くなった。天外家の騒動に直接関係のない波奈夫までもが、最後の最後で死亡してしまう。この清算で唯一生存したのは奇子だが、彼女は失踪した。事の顛末を下田警部から聞いたのは、生産の場にいなかったゐばである。そして、ゐばは奇子が天外家に居つく女性ではないとした上で、「今の若いもんはわしらと違う。それでええのかもしれんのす。天外の家はわしさえ達者なら潰しはしねだ。」と語った。実際には年老いたゐば1人で天外家を保ち続けることは不可能であるが、それでも彼女はその事実を認めなかった。さらに、それまで天外家の男たちに従順な態度だったゐばが、実は強い意志を持つ女性だということが明るみになったことも含めて、このセリフは名言と称されている。
『奇子』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
近親相姦などのタブーに切り込んだ異色作『奇子』

大都社ハードコミックス版『奇子』上巻表紙
手塚治虫原作の『奇子』は、『地球を呑む』、『I.L』、『きりひと讃歌』に続いて『ビッグコミック』に連載された漫画である。同作品は、青年漫画黎明期の作品と位置付けられており、手塚は様々なテーマを表現してみせた。その中でも特に多くの読者にインパクトを与えたと評されているのが、近親相姦描写であった。長年土蔵に閉じ込められていた天外奇子は、当然ながら満足な教育を受けておらず、道徳や倫理を知ることすらなく育ってしまった。そのため、腹違いの兄天外伺朗に恋心を抱き誘惑したのである。当初は奇子の道ならぬ想いを拒んだ伺朗であったが、遂にそれを受け入れて2人は交わってしまう。また、天外仁朗も肉体関係は結ばなかったものの、奇子のことを愛していると独白するシーンが見られた。このように一般的にタブーとされる事象を商業誌にて描写したことで、手塚治虫は青年漫画界においてもパイオニア的存在となったのだった。また、親族ですら魅了してしまう奇子の妖しさが見事に表現されたと考察するファンも少なくない。
『奇子』担当編集者が妻の名前と同じ読みだったことが理由で手塚治虫に何度も持ちかけたタイトル変更

『奇子』オリジナル版下巻表紙
先述した通り、『奇子』は「あやこ」と読む。本来は「あやこ」と読まれることのない文字であるが、手塚治虫はあえてこのような当て字にすることでファンや読者に作品をアピールしてみせた。ところが、当時の同作品担当編集者は、タイトルの変更を何度も要求してきたことが後の手塚の述懐で明らかにされている。あまりにも要求がしつこかったため、手塚は編集者に理由を尋ねた。すると、編集者は自分の妻の名前が「あやこ」であると答えたとのことだった。このエピソードは、講談社手塚治虫全集版『奇子』の第3巻あとがきにて読むことができる。
多くのファンを唸らせた史実の事件をモチーフにしたストーリー展開

鉄球を付けたクローラクレーンで破壊された天外家の土蔵
『奇子』は、第二次世界大戦直後の日本を舞台にストーリーが展開された作品である。そのため、史実をモチーフにした事件が描かれた。国鉄総裁霜川則之が変死を遂げた「霜川事件」が、それである。「霜川事件」の元になったのは、1949年7月5日から7月6日にかけて発生した「下山事件」である。「下山事件」とは、当時の初代国鉄総裁が失踪し、翌日に列車による轢死体として発見された事件だ。GHQの圧力による国鉄職員人員整理は、国鉄労働組合の激しい反対を招いており、国鉄総裁は板挟みに苦慮しながらも30700人の職員を解雇した。その後すぐに総裁が失踪死亡したため、「下山事件」は自殺説と他殺説の議論を巻き起こしたものの、1964年に時効が成立して真相は明らかにされていない。手塚治虫は、フィクションながらも「下山事件」の謎を巧みに「奇子」のストーリーに組み入れ、高評価を得たのである。
また、奇子が長く幽閉されていた天外家の土蔵がクローラクレーンで取り壊されたシーンは、連載当時の1972年に発生し世間の注目を集めていた「あさま山荘事件」の制圧作戦を彷彿させた。このように時事的話題を描き出す手法も、後の漫画界に多大な影響を与えたと言われている。
連載終了後46年を経て上演された舞台劇『奇子』

舞台版『奇子』ポスター
『奇子』は、ヘビーな作風の漫画であることから、長らくメディアミックスが展開されることはなかった。ところが、手塚治虫生誕90周年事業の一環として、2019年に舞台版が上演された。舞台版『奇子』は、『文豪ストレイドッグス』や『黒子のバスケ』など、漫画作品の舞台化に定評のある中屋敷法仁が脚本と演出を担当した。また、A.B.C-Zのメンバー五関晃一が、主人公の天外仁朗役を演じたことでも知られている。
なお、手塚治虫生誕90周年事業は、他にも『W3(ワンダースリー)』の舞台化や、オンデマンド版『手塚治虫全集』全343巻刊行など、多くの事業が展開された。
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『ユニコ』とは手塚治虫がサンリオより出版の『リリカ』で1976年11月から1979年3月まで、小学館より出版の『小学一年生』で1980年5月号から1983年7月号まで連載した児童向けファンタジー漫画である。1981年には『ユニコ』、1983年には『ユニコ 魔法の島へ』のタイトルで映画化した。 一角獣の子どもユニコは、いじわるなビーナスに神の国を追い出され、西風の精に運ばれ様々な時空を旅することとなる。不思議な魔法を使えるユニコは、訪れる先で様々な人々と交流し、彼らに愛と友情を届けていく。
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鉄腕アトム(手塚治虫)のネタバレ解説・考察まとめ
『鉄腕アトム』とは、手塚治虫による漫画作品。テレビアニメ版や実写版など様々なメディアミックスが行われていることでも有名であり、手塚治虫の代表作の1つに挙げられている。『鉄腕アトム』の原作漫画は、光文社の月刊漫画雑誌『少年』にて1952年から1968年まで連載された。コミックスは、『講談社手塚治虫全集』全18巻をはじめ様々なバージョンが存在する。人間に似た心を持つ少年型ロボットアトムが、人間とロボットとの関係の狭間で地球の平和のために数々の難事件や敵に挑む姿を描いたSF作品である。
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地球を呑む(手塚治虫)のネタバレ解説・考察まとめ
『地球を呑む』とは、手塚治虫原作のサスペンス漫画。『ビッグコミック』誌上にて1968年から1969年まで連載された。長編漫画でありながら、随所にアナザーストーリーとしての短編が挿入された作風は後の漫画作品に多大な影響を与えた。また、所謂青年漫画のはしりとしても知られている。『地球を呑む』は、男性たちを翻弄して世界を滅ぼさんとする「ゼフィルス」という名前の絶世の美女、そして唯一ゼフィルスに惑わされない主人公の青年との人間ドラマを通して、世界の変容を描いたサスペンス大河漫画である。
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シュマリ(手塚治虫)のネタバレ解説・考察まとめ
『シュマリ』とは、手塚治虫による明治時代初頭の北海道を舞台にした歴史漫画作品。『ビッグコミック』誌上にて、1974年から1976年まで連載された。手塚作品の中でメディアミックスされていないが、ファン人気の高い作品として知られている。骨太の主人公を中心に激動だった明治初期の北海道を描き切った大河ドラマ的作風は、手塚漫画の魅力をさらに広げたとも評されている。主人公の元旗本は、自分から逃げた妻と間男を追って北海道へやって来た。そこでアイヌの人々と文化に魅せられて「シュマリ」と名を変え生きていく。
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『リボンの騎士』とは、手塚治虫による少女漫画、およびそれを原作にしたアニメや舞台などのメディアミックス作品。1953年から1956年まで連載された『少女クラブ』版、1963年から1966年まで連載された『なかよし』版、1967年連載の『少女フレンド』版の3種類がある。異世界を舞台に、男女の心を持ってしまった主人公サファイアが、悪人たちと戦う物語がファンタジックに描かれている。少女向けストーリー漫画の先駆け的な存在として知られており、後続作品に多大な影響を与えた。
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陽だまりの樹(手塚治虫)のネタバレ解説・考察まとめ
『陽だまりの樹』とは、手塚治虫原作の長編歴史漫画、及びそれを基にしたテレビアニメ・テレビドラマ。原作漫画は、1981年から1986年まで『ビッグコミック』誌上にて連載された。テレビアニメ版は2000年、テレビドラマ版は2012年に放映された。同作品は手塚治虫の曽祖父手塚良仙と彼と同世代の架空の武士伊武谷万二郎を狂言回しにして、開国と倒幕という激動の時代となった江戸末期を描いた壮大な歴史大河ドラマ作品である。
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『上を下へのジレッタ』とは、手塚治虫がバーチャルリアリティーのような妄想世界「ジレッタ」を巡る騒動を描いたブラックユーモア漫画。才能と野心あふれるプロデューサー門前市郎(もんぜん いちろう)が「空腹の間だけ絶世の美女になる」という特異体質を持つ越後君子(えちご きみこ)と、その恋人の山辺音彦(やまべ おとひこ)を利用して名誉欲を満たそうと七転八倒する物語。 手塚作品の中では知名度は高くないが、2017年には妄想歌謡劇『上を下へのジレッタ』のタイトルで舞台化され、横山裕が主演を務めた。
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きりひと讃歌(手塚治虫)のネタバレ解説・考察まとめ
『きりひと讃歌』とは、手塚治虫原作の医療・社会派漫画。『ビッグコミック』誌上にて、1970年から1971年まで連載された。手塚初の本格的長編医療ドラマとして知られており、後の代表作『ブラック・ジャック』や『陽だまりの樹』のプロトタイプ的作品でもある。また、手塚治虫を医療漫画のパイオニアへと押し上げた作品として高評価された。同作品は、モンモウ病という奇病に罹患して外見が犬のように変化した主人公の医師が、様々な差別や社会的圧力に見舞われながらも病気の真相を究明していく医療長編漫画である。
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目次 - Contents
- 『奇子』の概要
- 『奇子』のあらすじ・ストーリー
- 因習に囚われる天外家
- 天外仁朗の逃亡と土蔵の中の天外奇子
- 外界へ出た天外奇子
- 天外家の末路
- 『奇子』の登場人物・キャラクター
- 主人公
- 天外仁朗(てんげじろう/演:五関晃一)
- 祐天寺富夫(ゆうてんじとみお)
- 天外奇子(てんげあやこ/演:駒井蓮)
- 天外家(てんげけ)
- 天外佐右衛門(てんげさくえもん)
- 天外ゐば(てんげいば)
- 天外市朗(てんげいちろう/演:梶原善)
- 天外すえ(てんげすえ/演:深谷由梨香)
- 天外志子(てんげなおこ/演:松本妃代)
- 天外伺朗(てんげしろう/演:三津谷亮)
- お涼(おりょう/演:相原雪月花)
- 山崎(やまざき/演:中村まこと)
- その他
- 江野正(えのただし)
- フレッド・キノシタ
- 加東(かとう)
- 霜川則之(しもかわのりゆき)
- 田沼(たぬま)
- マチコ
- 下田警部(げたけいぶ)
- 下田波奈夫(げたはなお/演:味方良介)
- 金城呉成(きんじょうごせい)
- 『奇子』の用語
- 天外家(てんげけ)
- 淀山事件(よどやまじけん)
- 霜川事件(しもかわじけん)
- 『奇子』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 天外仁朗「うちは変わった家だ!!みんな狂ってるんだ!!」
- 土蔵に閉じ込められた天外奇子
- 下田波奈夫「同情からくる愛情は恋愛として邪道かい?」
- 天外ゐば「今の若いもんはわしらと違う。それでええのかもしれんのす。天外の家はわしさえ達者なら潰しはしねだ。」
- 『奇子』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 近親相姦などのタブーに切り込んだ異色作『奇子』
- 『奇子』担当編集者が妻の名前と同じ読みだったことが理由で手塚治虫に何度も持ちかけたタイトル変更
- 多くのファンを唸らせた史実の事件をモチーフにしたストーリー展開
- 連載終了後46年を経て上演された舞台劇『奇子』